「もうすぐで始まるのだ!さっさとするのだ特別転校生どもと付き添いども!!」
元気いっぱい、子供。”首席技術者”の頭脳が詰まっているとは思えない少女が四人と二体を急かす。
青年と少女二人の服はいつもと変わっていた。二人とも白のシャツの上に黒を基調としたダイヤ柄のニットベストを着込み胸元には鮮やかな黄金色のリボンがある。肩には茶色の革製ストラップが斜めにかけられている。
少女のほうは深緑のプリーツスカートを合わせる一方青年は淡い灰青色の少しばかりオーバーサイズなパンツを穿きすらりとした体格をより引き立てていた。
二人が来る服装はとある学院の制服であるがどこか旅人のような雰囲気が漂っていた。
『
「?何か言ったか?」
『
意識せず言ってしまった言葉に違和感を感じつつ周りを見渡す一人の男。半袖のTシャツから見える上腕と前腕は筋肉がかなり詰まっているのが一目で分かり、傷だらけである。中には銃創の跡もいくつか見られた。周りの皮膚に比べて少々窪んでいるのが目立つ。
少女二人、青年一人、大柄の男一人、機械人一体、ボンプ一体がついた先は大勢の人間が集まっている中央広場だ。これからは治療
をするために行くついでに演説が始まるとのことだ。
出てくる人物は滅多に現れない人物らしい。それを聞き来たばかりの全員が来ているわけだがそのうちの一人はそれが誰か聞いていなかった。
理由は寝坊である。
民衆が集まりきったちょうどその時、演説の始まりを告げる軽快なラッパが聞こえ始めた。ラッパを演奏しているのは三体のボンプだ。
普通ラッパ、および金管楽器は息を吹き唇を振るわせ音を奏でるはずだがあのボンプにそれらしきものは見つからない。あのラッパは金管ではなく電子式なのだろうか。
約十秒音楽が奏でられれば銀の甲冑を頭に被った数十人の人間が先に出る。その手に握られている物はかつて巨大の大陸の西側部分の一体で使われていた旧時代の武器だ。しかし
全員が全て同じ歩幅、同じ動きで
その姿、”女”を見た瞬間に大柄の男が黒の布を被っている頭を抑え込む。
「え、大丈夫?」
『
「ちょっちょちょ、どしたんどしたん!?」
頭を抑え地面に倒れるように膝をつく大柄の人間。仲間である数人が駆け寄る、その様子を周囲の人間も心配そうに見ていた。
「あの人がサンブリンガー様か?」
────
その様子に気づかない民衆の一人が見えた演説者の名前を呼ぶ。その言葉を否定するような声が大柄な人間の脳内に響く。
急に襲い掛かる激しい頭痛に耐えかねつつ顔を上げる。
────
────黙れ
「頭に角があって、高身長で白髪!きっとサンブリンガー様よ!」
────
「大じょ──
「
振り絞るように出した声は震えている。いつもの落ち着いた口調は激しさを増しており戦っているような時の言動だ。
視野角が広がり視界の明度と鮮度が上がる。聴覚が研ぎ済まされ嗅覚が鋭くなり遠くのうっすら匂っていた遠くのコーヒーの匂いがより強くなる。額には汗が流れ心拍数が上昇していく。
前に出た巨体の人間が機械の質量に負ける。靴底が地面を深く擦りながら後方へ下がるもスタートダッシュを切るようにすぐ前へと突撃した。
ブーツが地面を蹴り飛び出した先の〈駿足ローバー〉に右足が直撃する。斜め上へと蹴り上げた力が中心部を貫き姿勢制御システムが負荷限界を引き起こされた。
体勢が崩れた隙を逃さんと11号がナタを一度装備へ収める。再チャージされたナタがさらに赤熱し機体中央部へと振りかぶった。
決死の意気で武器を振るった攻撃は通ったらしい。すんなりと入った攻撃は中心部を溶かし斬撃した。
人間で言うところの脳でもあり心臓でもあるだろうか。直撃された〈駿足ローバー〉は橙色に染まった切断面から火花を散らしなんとか動こうとしている。そこに一つの筒状の穴が向けられた。
それが救いの手にでも見えたのか機械の駆動音を周囲にかめ巡らせなんとか掴もうとする。しかしそこから出たのは12ゲージの散弾だった。
環境にやさしいスチール製の散弾が内部に入り込み掻き乱す。それが決定打となり〈駿足ローバー〉は沈黙した。
「撃破確認。あそこが施設よ」
ナタを一振りし背中の装備に収めた11号が歩く。フォアハンドを引き戻し薬莢のシェルをポケットに入れればネームドも移動するがすぐに止まってしまった。後ろには影に隠れていた
「?どうかしたの。」
先頭に来るはずの人間が来ないことに気づいた11号が後ろ振り返る。しゃがみ込み靴を見始めていた。
「靴底が溶けてるみたいだ。さっき火炎放射を抑え込んだせいだろう。」
