存在しない男   作:いん22222

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遅くなりました。ネームドの武装を書いておりました。


本人が本人を偽るとは 【ホロウ・インポッシブル Part1】

 

───目が狂ったわけじゃないよな。

 

 某日の夜、住宅街店の裏口を抜けた先にある駐車場。Random Play名義のそこにネームドはいる。

 

 ゴミ袋をいくつか大型ダストボックスに入れ蓋の上に座る。ゴミ箱自体は昨日かなりの時間をかけて清掃したため匂いがつくことはないだろう。

 

 スタッフルームに戻ることはしない。待ち合わせをしているからだ。

 

 付いてきた綺麗な白毛先をした猫を膝の上に乗せ撫でる。ゴロゴロと喉を鳴らし上機嫌な猫から目線を何気に、別の箇所へと移せばレンガの壁にかけられているメーターボックスが見えた。二度見した。

 

 一般的な家庭。一人暮らしよりは高い数値。店を経営していて、H.D.Dもあるためそこらの場所よりは電気代もかかるだろう。しかしそれでもここまで(ここまで)数値は高いのか。

 

 電気メーターを見たのは今日が初めてだ。店経営の電気代はネームドは知らない。相場は大体わかるがしかしこれは”異常”だ。

 

 そこらの場所より二倍、三倍、四倍、、、それ以上だろうか。

 三日前の零号ホロウでハティにやられた傷は眼球まで到達していない。目がおかしくなったわけでないと自問自答しあとで兄妹(アキラとリン)に聞いてみようとネームドは脳裏にメモしていれば隣と下に気配を感じる。しかし人間ではないと考えずともわかった。

 

 猫の鳴き声が聞こえる。手が止まってしまったと自分で気づき再び動かすが一つの愚問が頭に浮かぶ。

 

 今のはネームドの膝に乗せている猫の声ではない。別個体の───

 

 目線を下に向ければ猫が増えているのがわかる。黒、オレンジ、錆色といった毛先の別の猫だけでなく犬。そして鳩がいつの間にか隣に居座っているのに気づいた。

 

 隣には鳩がおり香箱座りをしている。体が金属のゴミ箱蓋を通り抜けることなくふっくらとした状態だ。指で突けば指が沈みそうである。

 

 

───最近こういうのが多いな。

 

 

 見覚えのある今の光景。周りに動物が関わってくるというこの光景。ネームドがいるところには自然と寄ってくるのだ。

 飯でもねだりに来たのかと思ったがそうでもないのだ。ネームドは喋っていないが意思疎通が取れてるとしか考えられないほど連携ができている。以心伝心はどうやるのかとリンに聞かれたほど。

 

 その目的が動物とではなく兄に対して使うというのを聞いた時は何を言ってるんだといった顔をしていたらしい。イアスにそう言われた。

 

 地面に座り対話していればすり減った金属のフェンス関節部が擦れ合う音、軋む音が聞こえ出した。目を向ければ見知らぬ少女、少女だろうか。頭からつま先まで凛としたオーラを放ち近づいて来ている。

 

 一目見てただ者ではないと気づく。直感的に気づいたネームドはゆっくりと立ち上がりゴミ箱に寄りかかる。腕を組み横目で少女を観察した。

 

 銀寄りの白髪。黄色とオレンジの混ざったアンチフラッシュゴーグルを装着した奥に見える赤の混ざった色。

 

 ショートワンピースのような黄色系統の線が入った服。その服についたPALSに似たポーチ。

 腕は光沢のある銀色のアームカバーで覆われており、背中に背負っているバックパックとは違う、何かの装備とナタ。

 そして左脚についているレッグホルスターには拳銃が入っている。

 

 綺麗だ、とネームドは率直に思った。

 

 綺麗だと思ったのと同時に警戒もする。今回特大の依頼が入ったとアキラから言われここで待ち合わせと聞いた。その場所に来る只者ではない人間はもう間違いないだろう。

 

 そのままこちらに歩みに来たと思えばゴミ箱に寄りかかった、そして腕を組んだ。

 

 

 

 

 ノリがいいのかもしくはただ単に似せてるだけなのか。

 

 腕を組んでる長身の男の隣に腕を組んでる頭一つ分小さい身長の女も腕を組んでゴミ箱に寄りかかっている。この状況はたから見れば仲間とも見える。

 

 ネームドが横目に一度観察し再び前を見れば女もネームドを横目に観察する。そして前を見ればネームドがまた横目に観察するというすれ違いが30秒ほど続けばネームドはメモ帳を取り出し何かを書いた。

