一つ告知があります。
本小説であるタイトルの【存在しない男】この名前を〈存在しない”人間”〉へと変更します。
七月あたりから変えようかないやでもと考えていた事であり、八月末あたりにようやく変えようと決めました。
理由といたしましては、ネームドの性別は”男”です。だから男にしようとしたのですが、ネームドの”過去”をもう一度考え直したら”人間”という男でも女でもない中立な言葉にしようとしました。
10月3日に変更します。予告もなしにタイトル名を変更しては「あれこの小説お気に入り登録したっけ?」となる人がいるかもしれないためです。
各部隊との通信が取れなくなり、異変に気付いた。
「11号、応答してください。」
聴覚が鋭くなった。眼が見えなくなり、他の五感を鍛えるを得なかったという事もあり、自動的に音量を調節するアクティブ・ノイズキャンセング機能が搭載されているイヤホンに接続した通信機へ呼びかける。
しかし流れてくるのはテレビの砂嵐のような音。そして聞こえる何らかの波長は女兵士───トリガーにも聞き覚えがあるものだった。
「これは…ジャミング?」
今回の作戦事項に通信妨害のジャミングを使用する旨は聞かされていない。特に最初に最前線へと赴く、トリガーの所属するオボルス小隊は必ず情報が伝えられている。
11号にはプロキシとホロウレイダーの二人組が付いているとも耳にしていた。そして信用できる人物達とも。
周波数をいくつか変え通信を試みている間、鋭い耳が銃声を聞き入れすぐに現場へと向かった。その道中で発見した反乱軍狙撃手は近づく存在を知覚していたものの、接近に気づいた時にはすでに始末された。
すぐに11号と反乱軍の面会場所へと向かうも残されていた痕跡はまだ乾いていない鮮血の匂い、今の時代では珍しい実弾の薬莢。
流れた血が続く先には反乱軍の集団を発見。遠くからの狙撃支援をすべく一度後退するところへ、見慣れた
忘れるはずもない、忘れてはならない恩人。
ボンプへと感覚同期する技術を持ち、自分の
重要作戦途中であるにも関わらず、思わず頬が緩んでしまう。今頃バイザーのLEDは桜色になっているだろう。
その人を視ていれば、通信が回復することに気づき、ついにあの人とまた話すことができた。
しかし軍人である身である以上作戦中に私情を挟むことは許されない。だから
そこで、続け様に銃声が鳴っている場所があることに気づいた。
どうにも気になってしまう。拭えない直感に従うことにした。
近づけば近づくほど、思わず顔を顰めてしまう臭いが鼻腔を殴っている。
血の匂いだ。それも大量に。
ビルへと入り狙撃体勢に入った時には既に戦闘が終わっていた。そしてその現場に
エーテリアスや生物、知能構造体から発せられるエーテルを視る【エーテル・サイト】を身につけた自身の眼。
何も映らなかった。しかし確かに”何か”が居る。
トリガーはそれを”脅威”を判定した。
今まで遭遇した事がなかったのだ。エーテルを持たない何者かなど。
科学技術がそれほど発達していない大昔に、上流階級の人間や神からのお告げなどと戯言言ってる人間、聖書を阿呆のように信じている人間共から異端だの魔女だの凶暴だのと言われていた、あれに近いものだ。
未知の物に対し排除しようとする考えはいつまで経っても変わらないらしい。生物としての本能なのだろうか。
恩人であるプロキシと一人のホロウレイダーが一人いると聞いたが、その人間は11号と一緒にいるはずだ。現在確実にここにいるという情報はないが。
軍用電磁狙撃銃【プレゲトーン】を構える。
視力は完全に失われたというわけではない。バイザーがトリガーの眼をスキャニングし
引き金を握り、発射する。
「…!避けられた。」
音が聞こえなかった。肉体へと当たり、体内に入り込む聞き慣れてしまった鈍い音が。
聞こえたのは風を切り、どこかへ飛び込む音。そこから数秒、”何か”が走りだす音が聞こえる。
地面を蹴る音が、確実にトリガーのいるビルへと近いていた。
しかしそれで分かったこともある。”何か”は人間──いや、二足歩行の何かだ。
