植田さんから勧誘を受けた次の日、
「不自然です。完全に変質者です」
麗奈となんとか会話がしたい久美子が挙動不審だった…。
「なにやってんの!行け行け!」
「久美子ちゃんファイトです!」
緑ちゃん、葉月ちゃんがイケイケとばかりにドタバタとする。
そんな僕達を見て、久美子は決心したのか麗奈に声をかけた。
「あ…あの…高坂さん…あ…あ…ほっ」
麗奈は久美子の声に気付かず、そのまま歩いていってしまった。
そして、ほっとしている久美子。すぐさま、葉月ちゃんが声をかけにいった。
「なにほっとしてんのさ」
「今日こそ高坂さんと話すって言ってたじゃないですか」
「後にするほど、声かけにくくなるよ」
「うん、わかってるよ。今日の部活の時話しかけてみるよ」
「昨日もそう言ってたでしょ」
「ちょっと葉月ちゃん?」
「行けー久美子ーとーーー」
「うわーー」
葉月ちゃんによって、押し出されてしまった久美子は、麗奈の目にヘッドスライディングをした。うん良いスライディングだ…じゃなくて_大丈夫か?
「どうしたの 大丈夫?」
「あはは大丈夫だよ」
「本当に?」
「全然大丈夫ー」
「そう?」
結局、そんな話をするだけなので…これ以上進展する訳もなく_麗奈は去っていった。
「あああ、絶対変だって思われてる」
「ちゃんと話さないからでしょ?」
教室に戻り、四人で集まり、さっきの話の続きを始める。
「葉月ちゃんのせいじゃんかぁ」
「麗奈の事だからそんな事は思ってないとは思うけど…」
「私達が間に入ろうか? 久美子が昔のことを謝りたいって高坂さんに話せば」
「私が謝るのかー」
「違うんですか?」
「うーーん、確かに言わなくてもいい一言だったのかもしれないけど、あの時本気で全国に行けるって思ってた子は少なかったと思うんだよね。泣いて悔しがる方が珍しいって言うか」
「じゃあむしろ気にすることじゃないじゃん」
「うん、そっか。そうだよね」
「何とかなりそうですね」
「でもなーーー」
「めんどくさっ」
葉月ちゃん、気持ちは分かるよ。
結局、何も解決策が出てくるはずもなく、廊下を歩いて音楽室へと向かう。
「そういえば楽器決めるのって今日だっけ?みどりちゃんはコンバス続けるの?」
「もちろんです」
葉月ちゃんが緑ちゃんに聞くと、そう返した。
本当にコンバスの事が大好きなんだ。
「そんなに好きなんだ?コンバス」
「そうですね。しいて言うなら、命かけてます!」
「言い切った!」
「久美子ちゃんはやっぱりユーフォですか?」
「え?なんで?」
「なんでって…」
「あ、そうか。私だって別の楽器希望してもいいんだよね」
「そりゃそうじゃない?」
「変えるんですか?」
「うーん!それもいいかな?私元々トロンボーンやってみたかったし、浩輔は希望とかってあるの?」
「急に話が飛んできたな」
久美子に話が振られてたのに、話が飛んできた。
「工藤君は何やるんですか?」
「最初はユーフォとかって思ってたけど。一緒にクラリネットやらないって誘ってくれた子が居て、クラリネットもいいなって」
「おおークラリネットですか!」
なんて会話をしていると、あっという間に音楽室に到着した。
既に、結構な人数が集まっていた。
こっちに気付いた植田さんが手を振ってきたので、僕も手を振って返した。
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「新しく顧問になる滝先生が明日からいらっしゃるので、詳しいことはその時に聞くように。では高校生らしい態度と高校生らしい服装で今後も部活に励むように。以上だ」
『はぁーーー』
副顧問って松本先生だったのか。
「美知恵先生が副顧問だったとは」
「びっくりしましたね」
「滝先生ってどんな人なんだろうね」
滝先生_気になるよね、うんうん
「はーーい じゃあ楽器の振り分けに移ります。私は部長の小笠原はるかです。担当はバリサクなんで、サックスパートの人はかかわることも多いと思います、じゃあ」
やっぱり部長さんだったか。
「はいっ はーーーい!低音やりたい人!」
「まだ早い」
あっ、あの時の先輩が乱入してきた。
部長さん、大変だなぁ…
「じゃ、初心者もいると思うのでまずは楽器の説明をしていきます。そのあと各自、希望の楽器のところへ集まってください。ただし、希望が多い楽器は選抜テストになります」
やっぱりそうなるよね。
偏りすぎるのも良くないからね。ユーフォは人気がないって久美子言ってたし、だめだったらユーフォいく事になるかな。
「じゃあまず、トランペット」
晴香部長がそう言って、出てきたのは凄い美人の先輩だった。