 

 『Fire

 

 火を意味する単語。待ち合わせの依頼人に使う単語としての意味でもあるそれを見た女も続けて返答する。

 

 「サンダー、あなたが羊飼いの言っていた、、、ホロウレイダーかしら。」

 

 ファイアー()サンダー(電気)、この二つの単語に何の組み合わせがあるかはネームドはまだわからない。合言葉となれば確かに意味不明の掛け合わせがよいのだろうか。

 

 芯の入った、見た目に反した女にしては低い声に肯定のグッドマークを出せば女が向かい合った。

 

 「コミュニケーションはメモ帳を介して新エリー都の共通語ではなく”英語”を書き、グッドマークを使う。間違いないようね。」

 

 両者了承すれば女はまじまじとネームドを真正面から観察した。今度は上頭から下までゆっくりと見下ろせば納得したように頷いた。

 

 「スナイパーベールを被った長身で筋肉質の男、黒のTシャツに迷彩柄(デジタルカモ)の深緑色をしたカーゴズボン。あなたね、32名の兵士を病院送りにしたのは。」

 

 そう言われたネームドが思い出すように上を見る。三日前の資質試験第一実力テストで十数人の軍人を殴り、蹴り飛ばし、蹴り上げ、粉砕した記憶が脳裏に浮かぶ。

 

 そんなにやってたか、と意外な感情を持った。

 

 「凄まじい動きだったわね。」

 

 意外にも、予想していたとは違った答えがいたのかネームドが頭上に疑問を浮かべる。その様子に続けて言い出した。

 

 「あなたの動きは素晴らしかったと言ったのよ。トレーニングルームには私もいたわ、途中からの観戦だけど。」

 

 彼女はあの日、ネームドとアキラが独立調査員の肩書きを手に入れるために前哨基地へと赴いたあの日。ネームドが暴虐武人の限りを軍人に尽くしていた実力テストの現場に彼女はいた。

 

 1対4の人数になったあたりから11号は外廊下を通り過ぎその戦い振りを見たのだ。引き込まれるような戦いぶりだった。

 

 一人一人確実に潰す。人間という種族の動き完全に覚えているようなやり方だった。

 

 「あなたの近接戦闘能力にはすでに信頼してるわ、あとはチームワークができるかの問題だけど。」

 

 チームワーム、彼女が言っているのはネームドが喋らないことのついてだろう。先頭において複数で行動するのは連携が必要だ。

 

 『I can handle myself in combat.(戦闘では自分一人で対処できるつもりだ。)

 

 これから一緒に戦闘する人間に対して言うとは思えない発言。ネームド自身自慢や悪気があっての発言ではない。その言葉に不満を示す、思うこともなく女は満足げな表情をした。

 

 「そう、それなら安心できるわ。あなたを見せてもらいましょう。」

 

 お互い協力し合う挨拶ができた時、アキラが裏口の扉から現れた。店から現れた青年を見れば彼女はネームドに視線で質問する。

 

───プロキシ?

 

 

───あぁ。

 

 「戻ってこないと思ったらここにいたのか。それにもう一人の方は」

 

 「あなたは、約束の時間に2分55秒もの遅刻をした。防衛軍において、これは見過ごすことのできない規律違反位あたるわ。処罰として腕立て伏せ175回。あるいは肩腕立て伏せ87.5回が課っせられることになる。」

 

 「、、、まずは遅刻したのはすまない、けど手本として、0.5回の腕立て伏せを見せてほしいな。」

 

 アキラがそういえばネームドが急に地面へと伏せ始める。女とアキラがネームドを見れば両手をコンクリートの地面につけ、腕を伸ばし体をスラッと伸ばす。見事な腕立て伏せの体勢だ。

 

 そうすればネームドは肘を曲げ顔が地面につくほど近づける。そうすれば指で人差し指を立て【1】と示す。

 

 もう一度腕立て伏せをし始めれば肘を少し曲げ、地面に近くなくない中立の距離をし【0.5】と示した。

 

 馬鹿正直なのか、それとも単なる善意か。

 

 「丁寧なお手本をどうも、ネームド。」

 

 「見事な腕立て伏せね、軍式のをやったことがあるのかしら。」

 

 納得、認める顔をした二人を見ればネームドは立ち上がりハンドジェスチャーする。早く始めよう、と。

 

 「羊飼いが推薦したプロキシとホロウレイダーが揃ったわね。まずは初めに同意して、この会話が終わったら、私たちがここであったことを含む、全ては無かったことになる。それだけ重要な話に関わるの、いい?」

