転生したらTSして悪魔になったので、ロールプレイします   作:メスシリンダーガキ

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三十六話

 

 

 

 

 28箇所(1箇所)の刺し傷だぞ!

 確実にコロコロしたかったんだろ!

 はい、お腹刺された天秤ちゃんだよ。

 久しぶりの出血ゲージ出現で思わず泣いちゃいそうだよ。

 というか感想欄のみんな、誰も私の心配してないのどゆことよ?

 こちとら刺されたんですけど?

 本当に泣くよ? すぐ泣くよ? 絶対泣くよほーら泣くよ。

 

「――なんて言ってる場合じゃないよねっ……!」

 

「がっ……!」

 

 エルボーで牛の悪魔の角をへし折って、隙だらけの頭部に蹴りを入れる。

 スーパーボールみたいに跳ねていく牛の悪魔を横目に、腹に刺さったままの角を抜き取る。

 普通に痛いぜ。

 

「ま、治せるけどねっ」

 

 傷口に手をかざし、数えること五秒。

 何もなかったかのように、傷も血も綺麗さっぱり。

 …………しかしマージでどうしよう。

 いやほら、よくよく考えたら私が本気の一撃放ったら世界崩壊レベルじゃん?

 別にみんな(悪魔たち)はどうなってもいいんだけどさ!

 …………何その視線は? 本当だってばぁ!

 まぁ、このまま暴れ牛を放置しても世界崩壊ルートいきそうだけど。

 

「ぐっ……俺は……オレは——アァァァァァァァァ!!」

 

 すると蹴り飛ばした牛の悪魔に変化が。

 折られた角が再生し始めたかと思えば、まるで枝分かれする枝のように無数の角が生え始める。

 そしてその肉体も、風船のように膨れ上がっていき——

 

「え? なにメ⚪︎シンカ?」

 

 おめでとう! 筋肉モリモリのマッチョマンは、クソデカ肉団子の化け物に進化した!

 デカ過ぎんだろ……

 

「オォォォォォォ!!」

 

 咆哮が轟く。

 あ、これもう話通じないやつですね分かります。

 というか複数の悪魔の力を1人に集中させると、やっぱり暴走しちゃうんだね。

 こうなったら、私も他の悪魔を呼び出して合体でもしてみる?

 名付けてオメガ天秤ちゃん! ジャローナ! サンフランディスコォォォ!

 

「…………あ」

 

 ——名案を思い付いてしまった。

 というより、もうこれしかない気がする。

 問題は……

 

「——ごめんねみんなぁ。もしかしたら、この話が最終回になるかもだねぇ」

 

 もしそうなっても、まだ未公開の劇場版は絶対に書き上げさせるから安心してねぇ。

 というわけで早速いくぜ! どんなエンディングだろうと5000文字以内には終わらせたいからね!

 なぁに、も(・)う(・)一(・)回(・)この身を削って世界を救うだけの話さ!

 

「とぅ! ラ⚪︎ダーキィィィック!」

 

 高く跳躍して、牛の悪魔のバカデカくなった口に目掛けて片脚を突き出す。

 それが膨張した牛の悪魔の腕を、口を、肉を、骨を貫通して、天秤の悪魔の姿は暴走した牛の悪魔の体内へと消えてしまった——

 

 

 

 そして、間も無くして牛の悪魔の肉体は大きく爆ぜた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ここはどこ? 俺は誰?」

 

 男が目を覚ました。

 自分が何なのか曖昧な状態で。

 しかし不思議と妙な安心感があり、男は落ち着いていた。

 少なくとも周りの状況を確かめられるくらいには。

 

「何か綺麗な街だな……というかこの2人も誰?」

 

 男は立ち上がり、そこでようやく周囲の景色。

 そして自分の近くで石造りの地面に倒れている人影に気が付いた。

 1人は身なりの良い服を着た、小柄の男——というより少年。

 1人は少年と正反対のような、ボロボロの服——と呼べるかすら怪しい——を着た女性だった。

 

「おーい、大丈夫かあんたら」

 

