存在しない男   作:いん22222

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アキラとリンってプロキシやってるときの休憩飯カップ麺をエナドリで流し込んでそうだなと。


4. パエトーンのゴミみたいな食生活を終わらせるために六分街を散策したり猫たちと戯れたりする話

 Named(ネームド)は困惑した。

 

 

 これが朝食なのか頭を悩ます目の前のある”モノ”

 

 

 腹が減った者の食欲を唆る湯気と共に広がる香り

 

 

 開封される前からスパイスの粉が入っており、お湯を入れるだけで完成する簡単な”モノ”

 

 

 今の新エリー都を生きる者にはかかせないカップ麺(・・・・)が目の前に置かれていた。

 

 

 飯を作る時間や食材がない時に素早く、簡単に作れるものだが、、、

 

 

 朝食があると言われなにかと思えばこれだ。

 

 

 しかも目の前で死んだ魚の顔をしながら食っているに聞いてみれば一日三食これで済ます日もよくあるとのこと。

 

 

 しかも飲み物はコーヒーという味の濃いものを食べるには絶望的に合わない代物である。

 

 

 

──何か、なにかないのか

 

 

 

 そんな思いを持ちながらスタッフルームの棚やロッカー、全て開けるも中にはほとんどがカップ麺しかなく、作業台の床隅には埃被った調理器具。

 

 

 無表情ではあるが、必死に探すネームドの視界に映る小型冷凍庫。

 

 

 希望の光のようにキラキラしているそれを開けるも中にはなぜか冷やされたスナックやインスタントラーメンとハンバーガー、大量のアイスがあるではないか。

 

 

 希望の光のようにキラキラしていたそれはチョウチンアンコウの擬餌状体が出す嘘の光だった。

 

 

 そもそもRandom playの二階が居住区スペースだというのにキッチンが一切・・存在していないというおかしな事に早く気づくべきだったのだ。

 

 

 

 ネームドは決心した。

 

 

 この邪智暴虐な食事を終わらせるべくネームドはとりあえずカップ麺を食べ終える。食べ終えた瞬間すぐにアキラへとお駄賃をねだり、使い道をメモ帳の紙へとすばやく書き留めネームドはおつかい(自分から)へと出かけるのだった。

 

 

 その破り渡された紙にはこう書かれていた。

 

 

I'll be back(俺は戻ってくる)

 

 

 いつもの癖字ではなくはっきりと綺麗に書かれたそれ(I'll be back)は剛鉄の如く硬い決心を示していた。

 

 

 

 時刻9:30、六分街にネームド現る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──とはいえ、どうしようか

 

 

 

 飯の食材を買うべくビデオ屋を出たのはいいものの、ネームドは行き先を考えていた。

 

 というのもネームドは新エリー都を全く知らなかった。

 

 先日ホロウで記憶を失いながらも目覚めたネームドに対し救援をパエトーン(アキラ)が行った。

 

 そしてしばらくの滞在としてビデオ屋へと住み始めたネームド、せめて周辺の建物や道を覚えようと調査も兼ねておつかいに出かけたが現在ネームドはスマホや地図を持っていない。

 

 スマホなしでは生きるには難しい現代社会においてそれは致命的だった。

 

 とりあえずとビデオ屋のある六分街を散歩する。

 

 平日の朝9時32分ではあるがそれなりに人が行き交っている六分街、ネームドはCDショップへと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、これはこれは、新しく見るお顔のお客様ですね。いらっしゃいませ」

 

 人型の、外装が全身黒色で統一され、スラリと細い体とフェイスを持っている女性の機械人。

 

 肩や肘部分には内部の間接部が露出している。頭部の髪や眼部パーツ、唇の部分が青色で染められている知能構造体、【エイファ】が出迎えた。

 

 ネームドが各種の部分、主に手や腕、肩や眼部パーツが動く際に生じるチリチリというメモリを調整するような駆動音を聞き、見て意識していると、エイファが少し頬を赤らめながらも喋る。

 

「ふふ、、ずいぶんと”気に入られた”ようですね」

 

