存在しない男   作:いん22222

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ちょいグロ注意だぜ!
今回は自分でもあまり面白くない回だと思っています。オチがな、、、前哨基地に戻ったあたりからつまらなくなってきた。数日かけて書いたのですが、自分でもうまく書けたとは思っていません。



Q,バケモン? A,YES

 

 顔の裂け傷に水、消毒液の順に液体が流される。

 

 顔から胴体へ、プレートキャリアと服に流れていた血が水で濡れ滲む。服が肌に密着し体がなんとも言えない感覚だ。傷部位ガーゼが押し当てられ血が滲むが先ほどよりかは格段に少ない。血が止まったのを認めればプレートキャリアに装着されていたIFAK、マジックペンで書かれた黒色の十字架マークから縫合セットが取り出された。

 

 「痛みます。我慢してください。」

 

 撃退したアーマーハティ、その際にできた顔と腕の引っ掻かれと尻尾の攻撃にやられた裂け傷を応急処置中だ。

 

 前腕はスキンステンプラーで傷口を塞ぎ止血体を締め付けてガーゼを包帯の下に巻き付けている。しかし顔はどうも人間構造上包帯が密着しない。

 

 身バレの防止としてスナイパーベールをかぶっていたわけだが今はヘルメットもスナイパーベールを外しており素顔を見せている状態だ。

 ホチキスで止めるのもありだが顔に使うのは推奨されない。裂傷なため止血し、縫合しなければならない。だがここはホロウ内部、侵食の時間やエーテリアスが迫る可能性もあるため素早く済まさなければ。

 

 女試験官の両手にピッセット、右手のピッセットには黒い糸が湾曲した針についていた。

 

 

───皮膚用接着剤もあれば良かったが。

 

 

 また今度医療物資を買わなければらない、と脳裏にメモしていれば様子がおかしいことに気づく。試験官の手が震えていた。

 

 縫合の施術失敗するかもしれない恐怖か、傷口にもうすぐで縫い始めるというところで止まっている。

 

 「す、すみませ、その、こういうことは練習でやってはいますが実際は、、、」

 

 震えている手、プルプルとピンセットを伝って針が揺れている。その様子をイアス(アキラ)が心配そうに見ていた。

 ハードナックルグローブをつけた手が試験官の手を握る。言わずもがなネームドだ。

 

 

───問題ない、やれ

 

 

 目でそう訴えかけるネームド。喋れずともそう言われたのを感じた試験官が覚悟を決め”眼”が変わった。

 

 「、、、わかりました。行きます。」

 

 深呼吸し、吐く。二回繰り返せばピンセットと針が動いた。

 

 針が尖った先端が皮膚と肉を突き進み侵入する。針が全て抜ければ次は糸が皮膚と肉を引く。

 

 『ァ”ァ”、、、』

 

 やはり痛い、皮膚ではなく無理やり内部の肉も通じて針と糸が来るのだ。顔の内側から痛みが来る感覚は思わず手を固めてしまう。

 

 表情を歪めそうになったがそれは縫合を邪魔してしまう。表情筋を動かさぬよう意識していればまた針がもう一方の皮膚と肉を突き抜けた。

 

 また痛み、また突き抜けまた痛み。この繰り返しは顔の三つ(・・)の裂け傷を縫いきるまで終わらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後の一つの裂け傷。上から下まで縫っておりもうすぐでようやく治療が終わる。

 

 実際は初めて、しかしかなり練習していたのか縫合はかなり綺麗にできている。イアス(アキラ)がそれに感嘆するのは今ので三回目である。

 

 「もう少で終わりますので、辛抱ですよ。」

 

 

───ようやくだ。

 

 

 いい加減この姿勢をするのはキツい、それに試験官の顔を見続けるのを飽きたと言った様子だ。しばらくは忘れることができないだろう。

 

 

 

 その時、とてつもない感覚がまたネームドを襲う。

 

 全身の毛が逆立ち肌が震える。眼がこれでもかと程見開かれ周囲を見まわした。

 

 

 

 

 

───何か来る。しかしなんだ、この感覚は

 

 

 

 

 

 

 覚えがある。

 

 

 「あぁあちょっと!?まだ終わっていません!」

 

 急に立ち上がり、手から縫合セットが外れた。周囲を見回しているネームドの顔面に糸とそれに繋がった針がプラプラと宙を待っている。

 

 「何して───

 

