トリコのクロスオーバー作品は大好きなので、もっともっと増えてほしいのです。

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ライスシャワーの至高なる空想グルメ紀行

 夕暮れ時のトレセン学園のターフを、ライスシャワーは全速力で駆け抜けていた。

額から流れる汗が西日に照らされ、まるで宝石のようにきらきらと輝いていた。

 

 今日の厳しいトレーニングメニューをすべて消化し、彼女は大きく息を吐き出した。

 心地よい疲労感が全身を包み込む中、ライスの心はすでに別の楽しみへと向かっていた。

 

「(はぁ、はぁ……今日もいっぱい走った。お腹、ペコペコになっちゃったな……)」

 

 

「(急いで部屋に戻って、『あの本』を読まなくちゃ!)」

 

 

 

 

 

 

 自室に戻り、シャワーを浴びてすっきりしたライスは、ベッドの上に飛び乗った。

 

 

 彼女の小さな手には、お気に入りの漫画『トリコ』の単行本が握られていた。

 

 

 ライスは実は、誰もが驚くほどの隠れた食いしん坊という一面を持っていた。

 漫画に登場する想像を絶するグルメ食材の数々を見るだけで、口の中に涎が溢れてくるのだ。

 

「(あぁ、この漫画に出てくる食べ物、本当にどれも美味しそう……)」

 

「(もしライスがこの世界に行けたら、どんな料理を食べられるのかな……?)」

 

 ページをめくるうちに、ライスの意識は心地よい妄想の海へと沈み込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 気が付けば彼女は、漫画『トリコ』の世界に存在する、きらびやかな大都会に立っていた。

 

 そこは美食都市『グルメタウン』の中央にそびえ立つ、巨大な建造物『グルメタワー』だった。

 ライスが目指すのは、そのタワーの地上から遥か高くに位置する「310階」である。

 

 そこは通常の手段では辿り着けない、巨大な飛行船でのみ入店が許される完全会員制の超高級飲食店だった。

 

 

 雲を突き抜けた天空に浮かぶその店の名は、「天空宙楼(てんくうちゅうろう)」という。

 

 

 店内に一歩足を踏み入れると、大理石の床と黄金の装飾が施された豪華絢爛な空間が広がっていた。

 窓の外には見渡す限りの雲海が広がり、まるで神々の晩餐会に招かれたかのような錯覚を覚える。

 

 ライスは案内された特等席に座り、緊張しながらも期待で胸を膨らませていた。

 

 そんな彼女の前に、一人の洗練された身のこなしの男性給仕が、静かに歩み寄ってきた。

 

 

名前:レオン

 

役職:天空宙楼・総支配人兼筆頭給仕

 

詳細:世界のVIPを相手にしてきた伝説の給仕。彼の完璧なサーブは、料理の味をさらに引き立てると噂されている。

 

 

「ようこそ、天空宙楼へ。本日、お客様の給仕を担当させていただきます、レオンと申します」

 

「……あ、あの、ライスです! よろしくお願いします!」

 

「本日は当店の総料理長が、お客様のために特別なフルコースをご用意いたしました」

 

「(わぁ……! どんな料理が出てくるんだろう。お腹の虫が鳴っちゃいそうだよ……)」

 

 レオンがパチンと指を鳴らすと、厨房の重厚な扉が開き、一人のシェフが姿を現した。

 その人物こそ、この店を仕切る超一流の天才料理人であった。

 

 

名前:アルベルト

 

役職:天空宙楼・総料理長

 

詳細:食材の声を聴くことができると言われる、世界でも指折りの超一流シェフ。どんな凶暴な猛獣の肉も、彼の包丁捌きにかかれば至高の美味へと昇華する。

 

 

「お嬢ちゃん、よく来てくれたね。俺の料理を残さず食べて、お腹いっぱいになっておくれ」

 

「アルベルトさん……! ライス、とっても楽しみにしています!」

 

「よし、それじゃあ最高のご馳走を順に作っていくからな。まずは前菜からだ」

 

 アルベルトが厨房へと戻り、最初の料理の調理が始まった。

 

 

 

 

 

 

 しばらくすると、レオンが美しい銀のプレートをライスの前へと運んできた。

 

