存在しない男   作:いん22222

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7. 衝突そしてAI

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

汝ホロウに入るべからず マトモなままでいたいのなら

 

 襲いくる敵 迫り来る敵 汝ホロウに入るべからず

 

 マトモなままでいたいのならば 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 エーテリアスが吠え、そこらに蔓延っている。まるで家賃を取り立てにくる大家の如く。

 

 ホロウに入って数時間、順調に進むはずの金庫回収作戦がパエトーンの通信不調により遅延していた。

 外部に攻撃されたのか、それともただの通信ラグか。

 

 「エーテリアスの群れがまだそこにいる。」

 

 パエトーンの案内通りに進めば進むほど戦闘が増し、皆に疲労が溜まっていた。これ以上戦闘をすれば限界が来るのは明白だった。

 しかしネームドにはまだ体力の余裕は有り余っている。

 

 「っ、隠れて」

 

 エーテリアスが来たかと思い、ネームドとビリーが銃を構えるが聞こえてきたのは足音だ、それも大量の

 

 「またエーテリアスか?!」

 

 「いえ、【ホロウ調査チーム】よ」

 

 ネームドが少し影から覗いてみれば、真ん中に調査協会の人間を連れた警備団らしき集団が現れた。なにやら地雷探知機のようなものを地面にスキャンしながらゆっくりと進んでいる。

 

 「助かったぜニコの親分!あいつらに助けを求めればホロウから出られるぞ!」

 

 「何バカなこと言ってんのビリー!あいつらって治安局の仲間でしょ!」

 

 

───少しは声量を抑えて欲しい、すぐそこにいるのに

 

 

 自分たちがホロウレイダーというのを理解しているのだろうかと思いながらも、ネームドはいい考えを思いついた。

 

 

───ホロウに入ったということはキャロットデータを持ってるはずだ。

 

 

 つまりはあいつらから奪えばいいと考え、物陰から出ようとするネームドをアンビーは制止する。

 

 「、、、なにをするつもり?」

 

 目を細め、訝しみ気味に問いただすアンビーに対し、ネームドはハンドジェスチャーをする。横からなにか掴むような動作だ。

 

 「奪うつもりなの?」

 

 常軌を逸したものをみるような目でネームドに向けるアンビーにネームドは頷き、突撃しようとするもまたアンビーが掴んで制止した。

 

 「無理よ、あれほどの人数が見えてないの?」

 

 言っておけば、アンビー一人のみでもあの集団の制圧は可能だ。しかしその制圧方法は最も早い方法(・・・・・・)である。怪我を負う、いや負わないかもしれない。

 しかし彼女はその方法を望んでいない。

 

 あれほどの人数だ。ネームドは銃で頭をブチ抜けばいいだけの話だと説得する。

 しかし銃を使おうと──殺そうとしているネームドの考えを読み取りアンビーが今度は絶対に離さないとした様子で握力を強める。それに反抗しネームドもアンビーの手を掴み離そうとた。

 

 力量差は明らかだ。徐々に引き離される手を見るアンビーが今度は言葉で説得し始めた。

 

 

 

 

「ダメよ、プロキシ先生が悲しむ」

 

 

 

 

 ピタっと、動きが止まり反抗が止まったネームドに立て続けにアンビーが言う。

 

 「プロキシ先生は人を傷つくのが嫌。殺そうとするのは最も。」

 「自分のせいで人が死んでしまったと思わせないで。」

 

 アンビーが強く、毅然として言い放った。

 その言葉が届いたかネームドはため息をだし、何かのハンドジェスチャーをする。

 

 手で銃のハンドサインを作り撃てば指を交差させバツを作る。次に拳を作りシャドウボクシングを始め、次に両手で銃のハンドサインを作って片方のを撃ち抜けば指で丸を作った。

 

 「そう、”殺さず”奪い取って」

 

───殺さず、つまりは命があるならいいわけだ。

 

 殺さずを強調し言うアンビーに頷き、ネームドはバックパックを降ろし身軽な状態となる。

 

 ボディアーマーも脱ぎたいがあちらには銃持ちがいる。エーテリアスの住処へと入っているわけだから非殺傷団を装填しているわけでもないだろう。

 

 

 軽くストレッチをし、指をコキコキと鳴らせば調査チームに突撃した。

 

 

 

 「おおい!!何しッ、、、あ」

 

 

 「!?敵襲!!!!!

