羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】   作:ヒツジ(ラム肉

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第八話 前編 『海賊と輸送船 前編 ― 物流妨害』

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銀河中央通信社速報

 

> 【速報】

 

外縁七星系各地にて、 “反ヒツジ主義”武装組織が急増。

 

一部地域で物流妨害事件発生。

 

 

 

 

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同時速報

 

> ヒツジコーポ、 「文明安定性を損なう行為には対応する」 と声明発表。

 

 

 

 

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第八居住星系 中央広場

 

デモだった。

 

 

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人が集まっている。

 

 

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旗。

 

演説。

 

怒号。

 

 

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大型スクリーン。

 

 

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『人類文明を守れ』

 

 

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『物流依存反対』

 

 

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『農地を返せ』

 

 

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群衆が叫ぶ。

 

 

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> 「ヒツジを止めろ!」

 

 

 

 

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> 「このままじゃ文明が消える!」

 

 

 

 

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> 「人類の市場を取り戻せ!」

 

 

 

 

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シュガリヴィは、 その光景を静かに見ていた。

 

 

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以前なら。

 

少数派だった。

 

 

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だが今。

 

 

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物流障害以降。

 

“恐怖”が広がり始めている。

 

 

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そして。

 

恐怖は。

 

思想を生む。

 

 

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シュガリヴィ記者 取材記録

 

人類は、 ついに気付き始めていた。

 

 

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ヒツジコーポは。

 

便利な企業ではない。

 

 

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文明そのものへ、 深く入り込みすぎている。

 

 

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そして。

 

一部の人類は。

 

“このままでは飲み込まれる”

 

と理解した。

 

 

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だから。

 

反ヒツジ運動が生まれた。

 

 

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最初は。

 

平和的だった。

 

 

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農地保護。

 

独自物流。

 

文化維持。

 

 

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だが。

 

次第に過激化する。

 

 

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なぜなら。

 

ヒツジ文明が、

 

強すぎた。

 

 

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第八居住星系 郊外倉庫街

 

夜。

 

 

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秘密集会。

 

 

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軍崩れ。

 

元国家主義者。

 

旧農業保護派。

 

海賊。

 

 

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全員。

 

かなり本気だった。

 

 

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机の上。

 

星図。

 

物流航路。

 

輸送時刻表。

 

 

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男が拳を叩きつける。

 

 

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> 「物流を止めろ!」

 

 

 

 

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> 「依存を断ち切らねぇ限り、 人類は終わる!」

 

 

 

 

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別の男。

 

 

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> 「市民はもう気付いてる!」

 

 

 

 

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> 「今回の物流停止で分かった!」

 

 

 

 

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若い女。

 

 

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> 「ヒツジを倒せるの?」

 

 

 

 

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沈黙。

 

 

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やがて。

 

軍崩れの男が言う。

 

 

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> 「……輸送船を狙う。」

 

 

 

 

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空気が張り詰める。

 

 

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第八物流港

 

一方。

 

 

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ヒツジ側は。

 

普通に働いていた。

 

 

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コンテナ。

 

輸送船。

 

搬送ドローン。

 

 

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いつも通り。

 

 

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ヒツジ社員たちが、 端末片手に歩いている。

 

 

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> 「第五便遅延回復しましたー」

 

 

 

 

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> 「発酵ライン正常化です」

 

 

 

 

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> 「市場安定率戻ってますね」

 

 

 

 

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完全に。

 

“日常業務”

 

だった。

 

 

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シュガリヴィは、 少し怖くなる。

 

 

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外では。

 

人類社会が揺れている。

 

 

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なのに。

 

ヒツジ側は。

 

“市場変動”

 

として処理している。

 

 

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第八居住星系 酒場

 

テレビ。

 

討論番組。

 

 

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> 「反ヒツジ運動は正しいのか!?」

 

 

 

 

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> 「このままでは文明が消える!」

 

 

 

 

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> 「だが経済は改善している!」

 

 

 

 

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> 「物流停止時を見ただろ!」

 

 

 

 

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酒場の客たち。

 

ざわつく。

 

 

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若い作業員。

 

 

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> 「まぁ怖ぇのは分かる」

 

 

 

 

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元農家。

 

 

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> 「でもヒツジ居なくなったら、 今さら戻れんぞ」

 

 

 

 

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別の男。

 

 

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> 「だから怖ぇんだろ……」

 

 

 

 

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空気が重い。

 

 

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初めてだった。

 

 

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市民たちが。

 

“ヒツジ文明そのもの”

 

を語り始めた。

 

 

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第八宙域 外縁航路

 

暗い宇宙。

 

 

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そこへ。

 

巨大輸送船団。

 

 

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ヒツジコーポ輸送便。

 

 

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大量のコンテナ。

 

冷凍区画。

 

発酵保管庫。

 

 

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そして。

 

 

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その周囲へ。

 

人類側武装艦隊が、 静かに集まり始めていた。

 

 

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旧巡洋艦。

 

改装戦艦。

 

武装輸送船。

 

海賊艇。

 

 

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かなりの規模。

 

 

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艦隊司令。

 

 

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> 「……確認しろ。」

 

 

 

 

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通信士。

 

 

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> 「ヒツジ輸送船団です。」

 

 

 

 

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> 「護衛艦確認できません。」

 

 

 

 

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艦隊司令。

 

笑う。

 

 

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> 「輸送船だ。」

 

「いける。」

 

 

 

 

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その瞬間。

 

 

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ヒツジ輸送船団から、 通信が入る。

 

 

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静かな声。

 

 

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> 「こちらヒツジコーポ第八物流船団。」

 

 

 

 

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> 「航路妨害を確認しました。」

 

 

 

 

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> 「物流安定性を損なう危険行為です。」

 

 

 

 

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少し沈黙。

 

 

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> 「直ちに離脱してください。」

 

 

 

 

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海賊側。

 

笑う。

 

 

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> 「舐めてんのか宇宙羊」

 

 

 

 

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> 「輸送船ごときが」

 

 

 

 

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艦隊司令。

 

 

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> 「撃て。」

 

 

 

 

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宇宙が光る。

 

 

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その瞬間。

 

 

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ヒツジ輸送船団の輪郭が、 静かに変形した。

 

 

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コンテナ区画展開。

 

装甲展開。

 

無数の光。

 

 

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艦隊司令。

 

 

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> 「……は?」

 

 

 

 

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シュガリヴィは、 後にその戦闘記録を見た。

 

 

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そして。

 

最初に思った。

 

 

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“輸送船”ってなんだっけ?

 

 

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