俺の名は鷹三(たかみ)、マコトミライ市に住むごく普通の警察官……だったが、免罪で逮捕されてしまった。
 俺の無実を晴らすため、名探偵と言われる二人の少女が現れたのだが……。

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第1話

 ある朝起きたら、逮捕されてた。

 罪状、無実。刑罰──終身刑。

 

 誰が? 俺が? 本当に……?

 ウソみたいな現実を前に、ただただ途方に暮れるしかない。

 

 

「誰かーッ! 俺をここから出してくれぇーッ!!」

 

 

 寒気を覚えるコンクリートの壁にかこまれた小室──牢屋とも言う──の中で、俺はせめてもの抵抗に、声が枯れるまで叫び続けた。

 灰色の壁、灰色の天井、灰色の床……俺の心も灰色に染まる。

 

 

「俺はなにもやってない! 無実なんだってー!!」

 

 

 氷のように冷たい、無機質な空間。

 俺を閉じ込める鋼鉄の(おり)は、いかに力を込めようとビクともしない。

 

 

「誰か……誰か俺の話しを聞いてくれ……!!」

 

 

 反響した言葉のエコーは、そのまま暗い廊下の先へと飲み込まれ……静寂だけが返答として残された。

 

 

「……クソっ、なんで警官の俺が牢屋に入れられなきゃいけないんだ!?」

 

 

 コンクリートの壁を怒りのままに叩きつけ──やがて、なにをやっても無駄だと悟った。

 力なく、檻の中に備え付けられているプラスチック製の、簡素なイスに腰をおろす。

 

 ……どれほどそうしていただろう?

 不意に、暗い廊下の先からコツ……コツ……と、小さな靴音がこちらへ近づいてくるのに気づいた。

 

 足音は二つ、俺のいる牢屋の前で止まる。

 顔を上げて足音の主を見やると、奇妙な訪問者に俺は言葉もなく、頭にクエスチョンマークを浮かべていた。

 

 

「えっと……」

「警察官の『鷹三(たかみ)』さん、ですか?」

 

 

 少女が二人……中学生くらいの年齢だろうか。

 一人は明るいオレンジ色の髪が特徴的で、もう一人はあずき色の髪をリボンでとめた女の子たち……。

 

 俺はあずき色の髪の少女の、先の問いに答える。

 

 

「あ、ああ。俺が鷹三だけど……君たちは?」

「わたしたち、キュアット探偵事務所のものです」

「きゅあっと……探偵……?」

 

 

 オレンジの少女は自身を「明智あんな」と名乗り、あずき色の子は「小林みくる」と言った。

 

 

「探偵って、その……君たちみたいな子どもが?」

「信じられないかもしれませんけど、私たちもう何件も事件を解決してる、りっぱな探偵なんですよ!」

 

 

 二人はいかにも堂々と宣言する。

 そう言われると、確かにみくるという子の格好はケープに帽子と、いかにも探偵といった風なルックスだ。

 ご丁寧に両手には、事件を調べる時に使うであろう虫メガネと手帳をたずさえている。

 

 俺はとりあえず、その点は了解した。

 

 

「わかった。君たちは探偵で、なんで俺のところに来たんだ? まさか、俺の事件を調べに、とか?」

「そのまさかです。私たち、依頼で鷹三さんの無実を晴らすために来ました!」

「……え、それ、本当に!? 俺のことを助けてくれるのか!?」

「もちろんですよ。困っている人を助ける、それがキュアット探偵事務所のモットーですから!!」

 

 

 天使だ。

 天の遣わした救い主が、俺のもとに現れてくれた……!

 俺はさっそく、これまでの経緯(いきさつ)を二人の探偵に話して聞かせる。

 

 

「すでに知っての通り、俺は鷹三。マコトミライ市の警察官だ。といっても、着任してわずか数日で捕まって、今はこんな所にいるわけだが」

「いったいなんの容疑で捕まえられたんですか?」

「……国家機密の強奪……」

 

 

 あまりの罪の大きさに、あんなちゃんもみくるちゃんも絶句していた。

 

 

「もちろん俺はそんなことはしちゃいない。誰かが俺を罠にはめたんだ!」

「相手に思い当たる節はありますか?」

「いや……そもそも俺は警官になって、まだなんの実績も上げてないんだ。そんな俺を追い落としたい奴なんて、いる訳がない」

「そもそも、なんで盗みの濡れ衣を? 盗まれた機密ってなんなんですか?」

 

