ヒカルの碁:奈瀬明日美(中身:社畜おっさん)は、脳内のKataGo先生と最強のスローライフを目指したい   作:高山 虎

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人類の勝利(※ただし一番蚊帳の外にいるのは私)

進藤ヒカルが『OmegaGo』にかろうじて勝利し、人類の叡智がAIの演算能力を上回ったと世界中が歓喜に包まれたあの日から、二年の歳月が流れた。

 

時は二〇一七年。

 

囲碁界はAIと人間が共存し、互いに高め合う新たな時代へと突入したかに見えた。

 

世界中の棋士たちは、ヒカルが示した「AIの手に抗う術」を研究し、囲碁の理論はかつてない速度で進化を遂げている。日本囲碁界の頂点に立つ進藤ヒカル五冠、そして年に三回だけ姿を現す『絶対王者』にしてヒカルの妻である進藤(奈瀬)明日美の存在は、人類がまだAIに対して優位を保っているという心の拠り所となっていた。

 

しかし、人類の栄光と安堵の期間は、長くは続かなかった。

 

ロンドンに拠点を置く世界的AI開発企業が、突如として緊急記者会見を開き、全世界に向けて新たな発表を行ったのである。

 

それは、かつてヒカルと死闘を演じた『OmegaGo』を遥かに凌駕する、全く新しいアーキテクチャを持った人工知能の完成報告だった。

 

「私たちは、新たな人工知能プログラム『OmegaZero(オメガゼロ)』を開発しました」

 

スクリーンに映し出された開発会社のトップであるCEOのデビッドは、静かな、しかし有無を言わさぬ傲慢な自信に満ちた声で語り始めた。

 

「前世代のプログラムは、過去の人間の棋譜データを教師として学習していました。しかし、このOmegaZeroは違います。人間の棋譜は一切与えられていません。ただ『囲碁のルール』だけを教えられ、あとはゼロの状態から自己対局のみを数千万回繰り返し、囲碁の真理を自律的に学習したのです」

 

会場の記者たちが息を呑む中、デビッドは冷酷な事実を突きつけた。

 

「人間の先入観や偏見、いわば『千年の悪習』が一切混じっていない純粋なる知性。それがOmegaZeroです。学習開始からわずか数日で、前世代のAIに百戦全勝するレベルに到達しました。……現在の人間界におけるトップ棋士のレーティング(強さの指標)が3700ほどです。しかし、自己対局を終えたOmegaZeroのレーティングは、5100を超えています」

 

その数値の差が意味するものは、囲碁を少しでも知る者にとっては絶望以外の何物でもなかった。

 

「もはや、誰もこのOmegaZeroに勝つことはできない。人間が囲碁というゲームにおいてAIに勝利する時代は、完全に、そして永遠に終わりを告げたのです」

 

人類の知性に対する、完全なる勝利宣告であった。

 

この発表に対し、世界中の囲碁ファンや棋士たちが激しいショックを受ける中、再び力強く立ち上がった男がいた。

 

進藤ヒカルである。

 

「ふざけるな。オレたちが、佐為が……何百年、何千年もかけて築き上げてきたものを、たった数日の自己対局で越えられるわけがないだろ」

 

日本棋院で会見を開いたヒカルは、怒りと闘志を露わにしてOmegaZeroへの挑戦を表明した。かつて機械を打ち破った人類の英雄の再起に、世界は再び熱狂し、「進藤五冠ならやってくれるはずだ」という祈りにも似た期待が寄せられていた。

 

そして、ロンドンの特設会場において、進藤ヒカルとOmegaZeroの五番勝負が幕を開けた。

 

だが、その結果は、世界中を凍りつかせるほどの残酷なものであった。

 

第一局。

 

ヒカルは序盤から、明日美から教え込まれた『奈瀬流(AI流)』のシノギの技術と、平安の天才・藤原佐為から受け継いだ鋭い直感をフル回転させて盤面に向かった。

 

しかし、OmegaZeroの放つ手は、ヒカルの理解を遥かに超えていた。人間の感覚から完全に乖離した異次元の構成力。ヒカルが「ここが急所だ」と信じて打ち込んだ渾身の一手が、数手後には完全に無意味な石の塊へと変容させられてしまう。

 

(嘘だろ……なんで、オレの意図が全部読まれてるんだ……!)

