『calor ――理想の果てに灯る温もり――』   作:そもゆえに

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第30話 温もりを胸に

総本山から急いで帰って泥のように寝ていた5班のネギ達は昼前まで寝ていた。

 

それとは別にシロウは広域指導員としての表書きで(学園側から通知済み)ハメを外しやすい3-Aの様子を見守っていた。

 

 

すると、班員行動と別れてシロウの前に1人の少女、長谷川千雨の姿があった。

 

「よう、店長が店を休んで───ま、メインの客層がコッチだから休んでも問題ないのかって流石に冗談だけどな」

 

何時から待っていたか分からないがそう長い時間ではないようだ。

 

「どーせ、よくわかんねー事で出張ってきたんだろ?calorで私に直接言ってたエヴァンジェリンが初めて学園外に出てきたぐらいだ」

 

深くは聞いてこない。

 

それが長谷川千雨という少女なりの距離感だった。

 

私の視線に何か言いたげだったが

 

「って、そんな事よりもちょっと相談なんだけどよ…そこのカフェで自家焙煎のコーヒー豆の販売をしてるんだけど」

 

彼女の好みや店主と相談しながら珈琲豆を購入した。

 

しかし、珈琲豆選びよりも彼女の本当の相談は。

 

「別にシロウさんが選んだ珈琲豆や紅茶に不満がある訳じゃない。けどよ、マイボトルキープのような感覚で他の店で購入した珈琲や紅茶を保管して、自分専用として淹れて貰えたら特別感がっ───てなんだよ?その顔は」

 

その発想は妙に彼女らしかった。

 

思わず笑みが漏れる。

 

「な、なんだよっ!わかってるよ、変な頼みだってのは。で、どうなんだよ」

 

メガネ越しにジト目で見つめてくる長谷川。

 

「いや、ユニークな案だな。試しに取り入れるよ。だから今は長谷川だけが知っている裏メニューだな」

 

「あ、え、う〜ったく、人たらし。わかったよ、なんか常連に直ぐに浸透しそうだけど。いまは私だけ、な。」

 

私の言葉に目を白黒させ、紅く染まった顔を隠すように手を当ててもう一方の手をひらひらと振る。

 

「話したいことは話したから私は班に戻る……有り難う」

 

最後は少し小声だった。

自分らしくないとでも思ったのか、ズカズカと去っていった。

 

 

 

千雨を見送る間もなく、今度は廊下の向こうから慌ただしい足音が響く。

 

「師父ーー!助けて欲しいアル〜超とハカセが酷いヨ」

 

なんでも旅館を夜に抜け出した事について聞き出そうと謎の発明マシンで尋問を受けていたらしい。

 

その時に撮られた写真を消す為に朝倉を追いかけて見失ったが、かわりに逃げ出す事が出来たようだ。

 

「このまま戻って、また同じ目にあいたくないヨ」

 

よほど大変だったのか思い出して若干涙ぐんでいる。

 

下手に口裏を合わせをしても3-Aの誇る天才2人相手には誘導尋問されるので喋らない事の一択らしい。

 

コホンと、気を取り直して古菲が此方を見つめてくる。

 

 

「師父───あの時真っ先に浮かんだのが師父で、何故か師父が近くまで来てくれてると思ったアル。」

 

麻帆良で、calorに居てる筈なのにネ、と笑う古菲。

 

「私は馬鹿だけど、昨日みたいな事に師父が関わってるくらい分かるヨ。だから師父の居る場所に、そちら側に行きたいと思ってるアル」

 

力強い瞳で此方を見つめている。強くなる事への近道の為にではなく、強くなる為の覚悟を示した言葉だった。

 

古菲は裏とは無縁の少女だ。

 

だからこそ巻き込みたくなかった。

 

だが、それは私の傲慢なのだろう。

 

彼女は自分で道を選び、自分の意志で此処に立っている。

 

ならば──支えよう。

 

その温もりを護るために。

 

 

 

「あ、古菲こんな所に居たネ。昨日抜け出していたのは逢引だったアルか。それは言い辛くて当然だたネ〜」

 

古菲が逃げ込んできた原因の1人の口から飛び込んできた言葉に、古菲が盛大にコケた。

 

そこには先程の話題の張本人、超鈴音がいつの間にかいた。

 

「アイヤー!違うアル!」

 

「そう照れなくてもいいネ。」

 

超がニヤニヤ笑う。

 

