個性『異生獣(スペースビースト)』~僕とトガちゃんの共犯者物語~   作:復活のB

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第13話、もとい前回の後編です。

今回13号と飯田くんかなり酷い目に遭うので、13号・飯田くんが好きな人や、そういった展開が苦手な人は閲覧をご遠慮ください。

……あらかじめ言っておきますが、自分は別に13号が嫌いという訳ではありませんからね!?


第13話『それぞれの戦場(後編)』

─────A組の生徒達が各エリアへ飛ばされた、その直後

 

そこには、未だに戦場が残されていた

 

13号は、スペースビースト──ゴルゴレムの長大な口吻に脇腹を噛み付かれながらも、辛うじて意識を保っていた

 

「……っ!」

 

全身を走る激痛

 

呼吸するだけでも、傷口から身体の奥まで響く

 

それでも、13号は倒れなかった──否

 

倒れるわけにはいかなかった

 

目の前には、生徒達を狙うヴィラン──黒霧がいる

 

13号は痛みに耐えながら、彼を見据える

 

彼女の胸中に過ぎるもの…それは───後悔だった

 

敵が透明化していたとはいえ、自分はその存在に気付けなかった

 

結果として、守るべき生徒達の前で攻撃を受けてしまった

 

(僕が……もっと警戒していれば……)

 

しかし、後悔に沈んでいる暇などない

 

まだ戦いは終わっていない

 

目の前には、生徒達を脅かす敵がいる

 

ならば───

 

「……っ!」

 

13号は未だ自身を襲う激痛にマスクの下の顔を歪めながらも、傷付いた身体を奮い立たせ、再び黒霧へと向き直り

 

13号は、痛みに耐えながら右手をゆっくりと持ち上げた

 

そして───指先に意識を集中させる

 

彼女の個性

 

『ブラックホール』

 

指先からいかなるものも吸い込み、分子レベルで崩壊させるという、強力な個性

 

本来ならば、目の前のヴィランを退けるには十分な力だった

 

13号は開いた指を、黒霧へと向ける

 

「ブラックホ───」

 

その瞬間

 

ギリィッ!!

 

「───っ!?」

 

ゴルゴレムが、13号の身体へ噛み付く力をさらに強めた

 

「ぐっ……!」

 

狙いが逸れる

 

ブラックホールを発動する寸前、13号の身体が大きく引っ張られた

 

そして、彼女の身体は大きく持ち上げられ───

 

ズドォンッ!!

 

「がっ……!」

 

───地面へと叩き付けられる

 

「……っ!」

 

起き上がろうとする

 

だが、再び持ち上げられ

 

ズドォンッ!!

 

「ぐっ……!」

 

再び、地面へ

 

そして───

 

ズドォンッ!!

 

「っ……!」

 

三度目

 

ゴルゴレムは13号を振り回すようにして、何度も地面へ叩き付ける

 

そのたびに身体へ衝撃と激痛が走り、13号の意識が遠のきかける

 

「……ぁ……」

 

視界が揺れる

 

それでも、13号は必死に意識を繋ぎ止めていた

 

(まだ……倒れるわけには……)

 

生徒達がいる

 

彼女には、それだけが支えだった

 

だが───

 

バキッ!!

 

「……っ!?」

 

最後の一撃

 

衝撃によって、13号のマスクに亀裂が走る

 

そして───

 

パリンッ!!

 

マスクの半分が砕け、地面へと落ちた

 

隠されていた素顔が露わになる

 

「……はぁ……っ、はぁ……っ……」

 

荒い呼吸を繰り返しながら、13号は何とか身体を起こす

 

マスクを失ったことで、その表情には苦痛がはっきりと浮かんでいた

 

しかし、それでも彼女は立ち上がろうとする

 

「……まだ……です……」

 

その声は震えていた

 

それでも尚───戦う意思だけは失っていなかった

 

◇

 

「……飯田くん……?」

 

13号の声を聞いた飯田は、思わず彼女のもとへ駆け出そうとした

 

「13号先生……!」

 

一歩、足を踏み出す

 

だが───

 

「……っ!」

 

飯田は、その場で立ち止まった

 

目の前には、傷付いた13号

 

今すぐ駆け寄って、彼女を助けたい

 

しかし、その一方で脳裏に浮かぶのは、土砂ゾーンで自分を逃がしてくれた轟の姿だった

 

(轟くんは……僕を逃がすために、あの場所に残った……!)

 

自分までここに残れば、轟の覚悟を無駄にしてしまう

 

だからこそ───

 

(僕は……助けを呼ばなければ!)

