錬鉄と鍛造の贋作者 作:英雄に憧れた一般魔導師
この話で、しばらくの間、期間を空けさせていただきます!もしかしたら、グリモアクタでの話を書くかもしれないですが……設定大丈夫かぁと不安があるので……何とも言えないですw
それでは楽しんでください!
衝撃と目を眩ます光が収まる。景色は剣の世界から、元の塔の内部へと戻っていた。しかし、その衝撃の爪痕は、しっかりと刻み込まれていた。
「……い、生きてる……」
「死んだかと思った……」
シオンの友人、リリール・マースとゴードン・バレーは腰を抜かし、尻もちを着きながら先程の光景を思い出し、身震いしていた。
それもそのはず。
衝撃により座り込んでいたウィルは、立ち上がり、どうなったのか確かめるべく走る。そして身を案じる者達の名を呼ぶ。
「エルフィ!?ラグナ!?」
ウィルの視界に、三人の姿が映る。壁に叩きつけられ、出血しながら座り込んでいるエルファリアとゼオ。そして、同じように傷だらけのラグナである。
「俺達二人に相討ちかァ……!やるじゃねぇかクソがぁ!!」
「まさか……あんな切り札を隠していただなんて……思ってもいなかった……!」
血を流し、ボロボロになりながらも意識を保ち、闘志を滾らせている。そして二人はラグナを賞賛していた。当の本人は二人同様に出血しながら、ゆらゆらと立ち上がる。だが、数歩進んだ後、糸が切れた人形の様に前に倒れる。意識はあるが、起き上がる事が叶わないと言った様子である。
限界であった。受けたダメージもそうだが、継続的に
魔力消費ペースを考えず行使したことにより、固有結界発動前には残存魔力が2〜3割の状態になる。その上で、固有結界の行使。更に、結界内部で外よりも消耗が抑えられると言えど、神造兵装の投影。最上級魔法と衝突による衝撃。残り魔力、ダメージ許容量共に限界値に来ていた。
それこそ、魔力が殆ど残っておらず、立つことすら出来ないほどにボロボロなのだ。ラグナの現状の最大の弱点でもある。膨大な魔力量と魔力出力を持ちながら、魔力消費のペース配分が未熟である。経験不足が招いた結果とも言える。今まで、制限してきたツケが回ってきたのだ。
「はぁ……はぁ……!力が入らない……!くっそ!」
戦えないこと、立ち上がれないことを悔しそうに声に出し二人を見ていた。無茶が祟り、身体の方も悲鳴をあげている始末である。
「はっ!こっちも魔力をごっそり喰われたが、ガキの方はガス欠見てぇだな。だが、テメェはまだ戦れんだろ?」
瓦礫を退かしながら、ラグナの方に向けていた視線をエルファリアに向けて問う。エルファリアもゼオを睨みつけながらに、立ち上がる。
「当然です」
「なら行くぞォ!!」
「絶対負けないッ!!」
互いに息を切らせながら、魔法の行使が出来ないなら素手で決着を付けんと、長杖を投げ捨て、走り出す。
―――だが、時間切れである。
「「そこまでだ」」
二人が再度ぶつかり合う前に、
杖を向けられたエルファリアは、息を切らせながらもエルノールを睨みつける。
「……どいてください、エルノール」
エルノールは目を瞑り、少し残念そうな口調で言い放つ。
「時間切れだ間抜け。都合よく同士討ちになるか、あの小僧が勝てば良かったものを。まぁ、面白いものは見れた」
エルノールは少し満足気にいいながらエルファリアを止める。一方のキャリオットとゼオの方。
「失せろ、糞野郎……!」
「君達の件は傍観してあげたんだよ?まぁ、私も
キャリオットは上を見上げる。その視線をゼオも追いかける。
「『
足場が降りてくる。その上には
「止めよ。これ以上、
時間切れの意味は
だが、
「邪魔すんなジジイ!!」
「いくら仲裁されようが、無駄です!ウィルとラグナの所属が決まるまでは!」
「戦り合う以外に決める方法なんざねぇーだろ!!」
ゼオとエルファリアは反発する。雌雄を決するまでは徹底的に戦うと宣言したのである。二人の視線の間では火花が散っていた。
ちなみにラグナは完全なガス欠を起こしている為、脱落扱いである。理不尽な証明方法を課された挙句に行先は最強の杖達の意地に委ねられている。
重い沈黙が場を支配する。
