羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】   作:ヒツジ(ラム肉

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第七話 後編 『文明調整会議 後編 ― 接続文明』

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銀河中央通信社速報

 

> 【速報】

 

文明調整会議、 “文化保全条項”を暫定承認。

 

地域農業維持・独自物流支援を盛り込む。

 

 

 

 

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同時速報

 

> ヒツジコーポ、 “文明冗長化計画”を発表。

 

 

 

 

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第八居住星系 銀河会議場

 

疲労が漂っていた。

 

 

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政治家。

 

軍人。

 

学者。

 

 

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全員。

 

かなり消耗している。

 

 

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理由は単純。

 

 

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会議が。

 

“成立してしまっている”。

 

 

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人類側は、 もっと対立すると思っていた。

 

 

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だが。

 

ヒツジコーポは。

 

普通に協力的だった。

 

 

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農地保護。

 

賛成。

 

 

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独自物流維持。

 

賛成。

 

 

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文化教育維持。

 

賛成。

 

 

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むしろ。

 

ヒツジ側の方が

 

“文明多様性”を重視している。

 

 

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それが。

 

逆に怖かった。

 

 

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シュガリヴィ記者 取材記録

 

私は少し混乱していた。

 

 

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ヒツジコーポは。

 

侵略者ではない。

 

 

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だが。

 

無害でもない。

 

 

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むしろ。

 

“善良すぎる”。

 

 

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文明を壊したくない。

 

飢餓も防ぎたい。

 

文化も守りたい。

 

 

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本気でそう思っている。

 

 

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だが同時に。

 

“市場接続”

 

も止めない。

 

 

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つまり。

 

人類文明は。

 

守られながら、

 

変えられていく。

 

 

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最終議題 『文明冗長化計画』

 

巨大スクリーン。

 

 

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そこへ映る。

 

 

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『外縁七星系 文明維持計画』

 

 

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ヒツジ調整官。

 

静かに説明する。

 

 

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> 「今後、 地域農業復元支援を行います。」

 

 

 

 

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> 「独自物流補助も開始します。」

 

 

 

 

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> 「文化教育維持基金も設置予定です。」

 

 

 

 

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会議場。

 

ざわつく。

 

 

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政治家。

 

 

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> 「……何故そこまで?」

 

 

 

 

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ヒツジ調整官。

 

きょとん。

 

 

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> 「文明維持のためですが?」

 

 

 

 

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沈黙。

 

 

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ヒツジ。

 

 

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> 「単一市場化は、 長期的に不安定です。」

 

 

 

 

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> 「多様性維持は重要ですよ?」

 

 

 

 

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軍人が、 疲れた顔で笑う。

 

 

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> 「お前ら、 本当に文明運営してるんだな……」

 

 

 

 

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ヒツジ。

 

 

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> 「はい?」

 

 

 

 

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本当に。

 

 

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その程度の話として、 返していた。

 

 

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会議場外 市民広場

 

大型モニターで、 会議中継が流れている。

 

 

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市民たちが、 静かに見ていた。

 

 

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若い男。

 

 

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> 「なんか…… 思ったよりまともだなヒツジ」

 

 

 

 

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老人。

 

 

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> 「まともすぎるのが怖い」

 

 

 

 

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主婦。

 

 

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> 「でも今回、 備蓄出してくれたしねぇ」

 

 

 

 

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女子学生。

 

 

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> 「なんか…… “宇宙の大企業”って感じ」

 

 

 

 

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その言葉に。

 

シュガリヴィは、 少しだけ納得してしまう。

 

 

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そうだ。

 

 

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ヒツジコーポは。

 

“宇宙人”

 

ではない。

 

 

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もっと近い。

 

 

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“銀河規模インフラ企業”

 

なのだ。

 

 

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休憩区画

 

会議終了後。

 

 

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人類代表たちが、 疲れ切った顔で座っていた。

 

 

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そこへ。

 

ヒツジ社員たちが、 また軽食を配り始める。

 

 

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発酵スープ。

 

温かいパン。

 

果実飲料。

 

 

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政治家。

 

 

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> 「なんで毎回飯がうまいんだ……」

 

 

 

 

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ヒツジ。

 

 

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> 「重要ですので。」

 

 

 

 

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軍人。

 

笑う。

 

 

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> 「もうその台詞聞き飽きた」

 

 

 

 

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少しだけ。

 

空気が柔らかくなる。

 

 

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だが。

 

シュガリヴィだけは、 まだ寒気が抜けなかった。

 

 

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会議場 展望窓

 

巨大物流港。

 

 

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無数の輸送船。

 

航路光。

 

銀河物流。

 

 

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それを見ながら。

 

シュガリヴィは、 ヒツジ調整官へ最後に聞いた。

 

 

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> 「……人類文明は、 今後どうなると思いますか」

 

 

 

 

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ヒツジ調整官。

 

少し考える。

 

 

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> 「発展すると思います。」

 

 

 

 

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> 「かなり適応性高いので。」

 

 

 

 

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> 「交流文明としては、 優秀な部類です。」

 

 

 

 

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シュガリヴィ。

 

 

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> 「交流文明……」

 

 

 

 

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ヒツジ。

 

 

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> 「はい。」

 

 

 

 

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> 「接続文明とも言います。」

 

 

 

 

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その単語が。

 

妙に重かった。

 

 

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接続。

 

 

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つまり人類は。

 

“独立文明”

 

ではなく。

 

 

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“銀河文明網へ接続された文明”

 

として認識され始めている。

 

 

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その時。

 

港の向こう。

 

超大型輸送船が、 静かに宇宙へ上がっていく。

 

 

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まるで。

 

銀河そのものが、 呼吸しているみたいだった。

 

 

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シュガリヴィ記者 私的記録

 

宇宙は広い。

 

 

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広すぎる。

 

 

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人類は。

 

特別ではない。

 

 

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唯一でもない。

 

 

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そして今。

 

我々は初めて。

 

 

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“巨大文明圏”

 

へ触れてしまった。

 

 

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善意で。

 

物流で。

 

食料で。

 

 

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静かに接続されながら。

 

 

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