ToLoveる×超宇宙刑事ギャバンインフィニティ 〜零度の蒸着者〜 作:アキ1113
それでは、どうぞご覧ください。
ある日の昼休み、屋上では永久、リト、ララが3人で昼ご飯を食べていた。永久は今まで、1人で昼ご飯を食べていたが、そこにリトとララも加わり今ではいつも3人で一緒に食べるようになっていた。そんないつもの昼休みだったが……その中で、永久だけは別のことを考えていた。
「……」
永久は何者かの視線を感じていた。それも昨日からずっと……その視線からは、敵意、警戒、観察などの意思が感じられた。例えるなら、それはまるで狙撃手のような視線だった。
「永久?」
「さっきからどうかしたのか?」
「いや……」
永久は屋上のフェンス越しに町を見下ろすが、何も見えなかった……それでも永久は、確かに誰かが見ているというそんな感覚があった……。
◇
昼休みの後も何者かの視線を感じたが、特に何事もなく一日の授業を終え、永久は1人で家路についていた。すると……
「ようやく一人になりましたね」
「……」
突然、背後から声が聞こえた。永久は立ち止まって振り返ると、そこには、金色の長い髪を持つ少女が立っていた。その少女の髪は、夕日に照らされて黄金色に輝いていたが、それに対してその瞳には温度がなかった。
「初対面ですね」
少女は静かにそう言う。
「私は金色の闇」
「っ……」
その名前を聞いた永久の目が僅かに細まる……金色の闇――――『宇宙一の殺し屋』とまで呼ばれるほどの実力を持つ暗殺者で、今は紆余曲折ありこの地球にとどまっているという。
「……」
(情報は掴んでいたけど、まさかこの街にいるとはね)
永久は内心でため息を吐く……もちろん、銀河連邦警察に所属している永久は金色の闇のことを知っており、今現在ヤミが地球にいるということも知っていた。だが、この街にいて尚且つあちらから接触してくるとは思いもしなかったようだ。
「早速ですが……あなたは私が殺します」
「っ!?」
すると、ヤミは右腕を刃に変形させるといきなり永久に襲いかかってきた。
「やはり……あなたからは危険なエネルギーを感じます」
「危険なエネルギー……って、まさかエモルギアのこと?」
「エモルギア……依頼人もそう言っていましたね。それを使って、あなたが宇宙を混乱に陥れようとしていることも」
「!?」
ヤミは何者かから永久を殺す依頼を受けており、その時に嘘を吹き込まれたようだ。
「いやそれ完全に誤解――――」
「喋る余裕があるんですか?」
「っ!」
永久は誤解を解こうとしたが、ヤミはすかさず急所を狙って攻撃を仕掛けてくる。それに対し……
「仕方ない――――」
「レイドー!チャージ!」
「蒸着」
「レイドー!アクティベート!」
永久はヤミの攻撃を避けながら、ギャバンゼロへと蒸着を果たした。
『蒸着!それは、ギャバンシステム発動のコマンドだ。では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!』
『蒸着コマンドを受けて、臨海点を超えたエモルギーは、トリガー内に凝縮されたギャバリオン粒子と融合。僅か1ミリ秒でコンバットスーツへと投射形成され、蒸着を完了するのだ!』
「!」
ヤミは永久の姿が変わったことに、一瞬驚いた表情を見せるが、すぐさまギャバンゼロの背後から刃を振るった。だがそれは易々とゼロに受け止められ、ヤミはそのまま投げ飛ばされてしまう。
「っ!」
すかさずゼロは、ライフルでの精密射撃をヤミの周りに向かって放つ……が、
「っ!!」
それを掻い潜って、ヤミはゼロへと攻撃を届かせ、ゼロはそれを受けて後退する……速い、今までの敵とは次元が違う。暗殺者――――その言葉がぴったりだった。
「……強いね」
永久が呟くと、ヤミも僅かに目を細めた。
「あなたも……ただものではありませんね?」
そんな一触即発の雰囲気に、辺りが包まれていると……
『永久、ネガエモルギー反応を確認!そちらに向かっています!』