 

しかし、頭ではそうわかっていても、13号を置いていくことへの躊躇いが消えない

 

「…………」

 

そんな飯田の様子を、13号は黙って見つめていた

 

そして───

 

13号の眼差しが、僅かに変わる

 

飯田には、それだけで十分だった

 

(……行け、と……!)

 

13号は、飯田が助けを呼びに行こうとしていることを察していた

 

そして彼女自身も、飯田(生徒)を逃がすつもりなのだ

 

「……分かりました!」

 

飯田は強く頷いた

 

「必ず、助けを呼んできます!」

 

そう叫ぶと、飯田は出口へ向かって走り出した

 

だが───

 

「そう簡単には、逃がしませんよ」

 

その声は、飯田の正面から聞こえた

 

「……!」

 

飯田の前方

 

13号のさらに向こう側に立つ黒霧が、黒い霧状の身体を広げていた

 

「我々の目的は、あくまでオールマイトです。しかし……あなたが教師を呼びに行くとなれば、話は別…」

 

黒霧の身体から、霧が大きく広がる

 

「ここで、止まっていただきましょう!」

 

「くっ……!」

 

飯田の進路を塞ぐように、黒い霧が迫る

 

その直後だった

 

「ゴォォォォォッ!!」

 

ゴルゴレムの身体から、凄まじい電撃が放たれた

 

「───!」

 

電撃は飯田へ向かって一直線に迫る

 

だが、飯田は避けようとはしなかった

 

「ここで……止まるわけにはいかないッ!!」

 

電撃が直撃する、その寸前

 

「はあああああっ!!」

 

飯田は地面を強く蹴り、大きく跳躍した

 

バチィィィッ!!

 

電撃が飯田の足元を掠め、そのまま地面へと突き刺さる

 

「うおおおおおっ!!」

 

ドゴォンッ!!

 

地面にぶつかった電撃の衝撃が、飯田の身体をさらに上へと押し上げる。

 

その勢いのまま───

 

飯田は黒霧の頭上を飛び越えた

 

「何と……!」

 

黒霧が僅かに驚く

 

飯田はそのまま着地し、止まることなく出口へ向かって走り出した

 

「はあっ……!はあっ……!」

 

一歩

 

また一歩

 

出口はもう目の前だ

 

だが───

 

(逃がすわけにはいきませんね)

 

黒霧の身体から、再び黒い霧が伸びる

 

「お待ちなさい!」

 

飯田を飲み込もうと、黒霧が追いすがる

 

その時

 

「───っ!?」

 

飯田の右足に、突然強烈な痛みが走った

 

「ぐっ……!」

 

飯田の身体が大きく揺らぐ

 

「な、何が……!?」

 

視線を下へ向ける

 

そこには───

 

ゴルゴレムの長大な口吻

 

それが、飯田の右ふくらはぎへと食らいついていた

 

「なっ……!(こいつは、13号先生を襲った怪物の…!)」

 

ゴルゴレムは、先ほどまで13号を拘束していた

 

しかし、ゴルゴレムは13号がすでに限界に近く、これ以上大きく動くことは難しいと判断したのだ

 

だからこそ口を離し、次に狙ったのは───飯田

 

彼の驚異的なスピードを生み出している、脚部のエンジン

 

そこを狙えば、飯田の動きを止められる

 

「ぐっ……!離れろッ!」

 

飯田が必死に振りほどこうとする

 

だが、その一瞬の隙を黒霧は逃さなかった

 

「捕らえました」

 

黒い霧が、飯田へ迫る

 

「くっ……!」

 

もう逃げられない

 

───その瞬間

 

ゴォォォォォォォォォッ!!

 

凄まじい吸引音が、戦場に響き渡った

 

「……!?」

 

黒霧の身体を構成する霧が、突如として後方へ引き寄せられていく

 

「これは……!」

 

ズズズズズズズッ!!

 

黒霧の身体が、強烈な吸引力によって引っ張られる

 

「まさか……!」

 

黒霧が振り返った

 

そこには───

 

「……はぁ……っ」

 

満身創痍となりながらも、辛うじて立っている13号の姿があった

 

「13号先生……!」

 

飯田が目を見開く

 

13号は、震える手を前へ伸ばしていた。

 

そして、その指先の蓋を開いている

 

「……ブラックホール……!」

 

ゴォォォォォォォォォッ!!