「じゃんけん」
「「「「じゃんけん!!??」」」
ウィル、ラグナ、ゼオ、エルファリアの四人は思考が止まる。予想外な提案が予想外の人物からされたからである。エルファリアの副官、サリサは頭を抱え、戦いを見ていたシオンは頭にハテナを浮かべ、フィンは腹を抱えて笑っていた。
提案したアロンは真面目に続きを話す。
「これ以外の方法を用いた場合、ウィル・セルフォルト、ラグナ・グレイスは我が配下に加える。最初はぐー」
似合わない厳かな声から発せられる『最初はぐー』。それを聞いたコレットは微妙な表情になる。リアーナも何が起こっているのか、じゃんけん?と理解できていない様子だった。
「クソが……行くぞオラァ!!」
「やってやるぅぅう!!」
エルファリアとゼオは従うしかなく、大きな声をあげながら、構える。
「「じゃーんけーんぽんっ!!」」
アロンの言う通り、じゃんけんで決着をつけようとしているのだ。それを見た、ウィルはユリウスに質問をする。
「ねぇ、ユリウス……。本当に何が起こっているの?」
その表情は未だに事態が飲み込めないといった表情である。ユリウスは半ば呆れながらに
「元はと言えば、お前とあそこで倒れている奴が原因のようなものだ……」
塔では「あーいこで しょっ」と気合いの入った掛け声が続く。ラグナはそれを聞きながら、仰向けになる。全霊を以て戦ったが、自身の行く先は、じゃんけんの結果に委ねられる事となったのだ。
「……もう、どうにでもなってくれ」
じゃんけんの掛け声が聞こえる度、ラグナは大きな溜息を着くこととなった。
そして、決着は唐突に来る。
300戦の内299戦引き分け、
「う"わぁあああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」
「よっしゃオラァァァァぁ!!!」
「拍手だ、オーウェンザウス!」
「は、はい」
リアーナは何とも言えない表情をしていたが、ラグナが雷の派閥に来ると実感すると、嬉しそうな表情を浮かべていた。
「うあああああああああああああっ!!!」
ウィルはじゃんけんに負けたエルファリアを宥めようとしようとした時、ゼオが肩を抱き寄せ満足そうな笑みを浮かべ
「これで、てめぇらは俺のもんだ!文句は言わせねぇぞ!!」
「えぇぇぇ……」
そんなやり取りや、エルファリアとウィルの約束が行われているが、ラグナは放置されたままであった。影が薄い訳ではない、戦いになると存在感を出していたし、
「オーウェンザウス。あそこにボロ雑巾みたいに倒れている、グレイスを回収して来い」
ゼオの副官である、ギルフォード・ザーガスがリアーナにラグナの回収を命じる。リアーナは返事をしてからラグナの元へ駆け寄る。見れば見るほど、戦いの凄まじさを物語っていた。リアーナはラグナを腕を肩にかけ、肩を貸すような感じで立たせる。
「ラグナ、大丈夫か?立てるか?」
「あ、あぁ……何とか……。情けないけど、完全に出し尽くして立てなかった」
「情けなくない」
リアーナの言葉を聞いて、ラグナはリアーナの方を見る。リアーナは続ける。
「三つ巴と言えど、
真剣な表情で言うリアーナに、ラグナは小さく笑みを浮かべて礼を言う。
「ありがとう、リアーナ」
そして、肩を歩き、三人の元まで戻ってくる。ゼオは待っていたと言わんばかりに、ラグナの頭を掴む。
「いやぁ、随分と楽しませて貰ったぜ、ラグナ。強ぇし、俺の真似をして追いつこうとするとはな。……鍛えがいがある!」
ゼオの手から雷が走り、
「今日から、お前は
「「はい!」」
祝福を与えられたウィルと共に返事をする。こうして、
独身魔女の秘密基地では、第401期生、改めて"過酷の世代"、塔に進出した魔導士達が、宴を繰り広げていた。翌日のガイダンスまでの自由時間を使い、喜びを分かち合っていた。
だが、別室ではラグナとリアーナは互いに力無くベッドに沈んでいた。
「リアーナ!?ラグナ!?大丈夫?」
「すまない……連日の疲労が……。ウィルもラグナも直ぐに分かる。
「まだ、あの戦いの疲労感と魔力が戻りきってなくて……」
