十三世紀、かつての極東の島国が完全に全国統一されるよりも前の時代。
橋観進や番匠、石工によって作られた大橋に、一人の落武者が一本の太刀を右手に元軍によって占領された山城へと入り込む。
真正面から堂々と、すでに役目を果たし壊れている甲冑を見に纏いながら。
負傷し数日寝込み、その間に島が占領されとしても侍としての誉がなくなることはない。
最初は。
「Хөөе, самурайтан морилон ирлээ. Яасан ч өрөвдөлтэй төрх вэ!」
大海原を超えやってきた遊牧民族。当然言語は違い、落武者の言語脳が何を言っているか理解できることはない。
お互いが名乗り、真正面から正々堂々と戦うのが、この島国の
「Харуул хамгаалалт нь юу хийж байдаг байна аа?」
どうせこいつも浜で死に損ねた雑兵だ。そう思いながら剣を振る───振りを見せる。
それを振りと気づいた落武者が鞘から太刀を抜きそうになるがなんとか持ち直す。その姿勢は居合姿勢だ。
数秒睨み合いが続いた途端、先に兵が剣を振るった。
こいつの頭を割ってやる。そう意気込み降った腕は、ボトリと地面の橋へ落ちた。
何が起きた、そう思った時にはすでに首が斬られていた。
一瞬の合間、一秒も経っていなかっただろう。仲間が斬られる様子を見た他の兵が続けて落武者へと走った。
彼らは知らなかった。この落武者が山城へと続く下町の兵を全て斬り伏せていた事を。
剣を真っ直ぐに構えそのまま突き刺そうとしていた兵の体は空を切るように落武者を通り抜けてしまう。
詳しく言うなれば落武者を通り抜けたのではない。攻撃を太刀で防御され、受け流されたのだ。
振り返ろうとした刹那太刀が背中に斬りかかる。刀という斬撃に優れ、さらに極東の島国の技術によりさらに斬撃が優れた刃は背骨、肋骨を容易に切り開き胴体へと入り込む。
無論、刀というものは扱いの者の技術あってこそである。
最後の一押しに押し込んだ太刀は、蒙古兵の内蔵を掻き乱し生きるという活動を不可能のした。
その落武者の後ろに立った蒙古兵が剣を振おうと腕を上に上げる。その隙を逃さず落武者は太刀を喉へと突き刺した。
スラリと入り込む刃は呼吸を不可能にさせる。
蒙古兵の腹を蹴り刃を抜けば、一息つく。
しかし本当の戦いはこれからだ。
───疲れたな
まだ完治していない傷を負いながらも、体を無理やり叩き起こし気合いだけでここまで来たのだ。幾度のなく敵を斬り伏せたためか腕の筋肉が一時的とはいえ膨張している。
───次は
元軍の将軍である名前を、山城に向けて大きく叫んだ。
「コトゥンハーン!!!!!!!!」
発したことのない慣れない発音の名前を叫べば、予知していたかのように山城の正面門が潰れるような軋鳴の音を立てながら開く。
そこから出てきた人間は、まさに豪傑という言葉が似合う体格、月明かりと松明によって輝く銀の装飾がされた鎧を着た人間が現れた。
「我が名は
名を叫び、肘に太刀を通し引く袖拭きをすれば、刀身に付着していた血が拭かれば刀身が月明かりに反射する。
「地頭である志村殿の甥だ!!」
刀を構え、先ほど叫んだ名の本人である智将へと向けた。
「叔父が受けた恥 雪ぎに参った!!」
お互いが名乗り、正面から正々堂々と戦うのが
まさに学んだ通りだ。
愚直で、測りやすく、与しやすい。
落武者が馬鹿らしく、教科書のように体現してみせた姿を見た元軍の将軍が嘲笑を顔に浮かべた。
〈こ、これほどデキる奴が【パエトーン】以外にもいるのだとしたら、俺の信念が揺らいでしまうじゃないか!!〉
「ヨイショしてくれてありがとう、褒められてしまったな。」
多くの防衛軍兵士が銃口を囲まれた反乱軍兵士数人へと向けている。
軍規格のジャミングを解除、防衛軍兵士との全体連絡を済ませ混乱した指揮を立て直しすぐさまの反撃。これを数十分で、オレンジのスカーフを巻いたボンプがやってのけたとモグラさんは理解した。
こいつが【パエトーン】のはずがない、羊飼いのあえて偽情報も含まれてるであろう情報網をまんまと信じていた自分が馬鹿らしいと、散弾銃によって破壊されたドローン映像に齧り付いているモグラさんは自分を恥んだ。