 どうやら知能構造体のデリケート内部を見る行為はあまりよろしくないらしい。人間でいう胸ばかりを見る行為だろうか。

 

 すまない、と謝罪と初めましての挨拶を混わせ頭を下げた。

 

「いえいえ、お気になさらず。、、、それはそうと、最近お引っ越しされた方でしょうか?ここらへんでは見ない”類”の、、、人ですので」

 

 見ない類、ネームドの顔や腕と喉の傷を指しているのだろうか。皮肉は一切入っていない言葉に返信すべくネームドはメモ帳に文字を書き連ねる。

 

|It’s more stay than move. I'm named《引っ越すと言うよりかは滞在だ、俺はネームド》

 

 あそこ、とビデオ屋の方角へと指を刺し、エイファが少し驚愕の顔をする。

 

「まぁ、あそこの店長さんとお友達でしたか、これは意外でした。」

 

 口に手を当て考えるエイファ、というもの目の前にいる自分よりも遥かに大きい185cm以上の、顔の各所に縫合後があり耳や頬肉が一部欠損している筋肉質な男がいるのだ。本当に友達だろうかと疑いを持つエイファのよそにネームドは店内に置いていた綺麗に並べられたレコードを見る。

 

 今の時代、音楽アプリや動画アプリで調べればすぐに出てくるであろう音楽。それでもレコードいうものにはいまだ一定の需要がある。

 

 再生機材にセットし針を落としす。盤面に刻まれた音の振動を針がなぞり音楽が流れる。

 

 その一連の手間と儀式がノスタルジーを感じさせ、音が”そこ”に存在していると一部の層には感じられ、感動するそうだ。

 

 

 ネームドには理解できないが

 

 

 試聴用の小さなレコードを再生機器へとセットし、ヘッドホンをつける。

 

 すこしばかりの雑音が聞こえ、次にはクラシック音楽が聞こえ始めた。

 

 音楽の主体を占めるサックスが落ち着いた音色を出し、それを支えるピアノやトランペットが聞こえる。

 

 ひとしきり流れた後、クラシック音楽の音量がどんどん小さくなっていきやがて止まった。

 

 「いかかでしたか?そちらは試聴用で短くしか流れませんがクラシック音楽の中では上位のものですよ」

 

 他にもとロックやラブロマンス、ジャズやエレクトロニックなど様々な音楽があると言われネームドは試聴した。

 

 意外にいいものだ、と一通り聞いたネームドの横ではエイファが微笑んでいる。

 

 「馥郁たる曲調がもたらす愉悦は、いつまでも味わいが尽きません」

 

 ありがとう、と感謝を伝え店を退店するネームドにエイファはまたお越しくださいませと言った。

 

 

 

 

 

 吟遊ニードルの調査を終了したネームドが次に向かう場所は小さいゲームセンターだった。

 

 レトロなアーケードゲーム機が並ぶ店の名前は【GOT FINGER】

 

 店の店内へと続く扉の前にあった一つのアーケード筐体の椅子へと座り、100ディニーを投入すれば色々なゲームが映し出された。

 

 スネークデュエル、怪奇旅団、ソウルハンターズと一見少ないようにも見えたバリエーションのなかで、一つのゲームを見つけた。

 

 

 

 

 DEFRAG

 

 

 

 

 それを選択すれば、液晶画面が暗転する。次の瞬間には青い四角が画面中心に現れ、New gameとContinue、Settingの三つの欄がでた。

 

 

 

 New gameを選択し、ゲームを開始した。

 

 液晶画面の周りが白い線が沿って引かれ、ステージMAPが出来上がる。その中心に青い四角が生まれた。どうやらこいつを操作するらしい。

 

 トラックボールを動かし上下右左を移動していれば画面外からなにか白い弾幕がでてきた。遅いためすぐ避けることができるが次々と弾幕が画面外から出てくる。

 

 

 

──成程、避けるのか

 

 

 

 トラックボールを動かし当たらないようにするがそれも次々と現れる弾幕にキツくなる。

 

