『calor ――理想の果てに灯る温もり――』   作:そもゆえに

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第29話 京都、還る場所(calor)

関西呪術協会総本山であり、近衛木乃香の実家に無事に辿りついたネギ達一行。

 

本山の結界と翌日に帰ってくるという、西側の応援として派遣されていた腕利きの呪術師達。

  

親書を渡し任務を終えたネギは詠春に話を聞いたり、改めて明日菜や刹那達と任務をやり遂げたという達成感に包まれて、警戒心も弛緩していた。

 

そんな中、闇夜を切り裂くように疾走る紅い影。

 

まだ事態は終結していない。

 

最悪、生徒達が人質に攫われる可能性すらある。

 

そう直感してネギ達への合流より、生徒達の無事を確認する為に古菲や龍宮達が滞在している旅館へ向かっていた。

 

 

「くっ……今だけは受肉している身体が恨めしい。」

 

だが無いもの強請りは出来ない。

 

既に京都の県境を越えている。

 

出発した時間を考えれば異様な速さではある。

 

その時、携帯が震える。画面には、古菲の名前。

 

「師父!なんだか分からないアルが、大変な事になったヨ!!」

 

曰く、綾瀬夕映より救援を求める連絡があったと言う。

長瀬楓、龍宮真名、古菲の3人で救援を行うが、不測の事態に備えてと。

 

「龍宮、位置は」

 

「旅館からそう離れていない」

 

「十分だ。木乃香の魔力が目印になる。」

 

「───!?連絡をしたけど、京都まで来ているアルか?何故か漠然と師父が近くにいるとは感じたネ」

 

「あぁ、だがその話は後だ。旅館で合流する時間も惜しい、先に向かってくれ。あと、特に古菲」

 

「な、なにアルか、師父?」

 

「calorに還ってこい。約束を忘れるな」

 

「師父───勿論ヨ!!」

 

その力強い返事に、一瞬だけ"還ってこい"という自分の言葉を噛み締める。

 

戦力として数えることは出来る。

 

……だが違う。

 

彼女たちは自身が護るべきcalor(ぬくもり)

 

そう呟き、かき消えるかのように駆ける。

 

 

──その頃。

 

「──もういっぺん言ってみぃ、ネギ!」

 

「何度でも──いや、時間がないから、あと一回だけ言うよ。君とは戦わないよ小太郎君」

 

木乃香を救出に向かってい飛んでいたネギであったが、小太郎の放った狗神に撃ち落された。

 

ネギに対して執拗に再戦を要求し、挑発する小太郎であったが──

 

「なんでや!つれない事言うなやネギ。同い年で俺と対等に渡り合えたんはお前が初めてなんや──逃げるなやネギ!男やろ!!」

 

小太郎の挑発を聞いてカモミールは不味いと思った。

 

なんだかんだいってもネギは十歳。

 

頑固さと子供っぽさから、ああいう挑発に弱い。

 

だが此処で戦えば、どう転んでも木乃香姉さんは──

 

しかし、カモミールの予想に反してネギの発した言葉は。

 

 

「そんな下らないモノより大切な事が在るんだ」

 

この修学旅行出発前にシロウに言われた。

 

本当に護りたいものと、 目指すものを取り違えるな。

 

キッパリと言い切るネギに面食らう小太郎。

 

だが青筋を立てて睨み付ける。

 

「下らない、やと。ふん、結局はお堅い西洋魔術師には解らんか──どっちにしても、俺を倒さんと救けにも行けないで!!」

 

あくまでも立ち塞がる小太郎。

 

熱くなる小太郎と対照的に冷静に離脱する機会を窺うネギ───と、後ろに飛び退く。

 

「逃がす───かはっ!?」

 

飛び退いたネギを追い掛けようと距離を詰めた小太郎に巨大な手裏剣が飛来する。

 

「しつこい男は嫌われるでござるよ、少年」

 

手裏剣を陽動に瞬時に打撃を加えたのは────

 

 

「な、長瀬さん!?」

 

目の前に現れた人物に驚きの声をあげるネギ。

 

「ふむ、先程の啖呵。天晴れでござるよ、ネギ坊主。あの御仁の影響でござるかな?」

 

抱えていた夕映を降ろして近付く足取りは、自然体でありながら隙がない。

 

「はい……あの夜、長瀬さんが言ってくれたことも」

 

 

「ふふ、随分と嬉しい事を───と、時間がないでござる。この場は某に任せて征くでござるよ、ネギ坊主!」

 

