(前回からの続き)
上司とポルポの面談が終わった。特にいざこざもおこらなかった。
TKFはほっとしながら、書類仕事に戻った。
「やめてっ!、誰かっ・・・助けて!!!」
女性の悲鳴が聞こえた。
なんだ?、と思いながら、TKFは立ち上がって、声が来ている方に走った。
ここか!、と給湯室らしき場所を覗き込むと、知らない男が女性を襲っていた。女性が抵抗していた。傍らにポルポが薄笑いを浮かべながら、足を投げ出して座っていた。
男はポルポの子分か・・・女性は、、、ここの職員だ。話したことはなかったが見たことがある。この女性もバイトだったはず・・・
「TKFさんなら、きっと駆けつけると思っていた!」
「TKFさん、がんばれー!」
後ろから女性職員の声がした。
振り向くと、女性社員たちが数人集まってこちらを見ていた。対して男性社員たちは仕事に夢中な感じだった・・・いや、あえて聞こえないふりをしているのだろう。他の警備員も誰も来ない。
ああっ・・・しまった!!・・・これって、おだてられて一番危険な、割の合わない仕事をおしつけられるやつだ・・・
TKFは襲われている女性を見た・・明らかに懇願する目で見上げていた。うわっ、もう逃げられん・・・仕方ない、俺は今日ここで死ぬ運命かもしれん・・・・
「おい!、やめんか!!」、TKFが必至で声を振り絞った。膝が震えそうになるのをなんとか止めていた。
「お前がどれだけ偉いかしらんが、この職場の秩序は、警備員である俺に従ってもらう!!」
なんとかそう言った。
マンガなどではこういう場合は、悪人が「うるせえ、お前の出る幕でねえ、ケガしたくなければひっこんでろ!」みたいなことを言うのがお約束だが・・・ポルポはこちらをちらっと見ただけで、すぐに目線を戻した。反応はそれだけだった。
いかん・・・見抜かれている。警備員でありながらTKFが何の腕っぷしもないことを・・・
その瞬間!・・
TKFの体が跳ねあがっていた。ポルポの投げ出していた足に思いっきり着地する。
TKFは・・・殴り合いのケンカをするのは中学生以来だったが・・・自分の頭が戦闘時にはこれだけ速く回転することにびっくりしていた。
これ以上、何か言ったってポルポは無視するだけだろう、、、だったら、油断している今にいきなり強襲したほうがいい、、、これだけの巨漢であれば膝に負担がかかっているだろう、まずはそこを破壊して、ポルポが動けないようにする。つづいて子分に殴りかかる。その間に女性が逃げる。その後ならTKFが逃げても格好はつく・・・一瞬でそれだけの計算を行っていた。
TKFがポルポの顔を確認する。苦悶の表情はまったくなく、ふん、という感じだった。
げっ・・・ぜんぜん効いていない。
子分のほうが動こうとしたが、ポルポはそれを制して、続けろ、みたいな仕草をして、立ち上がった。
TKFは暗器を一休に預けたことを後悔した。せめてあれがあれば・・・と思ったが、ここでTKFの頭が再び高速計算を始める。
いや、だめだな・・・この男は巨漢でありながら格闘の心得もあるようだ・・ああいう暗器は、心のスキを突く場合のみ有効で、こんな正面から撃ったって防がれるだけだろう・・・ここはぶん殴られながら後退して、一休の近くまでうまく誘導するしかない。そうしたら一休ならうまくやってくれるだろう。
問題は一休のところまで10mぐらいあることか・・・なぐられる瞬間に後ろに飛んで、ダメージを逃がしつつ派手にふっとぼう、それを数回繰り返して耐えればいいだけだ・・・
ポルポの腕が動いた
、よしっ!、今だ・・
(続く)