 マズいと思い始めた時、画面外から弾幕を出していたenemy()が現れた。

 

  倒そうと近いてみればなにやら操作している青色の四角からも弾が発射された。一秒に一回と遅くはあるが確実にダメージを与えており、こちらの弾が当たるたび相手の体が赤く点滅する。

 

 三秒経過。三回弾を当てればエネミーがブツッと音をだし消滅した。撃退可能なことがわかればネームドは弾幕(クソッタレ)を放つエネミーへと弾を発射する。

 

 四方八方からくる弾幕を避けつつ敵を一体一体を撃退してみれば、急に画面が暗転し始めた。

 

 頭上に疑問符を浮かべるネームドの顔が液晶画面に反射し、故障かと思ったがそれはGame Clearを示す演出だったらしい。

 

 パパ〜ンとミニドットの花火が打ち出さ、Game Clearの文字が表示される。

 

 賠償金を払わずに済みそうだと安堵の息を吐くネームドの後ろにGOT FINGERの店主が近づいていた。

 

 「あぁ、新しく見る顔やんね?おいでやす!」

 

 なにやら標準語とは違う何かの方言を話す女の声。振り返って見れば黄白色の髪に紫のメッシュが入っている。

 

 右左の横髪は巻かれており、後ろの髪と思われた所はシリオン特有の垂れ耳である。それはGOT FINGERの店主アシャであり、一瞬見えた尻尾と内耳をみて、直感的に兎だと感じたネームドの顔を見るなりアシャは目を見開いた。

 

 「あんた、訳ありの人かいな?エーテリアスに負わされた傷でもなさそうやし、、、あぁかんにん!気持ちをわるぅとせんといてや。いいんだよぉうちではルールとマナー守ってくれるなら誰でも歓迎するで!」

 

 どうも、と無愛想ながらも頷きを返し再びゲームへと集中するネームド、今度は先ほどのクリアした所の次のステージを選択しまたゲームを再開した。

 

 先のステージよりかは弾幕が増えた1-2ステージ、ネームドは変わらない弾幕速度で撃ち返し撃退する。その調子で次々とステージをクリアしていきついに1ステージを終わらせた。

 

 

 

 2-1ステージへと進めば当然敵の数も増え、弾幕速度も増加する。

 

 さすがにきつい、と物量で押し切られる青色の四角はついに負け、Game Overとなった。

 

 まだだ、ともう一度100ディニー硬貨を入れ、なんどもそのステージに挑戦するも急激に上がった難易度による激しい差と敵エネミーの物量押し寄せにより、何回も負けやっと1ステージクリアという劣悪状況。

 

 

 

──まだだ、まだ終わっていない!

 

 

 

 大人が平日の昼間からゲームに四苦八苦している様子にアシャ以外の周囲の目が少々冷たくネームドに突き刺さる。

 

 

 もう一回、もう一回と挑戦するネームドの融資むなしく、何度も思った最後にもう一回をやろうとポケット内を探すももう小銭はない。

 

 

 わざわざこれ以上金をたかがアーケードゲームに費やすわけにもいかない、とネームドが立ち上がり去ろうするのを事前に止め、アシャがヒントをPlayer(ネームド)へと言う。

 

 「実はそのゲーム、チュートリアルクリアすると機能解放されるんよ。そらノード強化って言うてプレイヤーの攻撃速度や移動速度、HPや残機の数を上げれたりできるんよ。」

 

 

 

──そんなものがあったのか。

 

 

 

 先ほどの1ステージぬるま湯がチュートリアルだったことを知る。どうやら2ステージから本番が始まるらしい。

 

 「うちでセーブデータカード作ってゲーム進行保管しとくこともできるけどどないしやす?」

 

 わざわざレトロなアーケードゲームごときに1000ディニー以上払いゲーム進行度をとどめておく理由など──────

 

 

 

 

 

 「またおいでやすぅ!」

 

 

 

買ってしまった。

 

 