 

 

 

 

───あいつあとでスクラップだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まずは銃持ちだ。五人の持っている小銃をおはようございますの言葉変わりに撃つ。いや午後だからこんにちはだろうか。

 連続射撃で相手の銃フレームが歪み、やがて破壊されたのを確認した。完全に破壊とまではいかずともまともに射撃は不可能だろう。

 

 案内人らしき調査員が拳銃をレッグホルスターから拳銃を抜き向けるも固まるばかりで射撃できなかった。

 それも仕方ないと言える、自分を守ってくれていた人間が一気に攻撃手段を破壊されたのだ。それに加えて銃を向けているのにそれを見えていないようにこちらへ猛進してくる大柄な男。

 

 ようやく引き金を引く。が発砲はされなかった。できなかった。

 「あっ────

 

 安全装置を解除していなかった。初心者のやらかしをしてしまった。

 まぁ撃ったとしてもだ。銅鉄プレートを入れた装備にたかが拳銃弾が貫けるわけがない。声を出させる暇もなくネームドがヘルメットを蹴れば調査員は倒れるがすぐに調査員の首を掴み立たせた。

 

 おそらくは機械人か、人間の頭が入ると思えない四角の頭部パーツを持ったヤツがこちらへ警棒を振るも調査員を突き飛ばしぶつければそれをつかみ奪い取る。

 

 蛇のように腕を絡め、腕を拘束すれば一気に締め上げ関節を破壊した。

 

 

 「やれ!!最悪上への言い訳は立つ!!!」

 

 

 警棒と取り出し、電気をチャージし襲いかかるも機械人が受け止めた。盾にされたが正しい表現だが、悲鳴は出ず金属の弾かれる音が聞こえた。

 

 役目を果たしてくれた”スクラップ”を手放し次の機械人へと定める。先ほどのスクラップと同じ単調な動きで殴りかかる。

 機械人なことがわかればネームドは安心して撃てる。チェストホルスターから自動拳銃を抜けば脚部へ射撃した。何発も打ち、破壊はできなかったものも動きを鈍くはできた。落ちていた警棒に電気をチャージし何度も殴りつけ後ろへ回り込み頭を掴めば手榴弾を取り出し、首に挟ませ人間へと機械人を投げつけた。

 

 手榴弾が挟まれているとは知らず、すんなりとそれを受け止めれば爆音が周囲に響いた。

 

 だが人間がミンチになる光景は広がらない。首に挟ませたのは破片手榴弾だ。

 

 金属の破片が相手に刺さるもそれはボディアーマーが防いでくれる。

 

 だがスクラップに挟まれていた手榴弾が近くで爆発したのもあり爆音と衝撃が隊員へと襲いかかっていた。

 ある者は頭や耳を抑え、ある者は破片を引き抜こうとしている。鼓膜が破れている者もいるだろう。しばらくは動くこともできない。

 

 その軽めの惨劇(ネームドにとっては)を見ていた調査員が腰を抜かしており、なにかを言っている。

 

 近づけば今度は頭を押さえ体を丸め込んだ。

 

 

 

 

 

 「頼む殺さないでくれ!!!!金でもキャロットでもなんでもやるから頼む!!!!お願いだ!!!