 1品目の前菜。それはガラスの器の中で、まるでダイヤモンドのように輝く美しい粒が敷き詰められていた。

 

 

前菜:クリスタルキャビアの冷製ジュレ仕立て

 

価格:1皿 280,000円

 

猛獣名:結晶チョウザメ

 

種類:魚獣類

 

捕獲レベル:42

 

100g/円:45,000円

 

詳細:夜空に輝く星のように自ら発光する、透明な卵を持つ結晶チョウザメから採れる希少なキャビア。

 一粒一粒が濃厚なバターのようなコクを持ちながらも、後味は驚くほど爽やかである。

 

捕獲レベルの難易度:生息地である猛烈な激流の中を泳ぐ結晶チョウザメを、傷つけずに生け捕りにする必要がある。

 少しでも魚体にストレスがかかると卵が溶けてしまうため、並の美食屋では発見しても手が出せない。

 

生息地:流星の滝

 

生息地詳細:標高5000メートルから、毎秒数万トンの水が文字通り流星のような超高速で激しく流れ落ちる伝説の巨大な滝。

 水圧が常人の肉体を容易に押し潰すほど激しいため、近づくことすら困難な秘境である。

 

 

「(うわぁ……! 一粒一粒が本当に宝石みたいにキラキラしてる……っ!)」

 

「(流星の滝なんていう、そんなに激しい場所に住んでるお魚の卵なんだ……すごいや……)」

 

 ライスはスプーンですくい、そっと口に運んだ。

 

 

 その瞬間、プチプチとした心地よい食感とともに、濃厚な旨味が口いっぱいに広がった。

 

 

「おいしい……! 口の中で、お星様が弾けたみたいです!」

 

「お気に召して光栄です、ライス様。お次はスープでございます」

 

 レオンが次に運んできたスープ。その器からは、まるで火山から立ち上る煙のような、芳醇で香ばしい香りが漂っていた。

 

 

スープ:真紅のマグマボロシ茸の濃厚ポタージュ

 

価格:1杯 350,000円

 

食材名:マグマボロシ茸

 

種類:菌類

 

捕獲レベル:55

 

100g/円:60,000円

 

詳細:真っ赤な傘を持ち、常に微弱な熱を放ち続けている奇妙なキノコ。じっくりと煮込むことで、どんな肉よりも濃厚な出汁と、とろけるような甘みを抽出することができる。

 

捕獲レベルの難易度:常に周囲の温度が摂氏200度を超える危険な環境にのみ自生している。

 さらに、収穫する際に少しでも傷をつけると一瞬で灰になってしまうため、極めて精密な特殊調理の技術が必要とされる。

 

生息地:煉獄の火山帯

 

生息地詳細:絶え間なくマグマが噴出し、地面のいたるところから有毒なガスが噴き出している、生物の生存を拒む暗黒の火山地帯。

 空気すらも熱く燃えており、特殊な防護服なしでは一歩も立ち入れない。

 

 

「(ひゃあ! お、お皿から湯気がすごいよ! 煉獄の火山帯なんて、ライスだったら焼けちゃいそう……)」

 

「(でも、とってもいい香り……。スプーンを持つ手が止まらないよ……っ)」

 

 スープを一口含むと、驚くほどの熱さと同時に、深い大地の旨味が身体の芯まで染み渡った。

 ライスは思わず「はふはふ」と息を吐きながら、美味しさのあまり頬を緩ませた。

 

「身体がポカポカして、元気がどんどん湧いてきます!」

 

「アルベルトの火加減が完璧だからこそ、そのキノコの真価が発揮されるのです」

 

「さあ、お次は魚料理だ。海の荒くれ者を最高の味に仕上げてやったぞ」

 

 アルベルトが自信満々に差し出した魚料理。

 

 サクサクのパイ生地をナイフで割ると、中から黄金色に輝く白身が顔を出した。

 

 

魚料理:雷電ウツボの黄金パイ包み焼き

 

価格:1皿 420,000円

 

猛獣名:雷電ウツボ

 

種類:魚獣類

 

捕獲レベル:63

 

100g/円:72,000円

 

詳細:体長が10メートルを超える巨大なウツボで、全身が黄金の鱗で覆われている。

 その肉質は筋肉質でありながらも驚くほど柔らかく、噛めば噛むほど極上の脂が溢れ出す。

 