 

 あんなちゃんの問いに、俺は首を横に振った。

 

 

「俺にもわからない。ただ……」

「ただ?」

「俺が捕まった日の朝、自宅の部屋に、不審なものが落ちていた」

「なんだったんですか、それは?」

()()()()()()()だったと思う。二つの内一つは、白い変わった形をした……用途不明の塊。もう一つは球体、子どものおもちゃみたいな()()()()だった」

「う~ん……それだけじゃ見当もつかないわね」

 

 

 みくるちゃんがあごに手を当て、そう漏らす。

 

 そういえば、白い機械のほうにはくぼみがあって、カプセルをはめ込めそうな感じだったが……。

 

 

「あれが国家機密の品だとすれば、それを俺の部屋に置いた人間が犯人だと思うんだが」

「指紋とかはとれなかったんですか?」

「いや。不用意に触ってしまって、その時の俺の指紋以外は……」

「それで鷹三さんが盗んだと疑われたんですね」

 

 

 あんなちゃんの言葉を首肯する俺。

 

 

「部屋や家の戸締りは」

「夜寝る前に、どこもしっかり施錠したよ。朝起きた時も、俺が鍵を開ける前にカプセルを見つけたんだ」

「密室殺人ならぬ、密室投函……ね。どこかドアや窓とは別の場所……壁や床、天井とかに穴が開けられた形跡なんかは」

「それも、どこにも無かった。完全な密室の俺の家に、真犯人は一体どうやって入り込んだんだ……!?」

 

 

 あっ、と悩んでいたみくるちゃんが顔を上げる。

 

 

「鷹三さん、つかぬことをお聞きしますけど……眠る前とあとで、別々の場所にいた経験はありませんか?」

「いや、そんな体験はしたことが無いが」

「……もしかして、夢遊病ってこと?」

 

 

 みくるちゃんの推理に、あんなちゃんが問いかける。

 彼女の疑問に答えるように、みくるちゃんが推測の補強をする。

 

 

「そう、鷹三さんが自分では無意識のうちに、体が勝手に動いてカプセルを自分の部屋に置いた……とか」

「うーん……そうだとしても、カプセルは元々置いてあった場所から持ってきたってことだよね? 鷹三さんはカプセルがどこにあったかは……」

「知るわけがない! 国の機密物なんて、俺のような一介の警官には教えられてないよ!」

 

 

 事態は暗礁(あんしょう)に乗り上げてしまった。

 いくら推理を重ねても、少女らは事件の真相にたどり着けそうにない。

 

 二人とも、これは探偵事務所はじまって以来の難事件だ、と頭を抱えている。

 俺も俺で、このまま自身の生末を憂いて頭を抱えた。

 本当に一生ここから外の世界に出られないんだろうか……?

 

 

「考えれば考えるほど、不思議な事件だよね……」

 

 

 ぽつりとこぼされたあんなちゃんの言葉で、俺の頭には唐突に、一つの疑問が浮かんだ。

 不思議といえば、そもそもが……。

 

 

「……そういえば、二人は()()()()でここに来たんだ?」

「「えっ?」」

「おかしいとは思ったんだ。仮にも国の機密に手を出したと思われている俺を、わざわざ助けるように依頼した人間がいるとは考えにくい」

 

 

 あんなちゃんとみくるちゃんは、おたがいの顔を見つめあい……答えに(きゅう)していた。

 

 

「そう言われたら、依頼者って誰だったっけ……?」

「思いだせない……でも、誰かに依頼されたから私たちはここにいるんだよね……?」

「なにかおかしいぞ……なにか……つじつまがあわない事だらけだ……」

 

 

 背中に冷水を流されたような、冷たい感覚が走る。

 こんなに、なにもかもの筋が通らないまま話しが進んでいくなんて……まるで、これじゃ……。

 

 その時──空から天啓という答えの羽根が、脳裏に舞い降りた。

 唐突に俺たち三人は、事の真相に思い(いた)る。

 

 

「わかった! これは──」

「──『夢の中』! 私たちは……みんなで()()()()をみているんだ!!」

 

 

 二人の少女がたどり着いた答えに、俺は捕捉を入れる。

 

 

「ただ夢をみているんじゃない、()()()()()()()んだ……そして、俺たちをこの()()の世界に閉じこめている奴が、俺を(おとしい)れた真犯人……!!」

 

 