 

 

 

 

 

 急に大きくなった命乞いの声を聞き、ならばと丸まっている調査員の装備品を漁った、何やらマップのようなものが表示された電子パネルが取り出された。下部にはcarrotという文字がある。

 

 少し物足りなさもネームドは感じたが目的のものは手に入れた。身元特定を防ぐため警備員のボディカメラを破壊すればアンビーたちの元へ戻るも歓迎の言葉はない。

 

 「、、、、」

 

 「すげ、、、ぇ、、な、、、」

 

 「わぁ、、、、」

 

 

 引いている

 

 

 邪兎屋三名がネームドの猛進ぶりをみて圧巻されている。アンビーはなにか言いたげだが黙っていた。

 

 キャロットデータらしきものを取り出せばニコとビリーの表情が一気に明るくなりそれをささっと取りあげた。

 

 「わぁ!!本当に奪い取ったのね!それじゃホロウから脱出しましょ!!」

 

 「よくやったぜネームド!!ちょいとやりすぎな気もするが、、、まぁいいだろ!さっさと行こうぜ!!」

 

 ささっと立ち上がり、全員が移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キャロットデータに記された地点へと移動している。

 移動を開始した地点から駆け足で向かっており、道中何度もエーテリアスと戦闘をしていた。

 

 「もう!私たちの邪魔しないで!!」

 

 ニコが怒りを仕込みトランクにこめてエーテリアスと格闘している。

 

 もうすでにホロウ内安全活動推奨時間は五回を超えている。アラームがなるたびに邪兎屋の心身がゆっくりと緊迫感とエーテルに侵食されていっている。

 

 だがネームドは違った。

 現在ネームドの体に疲労はそこまでない。戦闘の疲れはあれど休憩すればすぐに回復する。だが心の方は穏やかではなかった。

 

 ネームドにはエーテル侵食だったか、まったくその感覚がないのだ。

 未だネームドにとって耳鳴りが聞こえるサイドポーチに入れてる音動機がうまく作動しているのか。

 

 心配になっているのが邪兎屋の三名だ。徐々に疲労が見えてきており体力の限界が近づいている。ビリーは身体パーツの摩耗が激しくなっているだろう。

 

 そしてエーテリアスを最後にビリーがコアを撃ちぬけば流れるように全員が移動を開始した。だがその時だった。

 

 移動しながら動かなくなったイアスを持ちバックパックに紐で固定すれば移動を開始しようとした時、ふと違和感があった。

 

 

 

────どこにいった?

 

 

 

 足音がネームド以外聞こえなかったのだ。

 

 周りを見渡せば”邪兎屋”もいない。

 ネームドとイアス以外、その場には誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「、、、、は?」」」

 

 何が起きた、ビリーとアンビーとニコが全員思ったことだ。

 

 キャロットデータを元に進んでいた途中、急に裂け目が現れたかと思えば、次の瞬間にはホロウの外にいた。

 

 「いやいやいや、は!!?なんで俺ら外に、、、!」

 

 「今、裂け目が見えた。」

 

 「は!?じゃあネームドは!?というかあのボンプも!」

 

 ニコ、アンビー、ビリーの三名が周囲を見渡すみそれはホロウに入ったのと同じ地点だ。後ろには駐車している車がある。

 

 「別の地点に転送された、、、?」

 

 「だとしたら連絡取って無事かどうか確認しないといけないじゃない!」

 

 「俺あいつの電話番号しらねぇよ!!」

 

 だれもが右往左往し混乱するがまずはパエトーンへと連絡しなければならない。

 電話をかけ、1コールもかからずすぐに電話は応答された。電話にでたのは女の声、リンだった。

 

 「もしもしニコ!電話ってことはホロウから出られたの!??」

 

 「えぇ!あんたらが様子おかしいから調査員からキャロットデータ取って出ようとしたんだけど、、、!!」

 

 「だけど何??」

 

 「ネームドとあんたんとこのボンプがホロウに取り残されたの!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────まずいな

 

 

 「ンナナ、、、」

 