 

『ブラックホール』が発動する

 

凄まじい吸引力が黒霧を引き寄せ、その身体を構成する霧を次々と吸い込んでいく

 

「……!」

 

ゴルゴレムもまた、その光景に反応するように動きを止めた

 

その僅かな隙を───飯田は逃さなかった

 

「今だッ!!」

 

「はあああああっ!!」

 

ガンッ!!

 

飯田は左足で、ゴルゴレムの口吻を蹴り飛ばした

 

「グォッ……!?」

 

飯田に蹴り飛ばされ、口吻の噛む力が僅かに緩む

 

飯田はその隙を逃さずに右足を半ば強引に引き抜くと、そのまま出口へ向かって駆け出した

 

「うおおおおおおおっ!!」

 

そして───

 

ドガァンッ!!

 

出口の扉を蹴破る

 

「……!」

 

13号は、飯田が無事に脱出したことを確認した

 

「……よかった……」

 

その次の瞬間

 

13号の表情が変わった

 

「……今度は……!」

 

ゴォォォォォォォォォッ!!

 

ブラックホールの出力が一気に増した

 

「グォォォォォォッ!!」

 

ゴルゴレムの巨体が、強烈な吸引力によって引き寄せられていく

 

ゴルゴレムは吸い込まれまいと、自身の能力──別の位相へ移動して透明になる能力を使い、ブラックホールから逃れようとする

 

しかし───

 

ゴォォォォォォォォォッ!!

 

間に合わなかったゴルゴレムの身体が浮かび上がり、ブラックホールへと吸い込まれていく

 

「グォォォォォ……!」

 

やがて、その巨体は凄まじい吸引力によって収束し、吸い込まれ──塵となって消滅した

 

「…………」

 

13号は荒い息を吐く

 

だが

 

「全てを吸い込み、塵にする『ブラックホール』……」

 

黒霧の声が響いた

 

「なるほど。驚異的な個性です」

 

「……!」

 

13号が黒霧を見る

 

黒霧は体の霧をブラックホールに吸引されながらも、その場に佇んでいた

 

「しかし、13号」

 

黒霧は淡々と続ける

 

「あなたは災害救助で活躍するヒーロー……」

 

「…………」

 

「やはり、戦闘経験は一般のヒーローに比べ、半歩劣る!」

 

その瞬間

 

黒霧の身体に、ワープホールが出現した

 

「……!」

 

ブラックホールの吸引力そのものが、そのワープホールへと吸い込まれていく

 

そして───その直後

 

13号の背後に、別のワープホールが出現した

 

「……!」

 

ゴォォォォォォォォォッ!!

 

吸い込まれたブラックホールの凄まじい吸引力が、今度は13号の背後から放たれる

 

「ワープゲート…!」

 

その凄まじい吸引力によって──

 

バキィン!

 

13号のコスチュームの背中側が破壊されて、そのまま身体の一部諸共ブラックホールへと吸い込まれ、塵となって消えていく

 

「や…やられた…」

 

ゴルゴレムに負わされたダメージに加え、自らの個性によって身体の一部まで失ったことで、13号はとうとう身体を支えることすらできなくなっていく

 

「……飯田くんは……」

 

13号は、霞む視界の中で出口を見る

 

そこにはもう、飯田の姿はない

 

「……無事に……逃げられた……」

 

それだけを確認すると

 

13号はゆっくりと目を閉じる

 

「…………」

 

(飯田くん…後は…頼み…ま……す…)

 

そして、その思考を最後に、身体が前へ傾き───

 

ドサッ……

 

13号は意識を手放し、その場に倒れ込んだ

 

◇

 

一方、その頃

 

「はぁ……っ!はぁ……っ!」

 

飯田は走っていた

 

ゴルゴレムに噛みつかれたことで未だ流血が止まらぬ、右足の痛みにも耐えて、全力で

 

一刻も早く、教師を呼ぶために

 

ヒーロー(助け)を呼ぶために

 

仲間達を救うために

 

そして───

 

(13号先生……!どうか、無事でいてください……!)

 

自分を逃してくれたクラスメイト(轟 焦凍)と、教師(13号)の助けを無駄にしない為に

 

飯田は、ただひたすらに走り続けていた

 

To be continued……




いかがでしたでしょうか?まずは13号ファンの方々、並びに13号が好きという方々、13号さんを酷い目に遭わせてすいませんでした!!m(_ _)mあっ、念の為もう一度言っておきますが、自分は別に13号さんが嫌いという訳ではありませんからね!?

それと次回からちゃんと主人公(黒斗)も登場しますので、ご安心ください
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