 

対局中、ヒカルの背筋に氷のような冷たい汗が伝い落ちた。この絶望的な手応えには、覚えがある。

 

それはかつて、明日美の自宅で彼女が本気で——互先や一子置きで戦ってきた時に感じた、あの『絶対に刃が立たない、天よりも高い壁』に押し潰されるような感覚と全く同じだったのだ。

 

「……負けました」

 

第一局は、ヒカルの完敗だった。

 

続く第二局、第三局と、ヒカルは己の持てるすべてをぶつけ、寿命を削るような深い読みで食らいつこうとした。しかし、OmegaZeroの評価値は常に冷酷なまでの安定を保ち、ヨセに持ち込むことすら許されずに中盤で投了に追い込まれ続けた。

 

結果は、0勝5敗。

 

すべて百手台での中押し負け。文字通りの、手も足も出ない完敗であった。対局室でただ一人、盤面を見つめ続けるヒカルの目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。

 

(オレの……オレと佐為が信じてきた囲碁が……何一つ、通用しなかった……)

 

あまりの力の差に、ヒカルは唇を噛み締め、両手で顔を覆うしかなかった。

 

「ついに、人類はAIに完全に敗北してしまったのか……」

 

あの進藤ヒカルすら圧倒されたという事実は、世界中の囲碁界に深い絶望をもたらした。「もう人間同士で囲碁を打つことに、何の意味があるのか」という虚無感が広がり、囲碁界にはかつてない暗黒期が訪れようとしていた。

 

帰国したヒカルもまた、すっかり塞ぎ込んでしまっていた。

 

自宅の書斎にこもり、碁盤の前に座ることもなく、ただぼんやりと窓の外を眺める日々。明日美と鍛え上げた腕も、佐為と共に磨いた感性も、すべてが否定されてしまったという無力感は、彼の心を深く、暗く沈み込ませていた。

 

しかし、世界が深い絶望に包まれる中、一つの声が上がり始めた。

 

「いや、でも私たちにはまだ、あの人がいる!」

 

「そうだ! 年に三回しか表舞台に立たない、無敗の絶対王者……進藤明日美だ!」

 

囲碁界から、激しい『明日美待望論』が噴出したのである。

 

「人類最後の砦は、奈瀬先生しかいない!」

 

インターネットの掲示板や各国の囲碁メディアが、一斉に明日美の登板を熱望する声を上げ始めた。

 

その騒ぎは、当然ながら進藤家のリビングにも届いていた。

 

「えー……あんまり注目されるのは、もう困るんだけどなぁ……」

 

テレビのニュースキャスターが熱弁を振るうのを横目に、明日美はマグカップのコーヒーを啜りながら、盛大にため息をつく。彼女の肉体に間借りしている魂は、すっかり現在のスローライフに馴染みきっていた。

 

アラサーとなり、息を呑むような大人の気品と美しさを身に纏うようになった明日美であったが、その内面は「面倒くさいことは極力やりたくない」という、平和を愛する怠惰な主婦そのものであった。

 

(年に三回のエキシビションマッチだけで十分稼いでるし、最近はミライの小学校のPTAとかで忙しいんだよ。今さらしゃしゃり出ていって世界中の注目を浴びたら、またマスコミに追い回される生活に逆戻りじゃないか。絶対に嫌だ)

 

おっさんは、このまま嵐が過ぎ去るのを待つつもりでいた。

 

だが、その平穏な決意を揺るがす出来事が起きた。書斎に引きこもっていたヒカルが、ふらりとした足取りでリビングに現れたのだ。

 