〈まぁいい……我が兄弟達よ、後は任せたぞ!いいか…真の正義のため!かかれぇ!!〉
どちらにせよ、まだ巻き返せる。
前線部隊は置いていこう、次なる機会のため温存するために前へと出ていた兄弟たちとやらを見捨てた。
「ウオオオォォォォ!!!」
何十人、一目見ても三十は超えているであろう防衛軍兵士達から銃口を向けられていると言うのに、エーテル合金ナイフを高らかに空へと上げた。
大声を上げナイフを掲げるのは随分と士気が高まるだろう───ネームドの小銃から出た弾丸に弾き飛ばされるまでは。
なんという命中精度。思わず褒めたくなってしまうではないか。反乱軍兵士はネームドに対し素直にそう思ってしまった。
〈そして、来たる反抗のために兵力は温存する……主力部隊は今すぐ撤退ぃ!!〉
「オオオオォ……ぉぉ…?」
半ば思考放棄、負ける現実を受け入れられず脳を埋め尽くす屈辱を覆い隠すようにまた叫ぶが、どうも見捨てるという意味合いの言葉は聞き逃さなかったらしい。
「はっ!ここは我々にお任せを!!」
「いや、むりで───
「───馬鹿野郎!!」
「グエぇ!?」
隣にいる防護盾を構えた反乱軍兵士、准尉から突如として拳を振るわれた。
「諦めるな!!軍の悪行を暴くためには、ここで歩みを止めてはならん!真の正義は我らにあり!!」
「戦友達よ!!進め!!」
「……今、殴る必要、ありました?」
自身でも驚くほど間抜けな声で質疑した質問の答えが返ってくることはない。
大声の演説へと賛同する声が───出ることはない。いくら昂っているとはいえ、自身の状況が理解できてないほど馬鹿ではないからだ。
「効果はイマイチだな。」
「それでもいいわ。どうやら、力ずくで従わせるしかないみたいね。」
生け取りで捕まえなければならない。面倒ではあるが、これも一応依頼人からの命令であるのだ。
相手の銃器はすでに破壊した、置き去りにされた[[rb:あちら側 > 反乱軍兵士達]]にあるのは重い防護盾のみ。
小銃と散弾銃の
ハードナックルグローブを着た拳二つが前方へと構えられる。その構え方は一般的なファイティングポーズだ。
「ッッ奴は我ら反乱軍を舐めているぞ!!殴り殺せ!」
銃を持っていながら拳で向かってくるという舐め腐った行為をされた反乱軍兵士全員が、青筋を浮かべながら一人の人間へと走り出した。
「ヒィィィィィイ!!!吐きます!!全部吐きますうぅ!!」
これだけで二コマ漫画を作れるのではないだろうか。何人かが地面へと力無く伏せる中、一人胸ぐらを掴まれ無理やり立たせられている反乱軍兵士を、アキラは僅かではあるものの可哀想に思えてしまう。
幾度となく顔面を殴られたため鼻血が顔の中心を赤く染めており、そのほかにあるのは青黒く腫れ上がった痕だ。
ネームドによる
反乱軍兵士側が善戦できていたとは、世辞にも言えなかった。
「軍を裏切るつもりはなかったんですぅ!!全部…全部准尉にやれと言われて…!」
「そこまでよ、それ以上やる必要はないわ。」
鼻血により骨頭部位が不恰好に赤くなっている右拳に比較的に見れば小さい手が重ねられた。その主は11号である。
味方の戦意は喪失、これ以上の戦闘継続は無意味と元准尉の反乱軍兵士が理解すれば、ようやく抵抗の意思をなくした。それを見てネームドもパッと胸倉か手を離す。
「そいつの言う通りだ、私以外の兵は何も知らない、モグラさんと連絡を取り合っていたの終始私一人だ。」
「───私の事は好きにすればいい。しかしそいつらには、公正な裁判を受けさせてやってはくれないか。」
防衛軍上層部共の
頭を下げるのも屈辱と自ら思ってしまう。
その願いを、11号は聞き言えるつもりである。というより元々そうするのが11号という人間だ。しかしあくまで兵士であり処罰を決める刑務官ではない。
「あなたを含め、この場にいる者は全員が軍法会議にかけられる。」
「お、お前自ら、手を下すんじゃないのか?」
「…?あなたがどんな話を聞いたのかは知らないけど、やつの居場所を吐けば全員量刑については、堪酌の余地があるでしょう。」
