羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】 作:ヒツジ(ラム肉
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銀河中央通信社速報
> 【速報】
文明調整会議、 第二協議へ移行。
“文化保全”と“物流依存率”が主要論点に。
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同時速報
> ヒツジコーポ、 外縁七星系向け“依存率抑制案”を提示。
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第八居住星系 銀河会議場
空気は、 さらに重くなっていた。
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巨大スクリーン。
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そこへ映し出される。
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『外縁七星系 文明依存率推移』
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グラフ。
急上昇。
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会議場が静まる。
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ヒツジ調整官。
レーザーポインタを持ちながら。
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> 「こちらが食料依存率。」
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> 「こちらが物流依存率。」
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> 「こちらが文化浸透率です。」
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政治家。
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> 「文化浸透率……?」
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ヒツジ。
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> 「消費傾向変化率です。」
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> 「若年層は特に高いですね。」
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スクリーン。
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『ヒツジ文化親和率』
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若年層。
82%。
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会議場。
ざわつく。
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シュガリヴィは、 少し寒気を覚える。
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こいつら。
“文明変化”
を。
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数値化している。
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シュガリヴィ記者 取材記録
私はようやく理解し始めていた。
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ヒツジコーポは。
“物流会社”
ではない。
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もっと巨大だ。
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市場。
物流。
文化。
人口。
教育。
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全部を。
“文明運営”
として扱っている。
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しかも恐ろしいことに。
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その技術体系は。
かなり完成されている。
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第二議題 『農業保護』
老農業代表が立ち上がる。
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> 「我々は、 農地を守りたい。」
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> 「文化を残したい。」
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> 「全て物流へ変えるべきではない。」
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ヒツジ調整官。
頷く。
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> 「合理的です。」
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会議場。
静まる。
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ヒツジ。
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> 「単一供給構造は、 文明脆弱性を高めます。」
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> 「地域農業維持は、 長期安定性へ寄与します。」
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農業代表。
止まる。
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> 「……反対しないのか?」
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ヒツジ。
きょとん。
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> 「何故です?」
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> 「文明多様性は重要ですよ?」
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シュガリヴィ。
頭が痛くなる。
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こいつら。
“文化保護”ですら。
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市場安定理論。
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第三議題 『教育独立性』
若い教育学者。
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> 「現在、 若年層の価値観変化が急速すぎます。」
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> 「ヒツジ物流中心教育へ 偏り始めている。」
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> 「このままでは、 人類文明独自性が失われる。」
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ヒツジ調整官。
少し考える。
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> 「問題ですね。」
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即答だった。
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会議場。
ざわつく。
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ヒツジ。
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> 「教育均一化は、 文明柔軟性を低下させます。」
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> 「地域文化教育比率を 増やしましょう。」
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教育学者。
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> 「……え?」
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ヒツジ。
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> 「多様性重要です。」
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> 「市場変動耐性に直結しますので。」
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またそれだった。
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全て。
“文明安定性”
へ繋がる。
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会議場外 市民インタビュー
テレビ中継。
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若い男。
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> 「まぁ便利ならいいんじゃ?」
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主婦。
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> 「でも今回ちょっと怖かったわねぇ」
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老人。
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> 「便利すぎる文明は怖い」
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女子学生。
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> 「ヒツジ嫌いじゃないけど…… なんか飲み込まれてる感ある」
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少しずつ。
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市民も。
“違和感”
を言語化し始めていた。
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第四議題 『独自物流維持』
軍人代表。
厳しい顔。
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> 「人類独自物流を維持したい。」
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> 「最低限、 非依存経路が必要だ。」
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ヒツジ調整官。
頷く。
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> 「必要です。」
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軍人。
止まる。
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> 「……反対しないのか?」
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ヒツジ。
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> 「文明単一化は危険です。」
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> 「冗長性不足になります。」
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シュガリヴィ。
頭を抱えたくなる。
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人類側は。
“主権”
として話している。
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ヒツジ側は。
“システム安定性”
として話している。
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会話は成立している。
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だが。
根本的に見ている世界が違う。
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休憩区画
会議参加者たちが、 疲れた顔で座っていた。
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そこへ。
ヒツジ社員たちが、 普通に軽食を配り始める。
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発酵サンド。
果実飲料。
温かいスープ。
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政治家。
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> 「なんでこんな時に飯がうまいんだ……」
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軍人。
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> 「ずるいだろこれ」
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ヒツジ。
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> 「会議長いので。」
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本当に。
悪意がない。
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シュガリヴィと調整官
窓の外。
巨大物流港。
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無数の輸送船。
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シュガリヴィ。
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> 「……あなたたち、 何文明くらい見てきたんです」
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ヒツジ調整官。
少し考える。
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> 「覚えてません。」
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> 「かなり多いので。」
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シュガリヴィ。
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> 「人類も、 その一つですか」
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ヒツジ。
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> 「はい。」
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少し沈黙。
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> 「かなり成功例寄りですが。」
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その瞬間。
シュガリヴィは、 本当に理解してしまう。
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人類文明は。
“唯一”
ではない。
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そして。
ヒツジコーポにとっては。
“管理経験のある文明の一例”
なのだ。
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その宇宙的距離感が。
今までで一番。
恐ろしかった。
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