ようこそ軍神至上主義の教室へ   作:あおいなり

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白き影は気まずさの残り香を見る

 

第22話

 

混合合宿の施設に到着してから、空気は一気に変わった。

 

校舎とは違う冷たさ。

 

寮とも違う閉塞感。

 

そして、全学年合同という圧。

 

生徒たちは教師の指示に従い、男女別に分かれて整列していく。

 

男子は男子で。

 

女子は女子で。

 

さらに、その中から同学年同士の小グループを作る。

 

ただし、同じクラスだけで固まることはできない。

 

複数のクラスが混ざること。

 

それが条件だった。

 

影は女子の列に並びながら、周囲を見ていた。

 

Dクラス。

 

Cクラス。

 

Bクラス。

 

Aクラス。

 

教室の中でははっきり分かれていた色が、今は少しずつ混ざろうとしている。

 

誰と組むか。

 

誰を避けるか。

 

誰に声をかけるか。

 

それだけで、人の考えは見えてくる。

 

「……また見てる」

 

隣から、真鍋の声がした。

 

影は顔を向ける。

 

「はい」

 

「否定しないんだ」

 

「見ていますので」

 

「そういうところ、本当に変だよね」

 

真鍋は少しだけ呆れた顔をした。

 

その隣には藪がいる。

 

藪は周囲の様子を気にしながら、落ち着かないように立っていた。

 

真鍋と藪は、少し離れた場所で周囲を見ている。

 

Dクラスだけで固まることはできない。

 

誰かと組まなければならない。

 

だが、今のDクラスという立場は、他クラスから見れば扱いづらいものでもある。

 

元Cクラス。

 

龍園のクラス。

 

そして、今はDクラスへ落ちた集団。

 

その肩書きは、こういう場でも小さな影を落とす。

 

「どうする?」

 

藪が小さく聞いた。

 

真鍋は周囲を見て、少しだけ眉を寄せる。

 

「どうするって……適当に誰かと組むしかないでしょ」

 

「でも、他クラスとだよね」

 

「そういうルールなんだから仕方ないじゃん」

 

真鍋の声には、少しだけ苛立ちが混じっていた。

 

それは誰か個人に向けたものではなく、混ざらなければならない状況そのものへの苛立ちに見えた。

 

教師の声が響く。

 

「一年女子は、各クラス混合で小グループを作るように。人数は指定範囲内に収めること。決定後、代表者が報告しなさい」

 

ざわめきが広がった。

 

誰かがすぐに友人へ声をかける。

 

誰かが周囲を見ながら迷う。

 

誰かは、すでに決めていたように動き出す。

 

Aクラスの女子たちは比較的静かにまとまり、Bクラスの女子たちは柔らかい空気で相談を始めていた。

 

Cクラスの女子は、少し慎重に動いている。

 

Dクラスの女子は、さらに空気が硬かった。

 

「真鍋さん」

 

影が声をかける。

 

「何」

 

「混ざるのは、お嫌いですか」

 

真鍋は少しだけ顔をしかめた。

 

「好きな人いるの?」

 

「いるかもしれません」

 

「少なくとも私は嫌」

 

「そうですか」

 

「だって、面倒じゃん。知らない人と組んで、気を遣って、変な空気になって」

 

真鍋は視線を逸らす。

 

「それに、今のうちのクラスって、他から見たら扱いづらいでしょ」

 

「Dクラスへ落ちたからですか」

 

「はっきり言うね」

 

「事実ですので」

 

「そういうところ、ほんと龍園と違う意味で嫌」

 

「申し訳ありません」

 

「謝るところも嫌」

 

影は軽く頭を下げた。

 

真鍋は小さく息を吐く。

 

けれど、その表情にはほんの少しだけ緊張が薄れていた。

 

「まあ、でも」

 

真鍋は周囲を見る。

 

「やるしかないんでしょ」

 

「はい」

 

影は頷いた。

 

