「それで、俺はどうすれば良いんだ空折」
雪の部屋に来た虎杖は尋ねる。
殺風景で、ベッドなどが最低限置いてあるだけの室内だった。
雪はまあ焦るなと言いながら聞く。
「帰り、遅かったけど特訓は東堂さんしてくれた?」
「あぁ、うん。二時間くらい。呪力の操作の癖が酷いって言って、ちょっとスパーリングに付き合ってくれた。明日、本腰を入れて鍛えるからって」
そうか、気前よく準備運動をしてくれたか。
本当に気持ち悪いと格好いいを両立している希有な男である。
では、行こうか。復讐のために。
「じゃあ、そうだね。ちょっと呪力見せて」
そう言うとベッドの脇に腰掛ける雪。
立っている虎杖が呪力を練る。
歪曲で見る限り、全体的に相応としか言えない。
少なくとも、特級の乙骨には及ばない総量。
乙骨は全身に纏うことで、攻守共にハイレベルを維持できる。
それは武具に呪力を流すことも含めてだ。
虎杖はこの時点でも、モノに呪力を流す練習をしていない。
死滅回游の時の暗殺時に付け焼き刃で真似ただけで。
だから言う。
「悠仁君は呪力の操作が先ず下手。なら、逆手に取ろう」
「ん? どういう意味だ?」
操作が下手なのは致命的な弱点である。
まあ、最低限は出来ているがこれで真人に勝つには無理がある。
だからこう言った。
「私の作った武器から呪力を取ってくる。知ってる? 呪具って、呪力が絶対に切れないんだ。流用しても尽きないの。だからこれを応用して、君のために小手と鞘を作る。色々弄くるけどね。あと、鞘に関しては真人対策と言うか、何て言うか。悠仁君の肉体の強度にもよる」
「身体は丈夫だぜ。一応器だったからな」
心配なのは、鞘の欠片を肉体が受け付けるか。
これを埋め込むと、呪力が変質する可能性がある。
「つまり?」
「私に似た術式が刻まれる可能性があるって事」
そう。エミヤがそうだったように、こいつを入れることで根本的に変わる解釈が有り得る。
その代わり、身体の自然治癒速度が爆上がりする。
反転術式並みに勝手に治る。呪力消費無しで。
どっかのラノベであった。
気合いがあれば止血も骨折も治る。
そういう次元になるけど良いか。
「俺が何か週刊少年誌みたいになってるんだけど!」
「イメージはそんなのだよ。私ももう、埋め込んでる。だから反転術式を会得しなくても、継戦が出来る。ま、君の傷の再生能力がプラナリアみたいなレベルになるっていう代償はあるけども」
「怖えよ! 分裂するの!?」
「しないよ」
此奴は本来、聖剣の鞘だ。
無限の剣製でも全部は作っても意味が無い。
元が強すぎて、劣化してても肉体が耐えない。
だから欠片にするのだが。
「指を食えるなら金属片も食えるよね?」
「……マジか。でも、分かった。食うよ」
こればかりは経口摂取でないと方法はわからない。
自分なら領域で作って、そのまま取り出して思い切り握り潰したら溶けて吸収されたけど。
要は、呪力を呪具から流用することを学ぶ。
流すことで強化する呪具ではなく、受け取る側。
「さて、徒手空拳って言うと殴り合いだよね。ちょっと腕見せて」
差し出す両腕を歪曲で見る。
空間越しにサイズを測る。
これならいける。ただ、ちょっと無茶な改造を施すので、元が余裕のある武具が理想。
(……うーん、やっぱりここは本家の十八番で行こうか。双剣が二丁拳銃に出来たんだから小手にだって出来るでしょ)
雪の主武装がこの弄った元双剣。
釈魂刀を小さくしたナイフと、この双剣を武骨なオートマチックの拳銃にして刃が邪魔だったので削ぎ落とした。
かなり無茶をしたと思う。これ剣じゃないし。
刀剣類の模倣は特化だが、銃というギリギリの武器にするのは結構苦労した。
オルタはどうやってこれを改造したんだろうか。