 なぜだ、自分でもわらかないと思考しているネームドの手には小さいカセットようなものが握られている。

 ネームドはあのゲームに知らず知らずのうち”ハマっていた”のだ。

 

 拭えない考えを持ちながらも次にネームドはコーヒーショップを目にする。

 

 

 

 ──コーヒーか、

 

 

 

 外なのに中からコーヒーの匂いがネームドの鼻腔を燻る、おそらく本格的な豆を使用しているのだろう。だがネームドはコーヒーが嫌いじゃないが好きでもなかった。パスだ。

 

 その時、ネームドがふと右を見た。その遠方にはなにか煙が舞い上がっている。

 

 

 

 ────火事か?だとしたら不味い、ここは住宅街だから燃え広がってしまう。

 

 

 

 近づいて見えば黒煙は上がっていない。火事ではないらしい。

 

 その煙の匂いを嗅いでみればなにか懐かしの匂いを感じる。

 

 

────煙幕?

 

 

 ネームドの記憶ではなく鼻自体に記録されたその匂い。直感的に発煙弾によるものだと断定しネームドは安心する。その時煙から三名の男がむせながらも悔しがった様子で地団駄踏んでいる。

 

 

「クソ!!邪兎屋め!!!」

 

 

「ふざけんじゃねえ!金を返しやがれ!!」

 

 

「クソ野郎どもがぁ!」

 

 

 住宅街だと言うのにそれをものともしない声量。意識の不一致があったのか。煙が晴れてきて見えてきた地面には開けられた空のトランクがあった。

 

 先ほど聞こえた邪兎屋のワード、この男たちからなにか盗んで行ったのかそれとも渡されるものの確認不足だったか。

 

 先日助けてもらったと言うのもあり騙して悪いがなんてしてないだろうと邪兎屋の評価が下げられることはなくネームドはその現場を後にした。

 

もちろん、その通り(騙して悪いが)だったが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先ほどの現場を後にして今度は雑貨店に来た。店前ではンナナワタンナとボンプ三匹が物品の仕入れをしている。

 

「ンナナ!ワタワタ」

 

 こちらに気付きいらっしゃいませと言っているのか男に声をかける。しかしネームドは困惑の目をした。

 

「ン〜ナ?ンナナンンナナナンナ、ワ〜タンナタ!」

 

 

 

 ────だめだ何もわからん

 

 

 

 一応昨日、ビデオ屋の店番18号トワに挨拶したものの一切会話は成立していなかった。

 

 なぜこうもわかりずらくしたのだろう。五十音どころか十音すらもなさそうな言葉のバリエーションでほんとに喋っているのか疑問に思う。

 

 それが愛嬌となっているのだが、ボンプの開発者に一言申したいと思いながらメモ帳に忘れていたわけではない食材一覧を見せあるのか尋ねればボンプは頷くと言うか体全体を縦に揺らしあると意思表示する。

 

 

 「ワタンタ!ンナワタ〜」

 

 こちらです!と店内に案内され、野菜コーナーと肉コーナー、冷凍コーナーで目的の”ブツ”を取得し、ボンプにディニーを渡したネームドは食材を2つの特大袋・・・・・・に詰め込み店を出た。

 

 さて帰ろうとビデオ屋に体を向け、動かそうとした足にはなにやらフニっとした感覚がした。

 

 なんだ?と下をみれば白黒のハチワレ猫が足に擦りついてきた。買い物袋を下ろし撫でて見れば猫が離れてしまった。

 

 ご要望通りではなかったとネームドが思うも猫が少しだけの距離を離れるとまたネームドに対してニャ〜と鳴く。

 

 

 

──────着いてきて!