「この試験は、そういう戦場のようです」

 

「戦場って言うな」

 

「では、合宿」

 

「最初からそう言って」

 

その時、Bクラスの白波と網倉がこちらへ歩いてきた。

 

「上代さん」

 

白波が少し控えめに声をかける。

 

「こんにちは、白波さん」

 

影が頭を下げると、網倉が明るく笑った。

 

「まだグループ決まってない感じ?」

 

「はい」

 

真鍋は少しだけ警戒したように二人を見た。

 

藪も同じように視線を揺らす。

 

白波は柔らかく言う。

 

「よかったら、一緒にどうかなって。私たちもまだ人数が足りなくて」

 

網倉が頷く。

 

「Bクラスだけじゃ組めないし、どうせなら知ってる人がいた方がいいかなって」

 

「知ってる人、ですか」

 

影が言うと、網倉は笑った。

 

「上代さんは一回一緒に遊んだしね。けっこう印象強いよ」

 

「それは光栄です」

 

「褒めてる、たぶん」

 

「たぶん、なのですね」

 

白波が少し笑う。

 

真鍋は迷っているようだった。

 

Bクラス。

 

一之瀬のクラス。

 

柔らかい空気。

 

敵意は少ない。

 

だが、だからこそ、Dクラスの真鍋たちには少し眩しいのかもしれない。

 

そこへ、Cクラスの佐藤と森が近づいてきた。

 

「白波さん、ここにいたんだ」

 

佐藤が明るく言う。

 

森もその横で軽く会釈した。

 

「私たちもまだ決まってなくて」

 

佐藤の視線が、真鍋と藪に向いた。

 

一瞬。

 

ほんの一瞬だけ、真鍋の表情が止まった。

 

だが、すぐに視線を外すほどではない。

 

まだ同じグループになると決まったわけではない。

 

ただ、少しだけ。

 

場の空気が揺れただけだった。

 

白波が少し戸惑う。

 

網倉も、何となく空気の変化を察したようだった。

 

その沈黙を破ったのは、神室だった。

 

「何、あんたら固まって」

 

Aクラスの神室真澄が、少し離れたところから歩いてきた。

 

その隣には、山村美紀がいる。

 

山村は控えめに周囲を見ながら、神室の半歩後ろを歩いていた。

 

神室は影たちを見て、面倒そうに言う。

 

「グループ決めでそんな空気出されても困るんだけど」

 

網倉が苦笑する。

 

「神室さん、言い方」

 

「事実でしょ」

 

神室は影を見る。

 

「あんた、龍園のところの変なやつだよね」

 

影は軽く頭を下げる。

 

「上代影です」

 

「知ってる」

 

「それは光栄です」

 

「褒めてない」

 

「そうでしたか」

 

神室は少し顔をしかめる。

 

「……やっぱ変」

 

山村が小さく言う。

 

「神室さん、あまり失礼なことは……」

 

「今さらでしょ」

 

影は山村へ視線を向ける。

 

「山村さんですね」

 

山村は少し驚いたように目を上げた。

 

「え……はい」

 

「お名前だけは存じています」

 

「そう、ですか」

 

山村は控えめに頭を下げる。

 

声は小さい。

 

だが、周囲をよく見ている目をしていた。

 

前に出る者だけが、場を見ているわけではない。

 

静かな者ほど、細かい揺れを見落とさないことがある。

 

影はそう思った。

 

神室は面倒そうに言う。

 

「で、どうすんの。人数的には、ここで組めるんじゃないの?」

 

白波が周囲を確認する。

 

「えっと……上代さん、真鍋さん、藪さん。佐藤さん、森さん。私と網倉さん。神室さんと山村さん」

 

網倉が指折り数える。

 

「ちょうどいいんじゃない?」

 

佐藤が少し明るく言った。

 

「私は大丈夫だよ。森さんは?」

 

森は少し迷った後、頷く。

 

「うん。私も大丈夫」

 