まあ、剣を矢にして射ってる時点で原型など保ってないが……。
干将と莫邪。
この夫婦の双剣は構造的に使いやすく改造しやすい。
原典の干将、莫邪。ごめんなさい。
互いに引き合う双剣で揃うと身体能力が強化される。
双剣の呪力の総量も結構あるし中身の構造に空白が見つかる。ここに余計なモノを後付けする。
「ちょっと待ってて。今弄くってる」
双剣の刀身を歪めて、鉄甲に変えて。
嗚呼、イメージで良いからか速い速い。
新宿魔境で使ってた小手を干将と莫邪で作る感覚。
あれは乙骨の武器だったがこれは干将と莫邪の小手。
色合いが白黒の武骨な小手の出来上がり。性能も盛る。
余白の部分に続編で学んだ技術を取り入れる。
……と。
(私、簡易領域使えないじゃん……)
そうだった。雪はシン・陰流の簡易領域を使えない。
その代わりのマシュの盾ならあるんだが。
そっちの機能をぶっこ抜いて入れとくか。
要領足りるか不安になる。一種の結界を作る機能。
ギチギチになったが、必死に流し込む。
簡易領域の真似事の結界。
キッチリ入った。劣化はしたけど。
範囲は狭く、精神に依存するが呪力を使わない結界。
ついでに自分の二丁拳銃にもマシュの盾の機能をぶっ込む。
干将と莫邪に余裕があって良かった。こっちも入る。
凄い、この双剣。性能の割りに弄くり放題だった。
性能盛るぺこ。素晴らしきかな、干将と莫邪。
「――I am the bone of my sword」
一節、詠唱。
虚空に両手を挙げて、空間が軋む音がする。
プリンターのように空間を歪めて製造された、白黒の小手と金色の金属の欠片。
片方が干将と莫邪の改造品。
原典には本当にごめんなさい。
「はい、出来たよ」
兎も角、それを手渡す。
受け取った虎杖は装備して軽く振るって様子を見る。
「悪くない。スゲえ軽いし、手に馴染むって言うか」
「まあ、私の複製は持ち主の経験も複製するから」
補助的に経験も上乗せした。
使い方、及び機能の説明をする。
聞いているうちに絶句する虎杖。
特級レベルの武器を改造品で渡された。
「いや、ええと。結界まで張れんの、これ?」
「縛りと劣化で一人分だけどね。あと、悠仁君のメンタル依存」
「それは良いけど……盛りまくったな」
「思いのほか楽しかった。ごめん」
無限の剣製を他人のために使うのも案外悪くない。
注意点として、絶対に呪力を流すな。自壊する。
流用、利用するのは良いが逆流は厳禁。
そういう縛りがかかっているようだ。
術式の構造把握で分かった。
「発動条件は、つけた状態で片手で地面を触る。それで、必殺技みたいに叫べば発動する」
「何て?」
「
簡易領域の代用にしては豪華すぎる白物だが本来の仮定から素っ飛んでいるので当然劣化している。
具体的に言うと本当に簡易領域程度の範囲で、自分しか守れないぐらい下がってる。
複製した方のマシュの盾ならもう少し良いのだが、後付けにぶっこ抜いているため規模が小さい。
非常時の防御である。
そして、肝心の金属の欠片。
「これ食べて」
渡されたのは、
原作で複製できたので欠片なら、こっちは効力はほぼ変わらない。
プラナリアのような再生能力で継戦出来るようになるし、この鞘はあらゆる接触を事象レベルで拒絶する。
中身を絶対に守る最高の鞘だ。
真人の無為転変も、この鞘で魂を守れば、逆に消し飛ぶだろう。
「おう。頂きます」
つまんで、口に放り込む。飲み込む。
すると……。
「うぉっ!? 何か身体が熱い!」
何か早速変化してきた。
薄く光り出す虎杖。
歪曲と直死で念の為確認すると、案の定欠片が悪さしている。
……多分、肉体の毒素を拒絶して浄化している。
宿儺の残った毒素を無毒化しているようだった。
そして、純粋に刻まれた肉体の術式の抽出を行っている?
