羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】   作:ヒツジ(ラム肉

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第十一話 前編 『銀河世代 前編 ― ヒツジ以前を知らない子供たち』

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銀河中央通信社速報

 

> 【特集】

 

外縁七星系、 ヒツジコーポ接触から五十八年。

 

“銀河世代”が成人人口の過半数へ。

 

 

 

 

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同時速報

 

> 若年層意識調査、 「異星文明との共存は当然」 が九割を超える。

 

 

 

 

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第八居住星系 中央交流都市

 

もはや。

 

昔の街ではなかった。

 

 

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巨大物流塔。

 

多文明市場。

 

外銀河発着港。

 

 

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そして。

 

 

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無数の異星人。

 

 

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甲殻類型。

 

浮遊型。

 

半透明型。

 

 

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全部。

 

普通に歩いている。

 

 

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子供たちが、 その横を走り抜ける。

 

 

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誰も気にしない。

 

 

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シュガリヴィは、 立ち止まる。

 

 

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昔なら。

 

大騒ぎだった。

 

 

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今は。

 

“日常”。

 

 

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シュガリヴィ記者 取材記録

 

六十年近くが過ぎた。

 

 

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人類は変わった。

 

 

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いや。

 

 

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変わらざるを得なかった。

 

 

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物流。

 

市場。

 

文明交流。

 

外銀河。

 

 

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それらは。

 

もはや特別ではない。

 

 

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そして今。

 

 

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“ヒツジ以前”

 

を知らない世代が現れ始めている。

 

 

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それが。

 

私には何より大きかった。

 

 

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第八文明交流学院

 

校庭。

 

 

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人類。

 

ヒツジ。

 

異星人。

 

 

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子供たちが、 一緒に遊んでいる。

 

 

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完全に。

 

“多文明学校”。

 

 

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教師。

 

 

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> 「次、 第三銀河文化交流授業ですよー」

 

 

 

 

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子供たち。

 

 

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> 「はーい!」

 

 

 

 

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その中の男の子が、 友達へ聞く。

 

 

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> 「ねぇ、 昔って本当に 人類だけだったの?」

 

 

 

 

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ヒツジの子供。

 

 

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> 「らしいですよ?」

 

 

 

 

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甲殻類型の子供。

 

 

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> 「不便そうですね。」

 

 

 

 

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笑い声。

 

 

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シュガリヴィは、 少しだけ目を閉じる。

 

 

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不便。

 

 

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かつての人類文明は。

 

“不便”

 

になった。

 

 

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中央家庭街

 

夕食時。

 

 

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一家団欒。

 

 

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だが。

 

昔と違う。

 

 

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食卓。

 

 

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地球料理。

 

異星香辛料。

 

ヒツジ発酵食品。

 

 

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全部混ざっている。

 

 

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娘。

 

 

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> 「今日、 第七銀河の子と話した!」

 

 

 

 

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父親。

 

 

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> 「へぇ、 どんな文明?」

 

 

 

 

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娘。

 

 

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> 「重力違うから、 建物全部丸いんだって!」

 

 

 

 

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母親。

 

笑う。

 

 

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完全に。

 

“銀河社会”

 

だった。

 

 

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第八居住星系 旧農村地域

 

静かだった。

 

 

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以前より。

 

さらに。

 

 

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だが。

 

消えてはいない。

 

 

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小さな畑。

 

伝統祭り。

 

古い神社。

 

 

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逆に。

 

保存され始めていた。

 

 

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観光客。

 

異星人。

 

若者。

 

 

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全部来る。

 

 

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老人。

 

 

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> 「昔はな、 こんなん当たり前だったんだ」

 

 

 

 

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若い観光客。

 

 

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> 「へぇー! “地球時代文化”だ!」

 

 

 

 

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老人。

 

少し苦笑い。

 

 

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地球時代。

 

 

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自分たちの時代が。

 

“歴史”

 

になっていた。

 

 

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中央ニュース 特集番組

 

タイトル。

 

 

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『銀河世代とは何か』

 

 

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若者インタビュー。

 

 

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> 「国家って、 正直あんまり意識しないですね」

 

 

 

 

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> 「物流圏の方が生活近いです」

 

 

 

 

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> 「異星人普通ですよ?」

 

 

 

 

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> 「外銀河行ったことない人、 少ないんじゃないですか?」

 

 

 

 

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シュガリヴィは、 少し頭を抱えたくなる。

 

 

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たった数十年で。

 

 

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“宇宙”

 

が。

 

 

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“地方の日常”

 

になっていた。

 

 

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第八交流港

 

巨大外銀河便。

 

 

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子供たちが、 遠足で見学している。

 

 

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教師。

 

 

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> 「この便は 第五銀河物流環状帯へ向かいます。」

 

 

 

 

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子供。

 

 

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> 「わー!」

 

 

 

 

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> 「でっかーい!」

 

 

 

 

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> 「乗ってみたい!」

 

 

 

 

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昔なら。

 

恐怖の対象だった。

 

 

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今は。

 

“憧れ”。

 

 

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その時。

 

一人の少女が、 シュガリヴィへ聞いた。

 

 

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> 「おじいさん。」

 

 

 

 

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> 「昔って、 本当にヒツジさん居なかったの?」

 

 

 

 

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シュガリヴィ。

 

止まる。

 

 

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少女。

 

 

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> 「なんか想像できない。」

 

 

 

 

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その言葉が。

 

今までで一番、 時代の流れを感じさせた。

 

 

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シュガリヴィ記者 私的記録

 

人類は変わった。

 

 

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変わらざるを得なかった。

 

 

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だが。

 

 

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その変化は。

 

破滅ではなかった。

 

 

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むしろ。

 

 

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広がりだった。

 

 

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ただ。

 

 

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あまりにも遠くまで、 来てしまっただけで。

 

 

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