人間になりたいうた   作:ギークヴォルフ

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第7話

何時ものように、土を耕していた。

 

 

 

 

 

 

━━━━闇霊「────」に侵入されました!━━━━

 

 

 

 

 

鍬を置き、鉄の大剣(グレートソード)を取り出す。

 

畑から離れる。踏ませたくない。殺す。

 

遠くから闇霊が向かって来る……。

 

人を辞めた、歪な半竜の姿。

 

悍ましい咆哮とともに、空気が爆ぜた。

 

赤涙も発動してる。

 

………たまにいる。

 

昔、赤涙が発動してる半竜が白霊で来てくれた。なんでか分からないけど、体力を回復しないから、人間性をあげた。

 

でも、なんでか回復せずに、赤涙をずっと発動させたまま一緒に戦ってくれた……。

 

…………今でも、よく分からない。

 

 

 

半竜がかなり近付いて来た所で、そこから更に炎の力も取り込んだ。

 

内なる体力………秘められてる筈の、呪術師カルミナの業。

 

自傷の赤黒い光は、背負ったサンクトゥスの盾の微光で、僅かに緩んでいるけど……。

 

触れるだけで、殺せる……でも、私も多分一撃で死んじゃう。

 

結晶魔法の青を纏わせた、打刀。

その鞘に手が掛かる。

 

畑との距離が、近い。

 

神速の居合斬り。

 

 

 

 

 

─────閃光が走る

 

 

 

 

 

駄目、パリィ出来ない。

 

 

 

刀が肉を断ち、体力の九割以上が一瞬で消し飛んだ。

 

 

 

けど、死ななかった。

 

 

 

斬撃の衝撃が突き抜けるその瞬間、鉄の大剣を虚空に仕舞う。

 

衝撃波のベクトルを、なんとか相殺。

 

未だ斬撃を放ったままの、無防備な背中。

 

 

 

 

──間合いはゼロ。

 

 

 

 

 

超重量のスモウハンマーを取り出して、背後から叩き込む。

 

鎧ごと胴が潰れ、肉と臓腑が前へ押し出される。

 

潰れた肉塊を撒き散らして、闇霊はソウルの滓となって霧散した。

 

スモウは、これで人を潰してた。

 

骨も鎧も、関係ない。

 

 

 

 

 

━━━━闇霊「────」が消滅しました━━━━

 

 

 

 

 

手に入った人間性を、無造作に手の中で握り潰した。

 

体力が回復する。

 

足元の泥に一瞬だけ咲いた、青い薔薇の結晶を踏み砕き、畑へ歩く。

 

深い足跡。土がひどく抉れてる。

崩れた畝を戻して、踏み潰された草を抜く。

 

石を退け、灰を払い、葉を持ち上げる。

 

傷がある。けど折れてはいない。

 

 

………畑は壊れても、直せる。

 

 

土を均して寄せ、水をやる。

 

 

水をやれば、水を吸う。

 

 

何も、無い。

 

 

私がいても、変わらない。

 

 

 

 

 

スモウハンマーを仕舞い、畑の脇で静かに燃える篝火へ向かう。

 

突き刺さった剣。くすぶる灰。その前に、腰を下ろす。

 

陽炎の向こうに、別の世界の残像が、うっすら見える。

 

ロードランは、死んだ世界。時空が歪んでる。

 

王刃の腰巻きを身に纏い、同じように虚空を見つめる影。

 

火の粉が舞うのを、じっと見つめる。赤い光が爆ぜて、消えて、また生まれる。

 

 

 

 

 

 

ずっと、そうしてた。

 

 

 

 

 

気付いた時には、残像は霧のように歪んで消えてた。

 

 

 

立ち上がる。

 

 

 

 

 

今日も、土を耕す。

 

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