存在しない男   作:いん22222

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Chapter001 猫の落とし物
8. FreedomAi


「、、、どうだった?ネームド。」

 

 さんさんと太陽が降り注ぐ郊外のとある場所。ブレイズウッド。

 スターライトナイト劇場が終わりクオリティやアクシデントにも思えたそれを即興に仕立てたビリーに対する感嘆の話し声がそこらから聞こえていた。

 

 そんな中項垂れながら尋ねてくるアキラとリン。

 まぁ、あのひどいダンス、、、ダンスだったろうか?あれについて聞いているのだろう、ドラム缶に座りスキットルから蒸留酒を飲んでいるネームドに二人は聞いた。

 

 『Even Vivian might be disappointed.(ビビアンですら幻滅するぞ。)

 

「「うっ、、、」」

 

 

 『fish washed up on shore.(陸に打ち上がった魚。)

 

 「「うぅうッッ、、、!!」」

 

 『Even Astra might crack a wry smile,year?.(アストラでも苦笑いしそうだ。なぁ?)

 

 「もうやめてくれ、、、」

 

 トリプルパンチの悪評をされ兄弟アキラとリンは地面に伏せてしまった。その様子を笑いながらも見ているネームド。

 

 あれだって本気でやってたんだバカにするなと意見もありそうだが気遣ったり苦笑いされる方が本人たちは傷つくだろう。なら笑ったり徹底的に打ちのめした方が今後のためにもなる。

 

 

 

 

スターライトビリーのEPみて思いついた会話です、次本編

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ネームド、仕事だ。」

 

 ん”、と特に意味もなく認識表(ドックタグ)を見ていたネームドが喉を唸り反応する。

 

 依頼内容を聞いて見ればヴィジョンコーポレーションという企業が出した依頼であり、建設現場のあるホロウで閉じ込められた三名の従業員を救助してくれとの依頼だった。

 

 しょぼいともネームドは思ったが今はパエトーンとして行動しているわけではない。他から見ればただのインターノットに現れたいつもの新参プロキシだ、知名度を上げて高額依頼を受けるしかない。

 

 高強度ハンガーにかけてあるボディアーマーを装着すればロッカー内部の銃火器を全て取り出す。小銃、自動拳銃、大口径回転式拳銃の点検途中にH.D.Dモニターから異音から鳴り始めた。

 

 なんだ?と思って振り返って見れば、三角のアイコンをしたH.D.D補助システムがエラーメッセージを大量に流しだした。そして急に止まったかと思えばすぐに目のアイコンをしたfairyが現れた。

 

 

 《──システムの更新が完了しました──》

 

 「、、、え?」

 

 《現在のページから、非効率なオリジナルの旧式プラグインを廃棄しました。》

 

 「、、、、!?!?」

 

 アキラ、もといfairyのマスターがこうして驚いているのに関わらずfairyは淡々と説明を続けている。

 

 《今後の依頼選別や情報更新はこの私、Fairyが一手に担います。》

 

 「何勝手なことをしてるんだ!!」

 

 「お礼は不要です。」

 

 「言ってない!」

 

 《違法ホロウ業務の情報共有および下儲けに関する匿名フォーラム、通称インターノットから新たな依頼申請を検出しました関連ホロウ情報の更新が完了しました。所要時間は20ミリ秒未満、99%の補助プラグインを超えました。さすが私です。

 

 「『、、、、、』」

 

 

 

───なんだ、この、AI(Freedom)

 

 

 

 アキラとネームドが同時に同じこと考えながらもfairyは依頼とホロウ内データの整理をしている。

 

 そもそも僕はマスターのはずじゃ、と思うもそれはこのH.D.Dに胡坐をかき居座っているFreedom AI(fairy)には関係ない。H.D.Dに胡座をかいて居座っているfairyに逆らうことはできないのだ。アキラがfairyに勝る論争でもしないかぎり。

 

 「、、、とりあえずネームド、イアスを連れて目標のホロウに向かうんだ。」

 

 了解、とグッドサインを送った手にハードナックルグローブを着てバックパックを背負えばイアスを担ぎホロウへと向かう。スタッフルームの扉が閉まる前、アキラの方を見てみれば頭を抱えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目標のホロウ内部、小銃を構えながら裂け目を抜ける。いつも通り頭痛がする。いつも通りぬるっとした感触が服越しに感じる。

 

