四糸乃デンドログラム   作:姫河ハヅキ

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週一投稿·······できるといいなぁ
多分むりそうです、二週間に一度は投稿したい所存


第四話 新たな出会いとクエスト

 その後一か月ほど、四糸乃は【ザドキエル】と共にアムニール周辺の狩場を巡ってレベリングを続けた。

 森、洞窟、草原など様々なロケーションで、【リトルゴブリン】や【ティールウルフ】など多種多様なモンスターを相手にすることでジョブレベルだけでなく自分自身の対応力を鍛えた。

 時には格上のモンスターを相手にすることもあり、時には複数のモンスターをまとめて討伐することもあった。

 戦闘を重ねるたびに経験は積み重なる。ジョブレベルは上昇し、新たなジョブを獲得し、〈エンブリオ〉も成長していった。

 新しく獲得したジョブは下級職が【斥候(スカウト)】と【騎兵(ライダー)】。【ザドキエル】のステータス補正はAGIが最も高いため、AGIが上がりやすいジョブを選んだ結果だ。

 上級職が【白氷術師(ヘイルマンサー)】。言うまでもなく”氷芽川四糸乃”に合っているのは氷属性であるため、四糸乃は【魔術師(メイジ)】に就いた頃から上級職の一つはこれにしようと決めていたのだ。

 また、戦闘を重ねた結果【ザドキエル】との『累ね』は安定性が増し、今や戦闘におけるメイン火力だ。【白氷術師】に続いて他の魔術師系統上級職に就くことでさらに戦闘力を上げる予定だ。

 そして〈エンブリオ〉。【ザドキエル】は第三形態まで進化し、新たなスキルと形態を獲得した。

 

◇◆◇◆◇◆

 

 その日、四糸乃はギルドを訪れていた。

 目的は新たな狩場の情報収集とクエストの確認である。

 掲示板を眺めながら条件の良い依頼を探していると、ふと視界の端に気になるものが映った。

 

「·······?」

 

 視線を向けると、そこには着ぐるみがいた。

 狐の着ぐるみだ。剣と魔法のファンタジーにはとてもじゃないが似合わない。

 周辺の人物が剣や槍を背負ったり、鎧やローブを着る中で無手の着ぐるみが佇んでいる光景はいささかシュール過ぎる。

 冒険者達が無意識に距離を取っているのか、騒がしいギルドの中でそこだけ妙に静かだった。

 なぜ着ぐるみなのか、それも狐なのは何か理由があるのだろうか。

 

「·······ぬ?」

 

 どうやら視線を向けていたのがバレたらしい。着ぐるみがこちらを見つめてきた。

 

「なぁ、オマエはパーティを組んでいないのか」

 

 可憐な声だ。小柄だとは思っていたが、どうやら中身は少女らしい。

 

「えぇ、ソロですね」

 

「オマエのような年端も行かぬ少女が一人はやめておけ。パペットを付けていると尚更幼く見えるから子供好きの変態に狙われるぞ」

 

「·······お互い様ではないでしょうか」

 

 トーンを低くしたり口調を変えたりと大人っぽく振る舞おうとしているようだが、言動の端々から子供らしさが見える。大人に見られたい年頃なのだろう。

 

「ワタシはこの見た目だからな。まず話しかけられることがない」

 

「前衛職には見えませんが、ソロで大丈夫なんですか?」

 

「それこそお互い様だろう。いっそワタシとオマエで組むのはどうだ?」

 

「突然ですね。構いませんが」

 

「ではよろしく頼む。ワタシはエレイナ、下級職三つと上級職一つで合計レベルは214だ」

 

「氷芽川四糸乃です。同じく下級職三つに上級職一つの合計レベルは186です」

 

「ふむ、ならば亜竜級の群れでもいけるか」

 

「いけますね」

 

◇◆◇◆◇◆

 

「ここだな」

 

「ですね」

 

 到着したのはアムニールから少し離れた森の、少し奥まった辺りに存在する薄暗い洞窟。クエストの討伐対象モンスターの住処とされている場所だ。

 

「ギルドでは不特定多数に聞かれる危険性が高かったから省略していたが、ワタシのメインジョブは【大死霊(リッチ)】、下級職は【死霊術師(ネクロマンサー)】や【魔術師】だ。アンデッドモンスターに前衛を任せる魔法アタッカーである」