 言いかけた瞬間、イアスが持っていた測定機器から警戒アラートが鳴り始める。円型のガラスに写っているメーターが一気に黄色へと弾けるように動いた。同じように写っている球体のデジタルデータも形が崩れる。

 

 「それは、1回なったら【反応あり】2回なったら【高活性】3回なったら【強烈】、4回は、、、!!」

 

 試験官の声に従っているのではないか、そう思うほど測定機器のメーター全てが激しさを増していき警告音のなる感覚が短くなる。

 

 「なにが起きて、、、」

 

 一定間隔が高速になっていきやがて音が鳴り続けた後、測定機器が音を立てて壊れた。

 

 スパークと白煙が上がっておりそれは”とんでもないヤバいやつ”が近づいている証拠である。

 

 いち早く気配を感じていたネームドが一番感じた方向を向いた。それが的中しその方向から雄叫びが周囲に響いた。

 

 「まさか、、、!?」

 

 試験官がイアス(アキラ)とネームドを引っ張りすばやく階段へと身を潜める。壁へと背をつけ必死に見つからないように。

 

 イアス(アキラ)とネームドが階段から頭を少し出し状況を伺う。ビルの立ち並ぶ高層街の奥を見ていれば出てきた。

 

 

 とんでもなくヤバいやつが。

 

 ピンク色とエーテリアスのコア、それが見えた瞬間また体が引っ張られ階段へと身を潜められた。試験官が[[rb:イアス > アキラ]]を庇い何かを言っている。

 

 「うそ、”彼女”が、、、!?」

 

 

 彼女、その単語に疑問を抱く。少なくとも一瞬見えたあれは人には見えなかった。エーテリアスにも性別はあるのだろうか。

 しかしそんな考えは身体中を駆け巡る感覚で一瞬で消え去った。

 

 全身の毛が逆立ち肌が震える。眼が見開かれた。もう一度感じた気配にネームドの意思とは真反対に腕に力が入った。

 急に動いた自らの腕に視線を移せばいつのまにかコンバットナイフを握っている。それを認識すれば腕も急に動かなくなりネームドの意思通り動くようになる。

 

 その時、彼らの頭上にヤバいやつが通った。

 

 ”それ”を見た瞬間ネームドに激しい頭痛が舞い上がる。稲妻のように脳内に走ればすぐにジワジワと広がっていく痛み。

 

 

 

───Kill 'em(ぶっ殺せ)

 

 

 

 脳内に響く声。しかしその声には聞き覚えがどこかある。何か懐かしい声。その声が聞こえた時も頭痛がした。

 

 冷や汗を流し顔を歪めている。その様子に試験官と[[rb:イアス > アキラ]]は気づかずデカブツの去っていった方向を見ていった。ネームドも振り落とすように頭を振り後ろについていった。

 

 「今のは一体、、、?」

 

 試験官とイアス(アキラ)が階段を登り廃盤広告板から恐る恐る顔を出す。もうすでに何十メートル、百以上は超えているだろう距離があるわけだが───

 

 

 見惚れていた、いや気取られていただろう。後ろに近付いている蜂のようなエーテリアスに二人が攻撃される寸前にまで気づかなかった。

 

 「あぁまずい!!」

 

  イアス(アキラ)が叫び頭を抱えるも直ぐになにかに包まれた感覚がし出す。攻撃される後にも前にも感じるはずないその感覚にアキラがなんだと首を回せば試験官の顔が文字通り目と鼻の先だった。

 

 これから来るはずの痛みを察しているのだろう。目を精一杯瞑りイアスを力強く抱えている。

 エーテリアス(ホーネット)が先を尖らせ突き刺そうとする。距離が急接近し体に穴が空くはずの未来はどこからとなく現れた一人の女に止められる───わけではない。

 

 青緑色の羽織の後ろには(サムライ)の文字が入っている。黒い鞘に入った刀が青く光り抜刀しようとするがそれは横を駆け抜けた男により止められた。

 

 「!!」

 

 目を見開く、まさか前に出てくるとは思わなかったのか一瞬動きが止まった。すぐに動くが刀を抜くのではなくそのままの状態だ。

 

 明らかに蜂が原型のエーテリアスが持っているピンク色のエーテル結晶でできた刺針がネームドに矛先が変わる。両者向かうことで一瞬で距離が縮まり指針の根本。人間で言えば腹部分だろうか、細い管のようなそこを掴まれたエーテリアスの動きが急停止し地面に投げられる。

 

