四回戦、五回戦も決着はつかなかった。
投票結果が表示されるたび、会場にはため息が流れる。
海馬は苛立ちを隠さず舌打ちし、舞は退屈そうに髪を弄り、キースは机を指で叩いていた。
そんな中――。
遊戯だけは変わらなかった。
与えられた個室へ戻り、食事を済ませると机へ向かう。
そして今日も難解な立体パズルを組み立て始めた。
カチリ。
カチリ。
静かな音だけが部屋に響く。
途中まで完成していたパズルを眺め、遊戯は小さく息を吐いた。
「ふぅ……」
あと少し。
だが最後の一手が見えない。
もっとも、焦る必要はなかった。
「完成できなかったか……まぁ時間はある」
そう呟くとベッドへ横になる。
数分後には静かな寝息が聞こえていた。
翌朝。
遊戯は誰よりも早く会場へ到着していた。
まだ人影はない。
巨大な投票箱だけが無機質に置かれている。
遊戯は椅子へ腰掛けると静かに目を閉じた。
しばらくして扉が開く。
入ってきたのはキースだった。
「よう」
軽く手を上げる。
遊戯も軽く返す。
しかし次の瞬間。
「ちょっと席を外すぜ」
遊戯はそう言って会場を出ていった。
扉が閉まる。
キースは鼻で笑った。
(……トイレか)
そう思いながら席へ座る。
そして頭の中で今の状況を整理した。
海馬と遊戯。
二人ともプライドが高い。
昨日のやり取りを見れば明らかだ。
金で勝利を買うことを嫌っている。
ならば――。
(あいつらは絶対に組まねぇ)
その瞬間だった。
頭の中で一つの答えが繋がる。
(そうか……)
思わず口元が歪む。
(俺と舞で組めばいいんだ)
二対二。
そして契約書。
YES担当とNO担当を決める。
どちらかが勝ったら賞金を山分け。
それだけで負けなくなる。
海馬も遊戯も協力しない以上、最後に得をするのは自分たちだ。
(ククク……見つけたぜ)
久しぶりに心が躍った。
賞金稼ぎとして生きてきた勘が告げている。
これは勝ち筋だ。
キースは周囲を見回した。
舞の姿を見つける。
「おい」
手招きする。
「ちょっと来い。必勝法がある」
舞は怪訝そうな表情を浮かべながら近付いてきた。
「何よ?」
「海馬と遊戯は組まない」
キースは断言した。
「昨日見ただろ。あいつらプライドで殴り合ってる」
舞も頷く。
「私もそう思う」
「なら話は簡単だ」
キースの目が光る。
「俺とお前が組めばいい」
舞は腕を組む。
「それは分かる。でも勝者は一人じゃない」
「だから契約書だ」
キースはニヤリと笑った。
「どっちが勝っても賞金を折半する」
舞は黙り込む。
悪くない条件だ。
しかしキースはさらに続けた。
「しかも勝率を跳ね上げる方法がある」
「何よ?」
「俺の特技だ」
そう言って投票箱へ歩く。
紙を入れる動作を見せる。
舞は反射的に覗き込んだ。
一瞬だけ。
本当に一瞬だけ。
YESという文字が見えた。
「あっ……」
だが。
キースが紙を取り出す。
そこには――。
NO。
舞の目が見開かれる。
「えっ!?」
「ミスディレクションだ」
キースは得意げに笑う。
「俺は賞金稼ぎだぜ?」
カードさばき。
手品。
すり替え。
人を騙す技術。
その全てを身に付けてきた。
「見せたい情報だけ見せる」
キースは指先で紙を回転させる。
「人間は見えたと思ったら信じるんだ」
舞は思わず感心する。
確かに。
自分ですら騙された。
まして遊戯や海馬は心理戦の最中だ。
わずかな情報でも利用しようとする。
「つまり……」
「俺がYESを入れたように見せる」
キースが言う。
「二人はNOへ誘導される」
そしてニヤリと笑った。
「実際は俺もNOだ」
舞の背筋に鳥肌が走る。
確かに成立する。
見破られても引き分け。
見破られなければ勝利。
リスクがほとんどない。
「キース……」
舞は思わず呟いた。
「天才かもね」
「だろ?」
キースは満足そうに笑った。
そして三十分後――。
第六回戦が始まろうとしていた。
舞がステージへ立ち、お題を読み上げる。
「男と女。需要があるのは女!」
その言葉とともに投票が始まる。
そして十分後。
キースが投票箱の前へ立った。
会場の空気が張り詰める。
海馬と遊戯は無言でその動きを見つめていた。
キースの指先が動く。
紙が箱へ落ちる。
ほんの一瞬。
海馬の視界にYESの文字が映った。
(……ん?)
海馬の瞳が細くなる。
(一瞬だが……YESに見えた)
しかし違和感があった。
なぜYESなのか。
それではキース自身に利益がない。
(まさか……)
海馬の脳裏にある可能性が浮かぶ。
(遊戯と組んだのか……?)
だが確信は持てない。
ミスかもしれない。
誘導かもしれない。
真実はまだ分からない。
そしてその頃――。
舞とキースは、既に会場から姿を消していた。
遊戯が勝つ方法は? 正解は2つあります
-
海馬とチームを作る
-
買収する
-
クリームソーダを使う
-
パズルを組み立てる
-
杏子を使う
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城之内を使う
-
スクリーンを細工する
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舞とチームを作る
-
キースとチームを作る
-
プールを使う
-
印刷機を使う
-
ジムを使う