「まぁ、逢引というよりは。」

 

シロウを見る。

 

「未来への投資……かな。」

 

シロウは眉をひそめる。

 

「なんでもないヨ。」

 

少しだけ真面目な表情になる。

 

「未来は決まっているようで決まってないヨ。」

 

「?」

 

「でも、それも悪くない。」

 

風が吹く。

 

超は踵を返した。

 

「じゃあ、私はハカセを探してくるヨ。」

 

「また麻帆良で。」

 

超の背中を見送りながら、小さく首を傾げる。

 

その時だった。

 

「こんな所に居たのか!さっさと観光へ行くぞ!!お前が居ないと始まらんだろうが!?」

 

眠たげなネギ達を引き連れてエヴァがやってきた。

 

「おい、観光のあとはナギの別荘へ行く予定だが小娘も連れて行くつもりか?」

 

古菲へ視線を向けながら、こちら側へ迎え入れるのかと。

 

「私は小娘じゃないあるヨ!それに、師父について行くんじゃないアル、伴に歩むと決めたアルよ」

 

 

「クククっ言うに事欠いて伴に歩む、か。ふん、好きにしろ───シロウ、お前あとで呼び出しな。」

 

何処か面白くなさげに此方を睨めつける。

 

ネギ達にとっては一度訪れた場所ではあるが、エヴァにとっては初めて訪れる場所だ。

 

抹茶ソフトクリームを食べたり、色々な味の八つ橋を前に悩んだり。私と一緒に土産の抹茶を吟味したり。

 

エヴァが瞳を輝せながらはしゃぐ様子に笑みが溢れる。

 

不測の事態であったがこのエヴァの笑顔見れたことは、せめてもの救いか。

 

ひと通り京都観光して満足したのかご機嫌である。

 

そしてネギの父親ナギ・スプリングフィールドの別荘前で、近衛詠春と合流する。

 

先日の襲撃の際は油断で遅れをとったというが、なるほど氣の質が恐ろしく研ぎ澄まされているのを感じる。

 

ナギの別荘は思っていたのと違い、静謐さを感じさせる空間だった。数々の本棚、簡易なキッチンやソファーなど。

エヴァが何処かナギの残り香を感じるかのか眺めている。

 

時間が有限なのもあるが、流石に早々手掛かりが見つかりはしなかったが。

 

「これが、父さんが世界を救ったときの写真───僕の記憶にある父さんと違ってみえます」

 

写真をジッと見つめるネギ。

 

教師や魔法使いでなく、親を見る子どもの顔があった。

 

近衛詠春から語られるのは過去にあった大戦(おおいくさ)で活躍してサウザンドマスターと呼ばれたネギの父親。

 

赤き翼で共に活躍し、無二の友であったが10年前に行方不明であるのは変わらず。

 

帰り際に手掛かりとして古びた紙の束を渡しているのが、偶然目に入ったが今は何も言うべき立場ではない。

 

「はーい、そっちの皆さん〜難しい話は終わったかな?そろそろ記念写真撮るよー下に集まって〜」

 

朝倉が修学旅行の撮影班で5班だけ残っているので写真を撮るとの事で古菲と私は外れようとするが

 

「折角一緒に居るんだから固いこと言わずにさ、木乃香の父ちゃんの所あたりで───」

 

「そんな遠くじゃなく、私の隣に入れ!広域指導員の肩書があるだろ、あと古菲も班員写真のリベンジするんだな」

 

相変わらず傍若無人に指示を飛ばすエヴァンジェリン。

 

朝倉も、まぁ3-Aだし良いかと写真を撮る。

 

女子中学生の中に混じって写る自分に違和感しか感じなく震える。

 

「はいチーズ!」

 

シャッター音とともに写る5班と私たち。

 

 

 

帰りの新幹線では眠りこけている3-Aの面々。

 

それを教師達と広域指導員として眺める。

 

なんとか無事に帰る事が出来た。

 

関係を改善した刹那や木乃香、決意を新たにした古菲。

 

またcalorが賑やかになりそうだ。

 

後日

 

その写真がcalorに飾られるのであった。

今後の料理店に来店して欲しい人。※項目に無ければその他で、感想で希望する人を。クラスメイト以外でも可。話の流れで直ぐには反映出来なかったりします。

  • 神楽坂明日菜
  • 龍宮真名
  • 長谷川千雨
  • 宮崎のどか
  • 古菲
  • 長瀬楓
  • その他
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