羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】 作:ヒツジ(ラム肉
---
銀河中央通信社速報
> 【速報】
第一次外銀河研修団、 第三物流環状帯へ到達。
人類初の外銀河市場交流を確認。
---
同時速報
> ヒツジコーポ、 「人類文明は予測以上に適応中」 と発表。
---
第三物流環状帯
研修生たちは、 言葉を失っていた。
---
巨大だった。
---
あまりにも。
---
宇宙空間。
---
そこに。
“市場”
が存在していた。
---
無数の人工構造物。
輸送艦。
交易港。
文明群。
---
そして。
---
数え切れない異星人。
---
完全に。
“銀河文明圏”
だった。
---
若い研修生。
---
> 「……なんだこれ」
---
> 「SFじゃねぇか……」
---
ヒツジ案内員。
---
> 「物流中継市場ですね。」
---
> 「比較的中規模です。」
---
中規模。
---
その基準が、 もう分からない。
---
シュガリヴィ記者 取材記録
人類は。
ついに。
---
“銀河社会”
を見てしまった。
---
しかも。
そこは。
---
戦争でも。
征服でも。
帝国でもない。
---
“物流”
で繋がっていた。
---
それが。
私には最も宇宙的に見えた。
---
第三物流市場
異星文明たちが、 普通に商売していた。
---
鉱物。
食料。
文化。
技術。
---
全部が、 流れている。
---
甲殻類型文明。
---
> 「最近、 第七腕部市場荒れてますね」
---
浮遊生物。
---
> 「物流止まると困るんですよねぇ」
---
その横で。
---
人類研修生たちが、 呆然としている。
---
誰も。
人類へ注目していない。
---
それが。
逆に衝撃だった。
---
研修生。
---
> 「……俺たち、 特別じゃなかったんだな」
---
ヒツジ案内員。
---
> 「はい?」
---
> 「交流文明は沢山ありますよ?」
---
本当に。
---
その程度の話として、 返された。
---
第三物流市場 食堂街
さらに異様だった。
---
異星料理。
発酵食品。
未知の香辛料。
---
匂いだけで、 頭がおかしくなりそうだった。
---
若い研修生。
---
> 「うまっ!?」
---
> 「なんだこれ!」
---
ヒツジ調理員。
---
> 「第五銀河系香辛料ですね。」
---
> 「人類適性高いです。」
---
研修生。
---
> 「適性ってなんだよ……」
---
だが。
笑っていた。
---
恐怖だけではない。
---
人類は今。
“宇宙へ適応”
し始めている。
---
第八居住星系 中央広場
ニュース中継。
---
人々が、 巨大モニターを見上げていた。
---
異星市場。
銀河物流。
外銀河文明。
---
市民たち。
完全に混乱している。
---
主婦。
---
> 「宇宙広すぎない?」
---
若い男。
---
> 「なんかもう、 人類圏ちっちゃいな……」
---
老人。
---
> 「……昔は隣国で騒いでたんだがなぁ」
---
誰も笑えなかった。
---
研修船 展望区画
窓の外。
---
銀河。
---
そして。
その向こう。
---
さらに別の銀河。
---
無数の光。
---
研修生たちが、 静かに見つめている。
---
その中の一人が、 ぽつりと呟いた。
---
> 「俺、 帰ったら何話せばいいんだろ」
---
別の学生。
---
> 「“宇宙は広かった” しか出ねぇ」
---
小さな笑い。
---
だが。
その笑いには。
“世界が変わった実感”
が混ざっていた。
---
物流管理室
ヒツジたちが、 普通に業務している。
---
> 「第六市場、 発酵資源高騰してますね」
---
> 「文明成長期ですので。」
---
> 「輸送量増やしましょう。」
---
その背後。
---
銀河地図。
---
無数の文明圏。
---
シュガリヴィは、 その光景を見ながら理解する。
---
ヒツジコーポは。
“企業”
ではない。
---
“文明間循環機構”
なのだ。
---
物流。
市場。
食料。
交流。
---
それらを繋ぐ。
---
銀河規模の、 巨大な血管。
---
そして。
人類は今。
---
その中へ、 入り始めている。
---
シュガリヴィ記者 私的記録
私は最近。
恐怖と同時に。
---
少しだけ。
期待している。
---
宇宙は広い。
---
広すぎる。
---
だが。
---
人類は、 そこへ触れてしまった。
---
もう戻れない。
---
だが。
---
もしかすると。
---
“人類文明”
は。
---
これから始まるのかもしれない。
---