「そっちに転がったか……」
欠片による術式の付与は免れたが、宿儺の置き土産が浮き彫りになった。
そう説明すると混乱する虎杖。
「えっ? どういう事?」
要するに。
「欠片が浄化をやり過ぎたって事。多分、術式が残ってたんだろうね、宿儺の。毒素を濾過して、術式が浮いてきた。御厨子が使えるのは想定外。いや、フラグはあったんだけど……」
やらかした。初期で五条が言ってた。
器にも刻まれるって。終盤で覚醒したのに。
まさか、濾過で刻まれるとは思うまい。
「試しに、うん。悠仁君、一回外出ようか」
私室を出て、学生寮のロビーに戻る二人。
そこでは、対策会議を行う面々が残っていた。
「何だよ戻ってきて。お前らに用事はねえ。嫌なんだろう、私らが関与するの。だったらあっち行ってろ。忙しいんだ」
素っ気なく追い払う真希が居た。
「真希さんや乙骨先輩から事情は聞いたわ、虎杖。理由は分かった。……あんたは好きに動きなよ。悪いわね、私らはあんたの気持ちは全然分かんない」
戻ってきた釘崎もそう言った。
表情が暗くなる虎杖。雪が不愉快そうに言う。
「お気遣いどうも……と言いたいけど。実験台なら丁度良いかな。天与呪縛の一般人?」
「……あ?」
真希に、雪は言った。
御三家という呪術師しかいない環境で、復讐のために動く彼を否定するの別に良い。
だけど。
「実家に反抗する人に言われたくない。結局見返そうっていう魂胆の根っこって、仕返しだよね。虎杖君の理由と違いってある?」
「……へえ。言うな、お前」
暗に仕返しの規模が違うだけで、復讐と何か違うか。
お前は未来で禪院家を惨殺し復讐している女だ。
そう知るから、敢えて言う。同類の癖に。
「未来を見たのか、私の。で? 私もそいつと同じ事でもしたってか?」
「そうだよ。妹に託された、願い。全てを壊して、ってね」
そう言うと苦い顔をする真希。
図星だったんだろう。
復讐したい気持ちは分かるのに、誹謗でも言ったか。
「同族嫌悪は良くないな。思い当たる節あるでしょ。見返すのは復讐という仕返しと言葉と規模こそ違えど、動機は一緒じゃん」
「……あぁ、そうだな。そこは否定する気は無い」
やられたからやり返す。
平穏な方法であってもこの感情は理解できないと?
「私にはクズの呪術師と普通の呪術師、あと馬鹿目隠しと高専の面々しか知らねえ。お前の言う普通ってのが生きてきた限り、分かるわけもない。……悠仁、だったか」
「あっ、はい……」
不意に呼ばれた彼に彼女は言う。
「分からないなりに言っておくぞ。お前の復讐をやり遂げるつもりなら、方法は少ないと思え。だが、決めたんだったら死んでもやりきれ。格好つけて遠ざけて、自分の弱さを隠そうとしてまで、やるんだろ。周りを巻き込むのが怖いだけのチキンでも、意地を出せ。お前の敵はお前よりも強いんだってな。それでも行けよ、必ず。私らに関わるなって言うなら、そこのチビを扱き使ってでも達成しろ。絶対にだ。お前の復讐が終わった後……まだ、呪術師やるって言うなら。私はお前を呪術師として、高専の後輩として、認めてやる」
「真希さん……」
釘崎がそう唖然とするように言った。
乙骨が彼女なりの妥協だと必死にフォローして仲裁する。
「死に急ぐなら、勝手にしろ。私はお前が死んでも敵討ちなんぞしない。そもそも私は恵と野薔薇の話でお前がどういう奴か聞いてるだけで情なんかねえからな」
「……はい」
お互いどういう人間か、知らない二年と虎杖。
その上で指摘するなら。
「高専の連中を突っぱねたのはお前だ。だが、そこのチビ。お前が唆したのなら話は別だ。お前聞けば正体不明らしいな?」