エイムアシストを受けながら射撃するも、聞こえるのは地面に当たる着弾音のみ。急速に大きくなっていく足音、そして近づく血の匂いがトリガーを焦らせた。
続けて発射すれば、確かに違う着弾音が聞こえた。甲高く、何かが砕ける音だ。
知能構造体かとも考えたが、この走る音や歩調はどうも人間のそれだ。ならば防弾プレートにでも当たったのだろうか。
その予想は嬉しくもないが命中しており、走るのを緩めることなくビルへと侵入された。
撃破されていて欲しいと願ったが、すぐに階段を駆け上がる音がトリガーの耳に届く。
相変わらず近づく血の匂い。
”何か”命を刈り取りに来ている。
トリガーは”恐怖”を感じた。
四階へと到達したのを捉え、オフィス内で狙撃銃を構え待つ。
本来ならば位置が露見したのなら移動すべきだ、しかし自身の足で逃げ切るのは無理だと確実に分かったのだ。
ドクドクと速く動く心臓がうるさいと思いながら、外の長い廊下に”何か”が居るのを捉えガク引き気味に引き金を握る。
当たった音は聞こえた。しかし掠った音だった。
何らかの物体が回転しながら風を切る音が近づいているのを感じ取り体を横にずらす。おそらくは刃物の類だろう。
後で結んでいる髪の先端が刃物によって切れるのを感じるが今気にしている場合ではない。
トリガーも負けるつもりはない。廊下とオフィスを反響する音、”何か”の気配、匂いですでに脳内にて空間を形成していた。
視えずとも分かる。大人しくこの命を差し出すつもりはない。まだ自身にはやるべきことが残っている。
”何か”との格闘が始まった。
結果は言わずとも、分かるだろう。
「ン”ッッ……ありがとう、ございます。」
トリガーが歯を食いしばり耐えたのは、肩の関節を戻す痛みだ。
ネームドは
目の前にいるトリガーに命を狙われたのは、様々な要因が絡み合ったからだ。
今考えてみるならホロウへと入る前から11号に防衛軍の精鋭部隊や、11号の戦友が何者か、どこにいるかの位置の”報告”を聞いておくべきだった。
反乱軍の仕掛けた通線ジャミングによる”連絡”が取れていない現状、そして作戦が失敗した場合どうするかの”相談”
無理やり感はあるが、見事なまでに
【仕方なかった】で済んでいるのが幸いだ。同士討ちはしてしまったが取り返しのつかない状況へとなる前に収めることが出来た。
肩を何回か回し正常に戻ったのを確認すればトリガーが立ち上がる。プレゲトーンを持ち直した。
その銃を見て、ネームドは眉間に皺を寄せてしまう。不快だからではない。
形状が異様だったからだ。
目につくのはまず照準器がないところだろうか。それを載せるレールや
銃身の長さからして
銃身下についている銃剣と呼べるか怪しいナタは白兵戦を行うためのものであろう。
引き金の部位はレバーを呼ぶ方が正しい。これでは【引き金を引く】ではなく【引き金を
───拳銃?
なんとなくではあるが、ネームドは拳銃のようにも見えたのだ。
分離が可能なのだろう。当然弾倉も装填されて、どうも先ほど狙撃されかけた際の弾頭の大きさが入る弾倉ではない。一体どこからあの弾丸が出るのだろうか、と深く考えそうにもなるが───
「あなたがここにいるということは11号とは別行動ですね。早く移動しましょう。」
トリガーの言う通りここは戦場であり、11号が一人で戦っている状況だ。即座に支援に向かわなければなければならない。
「ネームド、今ビルの前にいる。連れて行ってくれ。」
「私が支援します。先に行ってください。」
了解の意味を示すグッドマークをトリガーへと向ければ、歩く方向は崩れたオフィスの壁だ。
どこへ行こうとしている、トリガーがそう思った時にはネームドが空へと飛び込んだ。
「…!?待ってください!」
まさか彼も”見えない”わけではないだろうな、トリガーが手を差し伸ばすもその手をネームドは無視する。
次に聞こえたのは───地面へと落下し”パンッ”と弾ける音は聞こえなかった。聞こえたのはもっと近くで、何かを掴み、質量が一気に乗り掛かり軋む音だ。
ネームドはそのまま落ちたわけではない。ビルの壁際を掴みすぐさま一階へと向かっていたのだ。