楓の言葉に逡巡をみせるが───

 

 

「はい、お願いします!長瀬さん、無理はしないで───」

 

楓に言葉を掛け杖を片手に翔び立とつネギ。

 

「勝手に話を進めるなや!こんなコケにされて黙って行かすか!!大体のっぽの姉ちゃんは下がっとれ。女を殴るんは趣味じゃなっ!?」

 

置き去りに話が進行されるのに、怒気を散らして狗神を呼び出そうと吠える小太郎。

 

しかし話の途中で楓に吹き飛ばされ木に叩きつけられる。

 

「ふむ、ネギ坊主に眼をつける辺りは中々でござるが───相手の力量と義を解さぬ童には灸が必要でござるな。あと、ネギ坊主にああまで言われた以上は某も役目を果たせねば」

 

そう呟く楓の身体が揺らぎ、多数の分身が現れる。

 

「甲賀中忍───長瀬楓、推して参る」

 

「──はっ!上等!!」

 

新たな闘いの火蓋が切って落されていた。

 

 

 

 

「く、離し⋯なさいよ」

 

「大半を斃しましたが───残ってるのは格が違う、か。明日菜さん……」

 

体力の消耗も激しく、残った怪異はまだ少ないとは言い難い。

 

戦闘経験の差で明日菜は捕まえられ、その結果、刹那ですらなんとか拮抗している。後ろにまだ多くの式神が参戦せずに眺めている状態でだ。

 

更に遠くに立ち上る光の柱。

 

「雇い主の千草はんの計画が上手くいってるみたいですな。まぁ関係あらへん。存分に仕合いましょ、センパイ」

 

追い討ちをかけるように、月詠が現れた。

 

その光景に刹那の顔から血の気が引いていく。

 

(こうなった以上、アレをするしか)

 

そう独り刹那が覚悟を決めた時。

 

まるで独りではないと、言わんばかりに

 

数条の黒い影が闇夜を裂き、月読や怪異たちに振り注ぐ。

 

 

その矢を何時ものごとく弾こうとした月読だったが。

 

(重い!?)

 

堪らず二刀の小太刀のうち一刀を手放す事で威力を逸らした。

 

「なんや、この矢───」

 

痺れを残す腕で刀を拾いあげる。

 

あのまま離さなければ下手をすれば刀が折れていた。

 

 

更に明日菜を捕らえていた鳥族の頭を銃弾が貫き、塵となって還されていく。

 

そして激しい狙撃、距離を詰めた周囲の鳥族や怪異を短銃で撃ち倒す龍宮の姿があった。

 

先程の月読への狙撃も彼女が?いや違う。

 

「ふふ、あの夜を思い出すな刹那。しかし、まさか私より彼の方が速く狙撃をするとは思わなかったけどね」

 

 

そう言って龍宮が前に進んでくる。

 

しかし、刹那の胸中には先程自分を救ってくれた矢。

 

───あの夜の再現。それならば彼の存在は欠かせない。

 

 

遠く離れた木々を抜けた場所から、なんとか射線だけ確保できている所に、紅い外套をつけたシロウの姿があった。その姿もすぐにかき消える。

 

「さて仕事代は刹那、いや雇い主のシロウさんへツケに回しておくよ」

 

「アイヤーこれ、お化けアルか?初めて見たヨ」

 

「なっ、なんで龍宮さんが!てゆーか強すぎるでしょ!?それに古菲やエミヤさんまで!?」

 

「遅れて済まない。 ……間に合ったようだ。」

 

黒いボディアーマーに紅い外套。

 

「ツケはボーナス払いだ、真名。」

 

先程彼方に見たのが幻かと思えるほど自然に合流していた。

 

既に彼の手には弓はなく、干将・莫耶が握られていた。

 

シロウの姿を見た月読は、僅かに自身の身体が無自覚に震えているのに気がついた。

 

「は、ハハハ。ウチの好みでは女の子のセンパイでしたけど、この双剣使いのお兄さんは別格ですぇ〜心ゆくまで斬り合いましょ〜」

 

シロウが月読と対峙し、刹那や龍宮達も、敵と対峙している。

 

別格の喚ばれた式神の猛攻に、刹那や龍宮達も次第に軽傷とはいえ手傷が増えていっている。

 

 

「しんめいりゅ〜二刀りゅーざんがんけぇん!」

 

「ふん、此方の世界では魔剣、秘剣の類が尽きんな」

 

岩を砕き、大地を裂くような連撃。

 

