個性『異生獣(スペースビースト)』~僕とトガちゃんの共犯者物語~ 作:復活のB
今回13号と飯田くんかなり酷い目に遭うので、13号・飯田くんが好きな人や、そういった展開が苦手な人は閲覧をご遠慮ください。
……あらかじめ言っておきますが、自分は別に13号が嫌いという訳ではありませんからね!?
─────A組の生徒達が各エリアへ飛ばされた、その直後
そこには、未だに戦場が残されていた
13号は、スペースビースト──ゴルゴレムの長大な口吻に脇腹を噛み付かれながらも、辛うじて意識を保っていた
「……っ!」
全身を走る激痛
呼吸するだけでも、傷口から身体の奥まで響く
それでも、13号は倒れなかった──否
倒れるわけにはいかなかった
目の前には、生徒達を狙うヴィラン──黒霧がいる
13号は痛みに耐えながら、彼を見据える
彼女の胸中に過ぎるもの…それは───後悔だった
敵が透明化していたとはいえ、自分はその存在に気付けなかった
結果として、守るべき生徒達の前で攻撃を受けてしまった
(僕が……もっと警戒していれば……)
しかし、後悔に沈んでいる暇などない
まだ戦いは終わっていない
目の前には、生徒達を脅かす敵がいる
ならば───
「……っ!」
13号は未だ自身を襲う激痛にマスクの下の顔を歪めながらも、傷付いた身体を奮い立たせ、再び黒霧へと向き直り
13号は、痛みに耐えながら右手をゆっくりと持ち上げた
そして───指先に意識を集中させる
彼女の個性
『ブラックホール』
指先からいかなるものも吸い込み、分子レベルで崩壊させるという、強力な個性
本来ならば、目の前のヴィランを退けるには十分な力だった
13号は開いた指を、黒霧へと向ける
「ブラックホ───」
その瞬間
ギリィッ!!
「───っ!?」
ゴルゴレムが、13号の身体へ噛み付く力をさらに強めた
「ぐっ……!」
狙いが逸れる
ブラックホールを発動する寸前、13号の身体が大きく引っ張られた
そして、彼女の身体は大きく持ち上げられ───
ズドォンッ!!
「がっ……!」
───地面へと叩き付けられる
「……っ!」
起き上がろうとする
だが、再び持ち上げられ
ズドォンッ!!
「ぐっ……!」
再び、地面へ
そして───
ズドォンッ!!
「っ……!」
三度目
ゴルゴレムは13号を振り回すようにして、何度も地面へ叩き付ける
そのたびに身体へ衝撃と激痛が走り、13号の意識が遠のきかける
「……ぁ……」
視界が揺れる
それでも、13号は必死に意識を繋ぎ止めていた
(まだ……倒れるわけには……)
生徒達がいる
彼女には、それだけが支えだった
だが───
バキッ!!
「……っ!?」
最後の一撃
衝撃によって、13号のマスクに亀裂が走る
そして───
パリンッ!!
マスクの半分が砕け、地面へと落ちた
隠されていた素顔が露わになる
「……はぁ……っ、はぁ……っ……」
荒い呼吸を繰り返しながら、13号は何とか身体を起こす
マスクを失ったことで、その表情には苦痛がはっきりと浮かんでいた
しかし、それでも彼女は立ち上がろうとする
「……まだ……です……」
その声は震えていた
それでも尚───戦う意思だけは失っていなかった
◇
「……飯田くん……?」
13号の声を聞いた飯田は、思わず彼女のもとへ駆け出そうとした
「13号先生……!」
一歩、足を踏み出す
だが───
「……っ!」
飯田は、その場で立ち止まった
目の前には、傷付いた13号
今すぐ駆け寄って、彼女を助けたい
しかし、その一方で脳裏に浮かぶのは、土砂ゾーンで自分を逃がしてくれた轟の姿だった
(轟くんは……僕を逃がすために、あの場所に残った……!)