「だったら何かな」
不敵に笑う雪に嫌味のように言った真希。
「おい悠仁。このチビがお前を宿儺から解放したのは事実として、理由は何だって?」
「多分……同情、だと思う」
そう言うと真希は雪に言い返す。
「お前こそ何様だ? 何もかも見通す魔眼、それで分かった未来でつけあがって揚げ足とって、悠仁を手駒にしやがって。神様気取りも大概にしとけよイレギュラー。お前は私ら高専の呪術師から見れば、厄介な呪霊と大差ねえ厄災だよ」
「真希さん、それ以上は……!」
伏黒が止める。挑発するな。
相手は五条も認める化け物だ。
怒らせたら半殺しにされる。
雪も、そう言う上から目線が嫌いな真希に噛みつかれるのは分かっていた。
「……うん、そうだね。流石将来の反逆者は貫禄が違うよ。良い度胸をしていると思う」
五条と虎杖以外はどうでも良い。
それは、同じだ。
「ねえ、禪院先輩。一個だけ、言っとくよ」
「……なんだ?」
警戒する彼女に、言うことは。
クソ野郎はやっぱり殺すのかと聞きたい。
「クソ野郎? うちにはクソ野郎しか居ねえよ」
いや、禪院家全体的に恨みすぎてないかこの人、と普通に思った。
これでよく復讐が理解できないとか言える。
「主にドブカスクソ野郎」
「ドブカス……? ドブカス……あぁ、直哉か。あいつがどうした?」
不意に出てきた名前に一同分からず聞いた。
次期禪院家の当主。性根の腐ったクソ野郎。
「あと扇さんとか」
「うわ、止めろさん付け。自分の親でも怖気がするわ」
実の親にこの嫌われよう。
本気で拒否ってる。
「それがどうした? 禪院家で私が当主になる未来でも見たってなら歓迎するぞ」
「逆だよ逆。未来に禪院家滅ぶんだ」
言っちゃおうと思った。
だって虎杖のこと否定するから。
未来という現実を教えてやる。
「はぁっ!? 何で滅ぶんだよあの規模で!? ……待て、さっき私のこと未来の反逆者とか言ったな。それに真依の願いでって。おい、まさかやるの私か!?」
「そうだよ?」
自分で惨殺する癖に何言ってんの? と聞いた。
これでも虎杖のこと言えるかと。
「何でだよ!? 確かに恨んじゃいるが皆殺しにするほど恨んではいねえよ、其処までは! その過程で何が起きてるんだよ未来の私!」
「うーん……先に大きな戦いがあって、色々あったんだけど。今は前提で引っくり返ってるから全滅は覆る……かも?」
「待てよ、馬鹿目隠しは!? あいつどうした!」
こんな時の為の最強だろう、と言うと。
不意に。乙骨が、気付く。
「……ねえ、空折さん。未来で五条先生が、何かあったの?」
海外に行く前にあれこれ言われた乙骨は直ぐに気づいて聞いた。
彼女の言動の根本は、虎杖も分かっているから思わず言う。
「空折、お前は……もしかして、何かの惨劇を回避するために、動いているのか? 先生が、例えば……死ぬとか」
そう言われて、全員が絶句する。
死ぬのか。五条が、未来で。
何故? と言われて出てくるのは宿儺だった。
殺す相手は。故にその前に、宿儺を殺した。
史上最悪のあいつを殺して、前提を覆した。
「んー……ま、正解。そろそろネタバレしても良いかな。ぶち壊れた物語の火蓋は切れたんだ。いいよ、聞きたいことがあるなら特別に教えてあげる。禪院家の動きも気になるし……。先輩が鬼神に、嘗ての禪院甚爾のようになる条件も聞きたい? あ、それと伏黒君のお姉ちゃんの理由も知ってるよ」
「甚爾……?」
「津美紀の理由だと!?」
そう。この名前は、禪院家の恐怖の証。
その義理の娘、津美紀も知っている。
いきり立つ伏黒が立ち上がった。
その表情は……焦り。
