存在しない男   作:いん22222

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Pixivの設定資料にてネームドの普段着というか姿は絵に描いたものを置いてあります


2. 離脱

「あなたの所属は?」ショートボブの白髪女にそう問われる。

 

 髪が全て逆立っており赤色のジャケットを着た機械人に銃口を突きつけられ、手をあげながらも男は内心ため息を漏らす。

 

 先ほどから声が出ない(・・・・・)とハンドジェスチャーをしようにも『妙な動きをするんじゃねえぞ』───この通り。

 

 「なぜ答えないの。」白髪女がまたそう問いかける。男は喋ろうにも喋れず、先ほどから  『ア”ア”、、、、』としゃがれたような、潰れたような掠れた声しか出せない。それは男の喉にあるなんらかの傷跡によるものだろう。

 

 「喋れないのか、、、?」と、男の膝にまでも及ばない高さをした体型は寸銅、ウサギのような耳をたなびかせ、首の部分には【01】と書かれたスカーフをつけている何かが若干の機械音を混じわせ喋る。声からして青年、男だろうか。

 

 男はその問いに頷く。それに機械人と白髪女は交互に目を配らせ、また男に質問を投げかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あなたは防衛軍所属?」

──NO

 

 

 「治安局?」

──NO

 

 

 「調査協会?」

──NO

 

 

 「一人?」

 男は何も答えない。

 

 「プロキシは?」

 それにも答えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 頷きながらももどかしい、とっとと喋りたい、なぜ喋れないんだ。前の俺はどんなボケをやらかした。と男は舌打ちする。

 それにと考える男にようやく救済が入った。

 

 

 「何か書けるものが必要じゃないか?」

 

 

 そこらへんの石とかで、と【01】のスカーフをつけたなにかが言い出す。

 

 「いい案だな店長」

 

 と、機械人はこちらに銃も向けながらも【01】のスカーフをつけた何かへと体が動いていないとに首が伸びたかのように顔を向けていた。

 

 白髪女は地面の転がっていた手のひらサイズの石を持ち、男へと投げ渡す。

 

 男はゆっくりとそれを拾い上げ、近くにあった崩れた壁へと歩き出した。機械人も男に対して照準を向け続ける。

 

 男は石を壁へと擦り、線を描いた。そしてやがてその線は文字に、そして文章となる。

 

 

 

 

 『I don't know(わからない)

 

 

 

 

 崩れた壁の粗い粗面によってまともに描けていないぐちゃぐちゃな文字、そして文章に白髪女を眉間に皺を寄せ、機械人は???と声を漏らす

 

 その様子を見る男はさらに文字を書き加えた。

 

 

 

 

 『When I woke up was here,I don't have memory.(目が覚めたらここにいた、記憶がない)

 

 

  『Where am I?(ここはどこだ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「は?何で英語なんだ?」

 

 「侵食の影響?」

 

 「俺たちの言葉が理解できてないってことか!?」

 

 「いや、だったらさっきの質問には答えられないはず」

 

 「記憶の混濁と声の発生不能、言語能力の変異、、、、は聞いたことないけど重症なのは確かだ、急ごう」

 

 青年の声がスカーフをつけたなにかが言い、機械人と白髪女も頷く。

 

 ついてきて、と白髪女は言う。そして機械人はスカーフをつけたなにかに対して道案内と頼むを言い、なにかも頷いた。

 

 いやいやちょっとまったとでも言うようになんども石を壁に打ち付き呼び止めた。力ッカッと音が鳴り三人、、、いや一人と二体がこちらに振り返ると、男はそれ返せと言わんばかりに機械人の脇に抱えられている銃火器を指を刺した。

 

 「ホロウ・・・から出るまではだめ、あなたはそのナイフで戦って」

 

 男はまたかと何度目かわからないため息を漏らす。先ほどから出てくるホロウといいエーテリアスといいプロキシといい防衛軍といい、男にとっては聞き覚えのない言葉が洪水のように流れていた。

 

 今日は厄日だ、と思いながらも、男は前に白髪女、後ろに機械人と護送隊列(サンドイッチ)状態で前進するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あら、終わったの?で、そいつ防衛軍?コネできそう?」

 

 ツインテールのピング髪をした女が目を輝かやかせながら一人と二体に問いかける。

 