「うーん……あれ、ここは——ひっ、だ、誰ですか?」

 

「いや、それは俺も聞きたい」

 

 先ずは少年が目を覚ました。

 男と違って、この状況に動揺してるのか、落ち着かない様子を見せる。

 

「? …………ぐぅ」

 

「いや、この状況で二度寝するなよ」

 

 次に女性が目を覚ましたが、辺りを軽く見回しただけですぐにその目蓋を閉じてしまった。

 とりあえず色々と目のやり場に困るので、男は自分の上着を女性に羽織らせた。

 

「——何でこうなる」

 

 結果として、縮こまって動けなくなった何処か臆病な少年の手を引き、起きる気のない女性を背中に背負うことになった男。

 

「あ、あ、あの……何処に行くんですか?」

 

 臆病な少年が男に手を引かれながら質問をする。

 

「あ? こんな時はとりあえず行動する。それが兵士ってもんだからな——ん? 兵士……?」

 

 何故その言葉が自然と自分の口から出たのか、男には分からなかった。

 

「まぁ今はいいか……よーく聞けガキんちょ。俺たちは記憶がない——この背中の女はどうか知らんが——見知らぬ場所にいる。明らかに異常事態だろ?」

 

「そ、それは……そうですね」

 

「加えてこんな大きくて綺麗な街なのに、人の気配が全くない。つまりここは……」

 

「こ、ここは……?」

 

「…………ぶっちゃけると全く分からんが、不気味な場所には違いない。だから道のど真ん中で呆けているより、街の出入口に向かうのが最善だろ?」

 

 男はい(・)つ(・)だ(・)っ(・)て(・)保全を求めていた。

 男は自分のことを慎重派とよく自称していた。

 

「じ、じゃあ何で僕たちの面倒も見てくれるのですか……?」

 

「知らん。というかそんな野暮なことは口にするなよな……同じ境遇っぽいから行動を共にした方が効率的ってだけだよ」

 

 そうして3人は無人の街中をひたすら歩く。

 ——やがて、それは見えてきた。

 それは大きくて、圧倒的で、偉大で、不気味で、狂気的で……

 

「……趣味の悪い石像だな」

 

 3人は円形の広場に出た。

 広場の中央には、シンボルのように目立つ大きな石像が。

 それは女性の身体に、山羊の頭をそのまま乗せたような石像だった。

 

「あ、あの……誰かいますよ」

 

 臆病な少年が、石像の足元を指差す。

 その指先には、確かに人影が。

 ピンク色の長い髪、純白の綺麗な格好の少女。

 遠目でもそれくらいの情報は見て取れた。

 そして背を向けているため、こちらにはまだ気が付いてない様子だ。

 その少女は石像を見上げ、背中側に手を組んで、何処か楽しげに身体を左右に揺らしていた。

 

 さぁ、ここで選択肢だ。

 この静寂の街で、自分たち以外の人間に接触するか否か——

 

 

 

「——そこの……お嬢さん? 少し話を——」

 

 少し悩んでから、男は少女に話しかける選択肢を取った。

 少女は男の声でその存在に気が付いたのか、ゆっくりとその場で振り返った——

 

「——はうでぃ(こんにちは)!」

 

 少女は満遍の笑みで、よく分からない挨拶(言葉)をした。

 その瞳は、吸い込まれるような、燃えるような、宝石のような、そんな赤色だった。

 

「目が覚めた? 気分はどう? 痛いところとかない?」

 

「ちょ……」

 

 少女が上品に駆け寄ってきた。

 そして男の身体を、勝手に触ったり観察したりし始める。

 抵抗しようにも両手は既に塞がっていた。

 まぁでも、こんな美少女に身体を触られるのは正直悪くない気がした。

 

「君は?」

 

「ぼ、僕は……大丈夫、です……」

 

「そっか!」

 

 少女が臆病な少年の頭を優しく撫でた。

 

「そっちの女の人は?」

 

「あー……多分寝てるだけだと思う」

 

「へー、ここで寝るなんて器用さんだね」

 