 コンクリートに囲まれた牢屋内が、ぐにゃりと(ゆが)んだ。蝋細工が炎の熱で溶かされていくように。

 俺は願っていた牢から外に放り出される。

 俺と二人の少女はどことも知れない、廃墟と化した工場の跡地のような場所に(たたず)んでいた。

 

 

「えぇっ、なにこれ!?」

「落ち着いて、あんな! これは夢だから、なにが起きても不思議じゃないわ!」

「けど気をつけろ、なんだかすごくイヤな雰囲気だ……!」

 

 

 おどろおどろしい雰囲気の(さび)れた工場は、まるでこうしてつくられた幽霊屋敷のようだった。

 

 

「とにかくここから外に出よう」

 

 

 と、二人を先導しようとした矢先。

 

 

『無駄だ……お前たちはどこにも逃げられない……』

 

 

 地の底から死者が這い出てくるような恐怖を感じさせる声が、辺りに響いた。

 眼前の地面が脈打つ。

 

 いや、脈打っているのは、俺の体から伸びた(シャドウ)だ。

 俺の影は俺から剥がれるように千切れ、それは一体の異形の怪物を形どる。

 

 

『ハ・ハ・ハ……恐れているな』

「な、なんだ……お前……」

 

 

 異形の影が、自身の体にある無数の目で、俺たちを見つめている。

 そうして影は名乗った。

 

 

『俺は、お前の「悪夢(ナイトメア)」だ』

「ナイトメア……だって……?」

「ハンニンダー、じゃない……?」

「ファントムの怪盗とも違う……?」

 

 

 俺のうしろであんなちゃんとみくるちゃんも何事かをつぶやいたが、それを気にする余裕はなかった。

 たまらず俺はナイトメアに食ってかかる。

 

 

「お前が俺に濡れ衣を着せた真犯人か! なんだってこんなことしてくれたんだよ!?」

『別にお前をどうこうしたい訳じゃない。ただ、お前の夢を媒介に、俺は国家機密を奪い盗っただけだ。……まあ、途中でお前が夢から覚めたせいで、ドライバーとカプセムはお前の部屋に落としてしまったが、な』

 

 

 つまり、俺が無実の罪で捕まってしまったのは現実で、またどこからか夢の中に入り込んでいる……ということか。

 

 

「『どらいばー』と『かぷせむ』……? それがあの謎の機械か。なんなんだよ、あれは!?」

『夢を支配できる装置、のようなものだ。俺たちナイトメアにとって、邪魔な代物さ。これなら、ファントムの奴らに盗ませれば楽だったな』

 

 

 さっきみくるちゃんが言った「ふぁんとむ」という単語を、ナイトメアも発する。

 それに反応した少女らも口を開いた。

 

 

「あなたも、怪盗団ファントムの一員なの!?」

『いいや。奴らも俺たちナイトメアも、この国が対処しようとしている「厄介者」なのは同じだが……別に協力関係ではない』

「つまり、この世界には怪盗団ファントムとナイトメアっていう、二つの悪者がいる……ってこと?」

 

 

 あんなちゃんが眉間にしわを寄せつつ、隣のみくるちゃんに尋ねるように言った。

 

 

「……なんか複雑な展開になってきて、理解がおよばなくなりつつあるけど」

「私たちがやることは一つ、だよね」

 

 

 二人はポケットから、懐中時計にも似たカラフルな時計をとり出した。

 そして力強く叫ぶ。

 

 

「「私たちは、鷹三さんを助ける! プリキュア・ウェイクアップ・タイム!!」」

 

 

 一瞬の閃光が走り、思わず目を閉じる。

 次に目を開ければ……あんなちゃんとみくるちゃんは、驚愕の変化を()げていたところだった。

 

 

「どんな謎でもはなまる解決! 名探偵、キュアアンサー!」

「かさねた推理で笑顔にジャンプ! 名探偵、キュアミスティック!」

 

 

 橙色の髪が淡い紫色に変わったあんなちゃんは自らをキュアアンサーと名乗り、同じくピンク色の頭髪に変化したみくるちゃんがキュアミスティックを(しょう)した。

 ホラー映画じみた風景にまるで似つかわしくない、ファンシーな展開に俺は呆気にとられる。

 

 

「さすが夢……なんでもありだな」

「いや、これは夢だけど、私たちは現実でも名探偵プリキュアなんです」

 

 

 言い訳するかのように、あんなちゃんことキュアアンサーが言った。

 