 

「では私からも。メインジョブは【白氷術師】、下級職は【魔術師】など後衛メインで、同じく魔法アタッカーです」

 

「·······戦闘の際に盾役はいないのか?」

 

「いないことはないですが、基本的に機動力と火力でやられる前にやる方針ですね」

 

「その見た目で、案外脳筋なのだな」

 

「脳筋なのは私ではなくこの子でして·······あ、このパペットが私の〈エンブリオ〉、【氷結傀儡 ザドキエル】です。一緒に魔法を撃ったり臨時の盾役がこの子です」

 

「む、そこまで手を明かされたならこちらも明かさないとフェアでないな。これがワタシの〈エンブリオ〉【死霊匣 イザナミ】だ。怨念やアンデッドを収納可能なアイテムボックスだが、直接戦闘にはあまり役に立たん」

 

 棺を思わせる意匠と禍々しい装飾が施されたアイテムボックス。微妙にカタカタ震えているのは気のせいだろうか。

 

「では洞窟に入·······る前に一ついいでしょうか」

 

「なんだ?」

 

「その着ぐるみは着たままで?」

 

「うむ。こう見えて特典武具だぞこれは」

 

「えぇ·······?」

 

 狐の着ぐるみなのは元のUBMが狐だからだろうが、どうアジャストしたら着ぐるみになるのかは疑問のままの四糸乃であった。

 

◇◆◇◆◇◆

 

 洞窟へ足を踏み入れると、ひんやりとした空気が肌を撫でた。天井や壁面には鉱石が露出しており、薄暗い内部をぼんやりと照らしている。

 

「鉱石系モンスターの住処らしい場所ですね」

 

「うむ。依頼書によれば【ミネラルアント】や【ロックゴーレム】が出没するらしい」

 

 エレイナの言葉に頷きながら、四糸乃は周囲へ視線を巡らせたその時だった。

 

 カサカサカサ―――

 

 壁面の隙間から無数の脚が現れる。

 

「来ましたね」

 

「まずは小手調べだな」

 

 姿を現したのは犬ほどの大きさを持つ巨大な蟻。顎には鉱石の欠片が付着している。

【ミネラルアント】。洞窟内の鉱石を食料とする蟲系モンスターだ。

 数は五匹。

 

「先手を取ります」

 

「うむ」

 

 四糸乃はザドキエルを構える。

 同時にザドキエルも耳をぴんと立てた。

 

「「《アイスバレット》」」

 

 重なる声。

 生み出された二発の氷弾は空中で重なり合い、一つの巨大な氷塊へと変化する。

 次の瞬間に轟音が響き渡り、先頭を走っていた【ミネラルアント】三匹がまとめて吹き飛んだ。

 ザドキエルが嬉しそうに耳を振る。

 

「ボクたちってば相変わらず息ぴったりー!」

 

「慣れましたから」

 

「「《ウィンドカッター》」」

 

 

 間髪入れず再びの『累ね』。

 大型化した風刃が洞窟内を薙ぎ払い、二匹を真っ二つにした。

 光となって消えるモンスター達。

 

「ほう」

 

 隣から感心したような声が聞こえた。

 

「そのパペット、ただ魔法を放つわけではないのだな」

 

「えぇ。同時に放つと魔法の威力が上がるので便利ですよ」

 

「便利で済ませる火力ではないと思うが」

 

 エレイナは少し呆れたように言った。

 しかしその直後。

 洞窟の奥から重い振動が響く。

 

 ズシン

 ズシン

 

 巨大な影が暗闇から姿を現した。

 岩石で構成された人型、【ロックゴーレム】だ。その大きな体格とステータスは亜竜級に迫る程だ。

 

「ならばこちらも少し見せよう」

 

 エレイナが腰の辺りに下げていた禍々しい箱へ手を伸ばす。

 

「出ろ」

 

 箱が開き、中から黒い霧が溢れ出した。

 骨の兵士が二体。

 さらに岩のような肉体を持つ巨躯が一体。

 彼女の前へ姿を現した。

【スケルトン・ソルジャー】に【フレッシュゴーレム】、 いずれもアンデッドモンスターだ。

 

「収納していたアンデッドですか」

 

「うむ」

 