 騒がしい裂け目の景色が変われば依頼内容通り建設現場に出た。周りを確認すれば建設設備を入れているだろう箱が散乱している。金網だらけの足場を見ればいくつか切り傷ができている。戦闘があったのか一方的に襲われていたのか。

 進めば倒れているボンプを発見した。

 近づいて観察してみればいつもの真ん丸な形が大きくへこんでいる。

 

 「このボンプ、エーテリアスの攻撃を受けたのか?救助用ボンプだ。キャロットデータとか救助対象の情報が乗ってる。抜きとろう。」

 

 《ボンプのシステムチェックはすでに完了しています。現在起動に必要なプログラムをダウンロード中。》

 

 突如、fairyの声がヘッドセットに響く。いつのまにか接続していただろうか。

 

 「fairy!?どうやって出てきたんだ?しっかり遮断していたはずなのに──」

 

 

 

───え?遮断していたのか?

 

 

 

 「否定、私ことIII型総順式修正汎用人工知能【Fairy】はH.D.Dシステムの全体を掌握しています。つまちいかなる手段でも遮断することはできません。」

 

 《規約に基づき、貴方様の任務を全面的にサポートいたします。あとついでに助手1-2(ワンツー)も。それに小型知能機械修理も含まれていますよ。》

 

 《ボンプの起動に必要なプログラムのインストールが完了しました。マスター、どうぞボンプを起動してください。》

 

 「、、一応お礼を言った方がいいのか?これは、、、」

 

 「お礼には及びません。これくらい朝電気前です。」

 

 

───そこは朝飯前では

 

 

 でもAIか、と自分で疑問に思い自分で納得するネームドをよそにイアスアキラが丸い目をボンプの液晶画面に合わせれば救助用ボンプが震え出し体が起き出した。時間がかかるかと思ったがホロウ内部でも演算能力は健在らしい。

 

 これほど物理的にへこんでいたらもう動けなさそうだと思っていたがそうでもないらしい、ボンプを構成する特殊金属が衝撃を吸収していたのだろうか。

 

 「本当に起動した、、、」

 

 「ンナ、ンンナン?」

 

 「君はさっきエーテリアスに襲われていたんだよ。」

 

 「ナン!ンナンナン、、、ンナナ。」

 

 

───やはりわからない。

 

 

 相変わらずボンプが何を言っているのか分からなかった。状況説明をしているのだろうかイアス(アキラ)が話していれば背後に敵意を感じた。

 

 安全装置を指で弾き小銃を構え素早く振り返れば三体のエーテリアスがこちらに向かっていた。こいつらが救助対象だった(・・・)んじゃないかと思いつつも一体に射撃を開始。駆け足で下がりながら連続射撃をすれば二体のボンプがバックパックに掴まったのを認識し右に移動しながらエーテリアスのコアに全弾命中させる。十発程度で消滅したと同時に二体目に銃口を向けるもすぐそばにまできていたためコンバットナイフを抜き攻撃を弾き返す。

 

 飛びかかってきたエーテリアスを足腰を活用し飛ばし返せばすぐに三体目に体を向ける。突き刺しで体を貫通しようとした腕剣をナイフで左へと受け流し切った。

 

 相手目線は何が起きたか理解できなかっただろう。一瞬でエーテリアスの腕剣の根本が地面に落ちた。

 前蹴りで突き飛ばし倒れたところにコアを何度も刺す。

 

 後ろで突き飛ばされたエーテリアスが走りだすが倒れていた交通誘導看板を振り向き様に一心で胴体へと当たた。二回も飛ばされたエーテリアスがまた立ちあがろうとするがそれに

差し伸ばされた手(ナイフ)で叶わなかった。

 

 

 

 《戦闘終了、お疲れ様です。助手1-2。》

 

 助手一号は誰だろうと思いながらネームドは指を二回前に倒し前進の合図を出す。この工事現場階層から出る道は一つしかなかった。

 

 

 

 

 《前進。マスター、ボンプについていくことをおす──「言われずともわかっているさ。」

 

 

 

 

 

 《提案、私は生体探知の探査もかの───「ありがとう、でも今は必要ない。」

 

 「それと、呼ばれていない時は話さなくていい。」

 

 

 

 

 

 ぶっきらぼうに必要ないとfairyの手伝いを全て断るアキラ、その言葉には少しばかり怒りが込められていた。

 

 

 

 パエトーンのアカウントが消えてしまい、すべてが最初から。

 

