【Fate×ネギま】正義の味方の在り方   作:そもゆえに

6 / 6
剣士少女の戸惑い

麻帆良学園都市。

 

そこは巨大な学園であると同時に、一つの街だった。

 

商店。

飲食店。

衣料品店。

学生街らしい活気。

 

その雑踏の一角に、一人の青年がいた。

 

赤い外套は無い。

聖骸布を織り込んだ概念装具も。

今の彼は、黒いシャツに黒いパンツ。

簡素で、落ち着いた服装。

 

長身。

褐色の肌。

白髪。

そして鋼色の瞳。

どう見ても目立つ。

 

だが、少なくとも“通報案件”ではない。

あの赤い格好で街を歩けば、確実に浮く。

下手をすれば職務質問だ。

そういう趣味は無い。

 

故に、学園長室を出て最初に向かったのは衣料品店だった。

――もっとも。

 

この世界でも魔法使いであることが露見すると厄介らしい。

 

何故かオコジョにされる。

 

意味が分からない。

 

(……何故オコジョなんだ)

 

監獄送り。

ならまだ理解できる。

だが人間から獣。

 

発想が斜め上すぎる。

 

「……」

 

考えるのをやめた。

深く考えると負けな気がする。

 

その時だった。

 

「――あの」

 

声。

 

振り返る。

 

そこに立っていたのは。

 

昨夜の少女。

 

「……刹那、だったか」

 

 

【刹那視点】

 

怪我は、既に癒えていた。

 

あれほどの重傷だったにも拘らず。

 

魔法薬と治療術のおかげで傷跡一つない。

 

けれど。

 

胸の奥に妙な引っ掛かりがあった。

 

彼。

 

エミヤ。

 

正体不明。

 

危険人物。

 

強すぎる力。

 

学園長は慎重に扱うだろう。

 

……場合によっては、拘束も。

 

そう思うと。

 

何故か、落ち着かなかった。

 

(何故だ……?)

 

助けられた恩義。

それはある。

 

──だが私が最優先にするべきは、お嬢様の筈だ。

 

もし彼が危険人物なら――。

 

そこまで考えて。

刹那は苦笑した。

 

(……そんな事をする人ではない)

 

何故か。

そう断言できる自分がいた。

 

その時。

 

携帯が震えた。

学園長からだった。

 

内容は単純。

エミヤを学園警備として雇ったこと。

 

そして。

 

監視目的も含むこと。

 

……少しだけ。

嫌悪感を覚えた。

 

若さ故か。

未熟故か。

──それとも。

 

別の理由か。

 

そして。

 

「学園案内を頼む」

 

そう言われた。

 

――結果。

 

今に至る。

 

 

 

「傷は大丈夫か?」

 

先に口を開いたのは彼だった。

 

「学園長から、大事ないとは聞いたが」

 

心配してくれていた。

 

その事実に。

少しだけ胸が温かくなる。

 

「はい。おかげさまで」

 

そして。

 

深く頭を下げる。

「助けていただき、ありがとうございました」

 

「気にしなくていい」

 

あっさりと返る。

 

「好きでやったことだ」

 

――好きで。

そんな風に命を懸けられるものなのか。

 

ふと、思う。

 

「……ふむ」

彼が言葉を止めた。

 

「ああ、済まない」

 

少し困ったように目を細める。

 

「ちゃんと君の名前を聞いていなかったな」

 

「桜咲刹那です」

 

即答。

すると。

彼は小さく反芻した。

 

「……刹那」

 

どこか懐かしむような声音。

 

そして。

 

「君らしい、良い名前だ」

 

「――っ」

 

頬が熱くなる。

な、何を。

急に。

思わず視線を逸らした。

 

───だが。

彼は全く意識していない。

天然だ、この人。

 

「エミヤだ」

 

手を差し出す。

 

「警備の後輩になるらしい。よろしく頼む」

 

握手。

温かかった。

意外なほど。

その後。

 

改めて刹那は学園案内を申し出る。

 

店。

 

施設。

 

生活圏。

 

だが。

 

話が妙な方向へ向かう。

 

「食材?」

 

「店を始めるのでね」

 

 

「……はい?」

 

思考が止まった。

 

 

「料理店だ」

 

そこで初めて。

 

彼が少しだけ笑った。

 

ニヒルな皮肉屋の笑みではない。

 

少年のような。

 

悪戯が成功した時の顔。

 

刹那は、一瞬だけ目を奪われる。

 

その笑顔に。

 

今まで感じた事のない、言明しがたい想いを感じた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

正義の味方と悪い魔法使い(作者:ヒフミくろねこ)(原作:魔法先生ネギま!)

本作は「ネギま!」と「Fate」シリーズによるクロスオーバー小説です。▼もともとは自ブログで公開していた作品ですが、現在ブログにアクセスできなくなってしまったため、こちらで改めて掲載することにしました。▼過去作のため、文章など至らない点もあるかと思いますが、初めての方も、以前お読みいただいた方も、お付き合いいただければ幸いです。


総合評価:4951/評価:8.68/連載:39話/更新日時:2026年04月18日(土) 23:40 小説情報

赤目の少女の正義の味方(作者:聖晶石)(原作:ブラックブレッド)

とりあえずエミヤが赤目の少女を助ける話。▼エミヤが活躍する話を書きたかった。▼なんの小説にエミヤをぶっこんだら活躍できるかを考えたらブラックブレッドだった。▼※作者はfateをアニメでしか知りません。なので設定とかガバガバになってるかも知れませんがそこはご容赦を。▼タグは随時追加


総合評価:13/評価:-.--/連載:2話/更新日時:2026年04月01日(水) 01:00 小説情報

折れた剣と時に置き去りにされた化生(作者:ヒフミくろねこ)(原作:魔法先生ネギま!)

ネギま!×Fateのクロスオーバーものです。▼以前、別のブログにて掲載していた小説の再掲になります。 ブログへのアクセスができなくなってしまったため、加筆・修正を行った上でこちらに投稿していくことにしました。 初読の方も、以前お読みいただいた方も、お付き合いいただければ幸いです。


総合評価:763/評価:8.27/完結:7話/更新日時:2026年04月18日(土) 22:48 小説情報

Fate/stay night 『BA√』(作者:悠問追)(原作:ブルーアーカイブ)

 聖杯戦争を終えて、もう少しで一年が経過しようと言う頃。▼ 時計塔進出を見据えて、周りの鼻を明かすような功績を求めた『あかいあくま』によって。気づけば俺────衛宮士郎は、見知らぬ世界に迷い込んでいた。▼ これは、教師ではなく、先生として。未熟な精神を抱えて、誰かのためにただ進む。聖杯戦争とはまた別の、新たな戦いの────そして。生徒たちの、青春の物語だ。▼…


総合評価:26/評価:-.--/連載:9話/更新日時:2026年05月23日(土) 11:59 小説情報

ダンジョンに正義の味方がいるのは間違っているだろうか(作者:ラブコメは正義マン)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

聖杯戦争終結から一年。衛宮士郎は遠坂凛の下で、魔術の修行をしていた。▼だが、ある実験の最中に意識を失い――目を覚ますと、そこは神々と冒険者が集う迷宮都市オラリオだった。▼ダンまちとfateのクロスオーバー小説です▼Fateメンバーは基本的に士郎しか出てきません▼ダンまちの最新刊までのネタバレを含む可能性が有ります▼UBW後の士郎を想定▼描写されていない間では…


総合評価:3830/評価:8.57/連載:25話/更新日時:2026年05月19日(火) 20:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>