藪が真鍋の顔を見る。

 

真鍋はすぐには答えなかった。

 

佐藤と森。

 

軽井沢と近い女子たち。

 

軽井沢本人はいない。

 

この場で何かを言われたわけでもない。

 

けれど、同じグループになるかもしれないという事実が、真鍋の中に何かを落としたようだった。

 

影は、その沈黙をただ見ていた。

 

白波はその空気に気づきながらも、無理に踏み込まないようにしている。

 

神室はその全部を見て、つまらなそうに言った。

 

「何かあるなら後にして。今はグループ決めでしょ」

 

「神室さんは、やはり合理的ですね」

 

影が言うと、神室は睨んだ。

 

「うるさい」

 

「褒めています」

 

「褒め方が変」

 

「よく言われます」

 

真鍋が、小さく息を吐いた。

 

そして言う。

 

「……別に、私はいい」

 

藪が少し驚く。

 

「真鍋」

 

「グループ決めだし。いつまでも避けてても仕方ないでしょ」

 

その言葉は、佐藤と森に向けたものではなかった。

 

自分に言い聞かせているようだった。

 

佐藤は少しだけ真鍋を見る。

 

「うん。よろしく」

 

森も小さく頷く。

 

「よろしく」

 

真鍋は視線を合わせきれないまま、短く言った。

 

「……よろしく」

 

その瞬間、完全ではないが、グループの形が決まった。

 

影。

 

真鍋。

 

藪。

 

佐藤。

 

森。

 

白波。

 

網倉。

 

神室。

 

山村。

 

綺麗に混ざったとは言いがたい。

 

だが、同じ場所に立つことは決まった。

 

これが、この合宿の最初の戦なのかもしれない。

 

自分が避けたい者と、同じ輪に入ること。

 

自分が見たくないものを、見ないふりだけでは済ませられないこと。

 

影は静かに目を細めた。

 

「良いグループですね」

 

神室が即座に言う。

 

「どこが?」

 

「歪です」

 

「最悪の褒め方」

 

網倉が笑う。

 

「上代さんって本当に面白いね」

 

真鍋が小さく呟く。

 

「面白いっていうか、変」

 

「よく言われます」

 

「知ってる」

 

その返しに、影は少しだけ微笑んだ。

 

 

グループの形が決まってから、真鍋の視線がわずかに揺れた。

 

佐藤と森。

 

軽井沢と近い女子たち。

 

軽井沢本人はいない。

 

それでも、彼女に近い者たちが同じ輪に入ったことで、真鍋の肩は少しだけ硬くなった。

 

罪は、本人がいない場所にも残るのだと、影は思った。

 

しかし、その硬さは隠そうとすればするほど、かえって見えてしまう。

 

真鍋は佐藤や森と直接視線を合わせることを避けていた。

 

佐藤はそれに気づいているのか、あえて明るく振る舞っている。

 

森は少し戸惑いながら、空気を壊さないように黙っている。

 

白波は、みんなが話しやすいように柔らかく立っている。

 

網倉は軽い話題を探している。

 

神室は全部を面倒そうに眺めている。

 

山村は何も言わないが、誰よりもその揺れを見ているようだった。

 

混ざる。

 

それは、ただ同じ場所に集まることではない。

 

触れたくないものが、少しずつ視界に入ってくることでもある。

 

 

代表者を誰にするかで、少し話し合いが起きた。

 

佐藤は「私は無理」とすぐに手を振る。

 

森も控えめに首を横に振った。

 

白波は「一之瀬さんならできるけど、私は……」と不安そうに笑う。

 

網倉は「まとめるのは苦手かも」と肩をすくめた。

 

真鍋と藪は、できれば目立ちたくないという空気を出している。

 

山村も同じだった。

 

神室は面倒そうに壁にもたれながら言う。

 

「私はやらない」

 

「早いですね」

 

影が言う。

 

「面倒だから」

 