 やるべきこと・・・・・・の調査のため貯めていた資金もすべてなくなってしまいアキラはすぐに高額依頼を探していた。だが新米などインターノットではだれも信じず全て断られてしまう。

 

 それに加え本日起きたH.D.Dの補助プラグインの勝手な削除。不快だとアキラは感じていた。

 

 最近の出来事でアキラは明確なストレスが溜まっていただろう。朝起きれば枕に抜け毛がいつもより多かったのをアキラが思い出す。

 

 

 

 そのことに自称、いや実際優秀であるfairyは気づかぬわけもない。これ以上の言葉はマスターの機嫌を損ねるとして何も言わなかった。

 

 《かしこまりました、マスター。》

 

 

 

───変な空気になったな。

 

 

 

 少しばかりピリついた空気にネームドも気まずさを感じ喋らない。というより元から喋れない。

 その空気のまま前進すれば大きな箱ばかりが積まれた道に遭遇する。動かすのも面倒だと思ったネームドがバックパックのサイドポーチに引っ掛けていたハンマーと取り出せは一気に振り下ろす。

 

 意外にもすんなり壊れる。そう思っていた矢先ディニーが散らばった。

 

 コインや札が散らばり、おぉ、とネームドが見ればすぐに木箱を破壊し始めた。やっきになり木箱も破壊し始めたネームドにアキラは苦笑する。

 壊せば壊すほど金が出てくるのだから。

 

 「ネームド、塞いでいた木箱だけで我慢するんだ。今は救助が優先だし拾うのは救助対象の状態を確認してから。」

 

 了解、と片手でグッドマークを出しながら破壊していれば道が開通した。時間は一分とかかっていない。

 

 「、、、え?生きてるやつ?えぇ!?おっしゃ来い!!エーテリアスどもがなぁ!道塞いでてなぁ!倒そう!な!倒そう!二人で!

 

 再会したかの如く喜ぶ救助対象を発見するがどうも様子がおかしい、なにかとハイになっている。

 

 正気じゃないと判断。アニメや映画のように肩を揺らしても眼を覚ます類ではない。

 

 

 

 しかし揺らすだけが治す方法ではない。昔から存在する伝統的な”直し方”がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を覚まさせるべくネームドは大きく振りかぶりハードナックルグローブをつけた手でビンタをかました。

 

 

 「痛っっっってぇ!?ひっどいぜ親父にもぶたれたことないのに!?、、、あれ、アンタら、ホロウ救助隊の人か!?」

 

 「その通りだ、気分はどうだい?」

 

 「キツイのをもらったから目は覚めたよ。ただ、まだ、、頭がクラクラするが、、、」

 

 ビンタによるものか侵食によるものか、腫れ上がっている頬を押さえながら救助対象が立ち上がった。

 

 「いつからホロウに閉じこられているか覚えているかい?」

 

 「よく覚えていない、、、おたくの隣にいるボンプが見つけてくれた時にはまだ意識がはっきりしてたんだが、、、一緒にホロウの出口に向かう途中でエーテリアスに出くわしてな。ボンプがエーテリアスを引き離してくれたあと、少なくとも【ホロウ内安全活動推奨時間】を三倍超過した。そのせいか意識がだんだんなくなっていったんだ。」

 

 そんなになるまでここに働いていたのかとネームドは疑う。仕事熱心は時に命を落とすとはよく聞く言葉であるがこの男はそれ知らないのかどうなのか。

 

 しかし普通は推奨時間が超える前に出るのが普通ではないかとアキラは考える。化け物になる望みはこの男からは感じられない。

 

 「それほど長時間ここに?救助隊が呼ばれたのは一時間前だと聞いているけれど、、、」

 

 

 

───見捨てたか

 

 

 

 ネームドがいち早く原因を察知に武器点検をする。薬室内部を確認し次の救助対象までの戦闘に備えた。

 周囲に

 

 「これからまた一旗揚げようってとこに厄介な依頼が来ちゃったもんだね、ってことは他に閉じ込められた人たちも猶予ないってことだよ。」

 

 厳しいな、と結論付けた。この救助用ボンプはまだこの従業員しか発見できていない。残り二名はこれから探さなければならないのだ。

 

 しかしそんなすぐにルートを割り出し短時間で全員を助け出せるやつが─────

 

 

 

 《マスター、私であれば生体信号の分析及び探索が可能です。新エリー都の全知能設備80%を利用し、リアルタイムでホロウ内ルートを分析することができます。》

 

