Ragnarok Online? 【アルカナ冒険譚】   作:Yu-Tokiwa

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第18話

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「とりあえずあの子の名前は【リタ】らしいのでそう呼ぶことに決めました。」

「いいや、もっと重要なことサラッと言いましたよね。ソーサラーなんですか? あの子…!」

 

病院の一室。特別に手配した部屋のテーブルをはさんで座っているのはマーシとバニ。

とりあえず色々済ませてから宿に一度戻り、今日は病院に泊まると言ってきかなかったヨダの着替えを持って再び病院に来た彼女は、現状分かっている事を今まさにマーシから聞いているのだが、初手でだいぶ躓きバニに詰め寄られる始末。そして自分を共犯者に巻き込んだネームは説明責任を放棄してさっさと逃げていた。

 

「しかもソーサラーで記憶も一部失っているとか、大丈夫なんですか? いや、助けた当の本人がこんなこと言うのもアレなんですが、うちのギルドで引きとっちゃって大丈夫なんですかね……。」

「まあ最終的にはリーダーのあなたが決める事だから私たちはそれに従うつもりで入るけどね。一応諸々の回避策としては一日でも早く転職させるっていうのはほぼ確定の流れね。」

「確かに…。」

「手段としてはいくつかあるけど、まず全部に共通するのはアルデバランで即日アルケミストに転職させる。で、ゲフェンに戻った後に本人の希望を聞いて何に転職させるかを決める感じ。アルケミストでいいっていうならそのままでもいいんだけどね。」

「通りますかね…。結構アルケミストって難しいって聞きますけど……。」

「まあ、ソーサラーだからペーパーテストも大丈夫じゃない? アルケミストも難しい職業かもしんないけど、ソーサラーも大概よ? あとは【古い魔術書】と【鍛冶屋の金槌】は私持ってるし。」

「うわー、結構ズルですねー。」

 

バニの言葉はどこか棒読みだ。しかし今この瞬間のアルカナギルドの危うさよりは100倍マシである。パッと見黒でもでも本当に真っ黒ではない限りは『これはグレーだ』と言い張るし、目もつぶろう。

 

「まあ滞在は数日伸びるかもだけど、ソーサラーのままのあの子を連れて数日掛けてゲフェンに戻るよりはだいぶ安全だしね。ゴリゴリの聖騎士団とかに会っちゃったら面倒くさいでしょう?」

「まったくです。それで? それ以外に何か分かったことは?」

 

とりあえず、ギルドマスターとして現状を色々聞いておきたいバニだが、それに対応するマーシには言えないことが多すぎる。いっそのことバニも巻き込んでくれれば良かったのにと一瞬は思ったが、いやいやこう見えてバニもあのリタという少女がヴァンパイアだと知ったらさすがに何をするかわからない。

とりあえず彼女としては差し障りなく、リタがソーサラーだったこと、ヨダの幼馴染で間違いはなさそうだが本人はその記憶がないという事。今日は既に眠っているのでこれ以上情報を得るのは難しそうだ…という事を述べるにとどまった。

 

「まあなかなかのボリューム満載な問題山積ですけど、早いところ全部片づけないといけませんね…これは。」

 

ガタリと席を立ち大きくため息をつくバニ。それを見ながら自らも席を立ち、マーシは『バニごめん!』と、心の中で手を合わせると同時に『ネームいつか泣かす』とこれまた心の中で中指を立てた。

 

「とりあえず、リタさんの病室に行ってみますか。しばらく入院する手続きも出来ましたし。」

「あ、うん。そだね。」

 

部屋のカギを看護師待機室の受付に返却し、階段を上りリタのいる病室があるフロアへ。共に無言で歩く。

リタは誰かに襲われてあの場に倒れていた。そして助かった。

ならば、彼女が助かった事に対し当然よく思っていない者もいる。そう、彼女を襲った犯人だ。

傷口を見ればわかる。確実に殺すための刺し方だった。だが肝心の止めを刺さずに相手が立ち去ったのはなぜか。いざ止めを刺そうとしたその時にアルカナ一行が大騒ぎして通りかかったから。そう考えるのがいちばん自然だ。

でも何だろう。本当にそうなのか? マーシのなかで何かが引っかかる。

ソーサラーで上級魔族なのだ、彼女は。

マーシも何度か見かけたことはある。グラストヘイムの城跡に時折現れる爵位を持ったヴァンパイアだ。確か名前は…ドラキュラ伯爵。

ヴァンパイアの頂点があのドラキュラ伯爵なのだとしたら、同じような種族であるリタも『同じように危険な存在』なのかもしれない。

そんな『危険な』彼女を背後から一撃で瀕死にした者だ。アルカナの面々が通りかかったくらいでそこを立ち去るのか? もう一度二度くらい刺せば息の根を止められる。倒れている少女の背を刺すのに5秒とかからない。

しかしともあれ立ち去った犯人は、この街にまだいるのだ。緊張もする。

ややあってリタの病室に到着し、バニが引き戸を静かにゆっくり開けた。

 

「ヨダさん、彼女の様子は…えええっ!!??」

「どうしたバニ…あああっ!!??」

 

【挿絵表示】

 

部屋に入ったバニが驚きの声を上げ、それに続いて室内に入ったマーシも目を丸くした。

彼女らの視線の先で、ヨダはベッドに押し倒されリタにキスをされていた。

 

 

 

【つづく】

 

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