 咆哮をあげるがその声はネームドの足で止まる。コアを踏まれたエーテリアスが起きあがろうとするも次の踏み下げにコアが歪んだ。

 

 弱々しい声を出しまたも起きあがろうとする蜂。羽ばたこうとする羽根の動きはまたも次の踏み下げにより完全に止まった。

 

 トマトやスイカを一気に踏むかのよう。潰れたコアが分散し塵となって完全に消える。

 

 危機が去ったのを見た刀を持った女が踵を返し走り出す。しかしあまりにも早い。

 

 早すぎる。

 

 ”普通”人間は走り出し数秒で速度が体に乗り速くなる。それをいきなり最初からそうであるかのような速度で走り出した。

 

───あの狐頭(fox head)は一体

 

 とんでもないな。と見送るネームドの視界の下。試験官が走ってきたかと思えば直ぐに手を顔に向けてきた。

 

 ビンタでもするつもりか、どこのヒロインだと思ったがその手は振りかぶったりなどはしていない。真っ直ぐに手を顔へと伸ばせばその手にはピンセットが握られているのに気づいた。

 

 「まだ処置中なんですよ、そんな激しく動かないでください!」

 

 ここでようやくネームドも思い出した。瞳を下へと向ければプラプラと揺れている糸と針が見える。

 

 「続けます。もう一度言いますが痛みますよ。」

 

 そう言えば湾曲している針を掴みもう一度皮膚へと突き刺す。痛みを感じるがもはや慣れたものだ。いや慣れたくはないのだが。

 

 針を入れ糸を引く、引くことで痛みを感じるのだがこれが一番痛いのだ。針を刺して通過させるのはいい。いいのだが糸が肉を引きずっているのもありかなり痛い。

 

 短くなってきた糸を全て引き針を反対側の皮膚へと刺す。そうしようとしたところで後ろから先ほどの刀を持った女と同じ雰囲気を感じる三人組が走ってきた。

 

 「ぜぇ、ぜぇ、、、全速力の課長になんて、追いつけないっての、、、」

 

 ネームドの後ろから聞こえた声、若いなと思っていれば試験官が体を横にずらし三人組を見れば驚いた。

 

 「あの制服はH.A.N.Dの!」

 

 「ア”ッ、、、」

 

 「あっ!!」

 

 驚き、腕を動かしたことにより糸が皮膚から飛び出ようとする。そうとはならないのだが内部の肉に糸が食い込みまぁまぁ強い痛みを感じた。そうなるとは思わなかったのか痛みに備えていないネームドが声を漏らす。

 

 「すみません!ちゃんとやります。」

 

 気を取り直しもう一度ネームドの顔に向き合う。針を食い込ませ通せば糸を巻き上げ結んだ。

 ピンセットをポケットに入れ両手で糸を持てば糸を絡ませ合う。縫合は終わるらしい。

 

 「、、、よし、終わりました。しかし激しく動けばまた傷が開いてしまいますので気をつけてください!」

 

 指で確認すれば見事に裂傷が糸で塞がれ結ばれているのがわかる。応急処置にしてはよくできている仕上がりに右手に感謝、左手に称賛を込めた両手グッドサインに試験官が微笑んだ。

 

 「これは応急処置です、ホロウから出たら直ぐに防衛軍の医療テントにいくんですよ!スコット前哨基地に繋がる道路をまっすぐ進めば見えるはずです。それまで定期的に消毒液をかけてください、なんらかの雑菌や破傷風にでもかかったらとんでもないことになりますから───

 

 わかったわかった、とまるで母親から言われるような言葉の数々に何度も頷いているネームド、その様子をおもしろそうに見ている三人組のうちの一人。

 

 「あちゃ〜、熱い所お邪魔しちゃったみたい。」

 

 「そんなこと言っている場合ではありませんよ”浅羽”隊員。」

 

 さて、と後ろにいる奴らが誰か見る時だとヘルメットを被りスナイパーベールをつける。顔が見えなくなったのをイアス(アキラ)からのグッドサインで確認すればようやく対面した。

 

 男が一人、女が一人、少女が一人。男は弓を持っているが鳥打の部分が全て刃になっているのだ。そしてもう一人は薙刀を持っている。もう一人の少女は何か旗のような大ぶりなものだ。小さい体格には似合わない物。

 

 「対ホロウ特別行動部第六課です。現在緊急の鎮圧任務を執行しています。こちらのエリアで情報のない極超級エーテリアスが確認されました。貴方がたの任務がなんであれ、、、」

 