 

 「急だな、わかったよ。」

 

 ネームドも了承の意味を込めたグッドマークを送れば女も了承したのか体を正した。

 

 「私はオブシディアン大隊所属、コードネームは11号。」

 

 

 「手短に言うわ、私の依頼は至ってシンプル、【裏切り者探し】よ。そのためにパエトーンというプロキシに扮する必要があるわ。」

 

───困ったことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数々の車が反対車線から流れていくと同時に運転席に座ってるアキラ、そして助手席に座っているイアスの顔を照らしている。

 

 現時刻は夜、もうすぐで深夜に差し掛かる時間帯だ。そのため全ての車がヘッドライトを点灯しながら走行している。後部座席には11号がネームドの拳銃を、ネームドは11号の拳銃をそれぞれ見ていた。

 

 すでに先ほどからネームドのコンバットナイフ、斧、小銃と散弾銃を見せた後だ。【ホロウレイダーらしくない】と評価されたのは先ほど言われた言葉である。

 

 「あなたの銃火器どれも見たことがないわ。これまで色々な技術部門や会社が作った銃火器、密銃はいくらも見て来たけどこれはそれじゃない。ちゃんとした製造物だけど、、、長く使われているわね。」

 

 薬室確認、弾倉を抜いて渡した自動拳銃とホルスター。新しくおもちゃを手に入れた子供のようにどちらも交互に見て集中している。

 

 「私と同じ2011系列。スチールフレームかしら。スライドの先とホルスター内部がすり減っているわね、荒く使ってもこうはならないしグリップはあなたのグローブと相性がいいでしょう、あなたの愛銃といったところかしら。」

 

 『Never touched other hand guns,(他の拳銃は持ったことないが)

 『but ain't one out there fits me like this(これほど相性のいいものは他にないだろう)

 

 「戦場において自分にあった武器を使うのは鉄則のようなものよ。私は拳銃を主に使うことはないけど持っておいたほうがいいとトリガーに言われたから持ってる。あなたの拳銃よりは小さいし軽いけど緊急時には十分役に立つ。私にはそれが合う。」

 

 そう言われもう一度11号の持っていた拳銃に目を向ける。ネームドが初めて見た時は頭痛がした。今もするがだいぶ慣れてきたものである。

 

 全体的に灰色で橙色の線が入ったスライド。縦溝が掘られスライド上部が丸みを帯びた形状、下部フレームにはアンダーレールがある。兄妹の所有する拳銃と同じコピーモデルだ。口径は9mm、ネームドと同じでありどちらかが弾切れになっても弾薬補給ができるだろう。

 光学照準器(ドットサイト)やレーザーやライトが搭載されてはいないファクトリーストック。

 

 

───やはりブローニングは偉大だ。

 

 

 現在西暦が何年か、ネームドはそれがわからないが技術が発達した現代においてもこれがあるのだ。彼の存在は旧大戦期、その後の戦争にも大きな栄光を与えた。多くの人間が死に、救われた。

 

 11号の持っていた自動拳銃は新品なほど綺麗だ。ネームドも持つ小銃、自動拳銃、大口径回転式拳銃に比べてれば天と地の差である。

 

 それほど使っておらずほぼナタで敵を一掃しているのか、それとも壊れて新品に取り替えたのか。

 

 撃鉄を起こし、引き金を引く。撃鉄が衝突する音がどこか懐かしい。どこかで、聞いたような────

 

 

 

 

 ─────ングは最───ぜ、こん──こよ───高な銃を作った偉─────だ─らな。

 

 

 

 

 ネームドの脳内に響く誰かの声。その声が聞こえた時耳鳴りと頭痛がし眉間に深い皺がよった。目を細めるが視界に映ったそれに目が見開く。

 

 自分の手と持っていた拳銃が[[rb:変わっている > ・・・・・・]]。

 

 ハードナックルグローブを着ていた手は素肌のある皮膚が視え、自動拳銃を握っていた。11号の拳銃とは姿が変わっており木製の握把である。[[rb:撃鉄 > リングハンマー]]はただの[[rb:撃鉄 > スパーハンマー]]だ。

 

 

 

 

 お前さ────はちょ────んじゃな──か?