「分かりやすい理由です」

 

「で、あんたは?」

 

神室の視線が影に向く。

 

「やる気あるの?」

 

影は少し考える。

 

代表者。

 

前に出る役。

 

このグループの中で、自分がそれをやるのは不自然ではない。

 

だが、それは少し違う気もした。

 

このグループは、誰か一人が支配して整えるより、少し揺れながら混ざった方が見えるものが多い。

 

「私でも構いませんが」

 

影が言うと、真鍋が少しだけ顔をしかめた。

 

「でも、上代が代表だと何か怖い」

 

「そうでしょうか」

 

「そう」

 

神室が鼻で笑う。

 

「分かる」

 

網倉も軽く手を上げる。

 

「私も、上代さんが代表だと面白そうだけど、何考えてるか分かんなくてちょっと怖いかも」

 

「それは困りました」

 

影は本当に困っているようには見えなかった。

 

その時、山村が小さく口を開いた。

 

「あの……」

 

全員の視線が向く。

 

山村は少し怯んだが、続けた。

 

「白波さんが、いいんじゃないでしょうか」

 

白波が驚く。

 

「私?」

 

山村は小さく頷く。

 

「はい。話し方が柔らかいので……皆さん、意見を言いやすいと思います」

 

白波は慌てる。

 

「で、でも私、そんなにまとめるの得意じゃないし」

 

網倉が笑う。

 

「でも、千尋ならいいんじゃない? 私も手伝うし」

 

佐藤も頷く。

 

「うん、白波さんなら話しやすいかも」

 

森も小さく同意する。

 

「私も、いいと思う」

 

神室は肩をすくめた。

 

「誰でもいい。変に仕切るやつじゃなきゃ」

 

真鍋は少し考えてから言った。

 

「……白波なら、まあ」

 

藪も頷く。

 

影は山村を見る。

 

山村はまた視線を下げていた。

 

だが、彼女の一言で流れが決まった。

 

小さな声。

 

けれど、正しい場所に落ちれば、人を動かす。

 

影は静かに言った。

 

「山村さんは、よく見ていらっしゃいますね」

 

山村は少しだけ顔を赤くする。

 

「い、いえ……そんなことは」

 

神室が横から言う。

 

「山村はそういうやつだから」

 

「そういうやつ、ですか」

 

「静かに見てる。あんたと違って不気味じゃないけど」

 

「なるほど」

 

「納得しないで」

 

結局、白波が代表者になることになった。

 

白波は不安そうではあったが、網倉や佐藤が支えると言い、森も頷いた。

 

真鍋と藪は少し距離を取りつつも反対はしない。

 

神室は面倒そうにしながらも受け入れ、山村はほっとしたように息をついた。

 

影はその様子を見ながら思った。

 

このグループは、支配者のグループではない。

 

強い者が上から押さえつける形ではない。

 

柔らかい者。

 

迷う者。

 

気まずさを抱える者。

 

冷めた者。

 

静かに見る者。

 

それぞれが少しずつ位置を探している。

 

混ざる戦場の最初としては、悪くない。

 

 

グループ報告を終え、少し自由に動ける時間ができた。

 

他のグループも少しずつ形を作っている。

 

遠くに軽井沢の姿が見えた。

 

彼女は別の女子グループの中にいた。

 

佐藤や森とは離れている。

 

それでも、周囲の女子と話しながら、いつものように軽く笑っていた。

 

少し硬い。

 

けれど、立っている。

 

影はそれだけを確認し、視線を戻した。

 

その視線に気づいたのか、真鍋が小さく言った。

 

「軽井沢、見てた?」

 

「はい」

 

「……そう」

 

真鍋は軽井沢の方を見なかった。

 

見たいのに、見られない。

 

そんな横顔だった。

 

影は少し間を置いてから尋ねる。

 

「真鍋さんは、あの日のことをどこまでご存じですか」

 

真鍋の肩が、わずかに動いた。

 