 「遊撃部隊として本作戦の支援に当たるよう要請します。これは対ホロウ六課による正式な召集です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結論から言えば【支援要請】だ。危険区域から避難させるという名目もあるだろうが言われた通りだと予定ルートからの大幅な変更がされたためナビボンプが必要とのことで

 

 「ン、ンナナンワタ!」

 

 おそらくボンプでも理解できないであろう真似言葉を発しているイアス。ホロウ内外でリアルタイムで通信という事実を隠すためこれである。

 

 そしてネームドも身バレ防止としてスナイパーベールを付けているため今の所素性不明の一人と一体のボンプが現状対ホロウ六課に同行している。

 

 機械音声で通話越しのためわかりずらいが肉声だ。しかしそれに気づくものは誰一人としていない。ネームドは知っているから。

 

 まぁ、今言っていたことを翻訳すれば『バックパックに乗せてくれ』だろうか。

 

 頭を手一つで掴みバックパックに乗せれば再加速する。現状ニネヴェと言われているあのデカブツ、そしてデカブツを追いかけている対ホロウ六課課長を追いかけている最中だ。

 

 しかし

 

 

───とんでもないな

 

 

 上空に漂っている重力を無視した構造物、あるいは岩を飛び込んでニネヴェを追いかけている。先も見たが跳躍力と走行速度が人間とは思えない。

 

 「あんなとこに!!」

 

 男、”浅羽”の視線の先で”課長”がニネヴェに追いつくべく道中の(ホーネット)を一撃で切り伏せ走り続けている。蹴りも加え連続で斬撃を続ければ進行方向にある巨大看板を縦横に切り蜂集団に突撃した。

 

 やはりここでも人間業ではない力を発揮するあの狐頭。空中に大量に漂っているエーテリアスが一気に消えているのがこちらからも目視できる。

 

 そのまま走り続けいる狐頭。しかし近づくための構造物が前方にないのを気づけばネームドが止まった。

 

 「?ちょっと何してんのさ!」

 

 三人組が立ち止まりすぐに立つよう促す。ネームドは無視し小銃を構えた。

 

 銃床を肩に付け頬付けし光学照準器(スコープ)を覗く。照準器を回せば倍率が変わっていきアスファルトの道路に膝を付け狙いを定めた。

 あの狐頭が進もうとする先に空中で散らばっている岩や看板。あれをできるだけ修正するのが狙いだ。

 

 安全装置を解除しセレクターモードが1の方向になっているのを指で確認し単発射撃を開始。二、三発足場になりそうな岩を撃ちできるだけ真っ直ぐになるよう続けて射撃すれば道ができているのが分かる。

 

 

 

 

 その遠方で、対ホロウ六課課長。星見雅がニネヴェを追跡すべく走っている。ニネヴェの向かう方向の前方に飛びこみ一撃を加えようとしているが前方に飛び乗れそうな何かがない。

 

 だとすればあの建物。遠いが空中に漂っているビルの側面に立ち迎え撃つ。脚を込め飛び乗ろうとした瞬間銃弾の飛来する音が聞こえた。

 

 すぐ右を見れば銃弾が岩や看板が撃たれている。そうしてみるみると動いていけば見事に空中道ができたではないか。

 

 (感謝する。)

 

 視界の端にとらえた”誰か”。銃を扱う人間は対ホロウ六課に存在していない。だとすれば防衛軍の人間かとも思ったが装備がどうもそれではない。

 

 援護射撃でできた空中道で普通かのように走る。右足、左足を一つ一つの浮遊物を踏んでいけばビルに飛び込んだ。

 

 無尾を刀に込める。刀を鞘から抜くための指紋認証に星見雅が認証されれば刀に青い炎らしきものが刀全体を纏った。進行方向にいる邪魔な狐頭を殺すべくニネヴェが手を向けた。

 

 星見雅がいる場所の全体に”青”が広がり赤い稲妻が刀から漏れ出る。やがて体にも青い炎が纏われた。

 

 ニネヴェが握り潰そうと手を向ける。その手を斬り刻み殺す。どちらも討伐(殺す)目的の攻撃が繰り出され周辺が衝撃により爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 煙が広がり瓦礫が落ちてくる。数秒沈黙したと思えば煙からニネヴェが出てきて遥か上空へと飛んでいった。

 

 それと同時に星見雅も上空から降下し六課と素性不明の一人と一体の前に現れた。

 

 「いたいた、課長!」

 

 「課長、ご無事でしたか、首尾はどうでした?」

 

 「、、、芳しくは、なかったな。」

 

 刀を納刀しながら言う。まぁあんな元気そうに遥か上空へと飛んでいっているのだ。言わずともダメなことはわかっていた。

 

 相変わらず見ていると頭痛がする。脅威は去ったため見続ける必要もないとネームドは目を逸らした。

 

 「先の一振りは、【茶碗を砕く木槌と思へば】、、、」

 

 

───?