 倒れているタンクトップのヘルメットか被ったいかにもoutlaw(無法者)な男たちからなにやら金品を弄りながら

 

 「遭難者、プロキシすらつけていないわ。」

 

 「は?自殺志願者なの?」

 

 一気に困惑の表情を浮かべるピンク髪の女が弄る手を止めた。

 

 周囲を安全だと確認した男はコンバットナイフを鞘へと仕舞い、地面に座り少しばかり休憩する。まだ戦闘の余韻が抜けていないのか、彼の眼、そして瞳孔が大きく見開かれていた。

 

 「だがよ親分、、、こいつすげぇんだぜ?!こんだけの装備なのに丸腰みてえな動きでエーテリアスをばったばったと倒してくんだ!こいつぁすげえぜ!!」

 

 それにあの動き、くぅぅぅ!!と堪えるように拳を握りながらもバシバシと男の肩を叩く。

 

 ショルダープレートがある場所なのにまあまあ痛いと思いつつ、嫌そうにしている様子はない。合流地点までのいくつかの戦闘で随分仲が良くなったらしい。

 

 「ええ、彼の動きには目を見張るものがあるわ、記憶がないとは思えない。」

 

 「は?記憶がない??」

 

 頭上に疑問符を浮かべるピンク髪の女や、スカーフをつけたなにかと喋る白髪女、確か名前はアンビーだったか。そして次々と戦闘の動きについて男に聞く機械人(ビリー)、喋れないのに

 

 「まぁあんたが誰なのかはいいとして、まずは言うことあるでしょ。」

 

 はて?と疑問の色を浮かべる男に対しニコは指を男の胸部分へとずんずん突き刺す

 

 「感謝よ感謝、『助けてくれてありがとうございます』でしょ?!」

 

 あぁ、と男は理解した。白兵戦でエーテリアスを仕留めようとしていたところにブラックホールのような何かを打ち出した人影。遠くで見えなかったが、それはニコであった。

 それに加えて男をこのホロウから連れ出してあげるのに感謝の一言もないのかと、ニコの言い分はこうだった。

 

 『That covering fire was good, appreciate.(先ほどの援護射撃は見事だった。感謝する)

 

  グッドサインを立てる男に続き、アンバーとビリーもニコに対し親指を立てる。ついでにこの01スカーフも

 

 「まぁ、私だし?この邪兎屋のニコにかかれば、できないことはないわよ!」

 

 おーほっほっほと口の前に手を置き高笑いをする様子を見る01スカーフは皆をまとめるべく声を上げた。

 

 

 「みんな、とりあえずホロウから脱出しよう、彼もあまり調子が良くないようだし」

 

 

 「それもそうだな、よし行くぜ!!」

 

 

 俺に続け!とポーズをとるビリーを素通りしつつ、01スカーフを先頭に続いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく歩いただろうか、男はこのホロウとやらに対して観察していた。

 

 まず、空間が常に歪んでいること。方角に沿って進むことなど意味がない。行き止まりで戻った先の道が急に右へ、左へと変わったいた。

 

 次に、ここはどこもエーテリアスの巣窟であること。戦闘に入れば入るほど新種のエーテリアスがいた。

 

 ここ一体、とさっきから何度も考えてしまう。

 

 「あった、裂け目だ」

 

 急に立ち止まったかと思えば、裂け目とまたわからない単語を言い出す01スカーフ。

 

 なにがある?と男がもう一歩踏み出すと、空間が不意に蠢きだした。

 

 

 

 

 それはブラックホールのようにも見え、裂け目の外側には青紫色のシャボン玉のような縮小して消えてはまた生まれ、動いていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 こんなものにはいっていいのか、警戒の色を顔に浮かべる男を追い越し、一人一人と何ごともなく裂け目へと進んだ。

 

 「安心しな、これは出口だ」

 

 ほら!と腕を掴みながらとビリーは裂け目へと男を押し込む。

 

 その瞬間奇妙な感覚が体へと広がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 重低音が聞こえ、周囲の景色が引き延ばされ、光の影が渦巻くように切り替わる。

 

 水のような、泡のような、なにかに包まれる慣れない感覚が身体中に広がる。

 

 何秒だろうか、数秒経過した後、また景色が一瞬で切り替った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホロウから離脱し、都市部だろうか、裏道へと全員転送された。