捕獲レベルの難易度:体内に強力な発電器官を持っており、近づくものすべてに100万ボルトの高電圧を放つ。

 その電撃を浴びずに、一撃で脳天を撃ち抜いて気絶させなければ捕獲は不可能である。

 

生息地:鳴神の深海溝

 

生息地詳細:常に海面が巨大な嵐に覆われ、水中には激しい電磁波が飛び交っている、水深3000メートルの漆黒の海溝。

 強力な水圧と電気の二重苦により、高度な潜水技術を持つ美食屋でも生還は難しい。

 

 

「(100万ボルト!? そんなビリビリする猛獣を捕まえるなんて、美食屋さんって本当にすごすぎるよ……)」

 

「(あ、でも、パイの中から出てきた身は、全然ビリビリしてない……。すごくジューシーそう……!)」

 

 魚の身を口に放り込むと、脂の甘みとパイの香ばしさが完璧なハーモニーを奏でた。

 ライスは美味しさのあまり、長い耳をパタパタと嬉しそうに揺らした。

 

「ウツボさんなのに、こんなに柔らかくて甘いなんて信じられないです……!」

 

「ハハハ、驚くのはまだ早いぜ、お嬢ちゃん。次は肉料理、さらにギガントなやつだ!」

 

 続いて運ばれてきた肉料理。

 

 大皿の上にドカンと載せられた肉の塊は、見た目だけで圧倒されるほどのボリュームだった。

 

 

肉料理:巨岩イノシシの背肉の直火ロースト

 

価格:1皿 580,000円

 

猛獣名:巨岩イノシシ

 

種類:哺乳獣類

 

捕獲レベル:70

 

100g/円:85,000円

 

詳細:背中がまるで硬質な岩盤のように発達した、体長5メートルを超える巨大なイノシシ。

 その岩の下にある背肉は、適度な霜降りと、野生味溢れる力強い肉の旨味が凝縮されている。

 

捕獲レベルの難易度:その突進力は大型戦車をも紙クズのように紙一重で粉砕するほど凄まじい。

 背中の岩盤は並の銃弾を跳ね返すため、突進を真っ向から受け止めるほどの怪力か、関節の隙間を狙う超絶な武芸が必要となる。

 

生息地:断崖の千畳敷

 

生息地詳細:切り立った無数の断崖絶壁が、まるで畳を敷き詰めたかのようにどこまでも続く高地地帯。

 一歩足を踏み外せば底なしの谷底へ真っ逆さまに落ちてしまう、常に死と隣り合わせの危険地帯である。

 

 

「(そんなに大きなイノシシさんなんだ……。突進されたら、ライスなんて吹き飛んじゃうよ……)」

 

「(でも、このお肉の焼き加減、すごく綺麗……。脂がジュワジュワって音を立ててる……っ)」

 

 お肉にナイフを入れると、驚くほど手応えが軽く、すんなりと刃が通った。

 口に含むと、力強い肉汁がドバッと溢れ出し、ライスの口の中を至福で満たした。

 

「んむ……っ! 噛むたびに、お肉の旨味がどんどん溢れて止まらないです!」

 

「これぞ大自然の恵み。ですがライス様、ここからがいよいよ本番、メインディッシュでございます」

 

 レオンが厳かに銀のカバーを外すと、そこには神々しい光を放つ料理が鎮座していた。

 

 

メインディッシュ:千寿不死鳥の極上ロースステーキ 〜特製ハニーソース掛け〜

 

価格:1皿 1,200,000円

 

猛獣名:千寿不死鳥

 

種類:鳥獣類

 

捕獲レベル:88

 

100g/円:150,000円

 

詳細:千年に一度しか姿を現さないと言われる、五色の美しい羽を持つ伝説の巨鳥。

 その肉は一切の臭みがなく、一口食べれば寿命が10年延びるとまで噂される究極の健康食材である。

 

捕獲レベルの難易度:常に雲の上の超高空を音速を超えるスピードで飛び回っているため、発見することすら奇跡に近い。

 さらに、周囲の空気を操る能力を持つため、不用意に近づけば凄まじい暴風で引き裂かれてしまう。

 

