羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】 作:ヒツジ(ラム肉
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銀河中央通信社速報
> 【速報】
外縁七星系、 初の“外銀河物流研修団”派遣を決定。
志願倍率は過去最高。
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同時速報
> ヒツジコーポ、 「交流文明段階移行中」 と正式発表。
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第八居住星系 中央駅前
人で溢れていた。
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以前より、 ずっと。
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巨大広告。
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『外銀河物流研修生募集』
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『接続文明交流計画』
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若者たちが、 列を作っている。
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> 「マジで行くの?」
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> 「行くだろ!」
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> 「外銀河だぞ!?」
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> 「人生変わるって!」
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その熱気を見ながら。
シュガリヴィは、 少し遠い目をしていた。
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たった数年前。
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人類は。
“宇宙人”
で騒いでいた。
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今は。
“外銀河就職”
で盛り上がっている。
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変化が速すぎる。
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シュガリヴィ記者 取材記録
第八宙域戦闘以降。
人類社会は、 さらに変化していた。
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恐怖は残った。
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だが同時に。
“憧れ”
も生まれ始めている。
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ヒツジ文明は。
強大だった。
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豊かだった。
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そして。
“宇宙そのもの”
みたいだった。
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だから。
若者たちは。
外を見始めた。
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第八物流技術学院
卒業式。
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以前の農業学校。
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今は。
完全に物流学院だった。
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壇上。
ヒツジ教員。
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> 「皆さん、 文明交流研修おめでとうございます。」
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学生たち拍手。
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その中には。
人類だけでなく。
ヒツジも混ざっている。
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完全に。
“合同教育機関”
になっていた。
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シュガリヴィ。
静かに見つめる。
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若い学生。
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> 「第三腕部行くらしいぞ」
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> 「マジで!?」
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> 「他文明市場あるって!」
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> 「すげぇ……」
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その目は。
もう。
“国家”
を見ていない。
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“銀河”
を見始めていた。
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外銀河交流説明会
巨大ホール。
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スクリーン。
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そこへ映る。
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見たこともない星々。
巨大都市。
異星市場。
無数の文明。
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会場。
静まり返る。
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ヒツジ説明員。
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> 「こちらが第三物流環状帯。」
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> 「こちらが外腕文明交易市場です。」
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> 「かなり治安良いですよ。」
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シュガリヴィ。
止まる。
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かなり治安良い。
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その基準が、 もう怖い。
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ヒツジ説明員。
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> 「なお、 一部宙域は危険ですので。」
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スクリーン切替。
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巨大護送船団。
無数の武装物流船。
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学生たち。
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> 「うおぉ……」
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完全に。
“宇宙への憧れ”
が生まれていた。
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第八居住星系 旧農村地帯
静かだった。
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以前より。
ずっと。
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畑跡。
物流道路。
冷凍倉庫。
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その隣。
小さな農園。
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老人が、 土を耕している。
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シュガリヴィ。
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> 「若い人、 少ないですね」
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老人。
苦笑い。
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> 「みんな宇宙行ったよ」
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遠く。
物流船が空を横切る。
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老人。
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> 「まぁ、 悪い時代じゃない」
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少し沈黙。
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> 「でも、 遠くへ行きすぎた気もする」
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その言葉が。
妙に胸へ残った。
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ネット掲示板
> 「外銀河勤務うらやま」
> 「人生変わりそう」
> 「ヒツジ本社見てみたい」
> 「もう人類圏狭いわ」
> 「昔は宇宙人怖がってたのにな」
> 「慣れって怖ぇ」
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そして。
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> 「……でも、 俺たちどこへ向かってんだ?」
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その書き込みだけが。
妙に静かだった。
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第八物流港 特別区画
外銀河便。
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巨大だった。
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今までの輸送船より、 さらに大きい。
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その表面には。
見たこともない文字。
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シュガリヴィ。
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> 「……これ、 どこ行きなんです?」
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ヒツジ案内員。
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> 「第七銀河外周物流帯です。」
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シュガリヴィ。
止まる。
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第七銀河。
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銀河。
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複数形。
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ヒツジ案内員。
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> 「交流文明向け研修ですね。」
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> 「人類文明、 外部適応性高いので。」
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また。
それだった。
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人類は。
“新人文明”
として評価されている。
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しかも。
かなり高評価。
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その宇宙的距離感に。
シュガリヴィは、 また少し寒気を覚える。
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シュガリヴィ記者 私的記録
人類は。
もう戻れない。
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だが。
滅びるわけでもない。
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むしろ。
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“広がっている”。
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ただ。
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その広がり方が。
人類自身の想像より、 ずっと宇宙的だった。
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