「トランペットパートリーダーの中世古香織です」
「わーーー、香織先輩、今日も超美人」
「ライバル増えるよー絶対、一年にも人気でるもん」
後ろの方でそんな話し声が聞こえてきた。
人気が出るのも頷ける。この吹部の中でも人気の先輩だと思う。
「トランペットは金管の中でも花形です。ソロやメロディーが多いし、きっと楽しいと思います。今このパートは五人居て仲も良いのでぜひみなさん希望してくださいね」
そして、その後、各楽器の説明を受けた。
行こうかと思っているクラリネットのパートリーダーは鳥塚ヒロネ先輩。
名前は覚えた。
「低音パートリーダー兼副部長の田中あすかです。楽器はユーフォです」
あの人。副部長だったんかい。
でも、そうじゃないとあんな滅茶苦茶な事出来ないよね。
「ユーフォー?」
「楽器の名前かなあ?」
「うん。ユニフォームのことだよん」
「ユーフォニアム」
「あ、うん」
「ていうか、私がユーフォやってたことは秘密ね」
「え、なんでなんで?」
「そのほうが他の楽器に移りやすいでしょ?」
ただでさえ、人気が薄い楽器だから経験者だってばれたら間違いなくユーフォに持っていかれるもんな…
「ユーフォニアムというのはピストンバルブが装備された変ロ調チューバのことを指します。この楽器の起原ははっきりしませんが、ゾンメルフォンという楽器を元に改良が加えられ、一般に使われるようになった説や、サクソルン族の中のピストン式バスの管を広げてイギリスで」
「ストーーーーップその話どれくらい続くの?」
「ふんっ」
あまりにも説明が長い田中先輩を止めた晴香先輩。
というか、ここまで説明できるのも凄い。ユーフォの事が大好きなんだろうなきっと
「ふぁーー、はい次」
「ぇーーー?まだおさわりだよー?」
そして、強引に辞めさせられる。
「次、チューバ」
「チューバ担当の後藤です。チューバは低音でメロディーがあんまりなくて、あと、重いです」
「えっ? 終わり?」
田中先輩と違って、こっちはあっという間に説明が終わってしまった。
「はい」
「ちょっと後藤!それじゃあチューバの魅力が全然伝わってないよ? かわりにこの田中あすかが!」
まぁ…そうなるよね。
「はいはいあすかは黙っとく」
「チューバは無しだな」
「うん」
魅力的には映らなかったか。
僕も同じくだけど
「それから低音パートにはコントラバスと言う楽器があるんですが、残念ながら今は演奏者が居ない状況です。この中に誰か?」
晴香部長がそう聞くと、緑ちゃんが手を挙げた。
「おおおーーー?もしかしてコンバス経験者?」
「はい。聖女でやってました」
聖女だと…!?緑ちゃん、只者ではないじゃん。
なんでここに居るんだ…
「聖女ってあの聖女?」
「やった!」
「聖女ってすごいの?」
「うん。お嬢様学校で、吹奏楽の強豪だよ」
「やってくれる?」
「その言葉を待ってました!」
「気に入った!ということで、この子は私が貰ったから」
「本当は希望を取ってからだけど、ま、いいわよね?」
緑ちゃんの楽器は、あっという間に決まった。
聖女で経験者だし、文句を言う人は居ないだろう。うんうん
「じゃあみんな。それぞれ希望の楽器のところに並んでください」
晴香部長がそう言うと、各々行きたい楽器の所へと向かっていく。
「じゃあ私トランペット行ってくるね」
葉月ちゃんはそう言って、トランペットパートの方に行った。
さて、クラリネットパートへと向かおうとすると、植田さんに捕まった。
「それじゃあ、工藤君行こう?」
「オッケー。それじゃあ、久美子行ってくるわ」
「うん」
そして植田さんに連れていかれるがまま。僕は彼女と一緒にクラパートへと向かう。
久美子が田中先輩に捕まっていたけど。上手い事逃げれる事を祈っておこう。
「すみません、クラリネットってここで合ってます?」
「そうだよ~経験者?」
「私は経験者です!」
「僕は初心者です」
「オッケー私は、さっき挨拶したけど、パートリーダーの鳥塚ヒロネ。よろしくね」
『お願いします』
そして、クラリネットの先輩方にあれこれ説明を受けた。
僕の担当をしてくれたのは、二年生の島りえ先輩。
「なるほど…こうすればいいと」
「そうそう、それが出来ればすぐに上手になるよ」
島先輩、優しい。
すると、音楽室にトランペットの音が響き渡った。
その音がした方を見ると、そこには麗奈が居た。
一瞬だけだけど、ここにいるみんなの視線が麗奈に行ったけど、すぐさま戻る。
「あの子凄いね」
「ですね」
「じゃあ、続きを教えていくね」
「はい、お願いします」
そして、島先輩は一から教えてくれた。
本当に島先輩、優しすぎる。
更新頑張るで~!