羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】 作:ヒツジ(ラム肉
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銀河中央通信社速報
> 【速報】
外縁七星系第一次外銀河研修団、 正式出発。
人類史上初の大規模外銀河交流へ。
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同時速報
> ヒツジコーポ、 「人類文明は交流適性が高い」 と発表。
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第八物流港 特別発着区画
人で溢れていた。
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家族。
記者。
学生。
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そして。
巨大輸送船。
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今までの船より、 さらに異様だった。
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巨大。
静か。
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まるで。
“都市”
そのもの。
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若い研修生たちが、 列を作っている。
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> 「マジで外銀河かぁ……」
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> 「実感ねぇ……」
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> 「帰ってきたらどうなってるかな」
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笑っている。
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だが。
少し震えてもいた。
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シュガリヴィ記者 取材記録
人類文明は、 新しい段階へ入り始めていた。
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最初は。
接触。
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次に。
依存。
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そして今。
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“交流”
が始まっている。
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人類は。
ヒツジ文明へ飲み込まれるだけではない。
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自ら。
“外側”
へ出始めていた。
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それが。
私には少し意外だった。
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外銀河研修船 内部
広かった。
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異様なほど。
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農園区画。
発酵保管庫。
共同食堂。
居住区。
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そして。
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人類向け重力調整区画。
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完全に。
“長期文明輸送艦”
だった。
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若い研修生。
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> 「なんだこれ……」
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> 「宇宙船ってレベルじゃねぇ」
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ヒツジ案内員。
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> 「長距離物流艦ですので。」
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> 「十七年航行対応型です。」
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研修生たち。
止まる。
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> 「……は?」
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> 「十七年?」
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ヒツジ。
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> 「はい?」
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また。
その顔だった。
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悪意ゼロ。
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本当に。
“普通の説明”
として言っている。
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共同食堂
異様な光景だった。
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人類。
ヒツジ。
そして。
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見たことのない異星人。
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甲殻類みたいな種族。
半透明な生物。
浮遊してる何か。
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研修生たち。
完全停止。
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> 「……え?」
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> 「あれなに」
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> 「いや知らねぇよ」
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ヒツジ案内員。
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> 「第九交易文明の方ですね。」
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> 「温厚ですよ。」
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温厚。
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その基準が怖い。
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甲殻類型異星人が、 普通にスープを飲んでいる。
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半透明生物が、 果実酒っぽいものを漂わせている。
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そして。
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ヒツジ社員が、 普通に物流会議していた。
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完全に。
“宇宙”
だった。
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第八居住星系 中央ニュース
大盛り上がりだった。
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> 「人類初! 外銀河交流開始!」
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> 「研修団、 既に異星文明と接触!」
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街頭インタビュー。
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若い男。
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> 「夢あるよなぁ!」
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女子学生。
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> 「私も行きたい!」
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老人。
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> 「宇宙時代だなぁ……」
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だが。
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別の老人。
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> 「……どこまで行くんだ人類は」
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少しだけ。
空気が静かになる。
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研修船 展望区画
宇宙。
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無数の輸送船。
光の航路。
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その景色を見ながら。
研修生たちが黙っていた。
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若い研修生。
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> 「なぁ……」
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> 「俺たち、 今まで狭い世界で生きてたんだな」
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別の学生。
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> 「国家とか、 戦争とかで騒いでさ」
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窓の外。
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銀河規模物流網。
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学生。
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> 「なんか全部、 小さく見えてきた」
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その感覚は。
シュガリヴィにも分かってしまった。
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ヒツジ文明を知ると。
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人類文明は。
“地方”
になる。
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それが。
あまりにも宇宙的だった。
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研修船 物流管理室
巨大スクリーン。
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そこへ映る。
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無数の銀河。
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無数の航路。
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研修生たち。
完全沈黙。
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ヒツジ物流管理員。
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> 「現在、 七銀河物流圏接続中です。」
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> 「この辺りは比較的安定市場ですね。」
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比較的。
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その単語が。
妙に怖かった。
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研修生。
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> 「……比較的?」
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ヒツジ。
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> 「はい。」
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> 「文明崩壊率低いですので。」
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空気が凍る。
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ヒツジ。
きょとん。
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> 「?」
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まただ。
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ヒツジは。
“文明崩壊”
すら。
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“物流環境情報”
として扱っている。
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シュガリヴィ記者 私的記録
私は最近。
人類文明を、 客観視し始めている。
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国家。
軍事。
文化。
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全部。
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宇宙全体から見ると。
“地方文明特有の構造”
なのかもしれない。
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そして今。
人類は初めて。
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“銀河社会”
へ出始めている。
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期待と。
恐怖と。
好奇心を抱えながら。
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