 

 

 「【黒板を伝う白墨が如し】と言ったとこか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───?

 

 

 ネームドは理解ができていないらしい。

 

 「包丁でバターを[b:ズバーー!]したかったのにまな板に[b:ドンッ!]しちゃったってことだね!」

 

 

───そういうことか。

 

 

 この青肌をし鬼の角を生やした少女。”蒼角”の言っていることは間違っているがネームドは間違った理解をしてしまった。

 

 「蒼角ちゃんさあ、もっとわけわかんないよソレ、、、」

 

 ここで一度星見雅の言った言葉を整理して見よう。まず【茶碗を砕く木槌と思へば】これは茶碗という物理的衝撃に弱い物体に対し木槌(ハンマー)でやれたと思ったら【黒板を伝う白墨が如し】白墨はチョークのことだ。黒板にチョークを伝うというのは書くこと。チョークは黒板に当て擦ると書くことができる。

 

 つまりはかすり傷を与えたと言うことだ。多分。

 

 「課長曰く、ニネヴェに重傷を負わせられなかったとのことです。引き続き目標を追跡する必要があるかと。」

 

 すでに飛んでいったのにどう追跡すると言うのか、そう思っていれば否定するかのようにニネヴェが雲から現れ遠方の上空から地面へと降下しているのが見えた。

 

 明らかなラスボス(Final Boss)。見ているだけで頭痛と闘志が湧き上がっているのがわかる。

 

 「私が行く。」

 

 早速と言わんばかりにまた走り出した星見雅。相変わらずの速度で離れていくのを見ていれば耳に何やらこちらへと近づく集団の音が聞こえた。

 

 「エーテリアスが集まってきているようです。課長とニネヴェの戦闘を聞きつけたのでしょう。」

 

 自動拳銃のスライドを引き散弾銃の先台を引く。初弾が装填されたのを確認すれば迎撃準備に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 作戦行動が終わりスコット前哨基地内部。ニネヴェの鎮圧へと向かうべく処理の手間を減らしながら(書くのが面倒だった)進んでいればすでに戦闘は終わっていた。星見雅曰く逃げられたとのこと。

 

 「突発的な作戦行動ではありましたが、無事に終わってよかったです。ようやく一息つけるでしょうか。」

 

 「やったぁ!お仕事終わり〜!」

 

 蒼角がピョンピョンと飛び喜びを全身で体現する。

 

 話は変わるが六課面々を見た時にネームドはあまりにもお気持ち程度な防具に困惑した。ピンク髪のロングヘアをした月城柳と少女蒼角は縛りプレイでもしているのかと思う服装だった。

 

 白く透き通った人間らしい肌色をした美脚が見えているミニスカートスーツ。そしてこの少女もまたミニスカート。

 

 エーテリアスが持つ斬撃や液化エーテルを放つ個体がわんさかいる零号ホロウ。その凶地に武器一つで入る行為に戸惑いを覚えたのははっきりとした記憶がある。

 

 防刃製の服だとしてもだ。ホロウレイダーが銃でも持っていた時どうするのだろうか。まさか弾くとは言うまいな。

 

 「ルートの策定、臨機応変な対応、どれをとっても対ホロウ行動部の制式モデルよりも上だったね、このチビすけ。」

 

 「ンナ?」

 

 不意に浅羽がしゃがみイアスをよく見る。まじまじと体全体を観察している。

 

 「積んでいるキャロットデータまで、学会のとっておきってわけ?それとも、論───

 

 そこまで、とネームドが間に手を挟み詮索を中止させる。イアスの頭を掴みバックパックに乗せれば今度は視線がネームドに向いた。

 

 相変わらずスナイパーベールを被っている内側の顔は縫合し直された後がある。前哨基地エリアの医療テントへと向かい治療から戻ってきたのだ。腕に巻かれた包帯が取られ医療用ホチキスによって止められていた金属針がなく糸が裂傷を結んでいる。

 

 イアスを担いだとは別の手には処方箋の袋を持っている。中身は軟膏やガーゼだ。

 

