羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】   作:ヒツジ(ラム肉

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第九話 前編 『接続文明 前編 ― 外銀河志願者』

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銀河中央通信社速報

 

> 【速報】

 

外縁七星系、 初の“外銀河物流研修団”派遣を決定。

 

志願倍率は過去最高。

 

 

 

 

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同時速報

 

> ヒツジコーポ、 「交流文明段階移行中」 と正式発表。

 

 

 

 

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第八居住星系 中央駅前

 

人で溢れていた。

 

 

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以前より、 ずっと。

 

 

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巨大広告。

 

 

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『外銀河物流研修生募集』

 

 

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『接続文明交流計画』

 

 

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若者たちが、 列を作っている。

 

 

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> 「マジで行くの?」

 

 

 

 

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> 「行くだろ!」

 

 

 

 

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> 「外銀河だぞ!?」

 

 

 

 

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> 「人生変わるって!」

 

 

 

 

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その熱気を見ながら。

 

シュガリヴィは、 少し遠い目をしていた。

 

 

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たった数年前。

 

 

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人類は。

 

“宇宙人”

 

で騒いでいた。

 

 

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今は。

 

“外銀河就職”

 

で盛り上がっている。

 

 

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変化が速すぎる。

 

 

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シュガリヴィ記者 取材記録

 

第八宙域戦闘以降。

 

人類社会は、 さらに変化していた。

 

 

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恐怖は残った。

 

 

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だが同時に。

 

“憧れ”

 

も生まれ始めている。

 

 

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ヒツジ文明は。

 

強大だった。

 

 

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豊かだった。

 

 

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そして。

 

“宇宙そのもの”

 

みたいだった。

 

 

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だから。

 

若者たちは。

 

外を見始めた。

 

 

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第八物流技術学院

 

卒業式。

 

 

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以前の農業学校。

 

 

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今は。

 

完全に物流学院だった。

 

 

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壇上。

 

ヒツジ教員。

 

 

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> 「皆さん、 文明交流研修おめでとうございます。」

 

 

 

 

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学生たち拍手。

 

 

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その中には。

 

人類だけでなく。

 

ヒツジも混ざっている。

 

 

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完全に。

 

“合同教育機関”

 

になっていた。

 

 

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シュガリヴィ。

 

静かに見つめる。

 

 

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若い学生。

 

 

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> 「第三腕部行くらしいぞ」

 

 

 

 

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> 「マジで!?」

 

 

 

 

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> 「他文明市場あるって!」

 

 

 

 

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> 「すげぇ……」

 

 

 

 

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その目は。

 

もう。

 

“国家”

 

を見ていない。

 

 

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“銀河”

 

を見始めていた。

 

 

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外銀河交流説明会

 

巨大ホール。

 

 

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スクリーン。

 

 

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そこへ映る。

 

 

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見たこともない星々。

 

巨大都市。

 

異星市場。

 

無数の文明。

 

 

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会場。

 

静まり返る。

 

 

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ヒツジ説明員。

 

 

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> 「こちらが第三物流環状帯。」

 

 

 

 

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> 「こちらが外腕文明交易市場です。」

 

 

 

 

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> 「かなり治安良いですよ。」

 

 

 

 

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シュガリヴィ。

 

止まる。

 

 

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かなり治安良い。

 

 

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その基準が、 もう怖い。

 

 

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ヒツジ説明員。

 

 

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> 「なお、 一部宙域は危険ですので。」

 

 

 

 

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スクリーン切替。

 

 

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巨大護送船団。

 

無数の武装物流船。

 

 

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学生たち。

 

 

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> 「うおぉ……」

 

 

 

 

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完全に。

 

“宇宙への憧れ”

 

が生まれていた。

 

 

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第八居住星系 旧農村地帯

 

静かだった。

 

 

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以前より。

 

ずっと。

 

 

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畑跡。

 

物流道路。

 

冷凍倉庫。

 

 

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その隣。

 

小さな農園。

 

 

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老人が、 土を耕している。

 

 

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シュガリヴィ。

 

 

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> 「若い人、 少ないですね」

 

 

 

 

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老人。

 

苦笑い。

 

 

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> 「みんな宇宙行ったよ」

 

 

 

 

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遠く。

 

物流船が空を横切る。

 

 

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老人。

 

 

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> 「まぁ、 悪い時代じゃない」

 

 

 

 

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少し沈黙。

 

 

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> 「でも、 遠くへ行きすぎた気もする」

 

 

 

 

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その言葉が。

 

妙に胸へ残った。

 

 

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ネット掲示板

 

> 「外銀河勤務うらやま」

 

 

 

> 「人生変わりそう」

 

 

 

> 「ヒツジ本社見てみたい」

 

 

 

> 「もう人類圏狭いわ」

 

 

 

> 「昔は宇宙人怖がってたのにな」

 

 

 

> 「慣れって怖ぇ」

 

 

 

 

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そして。

 

 

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> 「……でも、 俺たちどこへ向かってんだ?」

 

 

 

 

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その書き込みだけが。

 

妙に静かだった。

 

 

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第八物流港 特別区画

 

外銀河便。

 

 

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巨大だった。

 

 

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今までの輸送船より、 さらに大きい。

 

 

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その表面には。

 

見たこともない文字。

 

 

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シュガリヴィ。

 

 

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> 「……これ、 どこ行きなんです?」

 

 

 

 

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ヒツジ案内員。

 

 

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> 「第七銀河外周物流帯です。」

 

 

 

 

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シュガリヴィ。

 

止まる。

 

 

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第七銀河。

 

 

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銀河。

 

 

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複数形。

 

 

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ヒツジ案内員。

 

 

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> 「交流文明向け研修ですね。」

 

 

 

 

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> 「人類文明、 外部適応性高いので。」

 

 

 

 

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また。

 

それだった。

 

 

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人類は。

 

“新人文明”

 

として評価されている。

 

 

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しかも。

 

かなり高評価。

 

 

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その宇宙的距離感に。

 

シュガリヴィは、 また少し寒気を覚える。

 

 

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シュガリヴィ記者 私的記録

 

人類は。

 

もう戻れない。

 

 

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だが。

 

滅びるわけでもない。

 

 

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むしろ。

 

 

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“広がっている”。

 

 

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ただ。

 

 

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その広がり方が。

 

人類自身の想像より、 ずっと宇宙的だった。

 

 

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