この人間本当に左手に銃創を負っているのだろうか。
「ネームド!ヒヤヒヤするからああいうのは止めてくれ!」
怪我したらどうする、と地面へとローリングし着地したネームドへと説教する
「二時の方向へと向かってください、あの方角にいます。」
通信を繋ぎ聞こえるトリガーの指示に従うがまま11号の支援へと向かった。駆け足よりも早く。
「……」
感覚同期をしているとはいえ、臭いまでもが同期されるわけではない。しかしアキラ自身眉間に皺がよってしまう。
肩に乗せてもらっている人間、ネームドのヘルメットやスナイパーベール、装備、服に付着している返り血。
後ろを振り返れば血を流して倒れている反乱軍兵士達がいる。
もう一度、ネームドへと視線を戻す。
なぜそれほど、人を殺すのに躊躇がないのか。
聞きたくとも今はそのような状況ではない。
それは今ではすっかり遠くにいる、戦場の状況を視ているトリガーも思ったことだ。
刃が交わるたびに閃光のような火花が散り、激しい攻防戦が繰り返されている。
繰り返し鳴る金属音の合間に聞こえた音は人間が斬られる音だ。血が地面に落ちることがないのは対侵食戦闘服のためか。
長身、その上体格の良さが戦闘服越しでも一目で分かる反乱軍兵士が11号へと迫りエーテル合金により構成されたナイフを首目掛けて刺突を狙う。
刃物において刺突は一番防ぎにくい攻撃であるが、それすらも長物であるナタで防がれ拮抗状態が始まった。
足腰、胴体、腕の筋肉を順に力を入れそのまま押し付けようとするも、逆に押し返されていることに気づいた。
ヘルメットに映し出されている視覚映像は間違いなく体格差は衰えている女兵士がナタを握っている。自身としても力自慢であることは自負しているつもりだった。
「ありえ───
筋密度がおかしいのか
「ハァッ!!」
腹と背中が文字通りくっつくように鳩尾を刺突された反乱軍兵士が一気に肺から息を吐き出してしまう。
気が遠くなりそうな反乱軍兵士の腕がわしずかみにされ一気に世界が反転する。
いや、世界ではない。反乱軍兵士が投げられたのだ。
腕と胸ぐらを掴み背中に相手を乗せる。11号よりも大きい相手に対してやりやすいシンプルな背負い投げ。
背中が硬い地面に叩きつけられさらに気が遠くなった。
しばらくは動けまい、後ろへと目を向ければ向けられていたのはレーザー。
「撃て!!」
無数の銃口から放たれるそれを迎えるべくナタを振り回す。しかしただ振り回すだけではない。
高速で飛来する物体を、続け様に”弾く”。
高速で腕を、手首を、ナタを円形に回転させ全ての銃弾を弾き飛ばしながら接近してみせたのだ。
銃弾を弾くなどと馬鹿話のようなことが眼前に繰り広げられているためか反乱軍兵士は引い金を引き続けたまま呆然としてしまった。撃ち続ければ限界が訪れるとでも思っているのだろうが、彼女にとってはこのような銃弾を弾くなど基礎訓練の内の一つだ。
銃火器しか使わないのであれば詰めるのみ。
炎を纏ったナタが一気に複数人を振り払えば今度は電車の天井から飛び込む反乱軍兵士の相手だ。その手には先ほど相手した兵士と同じナイフを装備している。
飛び出した一人のナイフを防ぎ振り向けば蹴りが目も前にまできているのに気づきナタで防ぐ。よろけないよう後ろへと飛んだところを他の反乱軍兵士へと狙われた。
両手ナイフ。動きが素早いと判断した11号が攻撃させないと先制で懐へインファイトを仕掛けた。右腕を掴み力を込めれば無理やり肘関節の曲がる逆方向へと曲げ、その次に傍下へとナタを通し腕を抑えればそのままナタを一回転させる。雄叫びが聞こえるも無視しつつ盾へと使った。
両の手が使えなくさせられた味方が盾にされているのを見た反乱軍兵士二人が怒りの声を上げる。随分と仲間意識が強いらしい。
ナタの先端を敵兵へと向けたまま11号が盾へと使っている兵士のベルトへと視線を移した。敵から目を離すなど死に等しいと分かってはいるが、使えるものがあったのだ。
