四糸乃デンドログラム   作:姫河ハヅキ

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一話しか投稿してなかったのに、しかもキャラメイクまでしか描写してなかったのに評価やしおりがあってびっくりしました。
いや、もちろん嬉しいんですけどね???


第二話 ジョブと初戦闘

 ギルド内部は外から見た以上に広かった。

 巨大な木の内部をくり抜いているはずなのに圧迫感はない。むしろ天井は高く、吹き抜け構造になっていた。

 依頼掲示板の前で話し合う者や装備を確認している者、受付で何か手続きをしている者など何人もの冒険者が行き来している。

 そんな者たちを尻目に四糸乃は迷わず正面カウンターへ向かった。

 

「すみません」

 

「あ、はい! いらっしゃいませ!」

 

 受付にいた女性エルフが笑顔を向ける。

 

「初めての利用でしょうか?」

「はい」

 左手の〈エンブリオ〉を見て、納得したように頷く。

 

「あ、〈マスター〉さんですね」

 

 そこから簡単な説明を受けた。

 依頼の受注。

 素材の買い取り。

 パーティ登録。

 その他諸々。

 四糸乃は必要そうな情報を整理していく。

 

「それでですね、〈マスター〉さんは最初にジョブを取得してもらいます」

 

「ジョブ」

 

「はい。ジョブクリスタルから取得できます」

 

 受付嬢はギルド奥を指差した。

 そこには小部屋が並んでいた。

 入口上部には文字が書かれている。

 戦闘系(前衛職)、戦闘系(後衛職)、非戦闘系をはじめとして他にも色々ある。

 

「取得したいジョブの系統に対応したジョブクリスタルへ触れて選ぶだけです」

 

「なるほど」

 

 四糸乃は納得したかのように頷いた。

 

「決まりましたか?」

 

「はい」

 

「何にされます?」

 

「【魔術師】で」

 

「理由を聞いても?」

 

「遠距離攻撃が可能なので」

 

 即答だった。

 

「近接戦闘は被弾率が高いですよね」

 

「はい」

 

「このアバターは小柄です」

 

「……はい?」

 

「体格差がある相手との接近戦は効率が悪いと判断しました」

 

「なるほど……」

 受付嬢は眼前の少女の無機質さに困惑する。

 理屈は分かるが、他にこう、「魔法がかっこいい」みたいな子供らしい理由はないのかと。

 しかしそこはプロ。言葉を飲み込み、丁寧に四糸乃に対応する。

 

「では、行ってらっしゃいませ」

 

「ありがとうございます」

 

 一礼して、四糸乃はジョブクリスタルがある部屋へ向かった。

 中には台座が一つ。

 そしてその上には、青白く輝く水晶が静かに浮いていた。

 これがジョブクリスタル。

 四糸乃は少しだけそれを見つめ――手を伸ばした。

 

【【魔術師】を取得しました】

【ジョブスキルを獲得しました】

【スキルを獲得しました】

 

 視界の端へ文字列が流れていく。

 

「……便利ですね」

 

 四糸乃は手を軽く握ったり開いたりする。

 魔法を使える実感はまだない。

 だがステータス画面では職業欄に【魔術師】が記載されており、スキル欄にも先程までなかったものがずらりと並んでいる。

 実感はまだ薄いが、無事にジョブは取得できたらしい。

 部屋を出ると、先ほどの受付嬢が待っていた。

 

「お帰りなさい。どうでした?」

 

「問題なくジョブを取得しましたのでクエストを受注します」

 

「え?」

 

「実戦で確認した方が効率が良いので」

 

「えっ」

 

 受付嬢は困惑した。

 今ジョブを取得したばかりではなかっただろうか、と。

 

 

 アムニールから少し離れた森へ続く草原地帯を、四糸乃は周囲を観察しながら歩いていた。

 

「視界良好、障害物は音が鳴りそうな草むら以外はほぼなし、奇襲を受ける可能性は低いですね」

 

 そんなことを呟いていると、ガサリ、と草むらが揺れた。

 呼ばれましたかと言わんばかりのタイミングで飛び出してきたのは緑色の肌をした一匹の小鬼。

 

「これが【リトルゴブリン】」

 

 四糸乃が初期装備である腰のナイフへ手を――伸ばしかけて止めた。

 自分のジョブを思い出したのだ。

 

「……違いますね」

 

 代わりに右手を前へ出した。

 心の中で選択すると、視界の端に《ファイアーボール》という文字列とその横にゲージが出現する。

 ゲージはみるみる溜まっていき、数秒で満タンとなる。準備完了ということだろう。

 

「《ファイアーボール》」

 

 スキル名を唱えると火の球が生成されて飛んでいき、 【リトルゴブリン】に命中し、そのHPを大きく削る。

 相手はモンスターの中でも最弱と名高いが、こちらとて下級職一つ目のレベル1、エンブリオもまだ孵化していない最弱の状態。一撃で葬ることなどできようはずがない。

 しかし攻撃を受けたことで小鬼は怯んでおり、動きを止めている。大きい隙だ。

 今度こそナイフを構え、【リトルゴブリン】の急所をめがけて突き刺すとHPがゼロになり、ポリゴン片となって消滅する。

 ステータス画面を確認すれば経験値も入ってる。

 初戦闘、勝利である。

 

 

 結果としてリトルゴブリン一匹の討伐には成功した。

 魔法を命中させ、動きを止め、ナイフで止めを刺す。

 初戦にしては悪くない。

「……なるほど。魔法だけでは隙が大きいですが、かといって近接だけでは危険。改善の余地があります」

 

 問題点を整理していると、

 ガサガサガサッ!

 周囲の草むらが大きく揺れた。

 一方向ではない。

 二つ。

 三つ。

 四つ。

 そして。

 視界へ現れたのは複数の【リトルゴブリン】。

 一匹ではない。二匹でもない。

 

「……六匹」

 

 下級職一つ目で問題なく討伐可能な初心者向けモンスターとはいえ、数が問題だった。

 一対一なら問題ない。二対一もおそらく対応可能。

 だが六対一。今の自分では処理速度が足りない。

 

「戦力不足ですね」

 

 自分たちの有利を悟った【リトルゴブリン】たちが飛び掛かってくる。

 瞬間。

 左手の甲が熱を帯びた。

 今までとは比べものにならないほど強く。

 卵型の宝石が、眩く輝く。

 

「これは……」

 

 白い光が溢れる。

 光は空中で形を変え、四糸乃の手元で形を成していく。

 パペットのように四糸乃の手を覆い、兎の耳のように突起が二つ伸び、見覚えしかない姿へと変わっていく。

 

「さぁさぁ皆さんご注目ー!我こそは正義と愛の使者! 四糸乃の頼れる相棒! 【ザドキエル】だよーん」

 

 間延びした元気な声。

 両手を広げて現れたその姿を見て、四糸乃は数秒止まった。

 

「…………」

 

「…………あれ?」

 

 元気よく出てきた相手も止まった。

 

「四糸乃さん?」

 

「……」

 

 四糸乃は左手の紋章を見た。

 目の前を見る。

 また紋章を見る。

 

「…………」

 

「四糸乃さーん?」

 

 そして。

 

「アバターは寄せましたが、エンブリオの銘と形態までこうなるのは予想外です」

 

「そこ!?」




〇エンブリオ、孵化
(╹ x ╹)<さっそく初戦闘でエンブリオ孵化です

(╹ x ╹)<見た目や銘は・・・まぁご都合主義です

(◕ x ◕)<いぇーい。ぴすぴす

(╹ x ╹)<カテゴリーやステータスは次回に持ち越しです
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