 

 

 

 そう解釈したネームドがその猫に近づく。そして解釈通りなのか猫が人間で言う駆け足の速度で裏道へと進んでいく。

 

 その先を進んでみればなにやらゴミ捨て場に猫が屯している。

 

 中には白猫や黒と灰色の毛先をした猫や三毛猫の個体がいた。

 

 9匹か。それにすべてが成猫ではなく六匹ほどがまだ子猫の面影がある。何匹かがゴミ捨て場のゴミ袋を引っ掻いており中のものを出そうとしている。

 

 

 

────腹が減っているのか

 

 

 

 ネームドは猫たちの飢えをそのまま見過ごさず、先ほどの雑貨店へと戻ればボンプ店員に猫缶を買いたいとメモ帳に書き伝える。

 

 ワタ!と言うなり後ろを向けば上下部分が光沢のある金属でパッケージ部分は青色の猫缶がボンプの手にあった。

 

 十個あり、全てを購入すれば駆け足で先ほどのゴミ捨て場へ戻る。

 

 見捨てられた。そう思っていたのか猫たちが鳴いて喚いている。

 

 だがそんな猫たちを放っておくことなどネームドはしない。飢餓を感じることに何故かネームドはひどく共感した。

 

 猫缶を開け中から肉の匂いが漂うと猫たちの視線が、ゴミ箱を引っ掻いていた猫も一気にそれへと向けられる。

 

 一個置くと同時に猫たちがそれへと一気に集まる。我先にと貪る猫たちに落ち着けと手で制す。それでも猫たちが止まることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

────飢餓は万物を狂わせる

 

 

 

 

 

 

 

 

 頭痛がし、不意にネームドの脳にそんな言葉が浮かぶ。止まらない猫たちを制すべく不本意ながらもネームドは喉を唸らした。

 

 

 

ン”ン”ン”、、、、、、、

 

 

 

 三下をまとめる動物のリーダーのように野生的な低い呻き声をだす男の声を聞き猫たちの動きが一斉に止まった。

 

 ようやく止まった猫たちへと残りの猫缶を素早く開け地面へと並べていく。猫にとってはオアシスであるそれへと一匹一匹が一個一個に向かい食べ始めた。

 

 その様子をネームドは髭に覆われた口の口角を少し上げ、猫たちの頭をポンポンと撫でる。

 

 随分と気に入ったらしい、猫たちがにゃ〜!と嬉しそうに鳴きネームドに頭をコツンとぶつける。

 

 買い物袋を下ろし、地面に座り猫たちと戯れる。それぞれの猫が足の上や肩へと乗られた。

 

 中には頭へと乗る猫もおり、すべて一点に後ろへ結ばれた並べられた髪が少しずれるが気にすることなく好きにさせる。そこらにあった棒やボールで猫たちとネームドは戯れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずいぶんとまぁ、、、楽しんできたようだね?」

 

 

 苦笑気味に笑みを浮かべるアキラと肩に乗っている(・・・・・・・)猫を撫でるリン。

 

 そしてスタッフルームの入り口に立つ左手に買い物袋を二つぶら下げて右腕に三匹の腕を乗せ、両肩に二匹、頭に一匹

乗られているネームド。その足元には三匹の猫がいた。

 

 傷だらけで、髭を生やした男の怖い印象が一気に和らいでいる

 

 しばらく、というか17時までずっと猫と戯れていたネームドに夕日がさし、食材が痛むのを避けるためビデオ屋へと帰っていた。

 

 その後ろには九匹の猫がネームドの広い背中も見ながらついてきていたのだ。

 

 

 「ずいぶんと懐かれているようだね。食材を買ってくると聞いたからすぐ戻ってくるだろうと思っていたんだが、、、迷ったのかと思っていたらちょうど君が帰ってきたんだ。まぁ六分街を楽しめたようでよかったよ。」

 

 「かわいぃ〜!」

 

 『Cats that were in the garbage dump I food a hungry cats, (腹を空かせた猫たちに飯をやったんだ、)

 『grew fond of me(そしたら懐かれた)

 

 食材を冷蔵庫に入れ事の経緯をネームドはメモ帳に書き見せる。アキラもそれに納得するが、問題になるのがどこに猫たちを置いておくべきかだ。

 

 そもそもこれほどの猫を飼うにはそれなりの金額がかかる。食費はもちろんのこと予防接種やゲージなど、現在の彼らにはそれほど痛くもない金額だがこれからある出来事でそれも苦しくなる。その出来事について誰も知る由はない。