 

 

また聞こえる誰かの声。頭痛がし眉間に皺が刻まれる。その時自分の肩が揺さぶられているのに気づいた。

 

 「───あなた大丈夫?」

 

 聞こえる女の声。主の11号が訝しげな表情でネームドのスナイパーベールをかぶっている顔──と思わしき箇所を見ていた。

 

 問題なしの意味を込めたグットマークを出し銃を持ち替え相手に渡す。ハサミを相手に渡す時刃先を向けないのと同じ銃口を持ち主に向けずスライド前面を持ちながら。

 

 その時にはすでに幻覚も消えていた。

 

 互いに拳銃を交換し合えば両者ホルスターに納める。二人が一通り武器を見せ合ったが二人はまだ武装について話し合っていた。

 

 武装が多くて行動しづらくないか、逆に装備が少なくないかと迅速な行動のためなど話し合っている様子をリンは車内ラジオの代わりに聞いていた。その内容は普段聞けるものではない新鮮なものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「この先イアスを頼んだよ。」

 

 了解のグットマークを出しRandom Play社用車のトランクを開ける。後部に詰められていた銅鉄プレートの入ったプレートキャリアを纏い次にショルダーアーマーとネックアーマーを装着、前腕にもあの様子のおかしい商人から買ったばかりの新品のプロテクターをつければ11号からの質問が入る。

 

 「いくら体が大きいとはいえそれじゃ体力がすぐに尽きないかしら。」

 

 「ネームドなら問題ないよ、まだ両手で数えれるほどだけど戦闘は何度も見てきたから。」

 

 予備弾倉と銅鉄プレート、医療物資が中に入っておりサイドポーチにハンマーやバール、消音器(サプレッサー)と強力マグネットで留められた散弾銃。バックパックを背負えばズシっとした重さが体にかかっり胸前と腹前のストラップを締め付けた。

 

ブーツの紐をもう一度締め付け後にヘルメットを被るべくスナイパーベールを外そうとするが今は11号に見られている。顔を見せないため車のフロント側へと向かった。

 

 「顔を見られたくない事情でもあるのかしら。」

 

 「まぁ、ね。」

 

 ヘルメットを装着すればバイザー(・・・)を下げる。いつもはつけてはいないのだが今回は人間が相手だ。防衛軍から離反した反乱軍という人間相手。訓練され銃を使ってくる相手がいるのは間違いないだろう、脳天抜き(ヘッドショット)されるのは勘弁だ。

 

 スナイパーベールをヘルメットに固定すればコブラベルトを腰に巻きつけ大口径回転式拳銃の入ったレッグホルスターをつける。準備完了のことを確認すれば裏道の先にあるホロウの壁を指差した。

 

 

───行こう。

 

 

 「えぇ。」

 

 「頑張ってー!」

 

 ネームドと11号の二人がホロウに入るべく歩みを始める。徐々に縮まるホロウの壁までの間に小銃のコッキングレバーを引き初弾を装填する。自動拳銃と大口径回転式拳銃の弾倉にも弾が入っているのを確認すれば立ち止まった。

 

 「どうしたの?」

 

 隣にいなくなった後ろのネームドに目を向ければネームドはショルダーアーマーを外し11号へと差し出した。しかし11号はそれを断る。

 

 「私には不必要よ、あなたが使って。」

 

 引き下がらずネームドはさらにショルダーアーマーを差し出す理由は11号のあまりにも軍人とは思えない装備だからである。

 

 11号曰くあらゆる攻撃を予想した装備らしいがその肌を出している肩と腕の部分も攻撃を予想しているなんて言えないだろう。サイズはストラップで締め付ければなんとかサイズ差は埋めれるだろう。肌の部分は覆い隠せるはずだ。

 

 「私は機動性に重きを置いてるの、民間人が怪我をするのは軍人として見過ごせないわ。それに銃弾はこれで弾けるから安心して。」

 

───は?

 

 「さぁ行きましょう。」

 

 銃弾を、ナタで、弾く?

 

 突如言うおかしな告発ににネームドは困惑する。軽くもなさそうなそれでどう弾くというのか。

 

 さぞ当然といった物言いでホロウへと向かう11号を見てながらもショルダーアーマー装着する。両者本当に動けるのか心配しながらもそのままホロウへと入った。

 

 小銃を構えながら眩しい裂け目の間を抜ければいつも通り頭痛がする。ホロウ内部は時間がホロウ外と違うと聞いたことがあるがそうでもないらしい。外と同じ夜の時間帯だ。

 

 未だ謎の力で起動している照明等が小さく道を照らしているがほとんどの光は三角の模様ゆらめく空にある月に照らされていた。夜だというのにおかしいほど道中の道が遠方まで見える。

 

 「無事に入れたんだな。」

 

 「あなたも接続したのね、クリムゾンアイズハーミット。」

 

 

───何と言った?