そう言いネームドと
この状況で前進の意味はないだろう。おそらくは【あっちに行け】という意味だ。
言うとおり離れていればたった三分ほどで11号が
「捕虜達は中々に頑固だったけど、モグラの逃げた方向を吐いたわ。座標も手に入れた。」
それなら行こうと、
物事は順調に進んでいる。そう思い始めた所へ、三人のうち誰かへと声が掛かった。
「おい貴様ら!…お前達だホロウレイダー共。スナイパーベールを被っているお前とスカーフを巻いたボンプに言っている!」
───なんで
顔面へと肘をお見舞いさせた事に恨み言を言われるのだろうか。そう思いながら振り返り聞き入れた言葉は予想していたものとは違った。
「貴様らは確か防衛軍の特別調査員だったな…噂になっていたぞ、32人の兵士を病院送りにしたと。忠告しておいてやる。」
「───防衛軍の上の人間共は腐ったミカンだ。言葉を選ばず言うのならクソだった。」
愚痴の聞かせるために呼び止めたわけではないなと、モグラの逃げた方向へと進み始めそうになった足を止めてなんとか聞く。
「気を付けろ、奴らは兵士を使い捨ての手袋としか考えていない……特にロレンツ、奴はクズだ。」
「もういいだろう、歩け。」
「…チッ。」
上官に対する侮辱、生粋の職業軍人である11号がここにいるというのに、どういう反応をするのだろうか。
ネームドとアキラが連行されていく反乱軍兵士の背中から11号へと視線を向けるも、変化があるわけではない。【上官を侮辱するとは何事か】と言った台詞が出そうであったのだが。
「彼の言っていた事を民間人であるあなた達が気にしなくていいわ、進みましょう。」
気にする様子もないまま、三人が前進を開始した。
ただ一人、ネームドは先ほどの発言が妙に引っかかっていた。
ロレンツ、奴はクズだ。
ロレンツ、この単語に引っかかる。
ズキンと、思考を邪魔するように頭痛が走った。
───まぁ、後ででいいだろう
深く考えず、拭えない感覚をとりあえず後回しにし小銃を握り直した。
───またこういう所か
元々は電車の地下格納庫でも作る場所だったのだろうか。少しばかりの雲が混じる青空が広がり、大きく掘られた地面歩く。土中に含まれていたであろう小石や岩が転がっていた。
まさにモグラが逃げ潜りそうな場所である。
ど真ん中に待ち伏せ場所ですよと書いている看板が建てられているのが見えなくもない。
「ここのはずだけど、何もいなさそうだな。」
周囲を見回していた途端、静まり返っていた地面が揺れ始めた。
「これは、地震の揺れじゃない!」
何かが来る、どこからという考えはすぐに分かった。
頭上から潰れるような圧が、三人の体を襲った。
11号が下を見れば、水溜りに反射している降って来た何かが見えた。
「上!!」
11号がナタを引き抜き、ネームドがイアスの耳を引っ掴めば各方向へと飛ぶ。先ほどまでいた場所は
土の混じった砂により舞う土埃が降って来た何かを覆っていたが、次第にその姿を現していった。
赤熱していく鉄の巨人が投下体制から戦闘モードへと変更していくのを体現している。腕や脚が縮んでいた状態からパージしていき、巨大化していけばゴツゴツと角ばった装甲が機体を覆い、完全体へと姿を変えた。
「自律戦術ユニット【テューポーンチャレンジャー】全く面倒ね……反乱軍の兵器である以上、破壊しなければならないわ。」
───単純にカッコいいと思ったのは俺だけだろうか
巨大な重量級ロボットの出す威圧感は凄まじい物だが、逞しく力強い巨大ロボットへと変形していく様は戦闘へと突入する寸前にも関わらず、
「ネームド。」
小さな声でネームドへと問い掛ける声の主はネームドの腕に乗っている
「今思うべきことではないんだが…あのロボット、カッコよくないか?」
───仲間がいてよかった
賛成の意味を込めたグッドマークを
〈貴様ら…!〉
言うまでもない、逃げたモグラである。
どこかの土に中にでも潜んでいるのだろうか。名乗っている通りモグラのように。
〈俺の高貴なコードネームを、地底に潜む鼠輩に貶め…!〉
鉄の巨人が背中の推進器出力を一気に高め急速接近した。先ほどと同じように横へと飛べば同じように推進器が付けられた銅鉄の腕が地面を殴った。