 邪兎屋が消えたあと、周囲を探索するも完全に消えていた。

 

 予期せぬ裂け目から別のところへと移動してしまったのか、攫われたのかは分からなかった。キャロットを持っていたのはニコだ。

 

 探索してる途中、イアス自身が起き上がり、一緒にホロウを彷徨っていた。

 

 耳が垂れ下がっているイアスと金庫の落ちていたとされる駅のホームを移動しているが一向に裂け目に出会う様子もデュラハンも見えない。

 

 このままでは、とネームドも焦り始めている。

 

 「ン、、ナナ、、ワタナナンナナ、、?」

 

 ホロウから出れるか、そう心配しているのが言葉で伝わらずともなんとなく察せた。

 

 このままホロウに居続ければあちら側が再接続できたとしてもイアスがダメになっているだろう。

 

 「、、、、ワ、ワタナ!!!」

 

 その時、イアスが叫ぶ。叫ぶ前には背中に敵意を感じとっており振り返ってみればまたエーテリアスが現れる。

 

 だが見たことのない個体だった。

 

 

 コイツはたしか────

 

 

 マントのようなものを付け、右手には弓のような、三日月のようなデカい腕剣をつけた“ソレ”が消えた。

 

 だがネームドには見えていた。

 超高速で迫り来る“ソレ”がネームドではなくイアスを狙っていたのが

 

 

 

 「ンナ─────

 

 

 

 イアスが頭を抱える。斬られると思った時、なにかが衝突する音が聞こえる。

 

 

 

 「、、、ン、、ワタ?」

 

 

 目をゆっくりと開ければ、目の前にいたのはネームドだった。

 

 

 

 ネームドの向かいには”ソレ”がギリギリと腕剣とナイフと交差させている。

 

────タナトスの攻撃を受け止めたの?!

 

 ネームドの腕に衝撃が伝わり、歯を食いしばっている。

 

 次は下がったと思えばまた腕剣をこちらへと何度も振り回す。

 やられまいとネームドも全ての攻撃を受け流し、弾く。ナイフで何度も攻撃を受け止めもしているがこのままでは限界が来る。

 

 連撃が止まったかと思えばネームドがタナトスの腕と肩を掴んでいる。飛び付き腕十字固めをしたネームドが体重に任せタナトスを床に伏せさせれば何度も腕剣を蹴り、腕を破壊しようとしていた。

 

 先ほどの美しい佇まいはどこに行ったことか、みっともなく人間らしくもがき抵抗するも数秒後には溜まっていたかのように腕が一瞬で崩壊(・・)した。

 腕が捻れ、あらぬ方向へと曲がっていたのだ。

 

 だらんと下がった腕を見たタナトスが撤退しようとするもまだネームドに捕まれている。

 

 その隙を逃さずネームドが背中に引っ掛けていた斧で腕剣を破壊しようと叩きつける。

 頼むやめてくれと言わんばかりにもがくのが激しくなったタナトスだが未だ離れれる様子がない。

 

 やがて腕剣が破壊されればタナトスが咆哮をおげる。その咆哮は悲しみのようにも聞こえた。

 

 次にコアを破壊しようとナイフを取り出し刺すが刺さったのはタナトスの腕だ。

 

 コアの前で腕を振り回し刺さらないようにと抵抗している。

 

 だが次には銃声が聞こえ、やがてタナトスの抵抗が終わった。

 

 消滅し、ゴトッと地面に落ちたネームドにイアスが急いで駆け寄った。

 

 「ンナナ!!ワタワタンナタ!?」

 

 怪我したか、そう聞こえたネームドがイアスに対しグットサインを出し、また立つ。さて前進しようと手を上げ前に指を倒そうする手が止まる。

 

 イアスが急に背筋を伸ばし立ったのだ。

 

 なんだと思えば次にボンプの液晶画面にLOADINGの文字の文字が流れた。

 