 「君の動きも随分とよかったなぁ、銃の扱いが随分と達者だった。学会か協会のあんな(・・・)訓練じゃそんなものにはならないし、装備自体もそうじゃないね。かといって独学でもなさそうだ。」

 

 「防衛軍かな?戦闘力もありそうだ。まさかブラストスパイダーを他のエーテリアスに投げつけてよろけさせるとはね。その体つきもナイフと斧の使い方も」

 

 「浅羽隊員、詮索はそこまでにしてください。」

 

 「そうしてもらえると助かるな。」

 

 月城柳が止め後ろからきたアキラが言う。その隣にはレイがいた。手に持っているタブレット型端末を操作しながらもアキラと話し合いっているのが聞こえる。

 

 「あぁ、このボンプなら当学会のものではない。独立調査員チームおを率いているこちらの方の私物だ。」

 

 「そうなのですか?確かに調査協会は民間から調査チームを募っていると聞いたことがあります。」

 

 「当局のアホより民間人の方がよっぽど頼りになるとは、、、なんともはや。」

 

 やれやれ、としている所で副課長の呼びかけにより六課が引き上げた。四人が去っていく後ろ姿を建物によって見えなくなるまでネームドは注視し続けた。その目は興味と警戒が混じった目をしている。

 

 「やれやれ、今回は疲れたな。」

 

 お疲れ様と肩に手を当てられネームドも同じ意味を込めた頷きを返す。その後ろでは先ほど顔に縫合をしてもらった協会の試験官がいた。

 

 「ご無事だったんですね!よかったです!」

 

 無事の意味を込めたグッドマークを出せば相手もグッドマークを出す。あの時戦闘員とナビ以外の人間がついてくるのは危険だとして休憩所で一度別れたが無事に脱出できたらしい。同時に無事を確認できたところでコホンとレイが話を戻す。

 

 「さて、話を戻すが、、、審査は中止となった。しかしニネヴェの鎮圧成功に協力。星見雅殿の道を”作った”とも聞いた。それを除いたとしても君たちは鎮圧に協力しただけで資格を証明する実績としては十分だ。」

 

 「すでに結果を報告書にまとめ提出しています。すでに承認も確実に降りる段階まで来ているのですが、、、」

 

 ですが、と言った所で口をもごもごとさせている試験官。顔の前で指を合わせて気まずそうにしているが理由だ大体わかっている。

 

 戦闘状況を書き示した紙に書かれている内容が問題であるのだろう。人間かも怪しい数々の動きが記されていたのはよく見なくてもわかっていた。

 

 「本当に人間なのかといった戦闘に疑いが持たれているんです。ありのままを記したとは言ったのですがどうも信じられていなくて。」

 

 まぁいいだろう、といったため息を出すネームド。そもそもボディカメラかなんかで映像を撮っておけばよかったのではないかと思ったのは今更である。

 

 去っていった試験官を見送っていればレイの専属調査員にならないかと本人から直接言われた。指定連絡先という役割もあり要は【データ欲しいから取りに行く係】というのがあるのだが二人は断った。

 

 何かに所属するより自分たちで自由に動けれる立場である独立調査員がいいというのが二人の意見であった。

 

 

 独立調査員になったばかりの二人が一気にくり上がるという事に対して怪しさがあったというのもあるが。

 

 

 フラれる事には慣れているのかすぐに別の話題へと切り替わる。零号ホロウに入って定期的な調査を行う資格があると言われ正式に独立調査員として決まったのが今。そして前哨基地からの知らせが入った。

 

 「独立調査員向けの特別後方補給配給が始まった。君たちの働き振りを早速軍の上層部どもは評価しているらしい。物資申請の責任者は、、、あいつか。いつもメガホンを持ち、奇妙な頭飾りをしたあの男だ。ほらあいつ。」

 

 青い研究手袋を着た手の人差し指が二人の後ろを超え同時に振り返る。零号ホロウの見える転落防止の柵付近にあるコンテナ。その横に調査協会の服を着た確かに妙な頭飾りをつけた男が見えた。背中には赤いメガホンが三つ付いたバックパックを背負っていおり奇妙な見た目ではある。

 

 「研究にしろ、ホロウに入るにしろ、物資は多い方がいい。時に報告書や手続きの面倒くさい手間をかけずに入手できるのだからな、今すぐ行った方がいいだろう。」

 

 そいつは便利だ、とネームドが早速男へと近づく。そうすれば元気よくカスパーと名乗る男も声をかけた。

 

