羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】 作:ヒツジ(ラム肉
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銀河中央通信社速報
> 【特集】
外縁七星系、 ヒツジコーポ接触から五十八年。
“銀河世代”が成人人口の過半数へ。
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同時速報
> 若年層意識調査、 「異星文明との共存は当然」 が九割を超える。
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第八居住星系 中央交流都市
もはや。
昔の街ではなかった。
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巨大物流塔。
多文明市場。
外銀河発着港。
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そして。
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無数の異星人。
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甲殻類型。
浮遊型。
半透明型。
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全部。
普通に歩いている。
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子供たちが、 その横を走り抜ける。
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誰も気にしない。
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シュガリヴィは、 立ち止まる。
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昔なら。
大騒ぎだった。
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今は。
“日常”。
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シュガリヴィ記者 取材記録
六十年近くが過ぎた。
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人類は変わった。
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いや。
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変わらざるを得なかった。
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物流。
市場。
文明交流。
外銀河。
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それらは。
もはや特別ではない。
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そして今。
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“ヒツジ以前”
を知らない世代が現れ始めている。
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それが。
私には何より大きかった。
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第八文明交流学院
校庭。
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人類。
ヒツジ。
異星人。
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子供たちが、 一緒に遊んでいる。
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完全に。
“多文明学校”。
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教師。
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> 「次、 第三銀河文化交流授業ですよー」
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子供たち。
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> 「はーい!」
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その中の男の子が、 友達へ聞く。
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> 「ねぇ、 昔って本当に 人類だけだったの?」
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ヒツジの子供。
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> 「らしいですよ?」
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甲殻類型の子供。
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> 「不便そうですね。」
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笑い声。
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シュガリヴィは、 少しだけ目を閉じる。
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不便。
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かつての人類文明は。
“不便”
になった。
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中央家庭街
夕食時。
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一家団欒。
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だが。
昔と違う。
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食卓。
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地球料理。
異星香辛料。
ヒツジ発酵食品。
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全部混ざっている。
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娘。
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> 「今日、 第七銀河の子と話した!」
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父親。
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> 「へぇ、 どんな文明?」
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娘。
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> 「重力違うから、 建物全部丸いんだって!」
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母親。
笑う。
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完全に。
“銀河社会”
だった。
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第八居住星系 旧農村地域
静かだった。
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以前より。
さらに。
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だが。
消えてはいない。
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小さな畑。
伝統祭り。
古い神社。
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逆に。
保存され始めていた。
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観光客。
異星人。
若者。
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全部来る。
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老人。
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> 「昔はな、 こんなん当たり前だったんだ」
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若い観光客。
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> 「へぇー! “地球時代文化”だ!」
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老人。
少し苦笑い。
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地球時代。
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自分たちの時代が。
“歴史”
になっていた。
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中央ニュース 特集番組
タイトル。
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『銀河世代とは何か』
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若者インタビュー。
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> 「国家って、 正直あんまり意識しないですね」
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> 「物流圏の方が生活近いです」
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> 「異星人普通ですよ?」
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> 「外銀河行ったことない人、 少ないんじゃないですか?」
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シュガリヴィは、 少し頭を抱えたくなる。
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たった数十年で。
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“宇宙”
が。
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“地方の日常”
になっていた。
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第八交流港
巨大外銀河便。
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子供たちが、 遠足で見学している。
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教師。
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> 「この便は 第五銀河物流環状帯へ向かいます。」
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子供。
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> 「わー!」
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> 「でっかーい!」
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> 「乗ってみたい!」
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昔なら。
恐怖の対象だった。
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今は。
“憧れ”。
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その時。
一人の少女が、 シュガリヴィへ聞いた。
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> 「おじいさん。」
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> 「昔って、 本当にヒツジさん居なかったの?」
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シュガリヴィ。
止まる。
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少女。
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> 「なんか想像できない。」
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その言葉が。
今までで一番、 時代の流れを感じさせた。
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シュガリヴィ記者 私的記録
人類は変わった。
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変わらざるを得なかった。
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だが。
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その変化は。
破滅ではなかった。
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むしろ。
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広がりだった。
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ただ。
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あまりにも遠くまで、 来てしまっただけで。
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