ラブライブ!決勝大会プレーオフ
泣いても笑っても、これで全てが決まる
蓮ノ空か、瑞河か。もう、次はない
梢「ついに、始まるのね……!」
静寂に響くその言葉で、空気が一気に張り詰める
泉「蓮ノ空、改めてお礼を言わせてくれ。本当にありがとう。この舞台を、セラスの夢を叶える場を作ってくれて」
セラス「ありがとうございます。もう、叶わないと思っていた、そんな夢を叶えてくれて」
慈「言ったでしょ。私たちは自分のためにやったの。このまま終わるなんてイヤじゃん!」
泉「……そうだね。だからこそ、今日、この舞台で。最高のライブを贈ろう。そして、勝ってみせよう!」
セラス「私たちは、ラブライブ!に優勝して、瑞河の名前を消えないものにしたい!絶対に、負けないからね。花ちゃん」
花帆「せっちゃん……!うん!あたしたちも負けないよ!」
その返事を聞くと満足そうに頷き、今度は桂城と一緒に、こちらへ視線を向けてくる
セラス「この間の、挑戦状。今から変えれます?」
明人「変える?」
セラス「泉だけじゃない。わたしの名前も一緒に」
それを聞いて、小さく笑いが溢れてしまう
明人「らしいぞ、桂城」
セラス「えっ?」
泉「薄情だなぁ、セラスは。私は元々そのつもりだったというのに」
セラス「泉……!」
泉「顧問さん。私とセラスのふたりで、精いっぱいのお礼にさせてもらう。思わず、私たちを応援してくれてもいいんだよ」
セラス「大丈夫だよ、泉。顧問さんはスクールアイドルなら誰でも応援しちゃうらしいから」
泉「なら安心だ」
慈「ちょっとちょっと!アキ君は蓮ノ空の顧問なんですけど!」
泉「今から瑞河の顧問になるかい?」
小鈴「引き抜かれる!?」
さやか「先生、ちゃんと断ってくださいよ!」
瑠璃乃「も、もしや、すでにスカウトを……!?」
花帆「まずいよ、さやかちゃん!瑠璃乃ちゃん!センセイがせっちゃんたちに盗られちゃう!」
セラス「別にわたしは盗ろうとしてないんだけど」
姫芽「いっちょあきとせんせ〜賭けてバトっちゃう〜?」
泉「いいね」
吟子「どこもよくないから!お兄!応援するのは私たち!」
明人「今日はちゃんと蓮ノ空側だから……」
綴理「アキ、にんきものだね」
梢「ちょっと悪ふざけがすぎるかしら?」
セラス「泉、大人のお姉さんに怒られてる」
泉「おや、これはすまない。流石に冗談だよ」
桂城の冗談から始まった茶番で、舞台裏には笑いが溢れる
花帆「あっ」
日野下が声を上げ、モニターの方も見ると、ついにプレーオフが始まろうとしていた
泉「ここからは、戦いだ。悔いのないものにしよう。では、私たちは行くよ」
セラス「失礼します」
ふたりはリフトの方へと向かっていく
気がつくとさっきまでの笑いは消え、全員が始まる瞬間を今か今かと待っていた
会場に、歓声が響く
セラス『此の命さえ捧げてもいい』
泉『覚悟を胸に気高くあれ』
ステージが始まった瞬間、全ては、あのふたりに支配される
視覚、聴覚。それだけじゃない。そんなものでは、終わらない
花帆「すごい……すごいよ、せっちゃん……!」
日野下の呟きが、舞台裏に響く
梢「ええ、本当に。あの泉さんと並んでも遜色ない。いえ、そんな言葉では勿体ないほどだわ」
慈「うそっ、こんな短い期間で……!?」
綴理「練習してたんだ。せらも、ずっと」
花帆「せっちゃん……!」
ふたり合わさったEdel Noteは止まらない。まるで、最初からふたりだったかの様な
歓声が、会場を揺らす
圧倒的で、情熱的で、覚悟のこめられた。そんな、パフォーマンス
姫芽「アタシたちも負けてられませんね〜!」
小鈴「うん!絶対に優勝しましょう!」
吟子「いきましょう!夢を、叶えに!」
一年生の言葉に、皆が頷き合い、円陣の形を取る
明人「……」
それを見て、一歩引こうとする
慈「ほらっ!」
明人「ちょっ……!?」
その瞬間、慈に腕を引かれ、円陣の中に放り込まれる
慈「な〜にひとりだけ抜けようとしてんのさ!ダメに決まってるでしょ!」
さやか「その癖は相変わらずですね」
花帆「みんなでやりましょう!みんなで!」
瑠璃乃「アキ君だけいないとか、ありえないっしょ!」
吟子「そのっ……お兄も一緒の方が、私も嬉しいというか……」
姫芽「素直じゃないな〜吟子ちゃんは。アタシはあきとせんせ〜も一緒の方が嬉しいですよ〜」
小鈴「徒町もです!ここまでがんばったのは、明人大先生も一緒ですから!」
綴理「アキはイヤ?……ううん、知ってる。イヤなんて言わないよ」
明人「……いいのかよ」
梢「ここまで言われて、逃げるなんてことはできませんね。水瀬先生」
明人「……逃げないよ」
そう言って、日野下の方を見る
明人「日野下、夢、託していいか?」
花帆「センセイの、夢?」
視線を日野下から、梢へ、吟子へと。ひとりひとりの顔を、しっかりと見て。もう一度、日野下へ視線を戻す