 まさかと思った瞬間には待ち望んでいた声が聞こえた。

 

 

 「ネームド!!無事か!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなことが、と腕を組む。

 

 なにがあったと聞けば様子のおかしくなった原因がH.D.Dのハッキングによるものだと聞き、そして邪兎屋が無事にホロウから脱出したことを知った。

 

 「ごめんネームド、私が警戒もせずメモリディスクを解析したせいで、、、」

 

 問題ない、とグッドサインを出すも次の問題に頭を悩ます。

 再接続できたのはいいのだ。だがそのハッカーとやらにデータを一部消去されてしまいクリティホロウの脱出ルートがなくなってしまったとのことだ。

 

 「ここから考えられる手段は二つ」

 

 「1、ホロウの最端まで移動して直接ホロウの膜から出る。これで脱出もできるけど道中にエーテリアスとか裂け目もある。すべての裂け目がホロウの外に繋がってるわけじゃなくて 別の地点へと転送されるものがほとんどなんだ。今回邪兎屋のみんなが脱出できたのはキャロットにも載っていなかった外へ繋がっている裂け目に入れたからなんだ、奇跡だ。」

 

 「2、金庫の中身に賭ける。これが一番可能性がある。ハッカーは中身がロゼッタデータとかどうとか言ってた。それがあればホロウを自由に行き来できると。」

 

 そんなうまくいく話が?と思うが、H.D.Dをハッキングしたのだ、しかも相手が言っていたとなれば嘘ではないだろう。

 

 ならばと探索を開始すべく、立ち上がれば駅の奥にナニカがいる。

 

 

 

 「ッッデュラハン!!!」

 

 ボンプの視界をズームし、姿を捉えたイアスアキラがそう言う。

 

 

────このままでは正面衝突だ。だがそれも、、、おもしろそうだ。

 

 

 もとよりネームドはデュラハンと戦いたかったのだ。あの時心踊った感覚が蘇る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────戦え

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネームドの脳内に声が響く。その声が聞こえた時、ネームドの目と瞳孔が一気に広がり全身が際立つ。ネームドがデュラハンへと歩む。それと同時にデュラハンも歩きだした。

 

 

 

 最初は約100m離れてた距離が徐々に90、80、60と縮んでいく。

 

 

 

 近づく途中、ネームドがコンバットナイフと斧を砥石で研ぐ。あちらも答えるように右の大剣に似た腕剣で左の盾を叩き両者宣戦布告をした。

 

 

 

 距離10mになった瞬間、ネームドとデュラハンが走り出し互いに武器を向けた。

 

 

 

   

 

 「ネームド!!!勝つんだ!!!!

 

 

 

 

 その言葉に答えるのは両者がぶつかり合う衝突音だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナイフと腕剣がぶつかり合い、黄色の閃光が走る。

 

 次に盾が突き出されるがそれを足で受け止める。

 体勢が不安定になったネームドがバックステップで一時後退するがデュラハンはそれを逃さない。

 

 またぶつかり合い、今度は両者連撃し合う。

 何度もナイフと腕剣がぶつかり合い、やがて片方の武器が損傷した。

 

 損傷したのはネームドのナイフではなくデュラハンのほうだった。ならばと腕剣を反対に収め、今度は格闘戦を仕掛けるデュラハンにネームドも答えた。

 

 デュラハンの鋭い爪とナイフが交差する。その時ネームドがナイフを捨て拳を作った。

 武器を捨てるのを見たデュラハンが片腕を振り回すもがその腕が掴まれた。

 

 片腕と盾の手を掴みネームドが何度も蹴りを喰らわせる。

 前蹴り。回し蹴り、跳び蹴りと腕が離されたかと思えばまた捕まれ動けないリンチ状態が続いている。デュラハンが離れようとするも圧倒的握力と腕力に離れることができない。

 

 相手の懐に入れば自分の懐も入られるとは誰が言った言葉か。デュラハンはまったくネームドの懐に入っていない。

 