 待ってましたと言わんばかりにfairyが乗り出しマスターアキラへと声をかけた。

 

 

 いるではないか、ここに

 

 

 「fairy、勝手にしゃ、、、て今なんて?閉じ込められた残りの人たちすぐに探せるの?」

 

 《肯定、マスター、私は今回の依頼を通じて貴方様に価値を証明したいのです。》

 

 とっととやらせろと暗に伝えればアキラはため息を出しながらもfairyの言葉に賛同した。しかしその声は冷たく期待などしていないような声だ。

 

 「、、、わかったfairy、人の命がかかってるんだ。できると言った以上は証明してもらおうか。」

 

 重みのある言葉を言えばfairyはクラウチングスタートの如く素早くデータを分析し探索を開始した。そして一秒も経たないうちにfairyは探知を終わらせた。

 

 《マスター、救援ビーコンを携帯する救助用ボンプを検知しました。救助用ボンプとの分離を推奨。私たちは要救助者と出口を捜索し、救助用ボンプには出口まで誘導を要請するのです。》

 

 Faieyの文字がイアスの液晶画面に移り、シャキーンと剣を抜くようにボンプの指を天高く指せばすぐに制御がアキラへと戻る。

 

 そうして二人、いや一人と一体が初めての協力を始まった。

 

 「中々悪くないアイディアだ、リン、この手で行ってみよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ビーコンが起動しました、任務をさい───「閉じ込められてた人はまだ二人いるよ、先にさ───付近の生体反応を検知しました。

 

 「随分早いな。」

 

 混雑する通話、そしてボイスボリュームがかなり大きくなった最後の言葉。

 

 私が先だと会話を混じわすリンとfairyに仲良くしろと言いたかったがメモ帳に言葉を書いている暇はない。

 

 進めば幸運にもすぐに二人目の救援対象がいた。こいつも倒れており意識が朦朧としている。体をゆするも呻くだけだ。

 

 

 「えっ、、、ああぁ、、ううぅ、、」

 

 「意思疎通が取れない、初期の侵食症状も起きてるけど時間がない、ここに調査ビーコンを置こう。」

 

 もぞもぞと懐を探しているイアス(アキラ)を横にネームドは意識をはっきりさせるべくまたビンタをする。

 今度は先ほどと違い意識朦朧のため強く。

 

 バチンと強く乾いた音が周囲に響いた。

 

 「ネームド、あまり強くやりすぎるのはだめだ。」

 

 そう言われるが効果としてこの従業員は目が覚めた。しかも喋り出したのだ。ほら、と指を指せばイアスアキラが驚く。

 

 「あぁ、、、こ、、こは、?」

 

 「ほんとに目覚めた、、、」

 

 後に来る救助ボンプのためビーコンを置き次にfairyの言うルートを進めば裂け目が現れた。

 

 

 

 その先に入れば今度は駅のホームに降り立つ。見渡せば奥にはもう一人の救助対象外がいた。

 

 「わあああああ!!!なんですか近寄らないでください!?」

 

 びっくりし飛び上がればすぐに工事道路封鎖看板の後ろへと逃げ込む。落ち着け、と手で制せば救助対象の女は顔を恐る恐る看板から覗きようやくこちらの存在を再認識した。

 

 「えっ、へ、、えええとあなたたちは救助隊員、救助隊員ですよね!!間違い無いですよね!!?」

 

 先ほどの姿勢はどこに行ったか、看板から出てきたと思えばすぐにネームドの足へとすがりよる。身動きが取れなくなったネームドが反射的にすぐに離れてしまった。しかしすぐ救助対象の動き違和感を覚える

 

 「あぁあぁあ待って置いてかないでお願いします!!」

 

 「落ち着くんだ、僕たちは助けに来たから大丈夫さ。」

 

 身を捩らせながらネームドにまた縋りつこうとする女の救助対象の前にイアス(アキラ)が立つ。そして助けに来たと伝えられた女は安心したのか次の瞬間泣き出した。

 

 ようやく何がおかしいか分かり足が血を流しているのを目視する。作業服越しに血が滲んでおり無理に動いたからか血が垂れていた。

 

 「うう、、うぅぅう、ひっぐ、、、ありがとうございます、、、ありがとう、、、私、さっきエーテリアスに襲われて、ひっぐ、、、足を怪我したんですそれで隠れてて、、」

 