ベルトにかけられている物を引っ張り出し、ピンを抜けば兵盾に使われている兵士は死を覚悟した。手榴弾を括り付けられ爆弾となり、死ぬのだと。
しかし11号は敵兵であってもそのような扱いはしない。無論殺す気のある敵にはそれ相応に答えるが、今回は違う。
背中から投げられた物が敵兵の前方へと投げられ兵士は散り散りに逃げる。しかし出てきたのは煙だった。
エーテル活性を利用され開発された
このまま煙の中で相手するわけにはいかない。外へ出ようとした兵士の考え諸共吹き飛ばす爆発が発生した。
目の前が橙色と黒色に染まる前に見えたのは炎を纏ったナタが煙の中へ投げ込まれた瞬間である。
”混沌”
エーテルが変化し【火】【電気】主にこの二つがエーテルから変化したものだ。そのまま濃縮された【エーテル】もあるが。
エーテル活性により発生させた煙は化学に照らし合わせても通常の煙であるが、元はエーテルによりできた物である。その中へエーテル化合燃料により発生した火が入れば、新エリー都を生きる者にはどうなるかは誰でもわかることだ。
広範囲で発生する混沌によって粉塵爆発に似た現象が反乱軍兵士の体を吹き飛ばす。視界が晴れた頃には地面へと伏せ動いていなかった。
生きているか死か。どちらにせよ人の形を保っているのが幸運だ。
爆炎の余波が空中を待っている間、どういう仕組みが分からないが地面に刺さっているナタを引き抜けば名一杯足に力を込め飛ぶ。体を回転させこちらへと肉薄する兵士目掛けて振り下ろした。
ヘルメットが刃を防ぐも衝撃はそのまま生身の頭部へと到達された敵兵が倒れる。その後ろでは狼狽えている敵兵がいた。
「報告!我が班は壊滅増援求む!!」
敵が目の前にいるというのに通信機へと報告する敵兵へナタを向ければ急速に突撃した。構えきれなかったナイフが遠くへ飛ばされ残る手段は逃げるのみだ。
「降伏しなさい!」
「断る!!」
走る反乱軍兵士の背中を追う11号が諦めろと声をかけるも即応で否定される。ならば力尽くで抑え込むと左脚のレッグホルスターから拳銃を引き抜こうとするもできなかった。それよりも反射的にナタを構える。
傍から出てきたエーテルエネルギー銃を持つ敵兵が四人。どうするか考える一瞬の油断が銃撃を許してしまった。
飛来してくる銃弾をそのまま弾きながら進む先は不活性エーテル防護盾が落ちている場所。飛び込みで分捕れば全ての銃弾が盾により防がれる。
この時点で四人の敵兵は二人ずつ双方へ移動し撃ち続ければよいのだがそれを思いつくほど頭が回っていないらしい。おかげで11号は距離を詰めることができる。
防護盾を投げうち空中へと飛べば炎をナタへ纏わせる。力強く振り下ろされたそれは後ろから出てきた反乱軍兵士によって防がれてしまった。
11号の持ち出した防護盾と同型のものがナタを受け止める。熱によって溶かすことはできたにせよ縦三分の一ほどだ。
銃をもった兵士が脇目にそれを見れば、自分が受けていたらどうなっていただろうと冷や汗が額を伝う。高温が隣で発生しているというのにだ。
無理やりナタを押し付け高音で癒着してしまったためかナタがうまく引き抜けない。11号が焦っているところへ鈍器でなぐられたような痛みと衝撃が襲いかった。
横目に映ったのはもう一つの防護盾。防護性能に大きく振ったため質量を大きいそれを持っているのは先ほど鳩尾を刺突した兵士だった。
やりきれていなかったようだ。
速く激突した質量が11号を吹き飛ばす。自らの武器でもあるナタすら手離してしまう。
受け身を取ろうにも間に合わなかった頭部が地面へと打ってしまう。一瞬の間視界が朦朧としてしまうも自分へと向けられている可視化光線が一気に11号の意識をはっきりとさせた。
死の危険を感じた生物が出す闘争反応が11号の体を叩き起こし遮蔽物へと移動する。なんとか銃弾は当たらずに済んだ。
〈ハーーッハッハッハ!!実力は認めよう……だが無駄だ!!〉
今となっては憎たらしも聞こえるモグラさんの声が無線機から聞こえる。
〈”プロ”の軍隊を前に軍人といえど、個人の力など無意味!投降しろ軍のネズミめ!!〉