 体が蹴られなくなったと思えば今度は腕剣が捕まれバキっと折れる音が聞こえた。そもそも刃が欠けているのに加え何度もその部分を何度も”膝蹴り”されたとなれば耐えられるわけがない。

 

 刃が半分折れたのを見たデュラハンが固まる。壊れるのが想定していなかったのか。

 

 ネームドが自動拳銃を取り出し射撃する。数発がコアへと当たるがすぐに盾に防がれた。だが視界も塞いでしまった。

 

 ネームドが付近に転がっている消化器を拾い上げ、連続で投げつければデュラハンがそれを斬った。斬ってしまった。

 その瞬間に周囲に煙幕が広がった。

 

 また・・騙された。消化器を馬鹿正直に斬ったと認識したデュラハンが怒り雄叫びをあげ周囲に腕剣を振り回した。

 

 視界が広がるが、ネームドの姿がない。

 

 

 

 

────ドこニイった

 

 

 

 

 デュラハンが周囲を見回すもいない、まさかと上を見ればいた。

 

 鉄骨に座りこちらを見下ろしているネームドを見て唸りを上げた時、下から急に衝撃波が来た。

 

 見下ろせば、スマイルが書かれた手榴弾がもう”3"個転がって来たではないか。

 

 すぐにまた爆発し、デュラハンの脚が破壊され地面に崩れる。自然と仰向けになればまた信じられぬものをみた。

また複数個の手榴弾が落ちて来たのだ。

 

 

 落とした張本人を見てみれば、両手で中指を立てていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

────Fuck You(くたばれ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今度は先のようにはいかない、盾を構え、コアを覆う。

 安全レバーを外して数秒持っていたのか地面につかぬまま手榴弾が爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 爆炎と煙幕が完全に晴れれば、そこには盾と腕剣がほとんど破壊され脚が無惨な形になっているデュラハンがいる。

 

 ネームドが鉄骨から飛び降り、小銃を向けながら近づけばコアが不安定となっていた。砂嵐のようにぶれておりコアの色が変色していた、見るからに限界という様子だ。

 

 

 やはり先ほどの手榴弾はかなり喰らったらしい、ネームドは小銃を収め、大口径回転式拳銃を取り出す。

 

 重厚なヘビーバレルが下部に取り付けられおり、ゴテゴテとしているソレにはFormerと言う文字がナイフで刻まれたような形をしている。

 

 弾倉を開ければ、四つのマグナム弾というには大きすぎる弾が装填されているそれをデュラハンのコアへ向ける。

 

 重いハンマーを寝かせ、両手で構える。こんなもの片手で打てば生体素材の芸術作品が生まれるに違いない。

 

 

 

 『Die(死ね)

 

 

 

 

 ネームドが初めて喋った瞬間、凄まじい銃声が周りに響いた。

 ヘッドセット越しでもつけていないかのようなうるさい銃声、そしてとんでもない銃口の跳ね上がり(マズルジャンプ)

 下に向けていたそれが両手で構えていたと言うのに一瞬で90度、いやそれ以上の角度に跳ね上がった。まさに小さい大砲とも言える。それしか言葉がない。

 

 だがそれも同様威力も凄まじく、一瞬でデュラハンのコアが貫通した。ぽっかりと穴が空いていたのだ。

 

 こんなものを人間に撃ったらどうなるのか、人間に使うにはもったいないと同時に試したくもなる。きっと形の崩れたドーナツができることだろう。

 

 「、、、周囲に敵影なし、戦闘終了、、、すごいな。先ほどの戦闘といい、銃声といい。というかネームド、さっき初めて喋ったじゃないか!喉は大丈夫かい?」

 

 問題ない、そうグットサインを出そうとするもネームドが咳き込み始めた。先ほど喋ったものの掠れていたりつぶれているような声でもあり喉には優しくなかったらしい。

 

