へっぽこ占い師の日常_天界バイト編   作:TKF

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天界バイトの夢:汚れ仕事はつらいよ(後日談④:魂を示せ)

 夜なので本殿の門は閉まっていた。

 その前に立って、TKFはあらためて先日のお礼を述べる。

 そうして後ろを振り返るが、まだ雨は強かった。

「ゆっくりしていけ、話がしたい」、そう言われている気がして、TKFはしばらく門のところで雨宿りしていくことにした。

 

 ぼうっと空や風景をみていた。

 静かだな・・・だから夜の神社はいい。

 

 TKFはふと、映画「羅生門」を思い出した。

 平安時代の雨の中、羅生門の下で3人の者が雨宿りをしていた。そのつれづれに、ある一人が、自分がさきほどまで証人として呼ばれていた裁判について語る。その裁判に呼ばれていた証人たちの証言が、あまりにも自分を美化した嘘にまみれていたものであったことに残りの2人があきれる、というストーリーである。

 その結末は、、、、何だっけ・・・現実があって、それにそれぞれの人の自分に都合よく美化をほどこしたストーリーがあって、、、

 美化ストーリーか・・・そういえば、就職の面接って、まさにそうだよな・・・

 TKFはこの現実世界での就職活動はうまくいかなかったほうだった・・・まあ超氷河期ということもあったが・・・だがそもそも面接の際に、いかにも嘘くさい志望動機やら学生時代の活躍やらを平然と語る、それが生理的に嫌だった。あんな虫唾が走るような美化ストーリーを平気で語れる人が合格するとして、そんな人ばかり集めてどうするのだろうか?、ずっとそういう美化ストーリーを演じ続けるつもりだろうか・・・それでは疲れる職場ができてしまわないだろうか・・・

 

 そんなことをいろいろ考えていたら、、、あっ、いつのまにか何かの念が来ていた・・・

「お前はなんで、天界の職を望むのだ?、天界で仕事しようとする目的はなんだ?」

どうも、そのようなことを聞かれているらしい。

「えっ?、えっ?、目的!?、、、えと、まずは・・・」

相変わらず突然の質問に弱い。TKFは混乱しつつ、頭の中で必死で言葉を探していたら・・・

・・・・あっ、つながった。

 

 この状態は・・・

 たとえるなら、目の前にトランプがあるとして、上から3枚目にジョーカーがあることが難なくわかる、いや知っているような状態である。

「なぜそんなことを知っているのか」というのは自分でもわからない。いや、そんなことなどまったく疑問にも感じず、ただ当たり前のように知っているというだけの状態になる。

 ちなみにだが、その状態がもっと進むと「3枚目と5枚目と入れ替えちゃえ」みたいなことがやれるようになる(その後で確認すると本当に5枚目にジョーカーがある)。ありえない能力のように見えるだろうが、本当に勝負事が強い人というのは、おそらく無意識的にこういうことをやっているのだろう。

 そんな感じで、いろいろな知らないはずのことを知っているし、あるいは少しぐらいなら変えてしまえる状態である。まあいわゆるトランス状態とでもいうか・・・その状態にすぐに入れるのが、本物の霊能力者ということだろう。

 ただTKFは自由自在にそういう状態になる能力はなく、ときたま偶然、それも2―3時間ほどかけて入れるだけである。それがなぜ急に・・・というか、おそらくTKFがまどろっこしいから、強引に引きずり込まれたのであろう。

 

 念が伝わってくる。今度はもっと細かく何を言われているかがわかる。

「お前は調査分析や研究能力はすぐれているし、それをもって社会にも貢献している。天界でもそういう職につけば、いずれは位階を得られるだろうし、それがあれば、この世界でも心地よくすごすことができる。」

「なぜそれを拒絶した?、地位や名誉が欲しいのではないのか?、自分に向いている好きな仕事をできて、それで社会からちやほやされたり、もてたりできる、それの何が不満だったのだ?、どうしてそれよりも運送の仕事を選んだのだ?」

 

 ああ、そのことか・・・TKFは執拗にこの場に呼ばれたわけを理解した。

 これ知ってる。「汝の魂を示せ!!」というやつだ!・・・

 神様に援助をお願いしたときに、その理由や目的を真摯に説明することが求められる、そういうやつである。(それがふざけた理由だったりすると、ふざけるな!、と怒られて、神様の不興を買う。もちろん願いは却下される)

 

「私が本当に欲しいのはそれではないです。」

「簡単に言うと、いまの私と貴方との関係のように、多くの人が神の存在を心の中に感じられるような社会にしたい、それが目的です。」

「それは、決して騒がしく信仰を唱えたり、寄進や礼拝を強要するような宗教のような形ではない。多くの日本人がそうであるように、年始やときどきに神社にお参りして、自然に神社に畏敬の念をもつ、そういう形がいい」

「なんとなく、神が見ている、死後に閻魔大王様が生前の行いを問う、みたいに思っていて、普段の生活でもあまり悪いことはやめておこう、と意識する、そういうことを心がける世界だ」

「人は修羅道で苦しむために生きているのではない、人間界で自分のやるべきことをやり、生きていることを楽しむために生まれている、そう信じている。それが一度修羅道に落ちてしまうと、もう見えなくなる、それを防ぐために、神の存在を自然体で肌で感じる、そういう日常が必要なのだ。」

「そういう社会をめざしたい。だから小説も書いているし、もっといろいろ世界の仕組みも知りたい。」

「そのために天界で働きたい。だが現実世界のことを調べて天界にレポートを出すような仕事では、それは得られない。」

「そのためには現実世界での活動資金とか社会的名声とかが必要になる。だがそれ自身が目的ではない」

「そういうのを、今後死ぬまでのライフワークとして取り組むことにしたのです!!!、可能であればどうかお力添えをお願いしたい!!!」

 

 その瞬間、東の空が光った。雷だろう。

 今のは・・・?、、、どっちだ???

「よくわかった」という意味なのか、「バカめ!、身の程をわきまえろ!!」という意味なのか・・・

 しばらくして、ゴロゴロという音が薄く聞こえてきた。30秒ほとたっていた。

(あとから確認すると、ここから東に15kmほどのところで雷が発生していたようである。

 夕立の規模からいえばもっとたくさん発雷しててもよさそうであるが、TKFが駅から歩いてきてからの20分で空が光ったり雷鳴が聞こえたりしたのはこの1回だけであった)

 

 

【挿絵表示】

 

 

 気づくと雨がすっかり止まっていた。

 状態からも抜けていた、、、今のはどちらの意味ですか?、と聞いたが、何も帰ってこない。切られた電話に話している感じだった。

どっと疲れがきた・・・あの状態は短時間でもかなりの精神エネルギーを消耗してしまうのである・・

 

 帰るとするか・・・・TKFは一礼してその場を後にした。

 

* **  * **  * *** * **

 

 その夜の夢では、とくに何もなかった。覚えてないだけかもしれないが・・・とにかく何もわからなかった。

 結局、どっちだったのだろうか・・・・

 まあ、ダメだったにしても援助をもらえないだけだし、また後で何か言ってくるかもしれないから、今は自分がやりたい道をすすんでいくしかなかろう。

 

 




 後日談という割には、けっこう重くて重要な話になってしまった。
 これだったら独立した一つの話とすべきであったが、最初に後日談を書いたときは、単に「というわけで就職活動してま~す、見つかったら報告しま~す」ぐらいのノリで追伸を書いただけであり、こんな展開になるとは思っていなかった・・・
 さらに今後があるようだったら、章の構成の見直しをすることを考えたい。

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