近づき見てみれば確かにブーツの先が変形している。すでに冷えてはいるがドロリといくつかの箇所がゴムの部分が飴細工のように垂れ下がっており、鼻をつくのは焦げた化学物質の匂いだった。 大したものではないように見えるが本人にとってはかなりの違和感を感じるだろう。
ため息を出しながらも立ち上がれば小銃を持ち先頭を歩き出す。キビキビとしたそれはいつものネームドだった。
十分も立たず歩いた先には灰色の外壁でできた施設がある。遠くでは指で覆えるほど小さかったものが今では11号、ネームド、
「これがメインゲート?」
「そう、これがメインゲート。」
それにしては小さい、と思ってしまう。巨大施設、そして実験兵器が通ると言うことで巨大なゲートをイメージしていたのだがそうでもないらしい。車両などが複数台通れるほどだ。
腕を振り拳で何度かゲートを叩く。ガンガンと音が鳴ることはなく振動がほんの少し響くだけである。わかりやすく言うならコンクリートの壁を叩くようなものだ。
「これが非常ボタンよ。ここを押せば、、、」
黒の壁を押せばカチッと音が鳴り開く。それなりに大きい赤のボタンが現れ11号が押すが───
「、、、」
「、、、」
「、、、」
『、、、』
やはりと言うべきか、何も起こらない。
予想はしていたが、うまくいって欲しかった。またしてもため息が出てしまう。
「確かプランBがあったはずだ、11号?」
「えぇ、プランBで行きましょう。」
11号が一度後退り構える。その姿勢にはネームドと[[rb:イアス > アキラ]]には見覚えがあるものだ。
ナタを引き抜き
「火力で押す!」
「待った待った待った!!」
「邪魔しないで。」
「軍の施設なんだから警備システムがあるかもしれないのに強行突破はダメだ!」
フリフリと小さいボンプの手を一生懸命振り説得する。最もの意見の前に11号も動きを止めた。
迂回するにもエーテリアスと正規軍が道中にいるかもしれない。交戦はできるだけ避けたいのが全員の考えである。
どうしようか、と考えをしている二人の耳に一回の衝突音が聞こえる。なんだと思えば予想外の出来事が起きた。
メインゲートが開いたのだ。
「え、、、」
「どうやって、、、」
周りを見渡し見つけたのは非常ボタンの前で止まっているネームドだ。左拳が非常ボタンを押したままで体が止まっている。
────本当に開くとは思わなかったな、、、
「どうやったんだネームド!?」
────いや別に
「まさかあなたも”プランB”を?」
────ちょっと押しただけなんだが、、、
「まさか機械仕掛けの左手だったの!?そうならそうと早く言ってよ〜。」
────そんなわけないだろう。
やいのやいのと質問攻めする
伝えたいことは奥まで押し込んだ、もしくは”殴った”と言う意味だろう。
「まぁ、ともかくだ。開いたんだし行こうか。」
そのまま進んだ先はなんらかの格納庫だった。小銃を構えつつ内部に入れるがエーテリアスはいないらしい。メインゲート先にあった格納庫のような場所には車両が数台放置されているがどれもが綺麗に並べられている。
襲撃があったにしても役目を果たせなかったのだろう。周辺には一々説明せずとも分かる戦闘の跡があった。
弾痕、斬撃の後、ペンキをぶち撒けたかのような
複数の廊下と他よりも大きい中央通路。電気のついていない通路は引き込まれるような暗黒が続いている。
その暗黒からは何かピリピリとした気配を感じたネームドは掛けたばかりの安全装置をまた解除する。目を見開き、瞳孔はわずかな光、もしくは敵を探すべく散大している。
「なんてことだ、、、」
「どうしたの?」
「ここはターゲットだらけだ、エーテリアスがうじゃうじゃいる。」
どうりで、とネームドが思った。中央通路から感じるこの気配は生物的本能が感じ取った危険信号であった。
さて、このまま通るのは袋叩きにされるだけだ。やはり迂回しようか、それともこのまま隠密で通り抜けようか勘がけている三人の耳に異音が届く。一番先に気づいたのはネームドだ。
「、、、やっぱり迂回を──
そう
「
「ゲートを閉じないと、あそこだ!!」
ボンプの小さな手が向いた先には振り下ろし式のレバーがある。黒と黄色の警告線が入っているそれに11号が駆け寄り素早く下せば格納庫のランプが赤く点滅し始めた。
ゲートがゆっくりと閉るがその間にもこちら側へと走ってくる。エーテリアスに小銃を向けるが撃てば施設内部にいるエーテリアス共に銃声が聞かれてしまう。