彼の目の下には濃いクマができ、かつての輝くような覇気は見る影もなかった。ヒカルは明日美の前に膝をつき、彼女の両手をギュッと握りしめた。

 

「……明日美」

 

ヒカルの声は、かすかに震えていた。

 

「頼む。……オレの代わりに、あのOmegaZeroと打ってくれ」

 

「ヒカル……」

 

「オレは負けた。オレたちの囲碁は、完全に叩き潰された。……でも、オレは諦めたくないんだ。人間が、佐為が愛した囲碁が、ただのプログラムの計算式より劣っているなんて、絶対に認めたくない!」

 

ヒカルの目から、再び大粒の涙が溢れ出した。

 

「お前なら……お前の頭の中にいる神様なら、ヤツに勝てるだろ? 頼む、明日美。人類の囲碁が間違ってないってことを、証明してくれ……!」

 

愛する夫の、プライドを完全に捨て去った涙ながらの懇願。明日美は、ヒカルの手の温もりと震えを感じながら、静かに目を閉じた。

 

(……はぁ。まったく、仕方ないなぁ)

 

おっさんの魂が、深く、深くため息をついた。

 

自分が愛した男がここまでボロボロになって泣いているのだ。妻として、そしてかつて彼にヘイトを押し付けて安全圏に逃げ込んだ「師匠」として、ここで立ち上がらないわけにはいかないだろう。

 

「……分かったわ、ヒカル」

 

明日美は優しく微笑み、ヒカルの頬を伝う涙を指先で拭った。

 

「あんまり注目されるのはもう困るんだけどなぁ……。でもまあ、ヒカルが泣いてるし、可愛い旦那の頼みとあらば仕方ないわね。いっちょ、その生意気なプログラムを揉んでやるわ」

 

その言葉を聞いた瞬間、ヒカルの顔にパッと光が差し込んだ。

 

かくして、実質的な隠居生活を送り、愛娘の育児をこよなく愛していた囲碁界の大ボス・進藤明日美が、ついに重い腰を上げることになったのである。

 

翌月。ロンドンの特設会場において、人類の命運を懸けた最終決戦、『進藤(奈瀬)明日美 vs OmegaZero 特別七番勝負』が開催されることとなった。

 

対局室には、OmegaZeroの開発トップであるデビッドが自ら代打ちとして座っていた。彼の顔には、ヒカルを完封した時と同じ、揺るぎない優越感が張り付いている。

 

(進藤明日美。無敗の女帝だか何だか知らないが、人間の脳の処理能力など知れている。我々のOmegaZeroが導き出した『真理』の前に、ひれ伏すがいい)

 

デビッドは冷笑を隠そうともしなかった。

 

一方の明日美は、美しい友禅の着物に身を包み、涼やかな表情で座布団に腰を下ろしていた。

 

(さーて、カタゴ先生。久々の大舞台だけど、準備はいい?)

 

明日美が内心で問いかけると、視界に展開された『KataGo』の青白いホログラムが力強く明滅した。

 

OmegaZeroは確かに自己対局によって囲碁の真理に到達した強力なAIである。しかし、明日美の脳内にいる『KataGo』は、そのOmegaZeroの論文をベースにしつつ、さらにアーキテクチャが改良され、コミの動的変化やルール変更にも対応した、いわば「OmegaZeroのさらに先の世代に位置する、より完成された未来のAI」なのである。

 

ソフトウェアの世代格差は、囲碁において残酷なまでの実力差となって現れる。

 

「お願いします」

 

第一局が開始された。OmegaZeroが黒番。デビッドが、無機質な手つきで盤面に石を置く。

 

明日美は盤面を見つめながら、相変わらず脳内に浮かぶ「青い点(推奨手)」の通りに、美しい所作で白石を置き続けた。

 