雷の派閥入りした同期を見ながらウィルは苦笑いを浮かべた。本当に、大変な一日だったと。その後、ウィルはリリールとゴードンに呼ばれて宴の会場に行く。部屋に残ったのはウィルに食事を貰ったリアーナとベッドに未だに倒れているラグナ、ゆっくり過ごしているイグノールとコレットである。
「コレットはも座らないのか?」
リアーナが声をかける。コレットは頷きながら座る。
「今日の開祭、本当に凄かったわ」
「ああ、ラグナ、君が強いとは総合実習の時、
コレットとイグノールの賞賛を聞き、ラグナは仰向けになりながら答える。
「あれは……三つ巴だから、成立していただけだ。渡り合うという程じゃない……。オレはもっと強くなる、あの日の約束を守る為にも」
その言葉を聞き二人は小さく笑う。イグノールも紅茶を飲みながら話を聞いていた。そして、思い出したように聞く。
「そういえば、終盤に剣の世界を顕現させていたアレは一体?」
リアーナ、コレットもラグナの方を見る。心の在り方で塗り潰す。心象風景と言われたもの。真意までは理解出来なくとも、アレがラグナの心の風景と言うのは理解できていたのだ。
「アレは……前に話した人の話覚えてる?」
「確か、生まれてから記憶にある人だったかな?」
イグノールの確認にラグナは頷く。
「理想を信じて、その理想にすら最後には裏切られた守護者……。その人がその末に辿り着いた場所だよ。あそこに突き刺さっている剣は、見て解析し、貯蔵した武器だよ。偽物だけど」
付け加えて、心象風景に相違はあるがと付け加える。だが、少なくとも剣の墓標がその守護者を知る事にもなる。そのような極地に辿り着くことはそれ相応の地獄が潜らなければならないと言うことも。
「オレの風景は、多分、鍛冶師の鍛造の炉も思い描いているから、大地が燃え上がっている風景だろうけどな。鉄を鍛えている時は炎で熱いからな」
冗談ぽく話すラグナにイグノールも釣られて笑う。だが、リアーナとコレットは笑えなかった。
あの世界は、身を焼かれながらも剣を打ち、鍛え上げても、その全てが偽物、贋作。それが、造るものとして、どれだけ苦痛であるかリアーナとコレットはラグナを見て、考えてしまった。それはラグナがウィルの剣を鍛えたり、オリジナルも作っているからこそ、そう感じてしまったのだ。
「けど、こうして全員派閥入りできて良かった」
ラグナがそう言うとその場の三人も頷いた。
翌日
塔・第一階節『仮詰め所』
「何なのかしら『
「今年『塔』に上った生徒が、みんな呼び出されてるみたいだけど……」
コレットとロゼが席に着きながらに話す。それを聞いていたシオンが予想を言う。
「どうせ、塔で生活する上での諸注意だろ。派閥のこともあるしな……」
イグノールもシオンの言葉に同意する様に話す。
「ああ、魔法学院とは勝手が違うと聞くしね」
イグノールが話終えると同時に、クレイルウィが杖の先からクラッカー見たいに祝福を出す。
「おっまたせー!そして、全進学生派閥入りおめでとうー!」
そう言いながらクレイルウィは教壇のに立つ。そして話し始める。
「流石『過酷の世代』ね!
テンション高く話していたが、ここまで言うと口調は真面目になる。
「で、例年なら『塔』に関する『
皆の表情が動揺した表情となる。いきなりの
「任務内容は『所属した派閥を探りつくすこと』団員の会話、素行や記録書……怪しいものは、片っ端から調査及び……報告して」
クレイルウィが話終えると、ユリウスが机を叩きながら立ち上がる。
「ど、どういうことだ……!?」
クレイルウィは答える。
「皆の記憶に新しい、
その言葉を聞き、動揺が広がる。記憶に本当に新しい境界祭での出来事。それを手引きした人物の痕跡が見つかる。それが意味するのは……
「まさか……」
「そういう事なのか……」
ウィルとラグナは察して言う。クレイルウィはソレを肯定する。
「そうよ、『塔』に裏切り者がいる」
ここまでありがとうございました!完結ではないので、また少しづつ書いていきます!
質問があればできる限り答えます!先の展開やネタバレになりうるものは答えられないので、もしもや今までの話での質問が幸いです。
本当にありがとうございました!