 

 「無事に離脱できたみたいだ。みんなお疲れ様」

 

 「店長あってのホロウだぜ、今回もあんがとな!」

 

 01スカーフをつけたものを抱き上げ、餅のように縦へ横へと引き伸ばしたと思いきや高い高いと赤ちゃんのようにそれを打ち上げた。この何かは一体何でできているのかと男は頭上に疑問符を浮かべた。

 

 「ビリー待ってくれ!まだ接続ちゅ──」

 

 わぁぁあぁと悲鳴をあげるプロキシ、しばらく弄ばれている。ようやく床に下ろされた何かは口の部分を抑えており今にも吐きそうだった。

 

 「ふぅ、、、とりあえず、ウプッ、、、僕はもう切るからイアスをビデオ屋まで頼んだよみんな、そして君も」

 

 指を刺され、俺?と男も自分に指を刺す。

 

 「記憶がないんだろう?このままどこに行くつもりだったんだ?」

 

 

 数秒、男は考える。腕を組んだり、顎に手を当てたり、考えるポーズを取りまくったと思いきや肩をすくめ、わからないと意思表示した。

 

 

 「それじゃあ一度うちにくるといい。思いだすまで泊まってくれてもいい。」

 

 

 いいのか?と目を見開き男はそう問いかける。

 

 問題ない、それじゃあ頼んだよと他の者に01スカーフはそういうと急に充電が切れたかのように動かなくなった。

 

 「切れたな、そんじゃお前ビデオ屋まで行くぞ、車に乗り込め!」

 

 またも俺に続け!とポーズをとるビリーに対して皆が素通りする。いつものことなのだろうか。

 

 裏道を抜けた先には街中につながっていた。その先に続けば駐車場が見えた。

 

 皆が次々と車の中に乗り込み、トランクへと自分の銃が積まれ、バックパックも続いて入れた男も車に乗り込もうとするが、その一瞬、後部座席に乗り込もうとした男の目が見開いた。

 

 

 

 

 

 

ガンとなにかが車に当たる音がする

 

 

 

 

 

 

 疑問に思ったビリーが音の方向をみると、男がルーフの上部分に手を置き、リアドアウィンドウで自分の顔をまじまじと触りながら見ていた。

 

 

 

 

 

 

 そのウィンドウに映っていた男の顔は、一言で言えば傷だらけで、イケている。

 

 顔の所々に縫合跡があり、頬や右耳は削れている、傷跡を見る限りかなり前にできたものだろう。

 

 頬は銃弾が掠れでもしたのだろうか、右耳は散弾でも当たったのかまばらに削れていたのだ。

 

 とはいえだ、顔の大部分がなくなるような傷跡はないらしい。それを差し置かなくとも彼の容姿は中々イイものであった。

 顔の頬や顎、上唇に生えた髭や全て後ろに一点にまとめて結えられている髪、引き締まったフェイスライン、そして鋭い目つき、俗に言うハンターアイを持ってる。

 

 ハードナックルグローブを着た手で傷跡を触って直に無くなっているのを再認識した。傷に目が行っていた。

 

 

 その瞬間、コンコンと窓ガラスを叩かれた。窓ガラスに反射していた自分の顔から奥のすでに乗っているアンビーへと向けてみれば、早く乗ってと親指を後ろへとクイクイ向けていた。

 

 顔をまじまじと見ていた男に声をかけようとしたビリーもまた、ピンク髪の呼びかけに急いで車へと乗り込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 数分ぐらいたっただろうか、談笑が続いていた。弾薬費用やらスターライトナイト、ハンバーガー、化粧品やらネイルやらと、彼女たち、そして一体の個性が現れる会話だった。

 

 かく言う男は、新しいおもちゃを手に入れた子供のように01スカーフをつけた、彼女たち曰くボンプ(・・・)というものををモチモチと、上下左右へ引き伸ばしたり手玉のように上にあげたりと考えごとしながら暇つぶししていた。

 

 ボンプというのはこの都市、新エリー都(・・・・・)で人間と同じ数ほどいるとのこと

 

 そしてこの都市はホロウが常に発生しているとこと、今も後部座席の窓ガラスから見えるホロウに対し、あそこに入っていたのかと口を閉じるのすら忘れるほど驚いたのは言うまでもない。