明人「最っ高の……スクールアイドルを見せてくれ」
花帆「っはい!!」
梢「いきましょう、最高のステージへ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ。今この瞬間を大切に!Bloom the smile!」
全員「Bloom the dream!!」
蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ、ラブライブ!最後のステージが、始まる
Edel Noteのステージは、圧倒的だった。会場を支配する情熱があった
でも、それでも
ーー負ける気は少しもしなかった
◇
小鈴「け、結果はまだ出ないんでしょうか……!」
姫芽「すっごい緊張してきたぁ……!」
吟子「あーもうっ、心臓の鼓動だけで倒れそう……」
慈「ほら、リラックスリラックス。深呼吸だよ」
瑠璃乃「めぐちゃんこそ、手がぷるぷる震えてるよ」
結果が出るまで、そう、時間はかかっていないはずだった。たった数分のはずなのに、それが永遠かのように感じてしまう
梢「………」
さやか「大丈夫……大丈夫……」
綴理「さや、深呼吸だよ。スー、ハー」
花帆「……!」
全員がそれぞれの気持ちを抑えるのに必死になりながら結果を待つ
息が、少し荒い。強く握られた手首の先がピリピリと冷える
アナウンサー『皆さま、いよいよ審査結果が出ました!』
アナウンサーの声が、会場に響く
アナウンサー『今回のラブライブ!も、全国から大勢のスクールアイドルが集い、非常にハイレベルなものとなりました』
アナウンサーの長い口上が、緊張感を更に昂ぶらせていく
アナウンサー『そして向かえた決勝大会では、なんと異例のプレーオフ!瑞河女子高等学校スクールアイドル部。蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ。全力で日々を歩み、辿り着いた今日。夢を信じて磨き続け、輝いた今日。両校共に、本当に素晴らしいパフォーマンスでした!』
早く、早く結果を教えてほしい。そんな思いが、脳内を支配して
アナウンサー『それでは、結果を発表します。ラブライブ!決勝大会プレーオフ。優勝はーー』
勝っても負けても、これが最後
短いドラムロール、ついにーー
アナウンサー『ーー蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ!スリーズブーケ、DOLLCHESTRA、みらくらぱーく!』
花帆「!!」
優勝
蓮ノ空が、ラブライブ!に
梢「……………勝っ……た……?」
慈「勝っ……た……。勝った。勝ったんだよ!!私たち!!」
慈の言葉で、目の前のことに、実感が湧いてくる。さっきまでの緊張感が一気に喜びへ変わる
瑠璃乃「っめぐちゃーん!!」
さやか「っ綴理先輩!!」
綴理「……うん、勝ったんだ。ボクたち、優勝したよ!」
姫芽「吟子ちゃ〜ん!小鈴ちゃ〜ん!勝ったよ、アタシたち!」
吟子「う、うん……!勝った……!勝ったんだ……!!」
小鈴「か、徒町……勝ったんだよね……?ラブライブ!に、優勝……」
姫芽「そうだよ!勝ったんだよ〜〜!!」
小鈴「っやったーーーー!!!」
吟子「うん……!うん……!」
花帆「梢センパイ!!」
梢「優勝、したのね……!私たち、ついに……!」
花帆「はい!優勝したんです!あたしたちが!蓮ノ空が!!」
真っ先に親友に飛びついて。大事な先輩に伝えて。友達と、喜びを分かち合って。喜びすぎて、泣いて喜んで
もう一度、モニターを見る
そこに映されているのは、蓮ノ空の名前。優勝した、事実
明人「優勝、したよ……!したんだよ、ついに……!!」
◇
さやか「小鈴さん、チェーン外れちゃってます!」
小鈴「わわっ!?さ、さやか先輩〜!」
さやか「もぅ!」
花帆「梢センパイ、帽子!帽子!逆ですよー!」
慈「あっははっ!梢おもしろー!」
瑠璃乃「そういうめぐちゃんも!衣装にシワできちゃってる」
慈「っマジ!?えっ、どこ!?アキくーん!」
明人「急いで着るからだろ。ほら、直ったぞ」
慈「さーんきゅっ」
ラブライブ!に優勝したというのに、舞台裏は忙しさと騒がしさでいっぱいだった
エキシビションライブ。その準備で
吟子「もう、みんな慌てすぎ」
姫芽「そういう吟子ちゃんも、スカーフ忘れてるよ。ほら」
吟子「えっ!?ほんまに!?」
姫芽「ほら、ちゃんと持ってきたから〜」
吟子「あんやと、姫芽」
梢「そろそろ時間よ!!」
梢の声で、全員が慌ててリフトへ向かう
花帆「行ってきまーす!」
姫芽「しっかり見ててくださいよ〜!」
慈「よそ見してたら許さないからね!」
綴理「いっぱい楽しんでくるね」
衣装を着替え終えた姿で、楽しそうに駆け出して行く
明人「ああ、楽しんで来いよ!」