羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】   作:ヒツジ(ラム肉

26 / 26
第九話 中編 『接続文明 中編 ― 外銀河研修生』

---

 

銀河中央通信社速報

 

> 【速報】

 

外縁七星系第一次外銀河研修団、 正式出発。

 

人類史上初の大規模外銀河交流へ。

 

 

 

 

---

 

同時速報

 

> ヒツジコーポ、 「人類文明は交流適性が高い」 と発表。

 

 

 

 

---

 

第八物流港 特別発着区画

 

人で溢れていた。

 

 

---

 

家族。

 

記者。

 

学生。

 

 

---

 

そして。

 

巨大輸送船。

 

 

---

 

今までの船より、 さらに異様だった。

 

 

---

 

巨大。

 

静か。

 

 

---

 

まるで。

 

“都市”

 

そのもの。

 

 

---

 

若い研修生たちが、 列を作っている。

 

 

---

 

> 「マジで外銀河かぁ……」

 

 

 

 

---

 

> 「実感ねぇ……」

 

 

 

 

---

 

> 「帰ってきたらどうなってるかな」

 

 

 

 

---

 

笑っている。

 

 

---

 

だが。

 

少し震えてもいた。

 

 

---

 

シュガリヴィ記者 取材記録

 

人類文明は、 新しい段階へ入り始めていた。

 

 

---

 

最初は。

 

接触。

 

 

---

 

次に。

 

依存。

 

 

---

 

そして今。

 

 

---

 

“交流”

 

が始まっている。

 

 

---

 

人類は。

 

ヒツジ文明へ飲み込まれるだけではない。

 

 

---

 

自ら。

 

“外側”

 

へ出始めていた。

 

 

---

 

それが。

 

私には少し意外だった。

 

 

---

 

外銀河研修船 内部

 

広かった。

 

 

---

 

異様なほど。

 

 

---

 

農園区画。

 

発酵保管庫。

 

共同食堂。

 

居住区。

 

 

---

 

そして。

 

 

---

 

人類向け重力調整区画。

 

 

---

 

完全に。

 

“長期文明輸送艦”

 

だった。

 

 

---

 

若い研修生。

 

 

---

 

> 「なんだこれ……」

 

 

 

 

---

 

> 「宇宙船ってレベルじゃねぇ」

 

 

 

 

---

 

ヒツジ案内員。

 

 

---

 

> 「長距離物流艦ですので。」

 

 

 

 

---

 

> 「十七年航行対応型です。」

 

 

 

 

---

 

研修生たち。

 

止まる。

 

 

---

 

> 「……は?」

 

 

 

 

---

 

> 「十七年?」

 

 

 

 

---

 

ヒツジ。

 

 

---

 

> 「はい?」

 

 

 

 

---

 

また。

 

その顔だった。

 

 

---

 

悪意ゼロ。

 

 

---

 

本当に。

 

“普通の説明”

 

として言っている。

 

 

---

 

共同食堂

 

異様な光景だった。

 

 

---

 

人類。

 

ヒツジ。

 

そして。

 

 

---

 

見たことのない異星人。

 

 

---

 

甲殻類みたいな種族。

 

半透明な生物。

 

浮遊してる何か。

 

 

---

 

研修生たち。

 

完全停止。

 

 

---

 

> 「……え?」

 

 

 

 

---

 

> 「あれなに」

 

 

 

 

---

 

> 「いや知らねぇよ」

 

 

 

 

---

 

ヒツジ案内員。

 

 

---

 

> 「第九交易文明の方ですね。」

 

 

 

 

---

 

> 「温厚ですよ。」

 

 

 

 

---

 

温厚。

 

 

---

 

その基準が怖い。

 

 

---

 

甲殻類型異星人が、 普通にスープを飲んでいる。

 

 

---

 

半透明生物が、 果実酒っぽいものを漂わせている。

 

 

---

 

そして。

 

 

---

 

ヒツジ社員が、 普通に物流会議していた。

 

 

---

 

完全に。

 

“宇宙”

 

だった。

 

 

---

 

第八居住星系 中央ニュース

 

大盛り上がりだった。

 

 

---

 

> 「人類初! 外銀河交流開始!」

 

 

 

 

---

 

> 「研修団、 既に異星文明と接触!」

 

 

 

 

---

 

街頭インタビュー。

 

 

---

 

若い男。

 

 

---

 

> 「夢あるよなぁ!」

 

 

 

 

---

 

女子学生。

 

 

---

 

> 「私も行きたい!」

 

 

 

 

---

 

老人。

 

 

---

 

> 「宇宙時代だなぁ……」

 

 

 

 

---

 

だが。

 

 

---

 

別の老人。

 

 

---

 

> 「……どこまで行くんだ人類は」

 

 

 

 

---

 

少しだけ。

 

空気が静かになる。

 

 

---

 

研修船 展望区画

 

宇宙。

 

 

---

 

無数の輸送船。

 

光の航路。

 

 

---

 

その景色を見ながら。

 

研修生たちが黙っていた。

 

 

---

 

若い研修生。

 

 

---

 

> 「なぁ……」

 

 

 

 

---

 

> 「俺たち、 今まで狭い世界で生きてたんだな」

 

 

 

 

---

 

別の学生。

 

 

---

 

> 「国家とか、 戦争とかで騒いでさ」

 

 

 

 

---

 

窓の外。

 

 

---

 

銀河規模物流網。

 

 

---

 

学生。

 

 

---

 

> 「なんか全部、 小さく見えてきた」

 

 

 

 

---

 

その感覚は。

 

シュガリヴィにも分かってしまった。

 

 

---

 

ヒツジ文明を知ると。

 

 

---

 

人類文明は。

 

“地方”

 

になる。

 

 

---

 

それが。

 

あまりにも宇宙的だった。

 

 

---

 

研修船 物流管理室

 

巨大スクリーン。

 

 

---

 

そこへ映る。

 

 

---

 

無数の銀河。

 

 

---

 

無数の航路。

 

 

---

 

研修生たち。

 

完全沈黙。

 

 

---

 

ヒツジ物流管理員。

 

 

---

 

> 「現在、 七銀河物流圏接続中です。」

 

 

 

 

---

 

> 「この辺りは比較的安定市場ですね。」

 

 

 

 

---

 

比較的。

 

 

---

 

その単語が。

 

妙に怖かった。

 

 

---

 

研修生。

 

 

---

 

> 「……比較的?」

 

 

 

 

---

 

ヒツジ。

 

 

---

 

> 「はい。」

 

 

 

 

---

 

> 「文明崩壊率低いですので。」

 

 

 

 

---

 

空気が凍る。

 

 

---

 

ヒツジ。

 

きょとん。

 

 

---

 

> 「?」

 

 

 

 

---

 

まただ。

 

 

---

 

ヒツジは。

 

“文明崩壊”

 

すら。

 

 

---

 

“物流環境情報”

 

として扱っている。

 

 

---

 

シュガリヴィ記者 私的記録

 

私は最近。

 

人類文明を、 客観視し始めている。

 

 

---

 

国家。

 

軍事。

 

文化。

 

 

---

 

全部。

 

 

---

 

宇宙全体から見ると。

 

“地方文明特有の構造”

 

なのかもしれない。

 

 

---

 

そして今。

 

人類は初めて。

 

 

---

 

“銀河社会”

 

へ出始めている。

 

 

---

 

期待と。

 

恐怖と。

 

好奇心を抱えながら。

 

 

---

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。