 「あぁやっぱりだめか、それよりも早く金庫を回収しよう。」

 

 イアスアキラが金庫へと近づき、ボンプの小さい手で解除すれば中には赤色の緩衝材にご丁寧に小さいチップのようなものが入っている。かなり高級、厳重に管理されていたそれはやはり重要なものなのだろう。

 

 中のものを取り出し、イアスアキラが振り返れば言う。

 

 「言っておくけどこれは【賭け】だ。強制的にデータを読み取った以上、どうなるかはわからない。でも僕は君のプロキシだ、連れ帰ってみせる。」

 

 そう言い、イアスアキラがが液晶画面の差し込み口を開き、データチップが読み取られれば最初の数秒は何も起こらなかった。だが急に震え出したと思えばイアスが急に”飛んだ”。

 

 飛んだ瞬間ミラーボールのように七色に発光し出したのだ。

 

 スナイパーベール越しなのに眩しい、と少し目を細めていれば急に静まり返った。

 

 

 急に踵を返し歩き始める。止めようにもその歩みは止まらない。

 だが仕方ない、今はついていくしかないのだ。

 

 黙ったまま歩みを始めるイアスにネームドは付いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

 

 

 

 

 

 

 

 

...利用規約及び条件...他人への授権を禁止...

 

 

頭に声が響く。

 

 

...移譲または他のいかなる形での譲渡も禁止...

 

 

女性のような合成音声が聞こえる。

 

 

...貴方様は、ご自分と該当存在の共同利益を保護するために必要に際して、十分な授権を行うことに同意する。

 

 

 (利用、、?は規約?、、、一体、どういうことだ??)

 

 

上記の利用規約に同意しますか?

 

 

痛い、痛い、痛い、眼と身体中が灼熱の太陽に焼かれるように痛い

 

    

上記の利用規約に同意しますか?

 

 

同意すればいいんだろう、、、?これ以上はやめてくれ、、、!

 

 

 

授権規約へのサイン完了,これより貴方様のサポートを開始いたします。

     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...共に...新エリー都を...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ハッッッ、、、、!!!???」

 

 身体中に汗が流れていて、少し気持ち悪い。

 目が少し痛い、頭がグワングワンする

 

 目を覚まし、体の状態を確認すればリンが兄の元へと駆け寄る。

 

 「お兄ちゃん!!やっと目を覚ました!!!」

 

 リンがアキラの肩を掴み、心配とというにはあまりにも強い力で握られる。

 

 「お兄ちゃん大丈夫!?”眼”は?体調悪くない?!頭大丈夫!?!?」

 

 最後のは罵倒ではなかろうか。そのほかに色々質問するリンの肩を掴み返しアキラは落ち着かせる。

 

 「落ちついてくれリン、大丈夫だから、、、」

 

 「でも──「本当だ、問題ないさ」

 

 それならいいんだけど、、、と悲しそうな目をするリンの頭を撫でれば腹の上に猫が乗っかってくる。

 にゃ〜、と心配するような鳴き声をだす猫を撫で、周りを見渡す。寝ていた場所はソファで、作業台にはネームドは座っており無事にホロウから出られたらしい。ネームドはメモ帳を書き終えアキラへと見せた。

 

 『After that,You went convulsions lost consciousness(あの後お前は痙攣して気を失っていた)

 

 「お兄ちゃんずっとうわ言言ってたんだからね、、、」

 

 「何ソレ、怖、、、」

 

 他にもと当時あった状況を伝え、説明が終わるがまだ悪い知らせがある。

 

 「でもね、本当の悪い話はこれじゃないの、心の準備ができたらパソコンを見てみて。」

 

 「え?」

 

──え?

