羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】   作:ヒツジ(ラム肉

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第九話 後編 『接続文明 後編 ― 銀河の海』

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銀河中央通信社速報

 

> 【速報】

 

第一次外銀河研修団、 第三物流環状帯へ到達。

 

人類初の外銀河市場交流を確認。

 

 

 

 

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同時速報

 

> ヒツジコーポ、 「人類文明は予測以上に適応中」 と発表。

 

 

 

 

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第三物流環状帯

 

研修生たちは、 言葉を失っていた。

 

 

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巨大だった。

 

 

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あまりにも。

 

 

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宇宙空間。

 

 

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そこに。

 

“市場”

 

が存在していた。

 

 

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無数の人工構造物。

 

輸送艦。

 

交易港。

 

文明群。

 

 

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そして。

 

 

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数え切れない異星人。

 

 

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完全に。

 

“銀河文明圏”

 

だった。

 

 

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若い研修生。

 

 

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> 「……なんだこれ」

 

 

 

 

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> 「SFじゃねぇか……」

 

 

 

 

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ヒツジ案内員。

 

 

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> 「物流中継市場ですね。」

 

 

 

 

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> 「比較的中規模です。」

 

 

 

 

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中規模。

 

 

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その基準が、 もう分からない。

 

 

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シュガリヴィ記者 取材記録

 

人類は。

 

ついに。

 

 

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“銀河社会”

 

を見てしまった。

 

 

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しかも。

 

そこは。

 

 

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戦争でも。

 

征服でも。

 

帝国でもない。

 

 

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“物流”

 

で繋がっていた。

 

 

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それが。

 

私には最も宇宙的に見えた。

 

 

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第三物流市場

 

異星文明たちが、 普通に商売していた。

 

 

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鉱物。

 

食料。

 

文化。

 

技術。

 

 

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全部が、 流れている。

 

 

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甲殻類型文明。

 

 

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> 「最近、 第七腕部市場荒れてますね」

 

 

 

 

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浮遊生物。

 

 

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> 「物流止まると困るんですよねぇ」

 

 

 

 

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その横で。

 

 

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人類研修生たちが、 呆然としている。

 

 

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誰も。

 

人類へ注目していない。

 

 

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それが。

 

逆に衝撃だった。

 

 

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研修生。

 

 

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> 「……俺たち、 特別じゃなかったんだな」

 

 

 

 

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ヒツジ案内員。

 

 

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> 「はい?」

 

 

 

 

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> 「交流文明は沢山ありますよ?」

 

 

 

 

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本当に。

 

 

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その程度の話として、 返された。

 

 

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第三物流市場 食堂街

 

さらに異様だった。

 

 

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異星料理。

 

発酵食品。

 

未知の香辛料。

 

 

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匂いだけで、 頭がおかしくなりそうだった。

 

 

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若い研修生。

 

 

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> 「うまっ!?」

 

 

 

 

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> 「なんだこれ!」

 

 

 

 

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ヒツジ調理員。

 

 

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> 「第五銀河系香辛料ですね。」

 

 

 

 

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> 「人類適性高いです。」

 

 

 

 

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研修生。

 

 

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> 「適性ってなんだよ……」

 

 

 

 

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だが。

 

笑っていた。

 

 

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恐怖だけではない。

 

 

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人類は今。

 

“宇宙へ適応”

 

し始めている。

 

 

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第八居住星系 中央広場

 

ニュース中継。

 

 

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人々が、 巨大モニターを見上げていた。

 

 

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異星市場。

 

銀河物流。

 

外銀河文明。

 

 

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市民たち。

 

完全に混乱している。

 

 

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主婦。

 

 

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> 「宇宙広すぎない?」

 

 

 

 

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若い男。

 

 

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> 「なんかもう、 人類圏ちっちゃいな……」

 

 

 

 

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老人。

 

 

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> 「……昔は隣国で騒いでたんだがなぁ」

 

 

 

 

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誰も笑えなかった。

 

 

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研修船 展望区画

 

窓の外。

 

 

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銀河。

 

 

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そして。

 

その向こう。

 

 

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さらに別の銀河。

 

 

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無数の光。

 

 

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研修生たちが、 静かに見つめている。

 

 

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その中の一人が、 ぽつりと呟いた。

 

 

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> 「俺、 帰ったら何話せばいいんだろ」

 

 

 

 

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別の学生。

 

 

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> 「“宇宙は広かった” しか出ねぇ」

 

 

 

 

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小さな笑い。

 

 

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だが。

 

その笑いには。

 

“世界が変わった実感”

 

が混ざっていた。

 

 

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物流管理室

 

ヒツジたちが、 普通に業務している。

 

 

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> 「第六市場、 発酵資源高騰してますね」

 

 

 

 

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> 「文明成長期ですので。」

 

 

 

 

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> 「輸送量増やしましょう。」

 

 

 

 

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その背後。

 

 

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銀河地図。

 

 

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無数の文明圏。

 

 

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シュガリヴィは、 その光景を見ながら理解する。

 

 

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ヒツジコーポは。

 

“企業”

 

ではない。

 

 

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“文明間循環機構”

 

なのだ。

 

 

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物流。

 

市場。

 

食料。

 

交流。

 

 

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それらを繋ぐ。

 

 

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銀河規模の、 巨大な血管。

 

 

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そして。

 

人類は今。

 

 

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その中へ、 入り始めている。

 

 

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シュガリヴィ記者 私的記録

 

私は最近。

 

恐怖と同時に。

 

 

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少しだけ。

 

期待している。

 

 

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宇宙は広い。

 

 

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広すぎる。

 

 

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だが。

 

 

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人類は、 そこへ触れてしまった。

 

 

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もう戻れない。

 

 

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だが。

 

 

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もしかすると。

 

 

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“人類文明”

 

は。

 

 

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これから始まるのかもしれない。

 

 

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