 このまま治療しなければ最悪足を失ってしまう、文字通り。

 

 雑菌によるその事態を防ぐためネームドはバックパックを下ろし応急処置キット(IFAK)を取り出す。だがその時エーテリアスの雄叫びが聞こえた。

 

 舌打ちし、IFAKを イアス(アキラ)へと渡せば小銃を構える。こちらの存在に気づき迫ってくるエーテリアスへ射撃開始した。 

 

 《患部へ消毒液はかける行為は推奨しません、IFAK内部にある水入り瓶をかけ止血体で締め、ガーゼで締め付けてください。》

 

 エーテリアスと戦闘をしている隅にイアス(アキラ)が小さい瓶にある水を患部に流す。そして帯状の小さいものを展開すれば足に巻きつけ固定した。

 カチカチとダイヤルの固定される音が聞こえ滅菌ガーゼを取り出し巻きつけた。

 

 大きい傷であるため大まかに巻きつけ、締め付けるようにすればテープを貼り付け応急処置を完了させた。

 

 少し手伝って欲しかったとアキラが救助対象に小さく視線を送るが彼女の目線は治療行為ではなくネームドの戦闘に釘付けになっている。

 

 破壊するような、生き残るためのような戦闘戦術にアキラ自身もいるのまにか釘つけになってしまった。

 

 

 

 

────訓練を積んできた人間の動きじゃない。

 

 より長く、戦い続けてできた戦い方だ。経験がある。戦闘の様は多数対一なのにネームドが押している。

 

 だが釘つけになっていることで後ろから迫っている敵に近づかれていることに気づけなかった

 

 「きゃっ!!」

 

 しまった。アキラがそう思っていた時にはすでにエーテリアスの腕剣が空に向かって挙げられていた。

 

 小型のエーテル爆弾を取り出すもそれを爆破させる時間はない。腕剣は無情にも振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 女の救助対象に飛びかかり庇う。両断されるかと思いきやその未来は来なかった。

 

 ボンプの目を表す複数のビットがわずかに半円となる。開かれた視界に映っていたのはコアに手斧が刺さっているエーテリアスだった。死んでいるのかわからないが動きが止まっている。

 

 投げた本人が走って来てエーテリアスを突き飛ばす。倒れた瞬間にネームドがコアに刺さっている手斧の斧頭を踏んだ。

 コア内部まで入ればエーテリアスが完全に死んだ。地面に落ちた手斧を拾えばネームドが戻ってくる。

 

 

 わぁあ、と声を漏らした救助対象に先ほどとは違ったキラキラとした目を向ければ訳のわからない言葉がその口から出てくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私を助けにきた、、、王子さまぁぁ、、、」

 

 

 

 

 侵食症状の現れか、それとも素でこれか。

 

 とりあえずとバックパックを背中ではなく前に背負えばネームドが背中を向け屈んだ。

 

 「、、いいんですか?」

 

 「fairy、この先にホロウから出れる裂け目は?」

 

 《すでに検索済みです。距離およそ65m》

 

 ネームドの広い背中におんぶの体勢で女が乗ればネームドはすぐに立ち上がり駆け足で移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (初めて乗った、、、男の人の背中)

 

 (筋肉質で、、、漢っぽい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぷしゅうぅ、とホロウの中で蒸気が沸いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、敵に接敵することなく無事にホロウから脱出し救助対象を全員救い出しサブアカの初依頼が達成された。

 ホロウから出た後ネームドにおんぶされていた救助対象が電話番号を聞いたがあいにく彼は携帯を持っていない。残念そうにしていたなと思い出しながらゴミ箱に乗っかり猫に体の上を乗られながらブリトーを食べているネームドの横にリンが何かを詰め込んだゴミ袋を精一杯持ち込んでいる。ふぅ、と一息つくリンに質問が投げかけられた。

 

 「何か怪しい儀式でもするつもりかい?」

 

 「あ、このゴミ袋?中は壊れたボンプの信号発信機でパンパンだよ。これだけあったら、小型の信号遮断機ぐらいにはなるんじゃないかな。」

 

 「これでやっと、千里眼&地獄耳の人工知能、fairyに内緒で話ができるよ。」

 

 「うん、実が僕も君とこの件について相談したかったんだ。」

 

 喋れない俺を呼ぶ意味があったのか?とネームドは考える。休もうとしていたところをリンに駐車場へと呼び出され来てみればこれだ。正直に言えば休みたかった。

 