「言え、空折! 津美紀は何でああなった!? 理由を知ってるなら、お前は!」
「落ち着け恵! どうした、急に!」
パンダが慌てて駆け寄る彼を組み付いて宥めた。
「離して下さい、パンダ先輩! こいつに聞かないといけない事なんですよ!!」
藻掻く彼は見たこと無いほど、焦っていた。
答えは目の前にあるのに。そういう感情。
「必死だね? そりゃそうだ。君の呪術師としての基盤の……大事な家族だもん」
「やっぱりか……!! だったら、無理矢理喋らせる! 来い、玉犬!!」
羽交い締めにされても尚、鬼気迫る勢いで印を結ぶ。
影から出てくる、人狼が居た。玉犬……その進化系。
「落ち着いて皆! 空折さん、何がしたいの!?」
襲い来る玉犬すら全力で抑える乙骨。
一転して喧噪になるロビー。
交流戦どころじゃない爆弾を投下した犯人は無邪気に彼等を見て笑う。
焦ってる、困惑している。
混沌の坩堝。交流戦で変えるなら、多くを変えようかなと思っただけだ。
「未来が変わる。私の知らない未来に。先生の最強のまま。それが目的かな。今教えたのは、もののついで?」
何がしたいのか。
五条の生きる世界で、時を進めていきたいだけ。
虎杖の救済で、彼がアヴェンジャーになったように。
ただ、それだけだ。
「吐かせてやる……絶対に!」
「恵、何だ!? 玉犬まで出して!?」
真希も我に返って玉犬を一緒に抑える。
「言え、空折! 知っている情報を、全て!!」
「だったら虎杖君の特訓に付き合ってよ、伏黒君」
ニヤニヤ笑って、困惑している虎杖に言う。
模擬戦しようと。相手は、切れ気味の伏黒。
「待って!? もうこの時間で、何処で!?」
「何処でも良いよ? 私の領域でやるなら、直ぐに展開するし」
フィールドならクソ寒い闇夜の雪原で良いなら貸すけど、と言った。
「巫山戯るな! 俺が聞きたいのはお前だ空折!」
「ん? じゃ、私も虎杖君の味方になるよ? 良いの?」
あくまで優先は彼だったが……。
聞いちゃいない伏黒がキレて言う。
「虎杖は関係ない!! お前が相手しろ!」
もう一触即発どころか戦争状態だった。
「あぁ、もう! 恵の地雷踏みやがって! おい棘、呪具持って来い! 作戦会議の間の実戦だ!」
どうやら真希が向こうには着くらしい。
皆がバタバタして準備する。
本当はこの二人は放置して決行予定だったが。
計画が狂った。
「えぇ!? いきなり伏黒とやるのか!?」
「んーん? 彼の相手は私。君は禪院先輩かな。思いっきり不利だから頑張ってね」
交流戦の前の準備運動って事だ。
意図せず地雷を踏んだ彼女は言う。
知りたいなら、禁忌以外で来い。
魔虚羅使ったら絶対に言わない。
「あぁ、いいよやってやる……!」
「うわ、滅茶苦茶怒ってる?」
「お前が正体不明でも何でも良い! 知り得る機会が、やっと来たんだ! その為なら規定だって知るか!!」
怖い。何か躍起になってる。
……絶対に救えない未来しかないのに。
(そういえば宿儺居ないから万が復活する理由無いんだっけ。どーしよ)
ついでに助けるか?
出来ないこともないけど。
「シャケ!」
狗巻が大きな薙刀を持ってきた。
あれぶん回すのようだ。凄いと思う天与呪縛。
「じゃあ、前夜祭の始まりだ! 気張っていこう、悠仁君!」
「お祭りじゃなくてケンカだよこれー!?」
笑って雪はそう言うと、頭を抱える虎杖。
全員こっちに引きずり込む。
「……ちょっと詠唱長いけど、ゴメンね!」
細氷の領域を、激オコの伏黒と唖然とする釘崎を巻き込んで。
「――領域展開!
皆を巻き込み、包み込む。
こうして、交流戦前の前夜祭は始まった……。