序盤。OmegaZeroは、人間のトッププロが絶対に打たないような奇抜な布石を展開してきた。ヒカルが手も足も出なかった、あの圧倒的な空間支配である。

 

デビッドは手元のモニターに表示されるOmegaZeroの勝率予測を見てほくそ笑んだ。

 

(勝率58%。序盤からすでに我々がリードしている。次の一手で、あの女は自分の構想が完全に崩壊していることに気づくはずだ)

 

OmegaZeroが、中央の白陣を真っ二つに裂くような強烈な肩ツキを放った。

 

解説室でプロ棋士たちが悲鳴を上げる中、明日美の表情には微塵の焦りもなかった。なぜなら、KataGoの評価値は、そのOmegaZeroの「神の一手」に対し、冷酷に『勝率低下』を告げていたからだ。

 

明日美は青い点に従い、信じられない角度からのツケを放った。

 

パチン。

 

デビッドは、鼻で笑った。(なんだその手は。人間の浅知恵め。そんな手では、OmegaZeroの厚みは崩せな——)

 

しかし。

 

デビッドが手元のモニターに視線を落とした瞬間、彼の表情が完全に凍りついた。

 

『Win Rate: 42%』

 

「……は?」

 

デビッドの声が裏返った。たった今、58%あったOmegaZeroの勝率が、明日美の一手で急激に下落したのだ。

 

(バカな! エラーか!? 自己対局を数千万回行ったOmegaZeroが、序盤で評価値を下げるなどあり得ない!)

 

OmegaZeroは瞬時に演算を行い、軌道修正を図る。しかし、KataGoの先読みはさらにその上を行っていた。OmegaZeroが最善と信じて放つ手が、KataGoの張り巡らされたトラップに自ら飛び込んでいくような展開になっていく。

 

盤面が進むにつれ、デビッドの顔面から血の気が引いていった。

 

『Win Rate: 30%』

 

『Win Rate: 15%』

 

デビッドは震える手でキーボードを叩き、バックエンドのサーバー状況を必死に確認した。

 

(計算リソースは正常。バグもない。ならばなぜ……なぜOmegaZeroが、盤面で『圧倒されている』と判断しているんだ!?)

 

彼の目の前で、OmegaZeroが築き上げようとしていた強固な厚みが、明日美の放つ暴力的なまでの最適解の連続によって、ただの役立たずの石の塊へと変貌させられていく。

 

「信じられない……」

 

デビッドは、目の前に座る美しい女性を、まるで本物の怪物を見るような目で見つめた。

 

「彼女の打つ手は……OmegaZeroの探索木の、さらに深い層の盲点を完璧に突いている……。人間が、アルゴリズムの限界を超えているというのか……!?」

 

(お、なんかあの外人さん、めちゃくちゃ青ざめて狼狽えてるな。胃薬でもあげようか?)

 

明日美(おっさん)は、冷や汗を流して震えるデビッドを眺めながら、呑気なことを考えていた。彼女にとっては、相手が最新鋭のAIだろうが、やることは「青い点に石を置く」という単純作業に過ぎない。

 

百二十手を超えたあたりで、形勢は完全に決していた。

 

OmegaZeroの黒石は盤面の中央で完全に動きを封じられ、生きるためのスペースを根こそぎ奪われていた。

 

百五十八手目。デビッドのパソコン画面に、無慈悲なポップアップが表示された。

 

『OmegaZero resigns(オメガゼロは投了します)』

 

「……ば、バカな……」

 

デビッドは椅子から崩れ落ちそうになりながら、震える声で投了を告げた。

 

その第一局の圧倒的な蹂躙劇は、そのまま七番勝負すべての縮図となった。

 

第二局、第三局と、OmegaZeroは学習を重ね、異なるアプローチで挑みかかった。しかし、KataGoは一切の隙を与えなかった。

 