「だが、此処は行き止まりだ」

 

一合。

 

二合。

 

剣を交えるたびに月読の呼吸が狂う。

 

いつの間にか、自分の剣ではなく相手の剣に踊らされていた

 

戦いが激しさを増す、正にその時───ソレは起きた。

 

光の柱から巨大な影が立ち上る。

 

周囲を埋め尽くす二面四つ手の巨躯を誇る巨大な鬼。

 

 

 

その時、明日菜と刹那へと念話が飛んでくる。

 

「ちょっと、ネギのヤツがそうとうヤバいみたい。私たちが助けにいかなきゃ駄目みたい。」

 

そう明日菜が視線を向ける。

 

この場を離れて大丈夫、かと。

 

「無論だ。だがネギと木乃香、刹那達と無事に還ってくるのが条件だ」

 

「こっちにはシロウさんも居るんだ、安心しろ!あの可愛いらしい先生を助けに行くんだ」

 

明日菜達を追おうとした鬼の頭を撃ち抜き、それを確認して走り出す2人。

 

 

「さて、なんやら大層なことになっとるなー」

 

そう笑いながら巨大な根をふり抜く鬼。

 

それを躱して真名が撃ち返すも、他の鬼に防がれる。

 

「無理をするな、2人とも。ネギ達を信じて、な!」

 

周囲の光景を知ったことかと変わらず、苛烈に斬り込んでくる月読。

 

「もう依頼は果たしてますぇ、もっと愉しめますなぁ!シロウはん!」

 

ロリータファッションの服は斬られ所々が千切れ肌を晒し、その肌からは血が滲み、打撲痕もみられる。

 

少なくないダメージが見てとれるが愉悦を浮かべる。

 

まだまだ京都の夜は続く。

 

 

その頃、ネギはフェイトという白髪の少年と対峙していた。

 

小太郎から離脱し、長を退けたであろうフェイトと戦い初戦は上手く策を講じた。

 

しかし木乃香の姿はなく、鬼神の召喚を許してしまう。

 

今までの戦いで既に消耗が激し過ぎた。

 

カモミールの転機で明日菜達を喚びだすも、合流した時に浴びた魔法で腕が石化し始めている。

 

煙でネギ達の姿を見失った貴重な時間。

 

───そんな中でとれる手段は

 

「御二人共いますぐ逃げて下さい、お嬢様は私が助けます。」

 

「あんな高いところへネギじゃなきゃ、それに下手すれば白いガキに撃ち落とされちゃうわよ!!」

 

明日菜の言葉に刹那はぎゅっと自身の躰を抱きしめる様に

 

「私は2人とこのかお嬢様に隠してた事があります。あの呼び出された化け物と同じなんです。一族の掟でも、この姿を見せたら2度と一緒には居られません。なので、打ち明ける事が出来なかった───宮崎さんのような勇気を持てませんでした。けど、私は温もりを知りました。もう諦めません、あのcalorとこのかお嬢様の温もりを!!だから、これからも友達でいてくれませんか?」

 

そう言って抱き締めていた身体を広げた瞬間、純白の翼が現れ羽根が舞い散る。そして、涙を流す刹那。

 

そんな刹那の翼や羽根を一通り触り、パーン!と背中を音を鳴らして叩く。

 

「もう今まで色んな事があったから今更だし、何よりこのかがコレくらいで誰かを嫌いになんかならないわよ!この事が片付いたらcalorに還って女子会しましょうよ」

 

「ふ、ふふ。そうですね、このちゃんと一緒に。いまから楽しみです」

 

そして木乃香を奪い返すために、刹那が翼をはためかせ宙を駆ける。

 

予想通り妨害しようとした少年に魔法の矢を放ち、無事に飛び立つ刹那。

 

 

そして刹那を見送った2人に念話が伝わってくる。

 

(ふん、ずいぶん頑張ってるな坊や達。まだ限界ではない筈だ、手足が無事ではないとしてもまだ動く、魔力が限界でもゼロではない。私が着く1分半まで死ぬ気でもがけ、あとは私が終わらしてやる───あとcalorでの女子会にはちゃんと呼べ)

 

エヴァンジェリン。

 

最強の魔法使いが、増援として来る。だったら───

 

「ネギ!」

 

「行きしょう、アスナさん!!」

 

そう奮起するもフェイトが圧倒的な技量の体術で、ネギ達を攻め立てる。あっさりと吹き飛ばされて地面を転がる2人。

 

───もし魔術障壁を抜ける事が出来たら。

 