 

 

 急な知らない名前にネームドが誰かと思う。その誰かはイアス(アキラ)なのだがどこに紅き眼の賢者(クリムゾンアイズハーミット)要素があるのか。

 

 オレンジのスカーフに白い皮、ボンプの眼を映す液晶画面には黒と丸い目の緑色しかない。これから始まる作戦の緊張を解くためのジョークか。

 

 「どうしたのタイピングライトハールメン。早く行きましょう。」

 

 同じく自動拳銃の初弾を装填し薬室確認を済ませた11号は二人を急かす。それに待ったと平手を前に出しバックパックの底面ポケットからダクトテープと何かの小型の筒状のものを取り出した。

 

 橙色のダクトテープを肘の関節部と膝の関節部。プレートキャリアの肩ストラップにも巻きつければ目立つ色がネームドだと認識できるようになった。

 

 「識別テープ、ますますただのホロウレイダーなのか気になるわね。」

 

 次に小型の筒状のものを小銃の先にある銃口制退器の上にそれを取り付けた。カチカチと音を鳴らし固く固定されたそれはブラストシールドと呼ばれるものだ。

 

 マズルブレーキによる銃弾の発射ガスや爆風を前方へと集中させ横にいる味方への被害を防ぐものである。今回はネームド一人だけでなく11号もいるため必須だ。

 

 ホロウ内部を警戒しつつ進めば11号が止まる。敵がいる気配もなく警戒する様子もない。どうやらここがランデブーポイントらしい。

 

 しかしここは開けた場所だ。集合場所をいうにはあまりにも奇襲を受けやすい地点。

 ネームドが小銃の安全装置を親指で解除する。その音を聞いたのか11号も周囲の警戒を強めた。

 

 「もうすぐで標的のスパイがログインする。5、4、3、2──」

 

 『通信を助手1-2(ワンツー)にも開通します。』

 

 「モグラさん、【パエトーン】を連れてまいりました。」

 

 ブツッとヘッドセットから音がし11号がスパイに無線機で話しかけ敬語になる。口調が変わり意外な印象をアキラとネームドが抱いた。軍人である以上上官に対する敬語は当たり前だがそれでもなにかとギャップを感じる。

 

 「近くにいるのでしたら直接会った話しませんか?」

 

 11号の言葉に【モグラさん】とやらが応えることはない。名前の通り地中に埋まっているわけでもないだろう。

 

 ノズルを上げ音量を一度最大にすれば誰かの息遣いが聞こえる。そこにはいるらしいが喋ることはない。

 

 「速やかに行動を開始しましょう。貴殿から頂いた報酬で一刻も早く防衛軍から逃れそこで──

 

 

 

 

 「スグリの生い茂る農園を買い、多くの動物を迎えてここにいる彼とのんびり余生を送ることができれば他は何もいりません。」

 

───ちょっと待った。

 

  支離滅裂。なにも関係性がない言葉の端々。

 

 中身と見た目の偏見で齟齬が生まれることはあるにはある。しかしスグリの農園+多くの動物を買う+ネームドと余生を過ごすという設定はあまりにも怪しすぎないか。

 

 俺私自分の将来の夢詰め合わせセットのような言葉にアキラとネームドが嘘だろうと言った思いを持つ。向こうも同じなのか黙ったままだ。先ほどからだが。

 

 「前言撤回だな、11号の設定に比べればクリムゾンアイズハーミットはいくらか普通だ。」

 

 「先ほどから一言も発していませんが、どうかしましたか?【パエトーン】に憧れているとおっしゃっていましたが。」

 

 〈、、、ふふ、ふはっ、ははは、、ふははははははは!〉

 

 待ち伏せか、ネームドがそう考え周囲を警戒する。しかし周りは未だ静かだ。エーテリアスが近くにいる気配も

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや、聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 何かが上空を飛んでいる音。ヘッドセットを少しずらし耳をすませば確かに何か聞こえた。

 

 直視しない程度、ほとんど黒に近い緑色の瞳が捉えた先には何か上空にいるのが見えた。

 




こちらネームドの武装です。
小銃

【挿絵表示】

散弾銃

【挿絵表示】

自動拳銃

【挿絵表示】


【挿絵表示】


【挿絵表示】

ナイフ。描けませんでしたので画像です

【挿絵表示】

手斧

【挿絵表示】
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