 [[rb:話をまとめて言えば > 書くのが面倒だった]]零号ホロウの調査に参加し結果を出せば零号ホロウポイントなどと行った[[rb:簡単 > 安直]]な名前をしたポイントでディニーやら何やらが交換できるのだ。

 

 マスターテープや未加工テープ、秘蔵残留物と行ったあまり使用用途のわからないものがあったがここでもネームドは期待外れの気持ちを持つ。

 

 銃弾や手榴弾、ナイフといった戦闘物資が一つもないのである。その類は目の前の男に言えばあるものならすぐに取ってきてくれるそうだがやはりがっかりしている。

 

 「、、、この中で欲しいのはディニーしかないな。」

 

 アキラの言う通りネームドも唯一目につくものはディニーである。現在あるポイントは300。初任給としてもらったそれで買えるディニーは一回買うのに20ポイントだ。それで交換できるディニー数は───

 

 

───ちょっと待った。

 

 数字に目が行く。その数字は【10000】、今あるのは300、これを全て使えば十五万ディニーである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どうも〜!またこいよ!」

 

 「、、、へへ」

 

 普段のアキラから出るとは思えない笑い声が出てくる。それはネームドも同じであった。

 今回の零号ホロウに参加しただけでこれだ。パエトーン時代の一回の依頼料以上なのだろうかと思ったがそんなのはどうでもいい。この金で戦闘物資、余れば医療物資も買える、その前にあのラーメン屋でたっぷりと妄想しワクワクとしながら前哨基地から出るべく前哨基地から出るべく哨兵へと声をかけ送りを頼んだ。

 

 「その前に、一つ言っておくべき、返しておくべきものがあります。」

 

 一体何が、と思ったが哨兵から出る言葉はネームドに衝撃を与えるものだった。

 

 「ネームド殿に支給した弾薬や手榴弾。残ったものを回収します。」

 

 ごく普通のことだ。支給品なのだから終わったのなら余ったものは返す必要がある。だがその言葉を聞いたネームドがピシッ、と体が石像のように固まった。

 

 「あなたに支給した物資は防衛軍の所有物であり返却の義務があります。」

 

 正論の反撃のできない言葉。あわよくばこのまま持ち出そうとしていたわけではないだろう。

 

 

───このまま持ち出せれてたらな、、、

 

 

 思っていたらしい。

 

 名残惜しそうに弾倉へと入れていた弾の先端を指で弾き次々と弾を出して行く。二弾倉から弾が取り出され五十二発の小銃弾。続けて自動拳銃の弾倉から十八発。ショットシェルホルダーに入っていた全て、というより残りの三発を全て哨兵の持っている弾薬箱(アモボックス)に入れれば蓋が無情にも締められた。

 

 妙に少ない、とアキラが思う。資質試験の後鎮圧作戦の協力で銃の使用許可は降りていたがここまで使っていただろうかと考えていたがそんな考えも車に乗り込めば車外に取り残された。

 

 欲しそうに見るネームドの肩に手を起き助手席へと乗るアキラ。それに続きネームドも再び荷台へと乗り前哨基地エリアからでるべく車が発進させられた。

 

 夕方の日が刺すRandom play社用車。軍用車両からそれへと乗り換えれば慣れたエンジン音と振動を感じた。

 

 「今回は15万ディニーも手に入れられたんだ。今日は怪我したしご馳走くらいはいいだろう。」

 

 『Wanna grab a bowl at the usual ramen joint(いつものラーメン屋で食いたい。)

 

 頷きアキラがエンジンを始動させ車を発進させる。車が回転し道路に並べば軍施設エリアの景色が並び変わっていく。朝ここに来た時よりかは動きが少ないが相変わらず軍人が大勢動いている。

 

 やがて検問所を超え指で覆えるほど小さくなった軍施設を認識すればネームドは待ってましたと言わんばかりの勢いでバックパックを開けた。

 

 「?どうしってそれは、、、」

 

 開けたバックパック内部の一つのポケット。その中には朝前哨基地へと向かうよりも多くなっている(・・・・・・・)弾の数々だった。薬莢の底面には防衛軍が製造元というのを示す薬莢底刻印がある。

 

 「君、銃弾の使用数を誤魔化して盗んだな?」

 

 その通り、といった表情と肯定の意味を示すグッドサインをするネームド。実はこの男、使用数をちょろまかして実弾を盗んでいたのである。

 