「サウザンドマスターの息子もこの程度、か───なら先に厄介な完全無力無効化能力、カグラザカ アスナを」

 

そう言って石化の魔法の後に突撃して来るフェイト、その腕をネギが石化していない腕で掴み。

 

「ネギや刹那さんが、皆が!あんだけ頑張ってんだから───負けないわよ!」

 

気合いと共に一閃した一撃がフェイトの障壁を破戒する。

 

「───チィ!やはり君を先に」

 

明日菜に魔力を乗せた打撃を打ち込もうとするフェイトだったが───

 

「これ以上、誰も傷つけさせない!あぁぁぁっ!」

 

尽きかけた魔力を、尽きない思いを籠めたネギの拳がカウンターで少年の頬に打ち込まれる。

 

荒々しい激情に魔力がブースターとなり、威力は跳ね上がる。

 

少年の身体が宙に浮き──

 

「……身体に直接拳を入れられたのは…初めてだよ」

 

───踏みとどまる。

 

「───なっ、そんな!」

 

「代償は高くつくよ───ネギ・スプリングフィールド!」

 

憔悴したネギに対して更に魔力を込めた拳を撃ちだし───止まった。

 

 

「なら私で2度目だな、クソガキ」

 

──少年の足下の影から腕が伸び、少年の腕を掴む。

 

「ウチのぼーや達が世話になった──遠慮はいらん。貰っておけ、若造」

 

そう呟き、何気なく繰り出された一撃は少年の障壁を紙屑の様に貫き、爆ぜた。

 

ネギ達の攻撃でも殆どダメージを与えられなかった少年が、吹き飛ばされる光景は冗談の様にすら思えた。

 

──否。

 

彼女ならば不思議ではない。

 

むしろ、そうでなくては。

 

闇の福音。

 

その名だけで十分だった。

 

「あっ……エッ──エヴァンジェリンさん!!」

 

「これで貸し借りはなしだな、ぼうや」

 

フェイトを吹き飛ばした事などどこ吹く風でエヴァンジェリンが声をかける。

 

影から影へと転移魔法(ゲート)にて目的地へと向かいながら、透視にて現状を把握。

 

私の発破に坊やがやって見せた行動に思わず頬が緩む。

 

 

あの馬鹿(ナギ)の息子にしては、随分と大人しいと思っていたが

 

────やはり蛙の子は蛙。

 

「───マスター、目的地に到着します」

 

「あぁ、アレだけのモノを見せて貰っては──我々も魅せてやらねばな、茶々丸?」

 

 

私の言葉に頷くと、装備を整える茶々丸。

 

「それでは、征くか───」

 

「Yes、マスター」

 

あの停電の夜もそうだったが、昔の力が躯を満たす昂揚感は素晴らしい。

 

驚く坊や神楽坂の反応、シロウの皮肉な笑みすらも心地好い。

 

空に高く高く飛び上がる。

 

さぁ、折角の雅な京の夜景を台無しにしてくれているデカぶつには退場願おう。

 

シロウや坊やに私の力を示すのと───何より目障りだ。

 

 

「───マスター、結界弾セットアップ」

 

流石、我が従者。

 

頃合いを心得ている。

 

よい仕事をする。

 

ならば、終幕への開幕を。

 

この下らなく、滑稽な劇であるが舞台にあがれば演者として彩りを与えてやる。

 

「今宵の劇も少々冗長──ならばフィナーレくらいは華を咲かせてやる。坊や、最強の魔法使いの最高の力を魅せてやろう」

 

 

傍らに控えるは茶々丸。

 

手に携えるロングカノン。

 

ハカセと超謹製の30mm砲。

 

魔法効果の付与された弾頭も運用出来るパーフェクトな仕事だが、難点は全長が2メートル以上と人間には扱えない程度か。

 

「───やれ、茶々丸」

 

   

「───了解(ヤー)

 

轟音と視界を灼くマズルフラッシュ。

 

白煙と共に撃ちだされた弾頭。

 

着弾した瞬間、スクナを巨大な結界が包み込み拘束する。

 

耳障りな咆哮に思わず顔を顰める───目障りな上に耳障り。

 

「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック!」

 

朗々と唱えられる詞。

 

詠唱と共に冷気が満ちる。

 

京都の夜、結界の中に別の異界を造り上げる。

 

絶対零度。

 

百五十フィート四方を凍てつかせる殲滅呪文。

 

 

喩え伝説の鬼神だろうが、防ぐ事も適わない。

 