袋小路になってしまう未来が想像できてしまい早く閉じてくれと全員が願った。その願いは無事施設に届いたのか交戦を開始される前にゲートが閉まり切る。門を叩くエーテリアスの声と衝突音が聞こえ、真っ暗になった格納庫がオレンジの光に照らされた。ゲートの緊急閉鎖レバーを下ろしたため非常電源が作動し始めたのだろう。
道が一つとなり考える必要がなくなる。難しく考える必要がなくなった。
全く嬉しくないが。
「どの道で行くか考える必要がなくなったな。」
「嬉しくはないわね。」
同じ気持ちであろう三人が向く先は電気のついた数々の通路。光がついたため奥まで見え、格納庫と同じ戦闘の跡がこびりついていた。
不可思議なのは死体が"一切"存在していないことだろうか。
「ここを手探りで進むのは危険だな、監視カメラの制御室でもあればいいんだけど。」
「ちょっと待って、今確認する。」
ウエストベルトから装置を取り出した11号が見慣れたホログラムを取り出す。緊急照明がついたとはいえ暗い施設の中ではよく見えるものだ。
ホログラムを映し出すための光。それが周囲を照らし中々に見やすい。そんな考えは今のネームドにはない。現在のネームドの視線は放置車両の床に置かれているものに向かれている。
おおよそ目があると思われるスナイパーベールの箇所。妙にキラキラとしている気がする。
「ここが監視カメラの───ブラッドデットメロディー?何をしているの?」
ジャラジャラと音が鳴る。その音に軍人である11号には聞き覚えがあった。
砂場に手を突っ込み手を上げれば砂がいくらか漏れるように、ハードナックルグローブを着たネームドの手には真鍮特有の落ち着いた黄色に輝くものが大量にあった。
銃弾だ。
「これは、、、!大量だな。君の銃でも使えるかい?」
銃弾の底部には製造年月・口径などの刻印がされている。
刻印との睨めっこが続けばダンプポーチから空弾倉を取り出す。弾倉口縁へ弾を入れ込めばサイズピッタリに通った。
どうやらビンゴらしい。
───なんて都合がいい。
素早く補給を済ませるべくバックパックを床に下ろすネームド。その後ろには腕を組み仁王立ちしている11号がいる。ゴーグルの奥では何やら怪訝そうな目をしていた。
そこでアキラとネームドは思い出す。これは防衛軍のものであると。
しかし新エリー都の法律ではホロウ内部での私物や財産の物理的・法的な所有権は保障されなくなる。それは多くのホロウレイダーが使う便利な免罪符であるが新エリー都公的機関である【H.A.N.D】【治安局】【防衛軍】はその限りではない。
フッと、圧迫された視線がなくなり二人がわずかに後ろを向けば11号がその他の方向を見ていた。そっぽ向くが正しいだろう。
「私はこの格納庫を探索するのに集中するわ。装備のエネルギーを補給できる収納機械があるかもしれない。」
準備は素早く終わらせて。と言えば別の方向に歩いてゆく。ネームドと
一人は余っている空弾倉に弾を詰め込みまくり一体はバックパックに弾薬箱ごと入れる。口径が違えど、どんなものも詰め込んだ。
この行為には必ず良い方向へと進む。弾薬を買う必要がなくなるというのは金の使い道がなくなる。
11号が戻ってきたのはわずか三分。しかしそこにあったはずの積まれた弾薬箱はスッキリなくなっていた。
「、、、問題はなさそう?」
呆れか、ある意味の感心か、ため息を出し聞く11号に親指を立てるネームドと
進む先はコントロール室。監視カメラを管理されているという情報を頼りに進む。そこを確保すれば出口まで進める現在の道を見つける。
11号の持っている施設の情報は構造の仕組みでありリアルタイムで内部を把握しているわけではない。稼働しているであろう監視カメラを掌握し現在施設の内部を知ってから抜け出すことにした。
手探りでエーテリアスを始末していれば必ず行き止まりでやられる。それは11号の経験でもありネームドの直感でもある。
「随分入り組んでるな、、、」
小声でそういう
大量のエーテリアスが侵入してきた際に一気に来られないようにでもしていたのだろうか。いずれにせよこの通路の数々は掩蔽壕に似ている。通路の道脇に物資やらなんやらが置かれている。
先ほどから頭痛がするのかそのせいだと気づいた。
しかしの記憶など───
頭痛がし、耳鳴りがする。周りが聞こえないほどではないがかなりうるさい。撃ってもいないのに曇っているような銃声が聞こえ出した。
分隊長!! 奴ら地雷原を通り抜けた!!デカブツが邪魔で砲撃と機関じゃこれ以上食い止められねぇ!!
───誰の声だ。
オリバーとアンドレイとヒュージが担ぎながらサイトウが水平に撃て!!B隊とC隊は森林エリアまで後退!!杖の軍の航空支援を呼んで一気に爆撃してか後ろと交代する!!