ローリングし回避した後に殴られた地面を見れば、明確に文字通り沈んでいるではないか。
小銃を構えすぐに弾丸をフルオートで放つも装甲により弾かれてしまう。傷はついている装甲に撃ち続けても焼け石に水だろう。
ならばと散弾銃に持ち替え近距離に接近する。図体のデカい機体にしては素早く腕がもう一度振るわれるがそれもネームドは回避した。そのまま零距離に近い場所で引き金を引くも、やはり弾かれてしまう。しかしへこんではいた。
だが撃ち続けるとなれば弾が足りない。
〈俺の敬愛するお方の身分を語り、俺が心を込めて作った罠を台無しにしたな!!〉
内部に
無線から聞こえるヤジを無視しながら下がれば11号が前へと出れば高温になったナタを振るう。二対一ではあるが一人一人ずつ潰せば問題ない。温度の上昇する推進器とは間反対に冷たい基盤のプログラムがそう判断すれば弱そうな女兵士を標的に定めた。
頭部がブロックノイズに覆われている人間も警戒しつつ。
ズカズカと脚部を動かし近づけばヒール構造の足が真っ直ぐに伸び11号へと刺しかかるもそれを受ける事なく横へと飛び込み11号は避ける。腕を上に上げ手に握るナタはそのまま脚部の関節に叩き込まれた。
ナタの軌道に炎が舞われ、関節部のため少しの装甲しかない関節部は損害が与えたであろう音が聞こえた。
ナタが離れればその位置には明確な斬り込まれ跡と、高温度により融解した跡ができた。
ダメージを負ってしまった。損害報告システムから報告を受けたプログラムは一度後ろへと飛んだ。
【テューポーン】が苦手とする攻撃は高温度による攻撃だ。エーテルを加工し構成された動的エーテル装甲による最も苦手なものは加工された炎のエーテル。
まさに11号が天敵なのだ。
次はその手の受けまいと右腕部の推進器を起動し機体を回転させようとする。そこへ後ろから攻撃を受けた。箇所は背中の最重要推進器であり、攻撃を受けてはならない場所。
視界カメラが後ろを見れば、フルオートで銃弾を叩き込んでいたネームドがいる。撃ったのを止めたと思えば右手が突きつけられた。
次の瞬間、ピンと立てられた中指がテューポーンを挑発して見せた。
───どうした、こっちに来てみろデカブツ
そう聞き取れた【テューポーン】が推進器の出力を最大にしてみせればネームドへと接近した。装甲により角ばった両腕が力任せに地面に叩きつけられる様子は苛立っているようにも見える。
陽動にかかったと判断しネームドが小銃から手を離せば走り出す。掘り下げられ出来た土層と地面の壁を素早く登れば【テューポーン】がネームドの登っていた場所を殴りつける。その位置は見事に崩壊し、少しでも遅れていれば挽き肉が出来ていたに違いない。
その後ろを追いかけようとした11号に無線が入る。走りながら聞いていたもの、素早く動く脚は徐々に遅くなる。
通信の内容を聞いた11号は、
一方、【テューポーン】が重厚な足取りによる地面の振動を感じながら走り陽動をしているネームドが遠くに見えた建設現場を肉眼で確認する。
先ほどから気づいたが、あれほどデカブツでありながら遠距離武器の類は搭載されていないらしい。手足を使う殴る蹴るの攻撃のみ。
あれほどデカいなら重機関銃や砲身の一つでも乗せれただろうに。
草臥れた廃ビルや工事現場を駆け抜け。呼吸一つ乱さぬまま建設現場へと向かう道中に見つけた巨大な土嚢。ズシッと重いそれを担ぎ上げれば脚を動かす力を強くした。でなければ追いつかれてしまう。
現に推進器を起動し高速で接近している。
コンクリートで構築された建物へと入るも推進器によるジェット噴射で強化された剛腕の鉄腕を防ぎ切ることはできず盛大に壁をブチ抜いた。
腕や脚を自由に振り回すほど建物が倒壊していく。欠片や粉塵を体に浴びながらも走り続ければそのまま外へと抜き出した。
完全に倒壊する寸前、振り払うように中から出てきた【テューポーン】が
それを見たネームドはやはりと弱点を見抜いた。
あの
───この間一緒に見た旧時代の映画があっただろう!あのロボットを倒したやり方と同じ方法で行こう!