 「マスターなんて呼ばれていい気になっちゃわないか心配だったけど、ちゃんと警戒してたんだね。安心安心。」

 

 「それで、、、お兄ちゃんも気づいてるでしょ、彼女はローカルデータに一切頼らない。それで三のサポートもないのに以前の私たちより270倍も早くルートを算出している。」

 

 「彼女はホロウデータを一瞬で取得できるみたいなの、前に全都市80%以上の知能設備にアクセスできる権限を持っているって言ってたけど、あながち嘘じゃないみたいだね。」

 

 

───”権限を持っている”、か

 

 

 権限は管理して扱えるという証拠。新エリー都知能設備80%、つまりかなり上のはずだ。

 それに伝説と言われるパエトーン兄弟の270倍と来たものだ。H.D.Dにいくらデータ容量があるとは言えそこらのPCと変わりない。fairyがH.D.Dに完全にデータ移行しているとは考えにくい。チップを読み込んだのはイアスだ。そもそもの話あのチップにそれほどの性能があるのだろうか。

 

 いくら高性能とはいえ考えられん、外部からの干渉?だとしたら新エリー都を管理している上層部が所持しているはず、赤牙組は研究所から奪ってきたと言っていた。

 新エリー都上層部が所持しているなら俺たちの行動は監視されているはず

 

 

 ネームドがそう考察を広げている間にアキラとリンは話し合いが終わっていた。ネームドが一人残された駐車場でまだfairyの考察をしているとふと駐車場を見て思いつく。

 

 

 

───ここに俺の家建てれそうだな、、、

 

 

 

 これほど広いのにビデオ屋の社用車一台しか止まっていない。それにフェンスはRondom Play名義で付けられている。

 彼らの家にいつまでもいるわけにもいかない。そこの端ら辺に一部屋でも建てればいいだろう。材料はそこらのホロウ内建築現場の廃材置き場にでも行けばいくらでもあるだろう。

 

 今度あいつらに相談しようとブリトーを食い終えスタッフルームへと戻ろうとすればたちまち大きな音が聞こえる。

 

 なにか扉が大きく開かれる音。襲撃されたと察知しすぐに走った。

 

 「ネームド!」

 

 スタッフルームへと走ればなにやら猫耳を生やした少女がいる。しかも床には小刀が転がっているではないか。

 

 

 「はっ!このだるふ”に”ゃ”!?

 

 起き上がろうとした侵襲者の両手を結束バンドを拘束するがすぐに体をトランポリンのように跳ねる侵入者にネームドは少々困惑する。兄妹(アキラとリン)にこのような友達がいたとは聞いていない。

 

 「いきなりなにすんだよぅ!あたしはニコの使いだからこんなんしなくてもいいんだぞ!!」

 

 「ニコ?どのニコのこと?その人がここの会員なの?」

 

 邪兎屋のニコだって!なんでも屋であもありケチでもあり倹約家でもある邪兎屋に社長!ほらあの子のボンプだこれで信じてくれたか?」

 

 顔を向いた方向を見てみれば全身黄緑色のボンプ、【アミリオン】がいる。どうやら本当らしい。

 

 結束バンドを解き猫又を立ち上がらせ話を聞いた。

 

 「いてて、、、強くやりすぎだぞ、、、」

 

 「急に刃物を持った人が現れたらしょうがないとおもうけど。」

 

 それもそうか、と納得するがそうじゃないと猫又は本来の話に戻った。金貸してくれか何か以上でもあったのか。どうでもい良いことかと思えば思っていたよりも重大な事が伝えられた。

 

 曰く、邪兎屋全員がサブアカ初依頼主、ヴィジョンコーポレーションの工事爆破エリアにいるとのことだ。

 

 「うまく説明できないからそこのアミリオンにここ数日の視覚データが保存されてるはずだからそれをみればきっと分かる!」

 

 「所有者のニコしか視覚データをエクスポートはできないからどうしても取り出すならマルセルグループに問い合わせしないといけないし」

 

 その時、ここぞと言わんばかりか今では聞き慣れた声がスタッフルームに聞こえる。

 ピーッと自分できますよ?やり遂げれますよと言わんばかりに音をならし目のアバターをチラチラとこっちに向けていた。

 

 「fairyなら、、、何か方法を知っているかもしれないな」

 

 「fairyってば一体、待った、方法を思いついたってこと?」

 

 「なんて言った?ファー、リー?」

 