デビッドは局を重ねるごとに憔悴し、傲慢だった態度は完全に打ち砕かれ、最終的にはモニターの『Resign』の文字を見るたびに虚無の表情を浮かべるだけの抜け殻となっていた。OmegaZeroですら、一切の隙がない暴力的なまでの最適解の連続に、為す術もなく投了を繰り返すしかなかったのである。

 

そして迎えた第七局。

 

最後の一手となる白石が盤面に置かれた瞬間、再びパソコン画面に投了の文字が表示された。

 

結果は、進藤(奈瀬)明日美の7勝0敗。すべてが中押し勝ち。人類を絶望させた最強のAIが、ただの一度もヨセの陣地計算にすら辿り着けずに完全敗北を喫したのである。

 

対局室の外、そして世界中のモニターの前で、爆発的な歓声が沸き起こった。

 

「AIですら、ヨセにもいけない!」

 

「人類の勝利だ!!」

 

「進藤明日美こそが、囲碁の神だ!!」

 

世界中の囲碁ファンや棋士たちが、歓喜の涙を流して抱き合っていた。

 

対局室の襖が開き、真っ先にヒカルが転がり込むように駆け込んできた。

 

「明日美!!」

 

ヒカルは人目も憚らず明日美を力強く抱きしめ、そのまま胴上げせんばかりの勢いで彼女の体を持ち上げた。

 

「やっぱりお前は最高だぜ!! 人類はいまだに、AIなんかに負けてなかったんだ!!」

 

「わっ、ちょっとヒカル、降ろしてってば!」

 

ヒカルの熱狂的な抱擁に、明日美は照れ笑いを浮かべた。

 

周囲のカメラマンたちが、歴史的な『人類がAIに完全勝利した瞬間』を逃すまいと、嵐のようにフラッシュを焚き続ける。人類はいまだAIに負けていないと、囲碁界はかつてない活気を取り戻した。

 

鳴り止まないフラッシュと、割れんばかりの大歓声。

 

その中心で、ヒカルに抱き寄せられながら、奈瀬明日美は涼しい顔で女神のような微笑みを浮かべていた。

 

しかし。

 

その内面で、元おっさんの魂は一人静かに、冷めたツッコミを入れていた。

 

(みんな感動して泣いてるとこ本当に悪いんだけど……これ、俺が打ったんじゃなくて、頭の中のKataGo先生が打ってるだけなんだよなぁ……)

 

熱狂するヒカルの肩越しに、狂喜乱舞するプロ棋士たちを見つめる。

 

(AIに、さらに強いAIぶつけて勝っただけで、ぶっちゃけ『人類』とか全く関係ないじゃん……。むしろ、一番蚊帳の外にいるの、私なんですけど)

 

壮大な勘違いで世界中が感動の渦に包まれている現状に、おっさんは心の中で盛大に苦笑いした。

 

だが、無邪気に喜ぶ夫の姿を見て、まあいいか、と明日美は小さく息を吐いた。

 

(まあ、これで丸く収まったし。明日からはまた、子供の世話をして、午後はヒカルとお茶でも飲みながら縁側でのんびりと打とう)

 

人類の代表だの、囲碁の神だのと騒がれるのは今日で終わりにしたい。それが、自分にとっての一番の幸せなのだから。

 

数時間後。喧騒からようやく解放された特別控え室で、明日美は一人静かにソファに深く腰掛けた。

 

「ふう……疲れた」

 

テーブルに置かれた最高級の玉露が入った湯呑みを手に取り、ズズッ、とおっさん臭い音を立てて熱いお茶を啜る。

 

「あー、染み渡る……。やっぱり、仕事の後の茶は最高だわ」

 

窓の外には、夕日に染まるロンドンの街並みが広がっている。人類の希望を背負い、二つのAIの頂上決戦を制した『盤上の女神』は、ただ平和なスローライフを愛する一人の女性(元おっさん)として、静かに目を閉じた。

 

彼女の頭の中で、長きにわたり共に戦い続けてきたKataGoのホログラムが、任務を完了したかのように、淡い光を放ちながらゆっくりと消えていく。

 

