とはいえ、これが実際のお話かどうかというのは、未だ観測されない闇の中のお話。
それでもよろしければ、どうぞ皆様ご歓談くださいな。
※この作品は死ネタであり、それに至るまでのグロい描写が含まれているのでご注意ください
念のためスペースを空けますので大丈夫なお方はスクロールをお進め下さい。
ちょっと妄想が捗りすぎました☆
スローモーションがかかったように目の前に飛び散る赤い液体を見て
ああ私は死ぬのだ、と。
よりにもよってアイツの前で死ぬなんて申し訳ないな、と。
他人事のような感想ばかり抱いて、しかしいつまで待とうとも体のどこにも痛みや熱感が襲ってこない。
疑問だらけの現状に諦観を以てシッカリと見えていなかった現実を認識した途端、世界は急速に動き出し答え合わせが始まった。
「ッグゥ……!ってぇなぁ!!」
「…………は?」
ああ、他人事にしか感じなかったのはある意味で正しかったのだろう。
この身を害するはずであった鈍く輝く刃は共に居た――の腹を切り裂き、鼓動と共に鮮血を噴き出させていたのだから。
それをようやく頭の中で噛み砕けたときには、襲ってきた暴漢が何かに駆られる様に近くにいた親子に次の狙いを定めて向かおうとするような素振りを見せるまでに状況は変化していた。
「まて゛や゛ゴルァ!」
いやだ、やめてくれ、そんなに激しく動かないでくれ。
暴漢の歯が砕けるたびに腹から血だけではなく臓物もまろび出てきた。
暴漢の頭蓋が砕けるときには――の口からも血が出てきた。
暴漢が動かなくなったときに――も動かなくなってしまった。
「ぁ、あ、――、――……!」
駆け寄りたい、今すぐ駆け寄りたいのに、不自由なこの足はこのような時でさえピクリとさえ動かない。
「ぁぐ……!――、――、―……―」
車椅子から転げ落ちる。
それでも足は動かない。
車椅子操作のために人並み以上に鍛えていた腕で這いずる。
――を中心として赤が広がる。
――に見せたくて、普段しないオシャレで買った服は埃でくすむ。
血で滑り、少しでも綺麗に思われたくてした化粧は服と手と共に赤黒く染まる。
「いや、いやだ、死ぬな、しなないでくれ、しんじゃヤダ、――、――!」
息吹が聞こえない。
鼓動が感じられない。
胸が動いていない。
熱が奪われていく。
どうしようもなく死が訪れていると理性は主張する。
死んでほしくない、生きて欲しいと感情が訴える。
視界がぼやけ、透明な汁が滴る。
まったくもって、年甲斐もない。
いくつも下の男に懸想して、今まで見向きもしなかった着飾りに時間を費やし、その結果がそいつに縋りつき、顔を血と泥と涙で覆われ泣きつく哀れな女だ。
それ以降の記憶は曖昧だ。
葬式に出たような気も、そんな儀式に参加する気も起きずに引き籠っていた気もする。
それでも、Lifeだけはやめられなかった。
――との繋がりだから。
――が好きだった遊びだから。
いつしか、ファイトの腕も相当に磨かれたような気もする。
しかし、それを見せたかった男はもういない。
こんなことになるのであれば、もっと早くに思いを告げるべきだったという後悔が胸を埋める。
こんなことになるのであれば、恋心など持つべきではなかったという考えすらも頭を過ぎる。
目が覚める。夢を見ていたような気がする。
もちろん夢の内容など覚えているはずもない、が不自然に涙が零れ落ちた。
「……ふむ。このような顔、妾を女帝と崇める者達の前に見せる訳にはいかぬな」