羊たちが運んできた宇宙 【Welcome Humanity】   作:ヒツジ(ラム肉

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第十一話 中編 『銀河世代 中編 ― 国家を知らない世代』

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銀河中央通信社速報

 

> 【特集】

 

外縁七星系若年層、 “物流圏帰属意識”が国家意識を上回る。

 

世代間認識差が拡大。

 

 

 

 

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同時速報

 

> 第八交流都市、 異星系定住者比率三割を突破。

 

 

 

 

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第八交流都市 中央駅

 

昔なら。

 

“宇宙港”と呼ばれていた。

 

 

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今は。

 

ただの通勤駅みたいだった。

 

 

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無数の種族。

 

 

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人類。

 

ヒツジ。

 

甲殻類型。

 

浮遊型。

 

 

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全部。

 

普通に乗り降りしている。

 

 

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学生たち。

 

 

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> 「今日、 第三銀河便遅れてるー」

 

 

 

 

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> 「物流事故らしい」

 

 

 

 

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> 「またかー」

 

 

 

 

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完全に。

 

“銀河通勤”。

 

 

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シュガリヴィは、 少し遠い目をした。

 

 

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昔。

 

人類は。

 

“銀河”

 

を夢見ていた。

 

 

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今は。

 

“銀河遅延”

 

で文句を言っている。

 

 

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シュガリヴィ記者 取材記録

 

銀河世代は。

 

国家感覚が薄い。

 

 

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いや。

 

正確には。

 

 

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“国家より大きいもの”

 

を先に知っている。

 

 

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物流圏。

 

交流市場。

 

文明網。

 

 

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彼らにとって。

 

それが現実だ。

 

 

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だから。

 

国家という概念そのものが。

 

“地方制度”

 

に近づいている。

 

 

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第八文明交流学院 歴史授業

 

教師。

 

 

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> 「では今日は、 “国家時代”について学びます。」

 

 

 

 

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教室。

 

ざわつく。

 

 

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子供。

 

 

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> 「国家時代って?」

 

 

 

 

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> 「物流圏できる前?」

 

 

 

 

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教師。

 

 

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> 「そうですね。」

 

 

 

 

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> 「昔の人類は、 国家単位で社会を作っていました。」

 

 

 

 

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ヒツジの子供。

 

 

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> 「非効率ですね。」

 

 

 

 

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教師。

 

苦笑い。

 

 

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> 「当時はそれが普通でした。」

 

 

 

 

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シュガリヴィ。

 

後ろで見学しながら、 少し息を吐く。

 

 

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国家。

 

 

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ついに。

 

“歴史授業”

 

になった。

 

 

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中央交流市場

 

巨大だった。

 

 

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外銀河商品。

 

異星料理。

 

文明展示。

 

 

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若者たちが、 普通に異星人と値段交渉している。

 

 

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若い店員。

 

 

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> 「第七銀河産香辛料、 今値上がりしてますよー」

 

 

 

 

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客。

 

 

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> 「物流詰まり?」

 

 

 

 

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> 「文明成長期らしいです」

 

 

 

 

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完全に。

 

“銀河市場市民”。

 

 

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そこへ。

 

年配男性が入ってくる。

 

 

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昔ながらのスーツ。

 

国家章。

 

 

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若者たち。

 

 

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> 「あ、 地方政府の人だ」

 

 

 

 

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地方政府。

 

 

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シュガリヴィは、 その単語で止まる。

 

 

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昔なら。

 

“国家官僚”。

 

 

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今は。

 

“地方政府”。

 

 

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完全に、 時代が変わっていた。

 

 

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中央ニュース 特別討論

 

タイトル。

 

 

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『国家は必要か』

 

 

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昔なら炎上していた。

 

 

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今は。

 

普通に公共番組。

 

 

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若い世代代表。

 

 

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> 「国家は必要です。」

 

 

 

 

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年配世代。

 

安心した顔。

 

 

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若者。

 

続ける。

 

 

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> 「地域文化維持に。」

 

 

 

 

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空気が止まる。

 

 

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若者。

 

 

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> 「あと行政サービス。」

 

 

 

 

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> 「物流圏だけじゃ細かい対応無理ですし。」

 

 

 

 

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司会者。

 

 

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> 「つまり……」

 

 

 

 

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若者。

 

 

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> 「地方自治体みたいなものですよね。」

 

 

 

 

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完全に。

 

“国家の格下げ”。

 

 

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だが。

 

若者に悪意は無かった。

 

 

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本当に。

 

“そういう感覚”

 

なのだ。

 

 

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第八交流港 展望広場

 

夕暮れ。

 

 

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巨大物流船。

 

外銀河便。

 

 

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子供たちが、 それを見上げている。

 

 

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男の子。

 

 

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> 「大きくなったら 外銀河物流員になる!」

 

 

 

 

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女の子。

 

 

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> 「私は交流調整官!」

 

 

 

 

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別の子。

 

 

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> 「第九文明圏行きたい!」

 

 

 

 

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完全に。

 

“銀河時代の子供”。

 

 

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その時。

 

一人の子供が、 シュガリヴィへ聞いた。

 

 

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> 「おじいさん。」

 

 

 

 

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> 「昔って、 異星人居なくて怖くなかったの?」

 

 

 

 

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シュガリヴィ。

 

止まる。

 

 

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怖い。

 

 

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昔の人類は。

 

“孤独”

 

だった。

 

 

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その感覚を。

 

今の子供たちは、 もう理解できない。

 

 

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第八旧行政区

 

静かだった。

 

 

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昔の国家庁舎群。

 

 

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今は。

 

一部が博物館。

 

 

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看板。

 

 

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『国家時代行政資料館』

 

 

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シュガリヴィ。

 

思わず笑いそうになる。

 

 

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国家時代。

 

 

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まるで。

 

古代文明。

 

 

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だが。

 

まだ六十年も経っていない。

 

 

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シュガリヴィ記者 私的記録

 

人類は。

 

静かに。

 

 

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だが決定的に、 変わってしまった。

 

 

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国家。

 

国境。

 

人類中心主義。

 

 

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それらは。

 

消えてはいない。

 

 

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だが。

 

 

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“絶対”

 

ではなくなった。

 

 

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そして今。

 

 

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銀河世代は。

 

最初から。

 

“宇宙の中の人類”

 

として生きている。

 

 

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それは。

 

恐ろしくもあり。

 

 

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少しだけ。

 

希望にも見えた。

 

 

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