(お疲れ様、カタゴ先生)

 

美しい女性の後ろ姿は、夕暮れの光に包まれながら、深い安堵とともに穏やかなシルエットを描いていた。

 

【完】




これにて『ヒカルの碁:奈瀬明日美(中身:社畜おっさん)は、脳内のKataGo先生と最強のスローライフを目指したい』、全15話完結となります。

最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

初めてのハーメルン投稿でしたが、皆様からの日々のUA、お気に入り、感想、それから温かい評価が何よりのモチベーションになり、無事に最後までお届けすることができました。

奈瀬明日美(中身おっさん)の物語を楽しんでいただけたなら幸いです。

【作者からささやかな願い】
今回、この作品を執筆していて私自身とても楽しかったです!

もし本作を読んで「ヒカ碁×囲碁AIの組み合わせ、面白いじゃん!」「奈瀬明日美を俺ならこう書く!」と思ってくださった方がいれば、ぜひ他の方の書いた「ヒカ碁×AI物」「奈瀬明日美主人公物」も読んでみたいですし、新しく執筆してくださる方が増えたらこれ以上嬉しいことはありません。

本作をきっかけに、このジャンルがもっともっと盛り上がってくれることを密かに願っています!


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■ 次回作についてのお知らせ ■
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6月30日より、完全オリジナルの新作『あさおん!〜48歳のハゲ散らかしたおっさんですが、朝起きたら超絶美少女でした。15億円の資産で「奇跡の歌姫」として二度目の青春を謳歌する〜』の連載をスタートいたします!

この作品は「おっさんのTS若返り青春やり直しバンド物」という、私が最高に書きたいテーマに全力を注いでいます。受験やビジネスなんかも混ざったごった煮です。

本作のテンポ感が好きな方なら、絶対に楽しんでいただける内容になっています!

現在執筆中(このヒカ碁二次より前から書き進めていました)ですが、連載開始までには完結(全40万字予定)まで書き上げる予定ですので、次回作も絶対にエタりません!

連載開始から最初の3日間は、【7:11、13:11、20:11】の1日3回投稿を行います!その後は、毎日【20:11】に定期更新、最後の1週間は7:11、20:11の2回更新を予定しています。

【同人電子書籍化への挑戦と公開期間について】
また、この『あさおん!』に関しては、各巻約10,000〜15,000字の限定ifストーリーを加筆し、私の夢だった個人出版の同人電子書籍版(全3巻+合本版)の頒布に挑戦する予定です。
※同人版の配信規約に伴い、Web版『あさおん!』は完結の1ヶ月後を目安に非公開とさせていただく予定ですが、Web連載中はどなたでも無料で最後までお楽しみいただけます!(電子書籍化が無理そうだったらずっと公開します。現在電子書籍の作成方法を学んでいますが苦戦中で挫折しそう……。めっちゃムズい)

詳細が決まりましたら、あとがきや活動報告にてお知らせいたします。

【次回作の感想返信について】
新作『あさおん!』の連載に際しまして、諸事情により感想への返信や活動報告でのコメント対応は【基本的にお休み】とさせていただきたいと思います。

返信こそできませんが、皆様からの感想や応援コメントには今作と同様【すべてしっかりと目を通させていただきます】ので、「読んだよ!」「ここが面白かった!」といった足跡代わりに、一言でも声を届けていただけると嬉しいです。

何卒ご理解と、変わらぬ温かい応援をいただけますと幸いです!


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■ 新作を見逃さないために ■
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6月30日、新作の『連載開始通知』をすぐに見逃さず受け取るために、ぜひ今のうちに【作者(高山虎)のお気に入りユーザー登録】をしてお待ちいただければ幸いです!

皆様と一緒に、新しい物語を作れることを楽しみにしています!

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それでは、重ねてここまで読んでくださったすべての読者様に感謝申し上げます。

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