「っ!?」
そのアルマの通信が入ってから数秒後……
『GyAAAAAAAAAA!!』
2人の前にエモンズが現れた。そのエモンズには両腕に巨大な爪が備わっており……
『GyA!!』
そこから風の刃を2人に向かって飛ばしてきたのだ。その攻撃を瞬時に回避した2人は、続けてくる攻撃も当たることなく回避していった。すると……
「……ヤミさん、左をお願い」
「なぜですか?」
「僕が右をやるから」
「……それは命令ですか?」
「提案だよ。それにこのままじゃ、いずれ誰かが襲われる」
「……!」
今2人がいるのは住宅街の人気が無い場所で、このまま戦闘が長引けば関係のない民間人に被害が及んでしまう可能性が高い……そう考えたゼロは、早くエモンズを撃破するために、こうしてヤミに協力を持ちかけたのだ。それを聞いたヤミは、少しの間考えた後……
「……いいでしょう。それにあなたは、依頼人が言うような人物には見えませんし」
その申し出を受けることにした。
『GyAAAAAAAAAA!!』
「「!」」
エモンズは2人に向かって、再び風の刃を飛ばしてきたが、その瞬間2人は左右に分かれてエモンズへと迫っていく。エモンズはどちらかに絞って攻撃しようとしたが……
「「っ!!」」
『GyAAAAAAAAAA!?』
ゼロは瞬時に取り出したギャバリオンブレードで、ヤミは刃に変身させた右腕で同時に爪の部分を叩き斬ったのだ。そして、武器を失ったエモンズに……
「決める……!」
ゼロはブレードを持って駆け出していく。
『!?』
エモンズはこの場からの逃走を図ろうとするが……
「逃がしませんよ」
『GyA!?』
ヤミが逃げ道に先回りし、髪を変身させた巨大な手でエモンズを捕まえたのだ。
「いきます」
『!?』
ヤミはそのままゼロに向かってエモンズを投げた。そして……
「しっ!!」
『GyAAAAAAAAAA!?』
ゼロは完璧にタイミングを合わせて向かってくるエモンズを斬り伏せ、被害が出る前に撃破することに成功した。
「はぁ……」
一息吐いてから蒸着を解除した永久は……
「ありがとう、ヤミさん。おかげで助かった」
「いえ……それにしてもあなた、本当に何者ですか?」
「何者って?」
「私が依頼人から聞いた話では、あなたはエモルギアを悪用する極悪人だと――――ですが、あなたもあの生命体に襲われていましたし、何より周りに被害が出ないようにしていました……結城リトの時と同じように、あまりにも私の想像とかけ離れていて……」
「リトのこと知ってるの?」
「この地球に来たのも、元々は結城リトを暗殺するためでしたので……まぁそれも、依頼人の嘘だという線が濃厚ですが」
「なるほどね……」
永久は納得したように頷くと……
「さっきの質問の答えだけど……僕はただの宇宙刑事だよ」
ヤミに向かって、そう答えたのだ。
「……変な人ですね」
そういうヤミの口元が、少しだけ緩む。そして去り際……
「あなたとは、また会うことになるでしょうね。今回の依頼のこともありますし」
「そうだね……」
「……嫌、ですか?」
「そうじゃないよ……うん、僕もまた会いたいかな」
「……!」
その言葉を聞いたヤミは、少し驚いた……誰かにそんなことを言われることは少ないため、こうしたことにはあまり慣れていないからだ。
「あ、でも次はいきなり襲わないでほしいかな」
「それはあなた次第です。もしあなたがそれを悪用することがあれば、私はあなたを殺しますから」
「分かったよ」
それを聞いたヤミは、夜の町へと消えていった……そんなヤミを遠くから見つめる影があった。
「金色の闇……今度こそは……!」
その影はそう呟くと、その場から姿を消していった……。
読んでくださり、ありがとうございます!
今回はヤミ編の前編となりました。次回は後編となりますので、お待ちいただけると幸いです。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いします。