羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】 作:ヒツジ(ラム肉
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銀河中央通信社速報
> 【速報】
外縁七星系共同会議、 ヒツジコーポとの正式協議を決定。
“文明依存率問題”が主要議題へ。
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同時速報
> ヒツジコーポ、 “文明調整官”派遣を発表。
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第八居住星系 銀河会議場
重かった。
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空気が。
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記者。
軍人。
政治家。
経済学者。
農業代表。
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全員が、 少し疲れた顔をしている。
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そして。
会議場中央。
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ヒツジたち。
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普通に座っていた。
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もこもこ。
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しかも。
資料を配っている。
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シュガリヴィは、 その光景を見て少し頭を抱える。
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人類文明の危機会議で。
宇宙人が議事資料配布している。
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意味が分からない。
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シュガリヴィ記者 取材記録
第六話の物流障害は、 人類社会へ大きな衝撃を与えた。
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初めて。
市民も。
政治家も。
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理解した。
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ヒツジコーポは。
“便利な企業”
ではない。
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社会そのものへ、 深く入り込みすぎている。
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だからこそ。
今回初めて。
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“文明調整会議”
が開かれた。
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議題は単純。
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「どう付き合うか」
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会議場 第一議題
ヒツジ側代表。
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名札。
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『第八星系文明調整官』
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シュガリヴィ。
内心で止まる。
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文明。
調整。
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その単語が、 あまりにも重い。
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ヒツジ調整官。
静かに頭を下げる。
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> 「今回の物流障害、 申し訳ありませんでした。」
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会議場。
少しざわつく。
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謝罪。
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しかも。
本当に申し訳なさそうだった。
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ヒツジ調整官。
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> 「定着速度予測が甘く、 外縁七星系の依存率上昇を 適切に抑制できませんでした。」
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沈黙。
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軍人。
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> 「……依存を、 抑制する気はあったのか?」
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ヒツジ。
きょとん。
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> 「当然です。」
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> 「単一物流依存は、 文明脆弱性を高めますので。」
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その返答に。
会議場が静まる。
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こいつら。
最初から分かっていた。
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しかも。
“危険性込み”で運営していた。
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農業代表 発言
老農業組合長が、 立ち上がる。
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> 「我々の農地は消えた。」
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> 「若者も物流へ流れた。」
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> 「文化も変わった。」
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少し震える声。
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> 「……お前たちは、 それをどう思っている」
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ヒツジ調整官。
少し考える。
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> 「問題です。」
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即答だった。
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会議場。
ざわつく。
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ヒツジ。
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> 「文明多様性減少は、 市場安定性を低下させます。」
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> 「単一供給化は、 長期的に危険です。」
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シュガリヴィ。
寒気が走る。
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こいつら。
“文化保護”
すら。
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“物流理論”
で考えている。
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経済学者 発言
若い経済学者。
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> 「では何故、 ここまで市場拡大を?」
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ヒツジ。
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> 「需要が存在したためです。」
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> 「また、 人類文明の適応速度が 想定より高かった。」
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少し沈黙。
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> 「成功しすぎました。」
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会議場。
静まる。
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成功。
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人類文明の変質を。
“成功”
と呼んだ。
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だが。
その声に。
傲慢さは無かった。
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本当に。
“文明運営上の評価”
として言っている。
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会議場 休憩区画
人類側がざわついている。
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> 「なんなんだあいつら……」
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> 「悪意が無いのが逆に怖い」
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> 「本当に市場として見てるぞ」
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シュガリヴィは、 壁にもたれながら考える。
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ヒツジは。
帝国ではない。
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侵略国家でもない。
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もっと違う。
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“超巨大文明インフラ”
だ。
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その時。
ヒツジ調整官が、 缶飲料を持って近づいてくる。
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> 「どうぞ。」
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シュガリヴィ。
反射的に受け取る。
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少し甘い。
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ヒツジ。
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> 「人類向け調整版です。」
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シュガリヴィ。
思わず笑いそうになる。
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こんな会議中でも。
ちゃんと“調整”している。
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ヒツジ調整官。
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> 「人類文明、 非常に興味深いです。」
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シュガリヴィ。
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> 「……観察対象ですか?」
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ヒツジ。
少し考える。
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> 「交流文明です。」
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> 「高適応型市場文明ですので。」
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その言葉が。
やけに宇宙的だった。
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シュガリヴィ記者 私的記録
ヒツジコーポは。
我々を支配しようとしているのではない。
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もっと違う。
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接続し。
流通させ。
安定化し。
発展させる。
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そういう。
“文明維持機構”
なのだ。
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だからこそ。
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多分。
一番危険なのかもしれない。
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