クソったれ共を一匹残らず殺しつくすぞ!!!
畜生、ここ掘るのに何日かかったと思うんだ奴らは!?
見知らぬ誰かの声。しかし何故か聞き覚えがある。
並行感覚が歪み姿勢がグラつく。バックパックに詰めた銃弾の重量もあってネームドの姿勢が崩れた。足に力を込めすぐ体勢を立て直す。アキラと11号に心配をかけまいとすぐに姿勢を正しまた先頭を歩き出した。
コントロール室までの道のりはすでに三人の頭に入っている。中央通路から外れ別の廊下へと進み始めれば途端に迷路かと見違えるほど変わり始めた。
コンバットナイフを右手に持ちながら進む。
【消音器】というのは名ばかりであり実際はそれほど変わらないものだ。銃弾が放たれる時は火薬の爆発音のみならず音速を超えることによる[[rb:ソニックブーム > 衝撃波]]が発生してしまう。
亜音速弾を使えば銃声は映画のような消音効果が望めるが現状都合そのようなものがあるわけもない。言って終えば消音器ではなく減音器だ。
また分かれ道となり左に進む。通路の角には佇んでいるエーテリアスがいた。あちら側に向いており気づいていないと映画のようなことがあるわけもなく静かに進む三人の方向を向いている。
腕と足の向きによりそう判断したネームドが素早く腕を動かした。
エーテリアスが声を出す、叫ぶのは人間のようにコアからエーテルを放出し、空気中のエーテル物質を震わせ音を出しているのではという根拠のない考察がインターノット上のどこかに転がっているのは日々あること。実際どうなのかは分からない。が、今目の前のエーテリアスが叫ぼうとしているのは誰でも分かった。
警報を響かせ仲間を呼ぼうとしている
全員が別々の方向を見て耳を澄ます。別個体のエーテリアスに気づかれた様子がないのを認めれば再び進み始めた。
「済まない、探知が遅れた、、、そこの左と右にいる。」
背中の装備に収めていたナタを取り出すがこの狭い場所ではやりずらい。それを見たネームドが手斧を11号に渡し右に向かう。受け取った11号が左に進めば対処を始めたのはほぼ同時だった。
両手で手斧を握り込み上げる。前を向いているエーテリアスのコアに一気に振り下ろした。重さと加速が乗った斧のは刃先はコアへと入り込み致命傷を負わせる。
呻き声を一瞬上げるエーテリアスのコアへ勢いを失わせることなく体を回転させ直撃させる当てるよりは斬撃に近い攻撃の次にまた振り下ろした斧は確実にエーテリアスを殺した。
薪割りをやったことのない11号だが意外にも筋があるらしい。
「これは重いわ。それを貸してくれるかしら。」
同時に投げ渡された手斧とコンバットナイフが交差し使い手が変わる。手に馴染ませ握り込む二人が先頭を進み始めた。
(斧よりは軽いけど重いわね。)
(二人とも息があってるな。)
───斧よりナイフのほうがやりやすい。
三人それぞれが別の考えを持ちっているがコントロール室へと向かうべく道中のエーテリアスを暗殺する。探知する。暗殺するの繰り返しがコントロール室までしばらくの続いた。
三体のエーテリアスがいる室内へ静かに二人の人間が静かに入り込む。扉が閉じられ後ろに近づかれたエーテリアスが振り向くもそれを迎えたナイフ、もしくは手斧の刃である。
仲間が刺されたことに気づくエーテリアスにももう一本のナイフを。落ちていたボロついていたそれを刺し下へと一気に引き下げコアを引き裂き体を回転させる。勢いを失うことなくもう一体にも差し込めば制圧が完了した。一体のボンプがサーバーのような機械に接続しLOADINGの文字が目を写す液晶画面に映る。
「マンダリン・フロスト・ローディング。施設内部の現在状況は?」
「確認が取れた、、、嘘だろう。」
点滅し元の真ん丸な目に戻るはずがその目は驚愕を表す点となっている。何か異常が発生したのか、そうでないと内心願っているがそううまく行くわけもないだろう。
「出口までのすべての道が塞がれている。エーテリアスにじゃなくて瓦礫だ。」
思わず耳を疑う言葉を脳が認識した。
TVアレイモードでたった数歩の場所が施設なわけねぇよなぁ!?てなわけで拡大妄想行きます。
ある日Twitterを見ていたらFairyの擬人化が出てきて思わずニヤけてしまいました。非公式ではあるけど、、、フヒ、フヒヒヒ。フハッグヒヒ(キモスギボンプ)
。
誤字脱字ありましたらすみません。完成後見直してはいますがどうしても見逃してしまう時があります。
追記:修正されていない文字が7つありました。