自分までここに残れば、轟の覚悟を無駄にしてしまう
だからこそ───
(僕は……助けを呼ばなければ!)
しかし、頭ではそうわかっていても、13号を置いていくことへの躊躇いが消えない
「…………」
そんな飯田の様子を、13号は黙って見つめていた
そして───
13号の眼差しが、僅かに変わる
飯田には、それだけで十分だった
(……行け、と……!)
13号は、飯田が助けを呼びに行こうとしていることを察していた
そして彼女自身も、
「……分かりました!」
飯田は強く頷いた
「必ず、助けを呼んできます!」
そう叫ぶと、飯田は出口へ向かって走り出した
だが───
「そう簡単には、逃がしませんよ」
その声は、飯田の正面から聞こえた
「……!」
飯田の前方
13号のさらに向こう側に立つ黒霧が、黒い霧状の身体を広げていた
「我々の目的は、あくまでオールマイトです。しかし……あなたが教師を呼びに行くとなれば、話は別…」
黒霧の身体から、霧が大きく広がる
「ここで、止まっていただきましょう!」
「くっ……!」
飯田の進路を塞ぐように、黒い霧が迫る
その直後だった
「ゴォォォォォッ!!」
ゴルゴレムの身体から、凄まじい電撃が放たれた
「───!」
電撃は飯田へ向かって一直線に迫る
だが、飯田は避けようとはしなかった
「ここで……止まるわけにはいかないッ!!」
電撃が直撃する、その寸前
「はあああああっ!!」
飯田は地面を強く蹴り、大きく跳躍した
バチィィィッ!!
電撃が飯田の足元を掠め、そのまま地面へと突き刺さる
「うおおおおおっ!!」
ドゴォンッ!!
地面にぶつかった電撃の衝撃が、飯田の身体をさらに上へと押し上げる。
その勢いのまま───
飯田は黒霧の頭上を飛び越えた
「何と……!」
黒霧が僅かに驚く
飯田はそのまま着地し、止まることなく出口へ向かって走り出した
「はあっ……!はあっ……!」
一歩
また一歩
出口はもう目の前だ
だが───
(逃がすわけにはいきませんね)
黒霧の身体から、再び黒い霧が伸びる
「お待ちなさい!」
飯田を飲み込もうと、黒霧が追いすがる
その時
「───っ!?」
飯田の右足に、突然強烈な痛みが走った
「ぐっ……!」
飯田の身体が大きく揺らぐ
「な、何が……!?」
視線を下へ向ける
そこには───
ゴルゴレムの長大な口吻
それが、飯田の右ふくらはぎへと食らいついていた
「なっ……!(こいつは、13号先生を襲った怪物の…!)」
ゴルゴレムは、先ほどまで13号を拘束していた
しかし、ゴルゴレムは13号がすでに限界に近く、これ以上大きく動くことは難しいと判断したのだ
だからこそ口を離し、次に狙ったのは───飯田
彼の驚異的なスピードを生み出している、脚部のエンジン
そこを狙えば、飯田の動きを止められる
「ぐっ……!離れろッ!」
飯田が必死に振りほどこうとする
だが、その一瞬の隙を黒霧は逃さなかった
「捕らえました」
黒い霧が、飯田へ迫る
「くっ……!」
もう逃げられない
───その瞬間
ゴォォォォォォォォォッ!!
凄まじい吸引音が、戦場に響き渡った
「……!?」
黒霧の身体を構成する霧が、突如として後方へ引き寄せられていく
「これは……!」
ズズズズズズズッ!!
黒霧の身体が、強烈な吸引力によって引っ張られる
「まさか……!」
黒霧が振り返った
そこには───
「……はぁ……っ」
満身創痍となりながらも、辛うじて立っている13号の姿があった
「13号先生……!」
飯田が目を見開く
13号は、震える手を前へ伸ばしていた。
そして、その指先の蓋を開いている
「……ブラックホール……!」
ゴォォォォォォォォォッ!!