 

「とにかく、ナイトメアをやっつけよう、アンサー!」

「うん、いこうミスティック!」

 

 

 二人の少女が姿を変えた名探偵プリキュア……という謎の存在が、悪夢の怪物に対して果敢(かかん)に戦いを挑む。

 ……が、

 

 

「えいっ!」

「やぁっ!」

『無駄だ、この悪夢の世界でお前たちプリキュアに、勝ち目はない』

 

 

 アンサーとミスティックが繰り出すパンチや蹴りは、ナイトメアの体に当たらない。

 蜃気楼を相手にしているかのように、二人の攻撃は怪人の体をすり抜けてしまう。

 

 

「だったらこれ! アンサーはなまるソード!!」

『無駄だと言っているだろう……!』

 

 

 紫に光る剣で斬りかかったアンサーだが、怪人は難なく受け止め、そのまま彼女をミスティック目がけて放り投げた。

 慌てて受け止めるミスティックはしかし、ナイトメアが放つ爆撃によってアンサー共々飲まれてしまう。

 

 

「アンサー……ミスティック……! くそっ、俺の夢なのに俺にはなにもできないのか……!?」

「できるわ」

 

 

 出し抜けに、俺の隣に少女が一人。

 日本人離れした容姿と、神秘的な黒い衣装はプリキュアとおなじものだろうか。

 

 

「君は……」

「……『キュアアルカナシャドウ』」

「あの二人の仲間なのか?」

「私もプリキュアだけど、あの子たちの仲間じゃない」

 

 

 風も無いのに、アルカナシャドウの金髪が怪しげにそよぐ。

 薄いベールの下から少女の紫色の瞳が俺に(そそ)がれる。

 

 

「ここはあなたの夢……二人を助けられるのは、あなただけ。でも……あの子たちに、あなたは助けられない」

「どういう意味だ」

「わかっているはず。あの二人は探偵だけど、まだまだ未熟。あなたがかけられた冤罪を晴らすことは、今のあの子たちには無理」

「それは……」

 

 

 アルカナシャドウは断言した。

 確かに、あんなちゃんとみくるちゃんと出会っても、今俺が置かれている状況で好転したことはなにもない。

 

 ナイトメアとかいう怪物が真犯人だと訴えても、誰が聞き入れてくれるだろう。

 二人が証言してくれても、物的な証拠が無いことには、おそらく……。

 

 

「でも、あなたがファントムに入れば」

「ファントム……怪盗団ってやつにか?」

「ファントムの首領『ウソノワール』は、あらゆる現実をウソにできる力を持っている。あなたが免罪で捕まった事実も、すべてをウソにできる」

「それは本当か!?」

 

 

 だがそれは……俺が警官をやめて悪の道に堕ちるということ……。

 アルカナシャドウ、天使のような顔で悪魔のような取引を持ちかけるなんて……ッ。

 

 

「「あぁーっ!?」」

 

 

 アンサーとミスティックの声で我に返った。

 二人はずっとナイトメアに、一方的にいたぶられていたようだ。

 可愛らしい衣装はあちこちが汚れ、ほつれ、綺麗な肌にも傷が見えている。

 

 俺は、心を決めた。

 

 

「アルカナシャドウ……」

「どうする?」

「とりあえず今は……あの二人を助ける……!!」

 

 

 傷ついたアンサーとミスティックを庇うように、俺はナイトメアの前に立ちはだかった。

 

 

「鷹三さん……危ないよ!」

「ここはまかせて逃げてください!」

「いや……これは俺の夢だ。なら……俺がどうとでもできるはずだ」

 

 

 強く念じる。目の前の怪物を倒せる力を。

 

 胸に熱さを感じた。

 

 俺の胸部に国家機密である『ドライバー』が、手の中には『カプセム』と呼ばれる装置が握られている。

 

 

「……変身」

 

 

 カプセムをドライバーのくぼみに装填し、意志を体現するための言葉を紡ぐ。

 ドライバーから放射された黒い霧のようなモヤが体をつつみ、俺の姿をまったく別の物へと変異させた。

 

 

HAHAHA(ハッハッハッ)……RIDER(ライダー)! NOX(ノクス) NOX(ノクス) NOX(ノクス)……!!』

 

 

 ドライバーから不気味な音声が漏れ出し、霧が晴れる。

 俺の全身は、足先から頭部まで、すべてが青と白で分けられた戦闘服──ミッションスーツにくるまれていた。

 