 

 「でもこの子達を素直に飼うというわけにもいかない、それは命を預かると言う事だしお金もかかる。」

 

 「でも子猫だっているよ?家族っぽいし、ゴミ捨て場を漁ってたんでしょ?見捨てるわけにもいかないし、、、」

 

 う〜ん、とアキラとリン、ネームドの三名が悩む。そんなことつゆ知らずネームドの足元で戯れている猫たち。

 

 互いに頭をぶつけ合い、体を混じ合わせ仲良く戯れている猫たちを見た三人。

 

 そして猫の鳴き声だけしか聞こえないスタッフルームの沈黙を破るべくネームドがメモ帳に案を書いた。

 

 『How about keeping that as the shop's signboard cat(店の看板猫にするのはどうだ?)

 

 看板猫、そんな建前の言葉が書かれた案、だがこの案を否定するものは誰もいない。

 

 

 

 

 

 

 

 なぜならアキラとリン、この二人猫や犬のような小動物にめっぽう弱いのである。

 

 「それでいいんじゃない?いいでしょお兄ちゃん!」

 

 目を輝かすリン、そして後方で腕を組むネームド、それを見るアキラも反対する事なく許可する。

 

 「まぁいいさ、それじゃこの子達の寝床を用意しなきゃね」

 

 パアァと目を輝かせ、リンが喜びながら床であるのにダイブし猫たちを抱き上げ───ようとするも猫たちが一斉に避けリンは顔から床に飛び込む

 

 「なんぶぇ?!!」

 

 避けた猫たちがネームドの服にひっつきまた先ほどのように肩と頭の上に乗った。

 

 「ネームドに懐いてるから、僕たちも信頼度を上げないとな」

 

 「だからってこんなことないよぉ、、、

 

 赤くなった鼻を押さえながら起き上がるリン、ひとしきり話が終わったネームドは次に忘れていたわけではないパエトーンの絶望的な食生活に思い出し(?)ネームドは料理を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナイフを取り出し、その刃先を

 

 

 

 

 

 

 

 

 セラミック製のまな板に並べられている食材に向け切り刻む。

 ネギとキャベツと白菜、人参と生姜を細かく切り、しめじは軸の部分だけを切る。豚のひき肉はそれなりの大きさを残しながら切り、ボウルに入れた豚ミンチにさっき切った生姜とネギを入れこねる。

 こねながらも塩胡椒を入れつつ全体に味を効かせ、適当な大きさでつくねを作り、ガスコンロで沸騰しているお湯にそれを入れた。

 土鍋に野菜を入れ、お湯に入れていたつくねを土鍋に移動させていく。

 つくねの入っていた豚ミンチの旨味が染みているお湯には醤油と料理酒、みりんを大体大さじ1で入れ、またお湯に火を通した。

 スープが沸き、色のついたお湯を土鍋に投入し土鍋に火にかけ食材が出来上がるのを待つ。

 その際にできる蒸気がスタッフルームの精密機器にかからぬよう換気扇をフル稼働させるが、土鍋からのいい匂いが三人の食欲を無限にそそった。

 

 「いい匂〜い!早く食べたいなぁ」

 

 「これは、、、強烈だな」

 

 かなりの自信作が出来上がりネームドが少し口角をあげる。火が毛先に燃え移らないよう床に降ろしていた猫を撫でながら料理が出来上がるのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三十分後、土鍋の蓋を開けてみればもわっと煮込まれた食材の匂いが一気にネームドの顔にかかる。

 

 土鍋をスタッフルームの中心に移動させた机に置き、皿を置けば三人がクッションを床に敷いた。

 

 「それじゃ!」

 

 

 「「いただきま〜す!!」」

 

 

 いただきます、とネームドも両手を合わせ三人が食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数十分後、土鍋には少量のスープのみが残っていた

 




今回出てきたDEFRAGというゲーム、実際にあります、おすすめです。



 え?Random playの猫はクロじゃないのかって?今後出しますのであしからず
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