防衛軍に忠誠を誓っている11号にとって馬鹿らしい言葉が聞こえるが、それを無視しながら左脚のレッグホルスターから拳銃を抜く。
スライドを引き初弾を装填されれば僅かに引き装填されているのを再度確認する。
装填されている弾は9mm弾。しかしこれでは彼らの装備を撃ち抜けない。
撃つとしたら手足であるが、この距離、そして細く小さい四肢に当てるというのは最低限の射撃訓練しかしていない11号にとっては難しい。
胴体を狙うにせよ胸部はアーマーがあり、腹が撃ち所だが軍が支給する戦闘服越しに貫通は無理だ。特に拳銃に装填されている
おそらくは楽に死なせないはずだ。
自決、脳に浮かび上がるその選択肢を頭を振りどこかへ飛ばす。
それは彼《ネームド》が許さないだろうと、真っ先に脳裏へ浮かんだ男を思いながら遮蔽物から僅かに顔を出す。ジリジリと近づいているのが分かった。
敵兵全員が一ヶ所に集まっているまま近づく敵兵士は現役軍人であり、間違いなく精鋭である彼女にとってお笑いものだった。
「防衛軍に対して
「ッッ……」
「ろくに分散もせず固まったまま人間一人を追い詰めるなんて、その動き自体が馬鹿らし───
言い終える前に二発の銃弾が11号の横を飛ぶ。射撃タイミング的に二人が発砲したのだろう。
どうやら図星であり、効いているようだ。
とはいえ、笑えない状況であるのは変わりない。
〈フンッ、遺言はそれだけか?……撃て!!〉
死ぬなら一人だけでも道連れにする。
すぐ近くへと来た気配を感じ遮蔽物から飛び出そうとした所へ、周りに馴染まない寸同型の何かが視界に映った。
オレンジのスカーフをつけた見慣れたボンプである、
ボンプの小さい腕と手をせっせと動かし、なんらかのハンドジェスチャーであるそれを11号は理解した。
〈さぁ、し───
拳銃のみを遮蔽物から出し乱射する。当たりこそしないものの敵兵の気を11号へと集中させ、身構えさせるのには十分だった。
反乱軍兵士の右にある電車の天井、音もなく登ってきた大柄の人間が小銃を構えた。
射撃方式はフルオート。照準器を覗かず小銃をを45度傾ければ引き金を引く。
敵兵の一人は重量により電車が軋む音を聞き取ったが敵だとは気づけなかったらしい。おかげで弾丸が体へとめり込んだ。
反動を抑える左手の力をあえて緩み、銃口を反動へと任せ命中率を下げた。一人一人狙うのではなく全員へと平等に弾丸を分けてやるためだ。
何人かは銃弾が生身に入るのを防いだようだが、二人は地面へと倒れ込む。防護盾を構える兵士へと撃つも防がれる。しかしすぐさま遠くから飛んできたデカい弾丸が頭部を撃ち抜いた。
〈な、なんだっ!?〉
状況が理解できていない銃持ちの反乱軍兵士へと炎が纏われたナタが眼前に迫る。橙色混じりの赤色が周囲を照らす中輝く目が敵兵を睨みつけ、次の瞬間には斬りつけた。
吹っ飛び地面へと倒れた反乱軍兵士の頭部へと銃口が向けられる。
防衛軍や反乱軍の被るヘルメットは側面が脆いと、11号の元へと駆けつける道中に遭遇した反乱軍兵士との戦闘によって気づいたのだ。
引き金に指を乗せたその瞬間、止めなさいと制止の言葉が聞こえた。声の主は11号だ。
「彼らは捕虜として扱う、殺す必要はないわ。」
三秒、倒れていた反乱軍兵士へと向けられていた無感情の黒い円形が下げられた。
〈どう言う事だ。何が起きてる!?おい!!〉
「…軍人ならば分かるでしょう。」
血が付着しているわけではないが、癖として身についた血振いの動作をすればナタを狼狽えている敵兵へと向けた。それと同時に援護射撃をしていたトリガーから待機命令が出されていた精鋭部隊とやらが続々姿を表す。言わずもがな防衛軍兵士たちだ。
勝敗は、明らかになっただろう。
「プロの軍隊を前に、悪ふざけは通用しない。」
バイザー諸々の事は本小説の妄想です。でもムービーや通常長押しではそんな感じのことが起きているから実質そうだ!!()
トリガーお迎えしてる方、信頼度イベントとトリガー秘話最初部分のプロキシ兄弟に対する声のトーン聴き比べてみてください。
かなり違くありません?信頼が現れてるというか、心を許している感覚があるというか、、、