 

 そしてビリーのような機械人、及び知能構造体はめずらしくはないが、彼のような完全な自我を持った個体は少ないとのこと

 

 先ほどと同じように、口を閉じ忘れ驚いていた男が見た人間と動物の遺伝子同士が混じっている個体、シリオンがいるということ

 

 どれも彼としては見たことがなかった。

 

 本日何回目だろう、ここは一体とまた考える。そうこうしているうちに車がまた駐車場へと止まった。

 

 降りてみれば何やら店の裏駐車場についたらしい。もう一つ、、、かなり雑に駐車している車には【Random play】という文字がフロントガラス上部に貼られている。

 

 こっちだ、と言われ、男はトランクからバックパックと銃を取り出し、裏口から店へ、【Rondom Play】の店内へと入った。一見すれば襲撃(カチコミ)である。

 

 「お、来たみたいだね」

 

 先ほどのボンプから聞こえていた声が、はっきりと肉声で聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一言で言えば、イケメンだ。

 

 黒を基調としたスタイリッシュなジーンズと長袖、そして都会物の、、、すでに随分と特徴的な服装を2人と1体がしているが、それとは違った落ち着いた雰囲気のジャケットを着た銀髪の青年がカウンターへと腰掛けていた

 

 モテそうだ、と男は端的に感想を漏らす。

 

 「君がホロウの遭難者だね、よろしく、僕はアキラだ。」

 

 アキラは握手をしようと手を差し出す。男も手を出し、両者握手をした。手がアキラよりも大きく、握りずらかった。

 

 「初めて見た時にも思ったけど、、、やっぱり大きいな。そしてよく鍛えられてるね」

 

 アキラは少し後退りながらも男を見上げる。一階の店内を照らす照明が男の体で隠され、アキラに光が照らされていない。

 

 「そんじゃ店長、俺たちは帰るからそいつよろしくな!」

 

 「報酬も振り込んどきなさいよ〜!」

 

 彼女たち、もとい邪兎屋が店の裏口から帰り、1階のフロアには男とアキラの2人が残された。

 

 「“ツケ”もあるんだけどな、、、それじゃあスタッフルームに行こうか、話はそれからだ。それに侵食の検査もしないと」

 

 踵を返し、後ろの鉄扉へとアキラが進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 不用心だ、後ろから殺すこともできるのに、と男はふと思う。

 

 これほど武装しており、そして傷跡からただ者ではないとわかっているだろうに

 

 人がいいのか警戒不足なのか、はたまたどっちもか

 

 手をかけることなく、男もそれに続き、スタッフルームへと入るのだった。

 

 

───────────────────────

 

 

 「なぁ親分、俺はどうせ親分があいつから金せびると思ってたけどなんで言わなかったんだ?」

 

 「ふふん♪よく聞いたわねビリー、私には、わかるのよ」

 

 「わかる?」

 

 ビリーがしなやかに、合金でできているとは思えない体を動かしながらも疑問を表す。

 

 「あいつ・・・、あんたたちが言うにはかなり強いらしいじゃない!だったらパエトーンの護衛人にでもさせてありがとうニコ!とでも言ってくれた暁には!ツケを減らすって言う戦法よ!」

 

 「なるほど、そりゃ名案だな親分!やっぱ親分は最高だぜぇ!」

 

 ふっふーんと懐から今の時代では珍しいガラケーを取り出したと思えばニコとビリーは色々なポーズをしながら自撮りし始めた。

 その様子をハンバーガーを食いながら、アンビーはホロウでの戦闘を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──乱暴的に、殺すのとは違う、破壊のような戦闘方法

 

 

 地面にあるレンガや石を使い、叩きつけ、相手を鈍らせた隙にナイフを何度も何度もコアへと刺す。

 

 石だけではない、その場にあるもの武器になるものは全て使う戦術

 

 あるいは殺しはせず、エーテリアスの体を持ち始めたかと思いきや、それを盾にしながら相手の懐へと潜り込む。

 

 

 そしてナイフが弾かれたら今度は拳や肘、ひざと足でエーテリアスと戦う。

 

 

 コアを殴り、踏み潰す。

 

 

 さながら鬼のような戦いぶりだった。

 

 

 




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