 ホロウ、そしてエーテリアスという脅威を目の前に薬莢回収など射撃訓練しかないだろう。その予想は見事命中した。医療テントからスコット前哨基地まで行くまでの道中でバックパック内部に弾をあらかじめ入れていたのだ。

 

 軍用規格(ミルスペック)の銃弾など闇市場では高いのだ。無料でこれほど手に入れられるチャンスなどそうそうない。

 

 「もう過ぎてしまったことだし、バレないことを祈るしかないな、、、」

 

 『Let's blow today's money.(今日稼いだ金で色々買おう。)

 『|Need ammo, grenades, and more med supplies.《弾とグレネード、医療物資を買わなきゃならん。》

 

 他にも食材やら猫の飯やらと金の使い道を考える車内。時々笑いも出る会話は道路照明灯が照らしていた。そのお金が居座っているAIに全て消えていくとはまだ知るよしもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どういうつもりですか。」

 

 スコット前哨基地、人は少ないが多くの電子式機械が多く稼働しているテント内にいるレイに対してそ一人の壮齢の男が問いただす。

 

 スーツ姿の軍服を着込み銀髪の髪色をした男、ローランドであった。腹に巻きつけたベルトの左側にはフルフラップホルスターがあり内部に拳銃があるのを示している。

 

 ローランドの問いかけにレイはタブレット端末を操作しながら逆に質問する。

 

 「どういうつもりって?」

 

 「まだ独立調査員にもなっていない資質試験に臨む人間に対し弾薬と手榴弾の補給したことについてです。」

 

 今度は確実に問いただすため詳しく言う。言っていることは今日の資質試験に出たネームドへの補給についてだ。

 

 「上層部は今回の件に不服を申しています。民間人から雇ったたかが一般人に銃弾など渡すな、そもそも資質試験では銃火器の使用禁止、と。ニネヴェの鎮圧作戦行動に協力し成功させたとはいえそれは結果論です。」

 

 「あぁ、そのことなら覚えている。まさか資質試験で銃火器の使用禁止とは私も知らなかったな。」

 

 「今回の件に関連した弾薬庫警備にあたっていた兵士にペナルティが課されました。民間人への不正授与で一週間の外出禁止そして減給です。」

 

 「、、、それはすまないことをしたな。いつか謝りに行くとしよう。ところで、私へのペナルティは?」

 

 「あなたに対するペナルティはありません、あなた以外の優秀な研究員が現場いない状況です。そもそも───

 

 「人手不足。」

 

 そうだろう?と言うレイにローランドは何も返答しない。肯定の沈黙でもある。

 

 「そういえば君は内部の勤務から戻ってきたのか、お疲れさまだな。」

 

 「、、、今回独立調査員が二名入ったと聞きました。ホロウ探査のナビポンプを持つ人間、そして戦闘員が一名と。」

 

 「あぁ、随分優秀だったよ、あのナビボンプ、随分と気になる技術を持っている。それに戦闘員に私が予想していたのとは違うデータを持って帰ってきたがそれも私の予測を裏返すものだ。あの者らには期待しているよ。」

 

 「、、、その戦闘員によって本日多くの軍人が病院送りになりました。」

 

 「実力テストがあるんだっけか、たかがテストごときで何人が?」

 

 「32名。そのほとんどが当分まともな自立移動は不可能(・・・・・・・・・・・・)です。」

 

 「、、、なるほど、反乱軍相手に引けは取らなそうだ。やはり私の目に狂いはない。」

 

 無一文に結んでいた口が両端上に上がりタブレット端末の画面が切り替わる。スナイパーベールを被っている顔の分からない呼べない人間と銀髪の髪色をした青年にチェックマークがつけられた。

 

 「今回参加した戦闘員はおそらくホロウレイダーです。不可思議なほどに情報が存在していません。」

 

 「今回戻りが遅くなったのは調べていたのだ原因かい?」

 

 「えぇ、すぐに終わるはずがあの事件が起こったので。上層部と”鬼火隊長”に調べてほしいと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここで言うのですが私ノーパソで小説を書いておりまして、誤字脱字があるかもしれません。
そろそろネームその使う銃器を決める時かなと思っています。前から色々妄想はしておりました。HKG3だのSCARだの。

 編集追記
ネームドが星見雅の道を作る際にセミオートモードで射撃するシーン、セレクターモードがSになってしまっていました。現在は1 に変更しております。
 SはセーフティのSだってのにミスしておりました。

 
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