醜いデカブツも氷像となれば多少は映えるか。

 

ならば最後に華と散らすも一興、いや慈悲か。

 

ふと、シロウと目が合い、視線が絡む。

 

私の魔法に驚きつつも、その瞳は雄弁に語っている。

 

 

───魅せてみろ、と。

 

「───全ての命ある者に等しき死を。其は安らぎ也」

 

あぁ、魅せてやる。

 

瞳に焼き付けろ。

 

 

『──おわるせかい(コズミケー・カタストロフェー)

 

パチンと指を鳴らすと共にスクナが文字通り粉砕され砕け散る。

 

 

 

大小様々な宿儺だった氷片が天から降り注いでいる。

 

シロウが加勢して月詠を封じた事で、軽傷程度で残った龍宮や古菲達も大事なく戦いは終わった。

 

月読はギラギラとした瞳から潤んだ瞳へと変えている。

 

「愉しいひと時やったぇ、今度こそ死合いましょうやぁ───シロウはん」

 

刹那だけでなく、シロウも厄ネタを抱える事になったが。

 

 

あの後、ネギが石化で命を落としかけたが木乃香との仮契約にて、ネギの石化を解呪した事で騒動は一応の幕を閉じた。

 

真名や楓、古菲とも合流。

 

総本山に向かっていた面々は今は皆が旅館で泥の様に眠って疲れを癒している。

 

 

───そんな中

 

───静かに

 

───だが、確実に

 

───何かが、動き始めている

 

私が此方の世界に来た意味

 

ソレは────

 

「ぅん……ずっと一緒アルよ師父───我不想離開你。」

 

小さく呻き声をあげる古菲の寝言を聞いて思考を中断する。

 

───些末な事だ。

 

世中合わせに話している内に眠ったのであろう。

 

背中から伝わる鼓動と温もり。

 

何かしらの思惑が在って自分が喚ばれたとしても関係ない。

 

ほんの少しだけでも哀しみから、皆を遠ざけたい。

 

たとえ不様に溺れても今度は這いあがってみせる。

 

みんなの還る場所(calor)を護る。

 

 

『ケケケ、我不想離開你───離れたくない、だってよ。随分と知らない間にイチャついてるじゃネェか

 

 

何時の間にか茶々零が現れて

 

──そのままシロウの頭上に座る。

 

「───彼女は?」

 

『あン?御主人の命令だゼ。一応命は獲ってネェから消化不良ダ』

 

そう言って頭の上で刃物を弄ぶ。

 

茶々零は逃げ出した天ヶ崎千草を捕縛していたのだ。

 

「───怪我は?」

 

『ハン、アノ小物ナラ軽ク脅シタダケデ気絶シタカラナ。敵ノ心配スルトハ相変ワラズ───』

 

其処まで言って、茶々零の動きが止まる。

 

「馬鹿者───私が聞いているのは、君の怪我だ」

 

そう言って茶々零を頭から降ろし外傷などがないか、解析を用いて調べるシロウ。

 

ソレを不思議そうに見返す茶々零。

 

怪我が無いのを確認して、寝ている古菲を起こさないように抱き上げ運ぶシロウの姿に何故か少し苛立った。

 

 

全く、御主人の事を言えない。

 

昔の自分なら、そのような扱いをされれば間違いなく───うん、文字通り相手をバラしていただろう。

 

数百年の歳月を経て自我を形成し自らの意思で殺戮に酔う殺戮人形。

 

ソレが───このザマだ。

 

───全く。

 

───どうかしている。

 

まぁ、御主人や妹もその周囲も少しずつ変わっている

 

そういう事も在っても良いダロ?

 

誰となしに独り呟く。

 

(御主人と一緒に女子会?ってのに参加してミルカ。)

 

 

 

 

 

───長い長い夜が明ける。

 

 

どんなに永く深い闇夜も、明けぬ夜は無い。

 

 

───時に、残酷な程に。

 

 

たとえ明けぬ夜を望むとも───夜は明けるのだと。

 

遠く離れた場所から、その光景を静かに見つめる少女がいた。

 

「やっぱり君は、この世界を変える。エミヤシロウ」

 

今後の料理店に来店して欲しい人。※項目に無ければその他で、感想で希望する人を。クラスメイト以外でも可。話の流れで直ぐには反映出来なかったりします。

  • 神楽坂明日菜
  • 龍宮真名
  • 長谷川千雨
  • 宮崎のどか
  • 古菲
  • 長瀬楓
  • その他
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