 

「今の俺は、悪夢を掃討(はら)う仮面ライダー……ノクスだ!!」

『悪夢の力を使ったか……』

 

 

 ナイトメアが、プリキュアを襲ったのとおなじ爆炎の攻撃を放ってくる。

 俺はすかさず右腕をライフルの形状に変えた。

 

 

GUN(ガン)! WAHAHA(ワッハッハッ)……』

 

 

 後にいるアンサーとミスティックに当たらないよう、怪人の攻撃をすべて空中で撃ち落とす。

 俺の曲芸に二人の少女も、怪人ですら目を丸くして驚いていた。

 

 

「伊達に警察やってないんだよ!」

WOLF(ウルフ)! BWAHAHAHA(ウワッハッハッハッ)……』

 

 

 ナイトメアに(すき)が生まれた瞬間を逃すまいと、右腕を銃からブレード状に変質させる。

 

 地を駆ける。

 

 今のノクス──ウルフシャドウの走力は、百メートルを約四秒だ。

 目前で相対しているナイトメアまで、一息もない。

 

 

『!!』

「消え失せろ──俺の()から……!」

 

 

 一閃。

 黄金の刀身ですれ違いざまにナイトメアを切り裂く。

 

 必殺の技──「ウルフリデンプション」によって悪夢の怪人の体は、朽ちた植物が風に吹かれて消えていくように散り散りとなっていった。

 

 

「すごい……!」

「やりましたね、鷹三さん! ……鷹三さん?」

 

 

 駆け寄ってくるアンサーとミスティックに背を向け、俺はアルカナシャドウのもとへ。

 

 

「悪いな、二人とも。協力してくれたことには感謝する。……けど、俺はファントムのところへいく」

「えっ……!?」

「怪盗団に入るんですか!? なんで……!?」

「かけられた疑いを晴らすには、今はこうするしか無さそうなんでな」

 

 

 きっと二人とも、悲しそうな顔をしているんだろう……。

 それを確認するのが怖くて俺は、ふり返ることはせず、アルカナシャドウを連れて影に潜るようにこの場から消えた。

 

 おそらく、これで全員がこの悪夢から目を覚ますことだろう……。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 怪盗団ファントム、そのアジトは劇場のような奇妙な空間だった。

 俺は今、ステージの中央に鎮座する首領──ウソノワールの前でかしずいている。

 

 

『よく新たな部下を引き入れた、アルカナシャドウ』

「…………」

 

 

 不思議とボスに褒められたというのに、少女から嬉しそうな雰囲気は感じられない。

 

 

『ノクス……お前のドライバーとカプセムには、「マコトジュエル」が宿っている』

「まこと……じゅえる?」

「大切な想いが込められたモノに宿る結晶、のようなもの」

 

 

 俺の疑問にアルカナシャドウが答えた。

 

 

『すぐにでもマコトジュエルを手にしたいところだが、そうすればお前は仮面ライダーとしての力を失う』

「それは困るな」

『ゆえに、今しばらくお前に()()は預けておく。ただし……』

 

 

 ウソノワールが、俺の胸にあるドライバーに手をかざす。

 怪しげな光と共に、ドライバーの形状が変わった。

 

 

「……裏切らないように安全対策、といったところか」

『今後はアルカナシャドウと共に、マコトジュエルを集めてくるのだ……ライダーノクス、いや……「夜の闇(ノクスナイト)」よ──!!』

「ライライサー……!」

 

 

 月光のような白銀のミッションスーツに包まれながら、俺は新たな組織に忠誠を立てるのだった。




 当初オリ主が変身するのはカタストロムとオルデルムの連載物でいこうと考えてましたが、たんプリとゼッツの組み合わせの難易度がかなり高くて、すぐに断念…。
 次にドォーンに変身する短編で考えはじめ(捕まってるのはこの名残り)、装動のライダーノクスが手に入ったことで結果完成形となりました。

 政府がナイトメアを認知してるなら免罪晴れるんじゃね? プリキュアの二人が活躍無しでライダーvs怪人ってただのゼッツじゃん?
など書き終わって投稿前の最終チェックの段階で気づいてしまいました…矛盾を解消する理由を考えだすとまだ時間がかかってしまうので、もうここで晒してしまいます。
 一度きりの短編だし、ま、多少はね?

 皆さんからの反応や、連載用のアイディアが浮かんだらその点も解消しつつ書けたらな、と…。

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