 

 

 アキラと、その悪い知らせを知らなかったネームドが疑問を浮かべる。

 早く知りたいと心の準備をせずすぐにH.D.Dに三人が立つ。

 

 「なんて言ったらいいかな、、、パソコンのなかに【へんなの】がいるの。とにかくお兄ちゃん、ネームド。見ればわかるから、びっくりしないでね。」

 

 コホン、と咳遣いをすれば【へんなの】にリンが呼びかけた。

 

 

 「Fairy、いる?呼んできたよ。」

 

 

 

 

 最初の数秒、なにも起こらないがすぐに異変が生じた。

 スタッフルームの明かりと大量に並べられたブラウン管テレビが点滅した。

 

 次にブラウン管テレビに404やUNKOWNの文字が表示される。

そして映し出されたソレに、アキラとネームドは衝撃を受けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   なんだこれは!!??

 

 

 

 

 

 

 

 スタッフルームを飛び越す声がビデオ屋全体に聞こえる。

 

 H.D.Dシステムのモニターのタイム表示が並び替えられ、大量のLoading errorが表示されればソレは現れた。

 

 

 《システムを起動》

 

 

 

 

 

H.D.D SYSYTEM LOADING

 

 

 

 

 

 《III型総順式集成汎用人口知能 Fairyです。こんにちは、マスター》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「びっくりしたよね。」

 

──びっくりしている、というか口を閉じるのを忘れていた。

 

 「お兄ちゃんが気を失った後、H.D.Dが再起動したの、そしたら彼女が現れた。」

 

 「この声、、、聞いたことがある、、、確か脳内で語りかけて来た声だ。」

 

 《肯定、私はIII型総順式集成汎用人口知能、Fairyとお呼びください。》

 

 H.D.Dにモニターに青目の形をしたアバターが現れ、そいつが喋った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 長ったらしいから話をまとめるならこうだ。

 

 アキラとの利用規約を結び、【その時(opportunity)】が来るまでサポートするとのこと。

 ホロウをリアルタイムで監視でき、ホロウ脱出ルートをすぐに解析できるとのことだ。

 だがあまりにも出来すぎている話だ。

 

 

 《これからよろしくお願いします。マスター》

 

 

 そういうFairyをネームドが眺める。だがそれはFairyが気になっているわけではない。

 

 ホロウ内で聞いたパエトーンアカウントが消えてしまったと言う話。だがアカウントならよいのだ。またやり直せる。

 

 

 問題は資金面である。

 

 

 インターノットアカウントに入っていた資金がなくなってしまった。そうだと理解した。理解してしまった。理解するしかなかったネームドは恐る恐る震える手でメモ帳を書き留める。

 

 「にしてもお兄ちゃんあの時はすごかったね、ハッカーが消えた後クソッ!!って大声でいって台パンしてて」

 

 「、、、あまり思い出させないでくれ、、、」

 

 顔を手で覆っているアキラの肩を叩き、ネームドはメモ帳をみせる。その手は震えていた。

 

 『I've run out of money, But I need suppy(金がなくなった。だが補給が必要だ)

 

 『What should I do?(どうする?)

 

 本日使った自動小銃と散弾銃、そして自動拳銃と残り少なくなるまで使った手榴弾。補給が必要な現状に恐怖しているのかいつもの癖字がなくなっており恐れの込められた文字がメモ帳に書かれている。

 ネームドは最悪近接戦闘でエーテリアスの大群を潰せるがそれはまだやっていない。ネームド自身にそれはできる近くが今ない。

 

 「あぁ〜〜、、、」

 

 「アカウントを失ってしまったからね、、、しばらくは、」

 

 

 

 

 

 

 

買えないだろうね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本日、二回目の衝撃音(台パン)がビデオ屋に響いた。

 

 

 

 

 




 ピュロイス君かっこいいねぇ、早く寿司職人姿のピュロイス君見たいねぇ

 ツイッターで見かけた情報ですがスシローコラボピュロイスが寿司職人服装で出るそうです。見たいからコラボ始まったら久々に寿司食いに行くぜ。

 
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