 少女が男の背中で眠りこけている女性の顔を覗き込む。

 そして満足したのか、少しだけ後ろに下がって改めて向き合う少女。

 

「うーん……もう少し待っててね。今あ(・)の(・)人(・)が頑張って君たちの肉体を戻してるから」

 

「? それはどういう——」

 

「大丈夫! 君たちの魂だけを一時的にここで保護してるだけだから、戻ったらちゃんと全部元通りになるよ」

 

「いや、だから——」

 

「あ、終わったみたい。それじゃあね、話せて楽しかったよ。これからもあ(・)の(・)人(・)と仲良くしてあげてね。優しい人だけど、繊細で……自分には厳しくしちゃう人だからさ」

 

 男の言葉を聞こうとせず——もしくはその余裕がないのか——一方的に話す少女。

 

「あの人ってだれ——」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ここはどこ? 俺は誰?」

 

 鶏の悪魔がその意識を覚醒させた。

 まず視界に入ったのは、星々の光が輝く夜空だった。

 おぉ、なんて美しいのだろうか。

 このままずっと眺めていたくなるほどの——

 

 

 

 

「——やぁ、ブ⚪︎リーです」

 

「アイエエエエ!? 天秤サン!? 天秤サンナンデ!?」

 

 その美しい景色に、恐ろしい悪魔の顔が割り込んできた。

 いや、俺も悪魔だけどね?

 

「目が覚めたぁ? 気分はどぉ? 痛いところとかない?」

 

「え…………大丈夫、です?」

 

「そっかぁ。じゃあとっとと働きな」

 

 天秤の悪魔が指を指す。

 その方向には、見知った村人たちが村の復興作業をしていた。

 

「…………あ」

 

 それで、ようやく寝惚けていた頭が全てを思い出してくれた。

 牛の悪魔に急に襲われて、とりあえず抵抗しつつも村人たちを近くの丘まで避難させたこと。

 そしてその後、抵抗虚しく俺たちは牛の悪魔に……

 

「まぁ災難さんだったねっ。しょうがないから、査定は少し延期にしてあげるよぉ」

 

「え、マジっすか」

 

 やったぜ、少なくともまだ暫くは平和に過ごせるようだ。

 

「あれ……というか——もしかして助けてくれた感じです?」

 

 状況を見るに間違いなくそうだろう。

 そしてよくよく見れば、近くに蛇と羊の悪魔もいた。

 自分と違ってまだ目は覚めてないようだが。

 

「そうだよぉ、めり込むくらい頭を地面に付けて感謝してねぇ」

 

「あざっしたっ!」

 

 素直に頭を下げた。

 

「? あの、その手にしてる石は……?」

 

 それで気が付いた。

 天秤の悪魔がその手に、結晶のような塊の石を手にしていることに。

 

「ん? あぁこれ。牛の悪魔とか、取り込まれてた他の悪魔の魂だよ」

 

「…………え?」

 

「君たちは取り込まれたばかりだったから、綺麗に引き剥がせたんだけどねぇ。他のみんなは時間が経って混ざり気味で、引き剥がすの無理そうだったから一旦塊にしてみたんだぁ」

 

 "まぁ時間掛けてゆっくり剥がしてみるよぉ"

 そう言いながら、その塊をボールのように手の上で弄ぶ天秤の悪魔。

 うん、改めてこの悪魔が規格外の存在なのを再認識できた。

 何故同じ悪魔という存在なのに、ここまで違うのだろうか……?

 

「そんなわけでね、今回の件の後始末は私がしとくから、君たちは引き続き頑張ってねぇ。じゃないと君たちもこんな風(石ころ)にするからねぇ」

 

「ひぇ……頑張ります……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………うーん、やっぱり唆して記憶の鍵を弄った奴がいるよねぇ——ま、その内お仕置きしにいきますか」

 

 

 

 

好きor気になる悪魔は?

  • 蝙蝠
  • 馬
  • ネコ
  • 鶏
  • 蛇
  • 羊
  • 牛
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