魔法科高校の聖杯大戦争   作:けーやん

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西暦2092年8月②

「そう言えば志郎。切継(きりつぐ)さんっていつ帰って来るの?」

 

 朝食を食べ終え、志郎が食器を洗っていると大芽が訊く。

 

「親父?さあ。いつも帰る時は事前に連絡して来るからな」

 

「また海外行ってるんだっけ?お仕事だけど大変よね〜」

 

 切継は仕事でよく海外に滞在する為、家に居ない事が多い。なので家の事は志郎が一人でやっている。

 

「連絡あったら教えるよ」

 

「分かったー。あ、志郎。今日でテスト終わるから夕飯はいつもより豪華なのお願いね!」

 

「いきなり何だよ」

 

 大芽の唐突なリクエストに志郎は困惑する。

 

「だって〜!ここんところ教育実習とかテスト勉強で忙しかったんだもーん!」

 

 教師志望の大芽は大学で日々の勉学に追われている。なんでも、英語教師を目指しているとか。

 

「まったく…………分かったよ。今日の晩飯は少し豪勢にしてやるからテスト頑張れよ」

 

「やった〜〜〜!!志郎大好き!!行ってきます!」

 

「はいはい。行ってらっしゃい」

 

 今日一番のハイテンションで大芽は居間から出て行き、原付で大学へ向かう。さっきまで騒がしかったのが嘘かの様に静かになったところで志郎は洗い物を終え、家の掃除を始める。

 

 全ての部屋に掃除機を掛けて埃を吸い取ったら、今度は洗濯機の中から衣服やタオル類を籠に入れて庭の物干し竿に干していく。洗濯物を干し終え、次に志郎は庭の植物に水やりをする。8月に入り気温も高いので欠かさず水を掛けておく。

 

「よし。これくらいで良いだろ。さて、次は何をするか」

 

 十分に水やりを済ませた志郎は次に何をするか考える。夏休み期間中なので学校から課外を出されているが、7月末で一通り片付けてある。家の敷地内に道場があるので鍛錬をするのも良いが今はその気になれない。

 

「それにしても、いつ始まるんだろうな…………聖杯戦争。いや、聖杯大戦争か」

 

 志郎がこの世界に新たな生を受けた理由である聖杯大戦争がいつ行われるのか、現状不明のままである。自分をこの世界に送り込んだ男は事前に知らせを送るとは言っていたが、それが本当なのかも疑わしい。

 

 いつ聖杯大戦争が開始されるか分からない間、志郎は力を付ける事を決めていた。その為に父親から『魔術』と『魔法』を教わり、日々鍛錬を積み続けている。来るべき戦いに備えて。

 

「暇だし、礼装のメンテでもやっておくか」

 

 志郎が庭にある作業用の蔵へ足を運ぼうとした時、端末から着信音が鳴る。志郎はズボンのポケットから端末を取り出し、端末の画面を確認すると、父親の名前が表示されていた。

 

「もしもし。親父か?」

 

『ああ。おはよう、志郎』

 

 通話機能をオンにして電話に出ると、端末越しから父親の『衛宮切継』の声が聞こえた。

 

「おはよう。いや、親父は時差があるから違うか。今何処に居るんだよ」

 

『今はルーマニアのシギショアラと言う都市だよ。日本が9時頃だから今は深夜の3時かな』

 

「いや寝てろよ。何で電話して来たんだよ」

 

『大丈夫。5時間は寝たから』

 

「そう言う事じゃなくて」

 

 まさか深夜に電話掛けるとは思わなかった志郎は切継にそう言うも何の事は無いと返答された。

 

『それより昨夜の事件、お疲れ様。無事に解決したみたいだね』

 

「あ、ああ。知ってたんだな」

 

『八雲からメールを貰ったんだ。頑張ったね』

 

「まあ、敵の情報を八雲さんが提供してくれたお陰で何とかなったんだけど」

 

 八雲とは切継の昔からの知人で、東京のとある寺の住職である。しかし、その正体は古式魔法『忍術』の使い手である『(しのび)』。『忍者』ではなく『忍』。八雲曰く、『忍者』は俗物らしい。

 

『それでもだよ。その情報を活かしたのは志郎だ。成長したね』

 

「そ、そうか?」

 

 成長を褒められた事に志郎は少し照れながら返事をする。

 

「そんな事より、その事で態々電話して来たのかよ」

 

『それもあるけど、別件だ。一つ志郎に頼みたい事があってね』

 

「頼み事?何だよ、改まって」

 

『本当は僕が受けなくちゃいけない依頼だったんだけど、まだこっちの仕事が長引きそうでね。志郎にお願いしたいんだ』

 

「依頼?どんな?」

 

『内容は護衛なんだけど、相手は十師族の一角である四葉家なんだ』

 

「はあ?」

 

 切継から聞かされた四葉家の護衛任務に志郎は驚きを隠さなかった。




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