藪もこちらを見る。

 

「……知らない」

 

真鍋の声は小さかった。

 

「龍園に聞かされたことだけ」

 

「そうですか」

 

「でも、私たちが言ったことが、軽井沢を追い詰める材料になったのは分かってる」

 

真鍋は小さく息を吐いた。

 

「それくらいは、分かってる」

 

藪は何も言わなかった。

 

ただ、視線を落としている。

 

影は真鍋を見た。

 

屋上の詳細を、彼女は知らない。

 

冷水のことも。

 

綾小路が現れたことも。

 

龍園が倒れたことも。

 

軽井沢が最後まで名前を言わなかったことも。

 

真鍋は知らない。

 

だが、自分たちの過去の行動が利用されたことは分かっている。

 

それだけで十分、重い。

 

「なら、知らないことまで背負う必要はありません」

 

影は静かに言った。

 

真鍋は顔を上げる。

 

「……それ、慰め?」

 

「いいえ」

 

影は首を横に振る。

 

「ですが、知っていることから目を逸らさないなら、それで十分です」

 

真鍋は黙った。

 

藪もまた、何も言えないようだった。

 

少し離れたところで、佐藤と森が白波たちと話している。

 

明るい声。

 

柔らかい空気。

 

その中に、真鍋はまだ完全には入れない。

 

それでいいのかもしれない。

 

すぐに混ざれる罪悪感など、きっと軽すぎる。

 

真鍋は小さく言った。

 

「上代ってさ」

 

「はい」

 

「変な慰め方するよね」

 

「慰めではありません」

 

「そういうところ」

 

真鍋は少しだけ笑った。

 

それは、からかうような笑いではなかった。

 

緊張がほんの少し緩んだ笑いだった。

 

影はその笑みを見て、静かに目を細める。

 

「真鍋さん」

 

「何」

 

「歩調が少し戻りましたね」

 

「……見すぎ」

 

「癖です」

 

「ほんと、気味悪い」

 

「よく言われます」

 

今度は、真鍋も小さく言った。

 

「知ってる」

 

その返しは、少しだけ軽かった。

 

 

集合の時間が近づき、グループごとに移動が始まった。

 

白波が少し緊張しながら声をかける。

 

「えっと、そろそろ行こうか」

 

網倉が明るく頷く。

 

「代表、頑張って」

 

「からかわないでよ」

 

佐藤が笑う。

 

「大丈夫、白波さんならできるよ」

 

森も頷く。

 

神室は面倒そうに歩き出す。

 

「早く終わらせよ」

 

山村はその後ろに静かについていく。

 

真鍋と藪は、少しだけ遅れて歩き始めた。

 

影はその横に並ぶ。

 

「何で隣来るの」

 

真鍋が言う。

 

「歩きやすそうでしたので」

 

「意味分かんない」

 

「そうでしょうか」

 

「そう」

 

それでも、真鍋は離れなかった。

 

藪も少しだけ安心したように歩いている。

 

影は前を見る。

 

このグループは、綺麗ではない。

 

気まずさがあり、警戒があり、距離がある。

 

だが、それでも同じ場所へ向かって歩いている。

 

混ざるとは、最初から溶け合うことではない。

 

触れたくないものと、同じ空気を吸うこと。

 

見たくないものの隣を歩くこと。

 

少しずつ、歩幅を探すこと。

 

影はそう思った。

 

遠くでは、別のグループが移動を始めている。

 

軽井沢の姿。

 

堀北の姿。

 

一之瀬の姿。

 

坂柳の姿。

 

それぞれが、それぞれの輪の中へ入っていく。

 

この合宿では、誰も一人ではいられない。

 

そして、一人でいられない時にこそ、人の形は表に出る。

 

白き影は、隣を歩く真鍋の硬さと、その奥にある小さな揺れを感じながら、静かに前を見た。

 

混ざる戦場は、もう始まっている。

 

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