 【ロックゴーレム】が振り下ろした拳が【フレッシュゴーレム】と衝突し、鈍い衝突音が響く。

 【フレッシュゴーレム】が作り出した隙を突こうとメイスを持った【スケルトン・ソルジャー】が左右から殴りかかり、【ロックゴーレム】の身体を砕いてHPを削る。

 

「《ネクロ・オーラ》《ネクロ・リペア》」

 

 エレイナのバフが放たれる。アンデッドたちのステータスが強化され、持続的に回復するようになる。

 元々数で有利を取っていたアンデッド達にバフも入ったことでさらに戦局が傾き、ほどなくして【ロックゴーレム】がHPを全損し崩れ落ちる。

 

「思った以上に堅実ですね」

 

「ワタシはENDもAGIもそこまで高くないのでな。堅実過ぎるくらいでちょうどいい」

 

「なるほど」

 戦闘が一段落したと思ったその時、さらに奥から金属が擦れるような音が響いた。

 現れたのは鉄鉱石で構成された巨体。【ロックゴーレム】の上位種【アイアンゴーレム】だ。

 

「硬そうですね」

 

「だろうな」

 

「まぁ、正面から砕く方針に変更はないですが」

 

「脳筋だな」

 

「砕く以外に方法ないですから」

 

 軽く脳筋呼ばわり否定しながら四糸乃は杖を構え、ザドキエルも同時に魔力を練り上げる。

 

「「《アイシクル・スナイプ》」」

 

 巨大な紡錘状の氷塊が発射されて鉄の身体へ命中するが、小さな亀裂しか入らない。

 

「む」

 

 僅かに眉を動かした四糸乃の横で、「今だ」とエレイナが指示を飛ばす。

 【フレッシュゴーレム】が抱きつくように【アイアンゴーレム】を拘束。

 そこへ二体の【スケルトン・ソルジャー】が殴りかかって亀裂を広げる。

 

「「《アイスランス》」」

 

 そこに放たれる二度目の『累ね』。

 突き刺さった氷槍が亀裂をさらに広げ、ゴーレムの胸部を粉砕した。

 崩れ落ちたゴーレムが光へと変わり、二人に経験値が入る。

 

「終わりましたね」

 

「うむ。ところで、クエストの報酬金の割合をワタシとオマエで3:7にするから死骸はもらっていいか?」

 

「構いませんよ」

 

「感謝する」

 

 エレイナはそう言うと【イザナミ】を開いた。

 吸い込まれていく岩片。

 鉄塊。

 そして【ミネラルアント】の死骸。

 

「【ミネラルアント】はともかく、ゴーレムもアンデッドにできるんですか?」

 

「無駄にはせん」

 

 短い返答。それ以上は語らないらしい。

 だが何かしらの用途があるのだろう。

 そうして洞窟をさらに進んでいると、

 

 ―――ギィィィィィィィィィィッ!!

 

 洞窟全体を震わせる咆哮。金属を引っ掻くような不快な音が反響する。

 不快さに思わず耳を塞ぐ二人。

 音のする方向を見ると、暗闇の奥で複数の赤い光が灯る。

 一つではない。二つでもない。十を超える。

 四糸乃が目を細める。

 エレイナも同じ方向を見据えていた。

 

「どうやら本命らしいな」

 

 暗闇の中から現れたのは巨大な蟲。

 亜竜を思わせる骨格。

 だが全身を覆う外殻は鈍い金属光沢を放っている。

亜竜(デミドラグ・)鉱蟲(ミネラルワーム)】、それがクエストの討伐対象だった。

 それが五匹。

 

「·······五匹同時ですか」

 

「面白くなってきたな!」

 

 

 




〇新キャラ
(╹ x ╹)<新キャラのエレイナさんです

(^・ω・^)<よろしく頼む

(╹ x ╹)<【高位霊術師】じゃなくて【大死霊】に進んだんですね

(^・ω・^)<ソロでの戦闘を安定させようと思うとそちらの方が都合がよかったのでな

(╹ x ╹)<ちなみにその着ぐるみはどこで入手したんです·······?

(╹ x ╹)<というかなぜ着ぐるみにアジャストされてるんです?

(^・ω・^)<ガチャ産だ。中身がゾンビ系で目立つからそれを隠すのと、そこらの店売り防具より性能が高いから見た目など些事よ
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