生息地:天空の竜の巣

 

生息地詳細:地上のいかなる山よりも遥か高く、成層圏に近い場所に浮かぶ、巨大な雷雲の渦の中心。

 常に巨大な竜巻と激しい稲妻が吹き荒れており、生きて辿り着ける者は世界でも数えるほどしかいない。

 

 

「(千年に一度……!? そんなの、おとぎ話に出てくる鳥さんみたい……!)」

 

「(空気を操るなんてかっこいいけど、捕まえるのは絶対に無理だよ〜っ! 美食屋さん、本当に命懸けなんだね……)」

 

 恐る恐るそのステーキを口に運んだライスは、そのあまりの衝撃に目を丸くした。

 肉が舌の上でまるで淡雪のようにふわっと溶けて消え、後には言葉にできない極上の甘みだけが残った。

 

「な、何これ……! お肉なのに、お口の中で消えちゃった……! でも、すごく美味しい……っ!」

 

「ふっ、千寿不死鳥の肉を完璧に焼き上げるのは俺の長年の夢だったからな。喜んでもらえて何よりだ」

 

「お口直しに、こちらのサラダをどうぞ。お肉の後に最適な、清涼感溢れる一品でございます」

 

 レオンが差し出したサラダ。その器の底には薄い氷が敷かれ、その上で野菜たちがまるでオーロラのように美しく色彩を変えていた。

 

 

サラダ:オーロラレタスと真珠トマトの氷河仕立て

 

価格:1皿 220,000円

 

食材名:真珠トマト

 

種類:植物類

 

捕獲レベル:35

 

100g/円:25,000円

 

詳細:一粒が本物の真珠のように真白く輝く、美しいミニトマト。皮を噛み潰した瞬間に、最高級の白ワインのような芳醇な香りと、極上の果汁が弾け飛ぶ。

 

捕獲レベルの難易度:このトマトは極度の寒冷地でしか育たず、周囲の気温が下がれば下がるほど甘みを増す性質がある。

 凍りついた大地に深く根を張っているため、根を傷つけずに周囲の氷ごと精密に切り出さなければならない。

 

生息地:永久凍土の氷原

 

生息地詳細:太陽の光がほとんど届かず、一年中マイナス50度以下の極寒に閉ざされた、文字通り氷の世界。

 地表は硬い氷で覆われており、凄まじい吹雪が常に視界を遮るため、遭難の危険性が極めて高い。

 

 

「(トマトが真っ白……! 本当に真珠みたい。永久凍土の氷原なんて、想像しただけでブルブルしちゃう……)」

 

「(でも、このシャキシャキしたお野菜、お肉の後にとってもさっぱりしてて最高だよ……っ)」

 

 トマトを口に含むと、パチンと心地よい音を立てて冷たい果汁が広がった。

 その爽やかな酸味が、これまでの肉料理の濃厚さを綺麗に洗い流し、口の中をリフレッシュしてくれた。

 

「お野菜が冷たくて、シャキシャキしてて……すっごく気持ちいいです!」

 

「素晴らしい食べっぷりですね。それでは、お待ちかねのデザートでございます」

 

 アルベルトが満面の笑みで運んできたデザート。

 

 それはガラスの器に盛られたメロンの果肉は、まるで宇宙の銀河のように複雑な美しい模様を描いていた。

 

 

デザート:ギャラクシーメロンの至高のパフェ

 

価格:1杯 480,000円

 

食材名:ギャラクシーメロン

 

種類:植物類

 

捕獲レベル:50

 

100g/円:55,000円

 

詳細:その果肉に無数の星々のような斑点があり、カットするとまるで宇宙空間を眺めているかのような美しさを持つメロン。

 スプーンですくうと、とろとろの果汁がまるで天の川のように流れ出す。

 

捕獲レベルの難易度:このメロンは、非常に特殊な磁場を持つ高地でしか結実しない。

 さらに、熟した瞬間に強烈な重力波を放つため、その重力に耐えながら素早く収穫しなければ、自らの重さで潰れてしまう。

 

生息地:重力反転の岩山

 

生息地詳細:局所的に重力が狂っており、場所によっては身体が宙に浮いたり、逆に何倍もの重力で地面に叩きつけられたりする奇妙な岩山。

 常に上下感覚を失うため、並の三半規管では一歩も進めない。

 