 「いやいやぁ、なんのことかなぁ?、、、その、fairy、ちょっと手伝ってくれない?ボンプの中のデータって取り出せる?」

 

 (あたし猫のシリオンだから聞こえるんだけどな、、、)

 

 小声でイヤホンへと話すリンにfairyは行程の確認を誰にでも聞こえる音量で話し始める。

 

 《確認、指示の内容ですが、【ボンプ内部の視覚記録を出力する】ことで間違いありませんか?》

 

 「ちょっとfairy!あぁあもう、データは取り出せそう?」

 

 「ボンプ内部で直近数日間の視覚データを検索中。【自分がバカだった。この優秀なAIに頼るべきだったのに自分お頭では考えることもできなかった、もっと早くfairyに頼るべきだった】と仰ってください。》

 

 「私がバカだった、、、ってちょっと!調子に乗らないで!」

 

 

 

───こいつ、中々に面白い。

 

 

 

 ネームドが髭で覆われた口角を少し上げリンとfairyの小さい喧嘩を見る中アキラがまとめその喧嘩は素早く終わる。

 

 猫又が剣を膝の装甲と思われた鞘に収めアミリオンを椅子へと座らせた。

 

 「fairy、後はよろしくね。」

 

 《ボンプと接続中、視覚データを取得します。》

 

 端子で繋ぎなどしないのだろうか、fairyはそれもなく無線で抜き取ることができるらしい。fairyのアバターである目の瞳孔が細くなりアミリオンを見据えればアミリオンがクラクラと倒れそうになる。

 

 《取得完了、再生します。》

 

 椅子から落ちないようリンが抑えればモニターに太っ腹の大柄な男から逃げているニコの姿が映る。随分と余裕がありそうに見えるたが追い詰められているのが見てとれた。

 

 「あ、どれどれ、、、ニコと出会った日のだ!」

 

 映像を再生してみればニコが裏路地へと逃げ込み行き止まりで逃げれなくなってしまった。ニコが諦めたかと思いトランクを渡せば急に煙幕が展開される。その時逃げようとするも視界が急にぐわんと転倒した。転んだかと思えば原因は猫又であり隙間へとニコを引き寄せ匿ったのだ。

 

 その後も猫又が依頼を出し、ホロウ内部で赤牙組の物品を漁ったり残党を戦ったりしっちゃかめちゃかしているがまとめるならデットエンドホロウに邪兎屋が取り残されている。

 

 「猫を被ってる自分を見るのがこんかに恥ずかしいだなんて、、、」

 

 《マスター、ただいまニュースチャンネルにて、今回の依頼に関連してるとみられる情報が放送されています。お見逃しなく。》

 

 そうfairyが言えばテレビでは速報が流れあの口汚い記者が爆薬を乗せた最後の列車が発射されたことを知らせるものだった。この記者クビにされないのだろうか。

 

 「まずいぞ! 何とかして爆発止めないとニコが埋立地の灰になっちゃう!」

 

 「でもどうやって?みんなの前で列車を止めたりなんかしたらその場で治安局に捕まるのがオチだよ。」

 

 「事態を通報するのが一番だけどニコ達がホロウレイダーなこともバレる。」

 

 数々の問題点を指摘する中ネームドは解決案をfairyと語り合っていた。いるのまにかと考えている兄妹と猫又の間にメモ帳が出させる。

 

 『|Stop train in hollow,won't be visible from outside.《列車をホロウ内で止める、外からは見られんだろう》

 

 「今からデットエンドホロウに潜入して、列車が必ず通る道を阻むことができればいいんだけど問題はどうやって止めるかだ。」

 

 「列車は時速70kmぐらいで常に進んでる、しかも質量はトンを超えている。それほどの物体をどうやって止めるんだ?」

 

 『We'll have to go there and find a way(行って方法を確かめるしかない)

 

 「fairy、列車の位置リアルタイムで確かめることできる?」

 

 《可能、目標車両までの安全なルートを計算しています。》

 

 「よし、今回は緊急事態だ、デットエンドホロウの中で列車を止める方法を探してみよう。

 

 「んにゃ!」

 

 結局はホロウ内で何とかするしかない。最悪線路に爆弾やら石でも大量に積めばいい。作戦名【列車止めるだ行ってみなきゃわからねぇ】が決行された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




スシローのこの編成でいくぞ!ってツイートに笑いました。味方バフが一切なくバッテリーが1000というね。
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