一体何のことだと思ったが、一度記憶を掘り返してみれば合点が行った。
11号とアキラはすでに準備を終えていると無線が入った。あとは距離が百メートルほどとなった建設現場へと向かうのみである。
常に後ろを経過しつつ百メートルを一気に駆け抜ければ、無線から聞いた通りの場所へと方向転換する。不自然にもポツンと立っている青色のドラム缶がある場所だ。
青色のドラム缶を通過、そのまま振り返ればペットのように付いてくる【テューポーン】がいる。
ドラム缶などそこらの小石同然と言った様子で踏み潰した途端、横から大型のトラックが急発進を開始。【テューポーン】へと激突した。
視界を写しているであろうセンサーカメラが回るように周囲を見回している。それは驚愕しているように見えた。
ネームドがその隙に階段を駆け上る。60kgは超える土嚢を担ぎながら二段飛ばしを繰り返すのは中々にキツイものだ。
追突した大型トラックの運転席にいる一体のボンプ───
反抗するように推進器の出力を上げた【テューポーン】がトラックを押し返し始めるも、その時には建設現場の中心へと移動させられていた。
「11号!やってくれ!!」
「ハァッ!!」
圧倒的な高温度で鉄骨を斬り溶かす。足場を掛けながら一斬りで次々と切断していけば、徐々に全体が雄叫びのような音を立て軋み始めた。
油圧ロッドを伸ばすだけではトラックを退けることができない。そう判断したシステムが推進器の出力をさらに上げ押し返す。タイヤ痕が地面に刻まれ進む方向とは反対へと押し返されている。
「11号速く!」
「これで、最後!!」
支柱となる最後の鉄骨をまたしても一振りで斬ればついに建設途中の建物が崩れ始める。やがて瓦礫が【テューポーン】に降りかかれば一気に地へと伏せさせることに成功する。
ここでネームドの出番となる。
地面へと落下しながらも【テューポーン】へと着地すれば、土嚢の結ばれていた口をナイフで斬る。砂利、土、石といった土砂が一気に推進器へと入れ込まれた。
【テューポーン】不純物の侵入を感じ取り何とか起きようとするが、瓦礫でうまく動けなかった。
その隙に左腕の関節部が11号に攻撃され、右腕の推進器にまでネームドによる散弾銃の連続射撃がされていた。
大量の警告コマンドがシステムを雪崩のように押し込んでいる。
背中の中央推進器が土砂をうまく吐き出すことだできない。それにより内部が高温となっていく。11号とネームドが異変を感じ取り後退すれば、【テューポーン】の胴体部位内部が爆発した。
装甲が剥がれ内部構造が丸見えとなれば、ネームドは右脚のレッグホルスターから大口径回転式拳銃を取り出す。
おそらくだが、
ボックスのような赤い箇所。
「あれが【テューポーン】よ、撃って!!」
11号が命じながらネームドを見れば目が見開かれる。その原因は大口径回転式拳銃が視界に映ったためだ。
あの時受けた警告、その言葉が脳裏に浮かび11号は耳を塞ぐ。
両手で構え、前屈みになれば照星と照門を合わせ狙いを定める。撃鉄が起きればシリンダーが回転し次弾を準備する。
引き金を引けば、爆音が周囲に鳴り響いた。
「ッッッ……」
顔が思わず歪んでしまう。爆音と、赤い爆炎が舞ったためだ。
銃身のマグナポートから飛び出る赤い炎は見た目通りであるが、やはり普通の兵器でないことが分かるものだ。
空気を貫き引き裂く弾丸は【テューポーン】のコアへと炸裂し、着弾した瞬間に爆発が起きたではないか。
爆炎がコアを包み、木っ端微塵にしてみせた。
直立し動かなくなれば、今度は後ろへと大きな振動を起こし倒れる。11号が近づき確認すれば、見事な空洞が出来上がっていた。
え?前半のが何かって?ゼンゼロとは関係のないものですが、書きたくなって書きました。
メインストーリーよりも長いエージェント秘話とはこれいかに
追記:高評価されてたり、一気にお気に入り数が増えてて驚くと同時に嬉しい自分がいます。