 

「(うわぁ、パフェの中が本当に宇宙みたい! 重力が変わっちゃう岩山なんて、ライスだったら目が回っちゃうよ……)」

 

「(でも、このメロン、すっごく甘くてとろとろ……。幸せすぎて、溶けちゃいそう……!)」

 

 生クリームとメロンの果汁が混ざり合い、これ以上ない贅沢な甘さがライスを包み込んだ。

 彼女はスプーンを動かす手を緩めることなく、夢中でパフェを頬張り続けた。

 

「おいしい……おいしいよ……! ライス、こんなに美味しいデザート、初めて食べたかも……!」

 

「お嬢ちゃんがそこまで喜んでくれるなら、命懸けで食材を仕入れた甲斐があったって極上さ」

 

「最後を締めくくるのは、当店の誇る最高級のドリンクでございます」

 

 レオンが恭しく黄金のグラスを置くと、そこには琥珀色の美しい液体が揺れていた。

 

 

ドリンク:万年樹の黄金蜜酒(ノンアルコール)

 

価格:1グラス 180,000円

 

食材名:万年樹の黄金蜜

 

種類:植物類

 

捕獲レベル:30

 

100g/円:18,000円

 

詳細:樹齢1万年を超えると言われる巨大な神木から、1年に数滴しか自然に湧き出さない奇跡の液体。

 熟成された濃厚な蜂蜜のような甘みと、花々のみずみずしい香りが完璧に融合している。

 

捕獲レベルの難易度:万年樹の周囲には、その甘い香りに引き寄せられた凶暴な昆虫獣たちが無数に巣を作っている。

 それらの猛獣たちの襲撃を避けつつ、木を一切傷つけずに一滴ずつ丁寧に採取しなければならない。

 

生息地:樹海の迷宮

 

生息地詳細:巨大な大樹が幾重にも重なり合い、太陽の光が一切届かないほど鬱蒼とした、世界最大の広さを誇る原始の森。

 一度足を踏み入れると、羅針盤やGPSすらも狂ってしまい、二度と外に出られないと言われている。

 

 

「(万年樹さん、1万年も生きてるんだ……。お花のいい香りがして、心がとっても落ち着くね……)」

 

「(樹海の迷宮は怖いけど、このお酒を飲んだら、今日の疲れが全部どこかに行っちゃったみたい……)」

 

 グラスを傾け、ゆっくりとその蜜酒を飲み干すと、喉を通り抜ける瞬間に心地よい香りが鼻に抜けた。

 ライスはぷはぁ、と小さく息を吐き、これ以上ない満足感に浸りながら椅子にもたれかかった。

 

「ぷはぁ……。ごちそうさまでした! ライス、とっても、とっても幸せです!」

 

「お客様のその笑顔こそが、私ども料理人と給仕にとって最高の報酬でございます」

 

「おう、またいつでも来いよな! 次はお嬢ちゃんをもっと驚かせるような、最高の食材を揃えて待ってるからよ!」

 

 アルベルトとレオンが優しく微笑み、ライスを見送るために深く一礼した。

 その温かい拍手の音に包まれながら、ライスの意識はゆっくりと現実の世界へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「(……はっ!)」

 

 気が付くと、ライスはトレセン学園の自分の部屋のベッドの上にいた。

 手元にはまだ、読み終えたばかりの漫画『トリコ』がしっかりと握られている。

 

 窓の外はすっかり暗くなっており、夜の静けさが部屋を包み込んでいた。

 ライスは自分の口元をそっと触ると、妄想のあまり少しだけ涎が垂れていたことに気づき、慌てて袖で拭った。

 

「(あはは……。本当に美味しかったなぁ、あのフルコース。お腹はペコペコだけど、心はすっごく満たされちゃった)」

 

「(よし! 明日もまた美味しいご飯をたくさん食べるために、トレーニング、一生懸命がんばるぞ……っ!)」

 

 ライスは幸せな余韻に浸りながら、漫画をそっと机の上に置いた。

 

 そして、明日の走りに思いを馳せながら、ふかふかの布団へと潜り込み、心地よい眠りにつくのだった。


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