『ブラックホール』が発動する
凄まじい吸引力が黒霧を引き寄せ、その身体を構成する霧を次々と吸い込んでいく
「……!」
ゴルゴレムもまた、その光景に反応するように動きを止めた
その僅かな隙を───飯田は逃さなかった
「今だッ!!」
「はあああああっ!!」
ガンッ!!
飯田は左足で、ゴルゴレムの口吻を蹴り飛ばした
「グォッ……!?」
飯田に蹴り飛ばされ、口吻の噛む力が僅かに緩む
飯田はその隙を逃さずに右足を半ば強引に引き抜くと、そのまま出口へ向かって駆け出した
「うおおおおおおおっ!!」
そして───
ドガァンッ!!
出口の扉を蹴破る
「……!」
13号は、飯田が無事に脱出したことを確認した
「……よかった……」
その次の瞬間
13号の表情が変わった
「……今度は……!」
ゴォォォォォォォォォッ!!
ブラックホールの出力が一気に増した
「グォォォォォォッ!!」
ゴルゴレムの巨体が、強烈な吸引力によって引き寄せられていく
ゴルゴレムは吸い込まれまいと、自身の能力──別の位相へ移動して透明になる能力を使い、ブラックホールから逃れようとする
しかし───
ゴォォォォォォォォォッ!!
間に合わなかったゴルゴレムの身体が浮かび上がり、ブラックホールへと吸い込まれていく
「グォォォォォ……!」
やがて、その巨体は凄まじい吸引力によって収束し、吸い込まれ──塵となって消滅した
「…………」
13号は荒い息を吐く
だが
「全てを吸い込み、塵にする『ブラックホール』……」
黒霧の声が響いた
「なるほど。驚異的な個性です」
「……!」
13号が黒霧を見る
黒霧は体の霧をブラックホールに吸引されながらも、その場に佇んでいた
「しかし、13号」
黒霧は淡々と続ける
「あなたは災害救助で活躍するヒーロー……」
「…………」
「やはり、戦闘経験は一般のヒーローに比べ、半歩劣る!」
その瞬間
黒霧の身体に、ワープホールが出現した
「……!」
ブラックホールの吸引力そのものが、そのワープホールへと吸い込まれていく
そして───その直後
13号の背後に、別のワープホールが出現した
「……!」
《vib:1》ゴォォォォォォォォォッ!!《vib》
吸い込まれたブラックホールの凄まじい吸引力が、今度は13号の背後から放たれる
「ワープゲート…!」
その凄まじい吸引力によって──
バキィン!
13号のコスチュームの背中側が破壊されて、そのまま身体の一部諸共ブラックホールへと吸い込まれ、塵となって消えていく
「や…やられた…」
ゴルゴレムに負わされたダメージに加え、自らの個性によって身体の一部まで失ったことで、13号はとうとう身体を支えることすらできなくなっていく
「……飯田くんは……」
13号は、霞む視界の中で出口を見る
そこにはもう、飯田の姿はない
「……無事に……逃げられた……」
それだけを確認すると
13号はゆっくりと目を閉じる
「…………」
(飯田くん…後は…頼み…ま……す…)
そして、その思考を最後に、身体が前へ傾き───
ドサッ……
13号は意識を手放し、その場に倒れ込んだ
◇
一方、その頃
「はぁ……っ!はぁ……っ!」
飯田は走っていた
ゴルゴレムに噛みつかれたことで未だ流血が止まらぬ、右足の痛みにも耐えて、全力で
一刻も早く、教師を呼ぶために
仲間達を救うために
そして───
(13号先生……!どうか、無事でいてください……!)
自分を逃してくれた
飯田は、ただひたすらに走り続けていた
いかがでしたでしょうか?まずは13号ファンの方々、並びに13号が好きという方々、13号さんを酷い目に遭わせてすいませんでした!!m(_ _)mあっ、念の為もう一度言っておきますが、自分は別に13号さんが嫌いという訳ではありませんからね!?
それと次回からちゃんと