どうもキラちゃんのペットです   作:九曜の翁

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 こんばんわ、仕事忙し過ぎてそれ以外の時間寝込んでました。

 一応今回でメインの話は完結ですね、気が向いたら小話とか『ある世界』とか出すかもしれないです。


ジャバウォッキーに用心あれ!

 かくれんぼをした日から、ジャバちゃんの様子が変になっちゃった。

 

 前からすんごい過保護だったんだけど、最近はずっとあたしにひっついてて、パパたちや他の子方が近くに来るとあたしを抱っこして必ず何処かへ移動するんだ。

 

 それでね、ジャバちゃんったら危ないならあんまり外に出るなって言うんだ。

 

 欲しいフィクサー雑誌とかあったら自分が買ってくるからあたしはなるべく部屋の中にいて欲しいんだってさ。

 

 でもあたしにも訓練とかで色々外に出なきゃいけないことあるじゃんね?そういう時はずっと隣で私の動き見てんの。

 

 なにしてんのかなぁって思って聞いたらあたしの動きを見て覚えてるらしいじゃん?ジャバちゃんってあの姿でそんなに激しい動き出来るんだってすんごいびっくりした。

 

 あたしの動き完全に真似て、あたしを襲ってきたゴロツキバラバラにし始めた時は本当にびっくりしたんよ。

 

「ジャバちゃん!いい加減過保護やめて!!!」

 

『しかし、キラちゃんが怪我したらわたくしめはとても悲しいのでございます』

 

「どうしちゃったのジャバちゃん?かくれんぼした時からずっと様子変じゃんね!」

 

 それを言ったらジャバちゃんなんだか言い出し辛そうに俯き始めて、そんであたしを抱っこしたまま離れなくなっちゃったんよ。

 

『キラちゃんには体験して欲しくないような事がこの都市には溢れかえっているのでございますよ。

 ですから、どうかわたくしめの側からお離れにならぬよう...どうか、どうか!』

 

「ジャバちゃん、あたしの前にも誰かと一緒だったの?」

 

『えぇそうでございますよ、わたくしめはかつて母様と呼ぶ御方と共に此処とは違う何処かで暮らしておりました。

 その事をこの前のかくれんぼの時に思い出したのでございますよ。

 

 でも其処は無数の怪物たちに食い尽くされ、母様も重症を負ってしまったのです。

 わたくしめは、その時母様を助けて差し上げられなかったのですよ。

 

 ですから、わたくしめは今度こそキラちゃんだけは絶対に守ると決めたのでございます』

 

「そっか、じゃああたしがやられそうになったらジャバちゃんに助けてもらうかんね!」

 

『えぇ!勿論ですとも!!!』

 

 でも、あの日が来ちゃったんだ。

 

「キラちゃん!」

 

 あたしとパパですんごいヤバいフィクサーと戦って、パパがあたしごとフィクサーを斬ろうとした時。

 

 ジャバちゃんの背中のファスナー、開いちゃったんだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『むぅ〜!やはりフィクサーの皆々様というのは非常に手強いものでございますねぇ?わたくしめはびっくりにございます!!!』

 

「なんなのこいつ!探偵さんこいつどうにかしないとヤバいよ!」

 

「ふむ、ねじれにも幻想体にも該当しない全く別の存在、もしや外郭から来た化物か?

 少し前に北部親指たちが外郭からやって来た化物に半壊させられてやたらと気が立っていた」

 

「ならば処理してしまっても大丈夫でしょうね」

 

 両手に大鉈とブッチャーナイフを携え、凄まじい勢いで攻勢を仕掛けてくるジャバちゃんにねじれ探偵モーゼス、並びにその助手エズラ、同じく探偵事務所に所属する特色フィクサーベスパは苦戦を強いられていた。 

 

 ジャバちゃん単体ならば話は別なのだが、ここにはジャバちゃんだけではなくよりにもよってキラとマティアスまでいるのだ。

 

「ひゃー!ジャバちゃん凄ーい!!!」

 

「やるじゃねぇかぬいぐるみ!」

 

「あたしも頑張っちゃうかんね!!!」

 

 キラの疾風の如きナイフの乱舞が3人を襲う。

 

 だが此処で1つ発言をしよう、キラは3人に勝てなかった。

 

 モーゼスとエズラまではぎりぎり捌けたが、特色フィクサーであるベスパの攻撃は捌き切れなかったのだ。

 

 故に、例の場面の条件が整ってしまった。

 

 だけれども、それを阻止する者が此処にはいる。

 

『キラちゃん!!!』

 

 そう、ジャバちゃんである。

 

「!?あの距離をこの一瞬で詰めたというのですか?それでも崩れた体勢では受けきれないでしょう」

 

『ふふふっ、残念ですねぇ...わたくしめはもう少しだけキラちゃんの成長を見ていたかったのですが』

 

 慌ててキラとベスパの間に割って入ったジャバちゃんは、背中をばっさり斬られドス黒い液体の中に倒れ込んだ。

 

「これはこの化物の血液でしょうか?触れないほうが良さそうですね」

 

「お前ぇぇぇ!よくもあたしのジャバちゃんを!!!」

 

 キラは怒りのままにベスパへと突進する、それが自らの身を滅ぼす行動になるとも知らずに。

 

 再び、あの場面が起こる条件が整ってしまった。

 

「パパ!あたしがこいつを止めてるうちに!!!」

 

「良くやった...娘」

 

 嗚呼、それは、それだけは駄目だ。

 

 その結果だけは、許すことが出来ない。

 

『私の可愛いジャバウォッキー、ご飯はよく噛んで食べるのよ』

 

 ...はい、母様。

 

『おま...え』

 

 黒い汚泥で出来た無数の杭がマティアスを穿き、その身体をジャバちゃんが倒れ込んでいたドス黒い液体の元へと運ぶ。

 

『お前は...食餌』

 

 巨大な顎がマティアスを咀嚼する。

 

 悍ましいまでに広く、巨大で、尖った牙まみれの大顎が何度も噛み合わさりマティアスの身体を微塵とする。 

 

『家族の為なら犠牲を払っても痛くないだったか?なぁマティアス...お前が言ったんだよ』

 

 

【挿絵表示】

 

 

 マティアスはもう応えない、だってもうただの肉片だから。

 

「本当になんなの!?この化物普通じゃない」

 

「...翼の決戦兵器」

 

「末っ子君何か知ってるの?」

 

「聞いたことだけはあります、翼はそれぞれ不足の事態に備えて己が社の特異点を用いた決戦兵器と呼ばれるものを保持していると」

 

「あの化物がそれってわけ!?」

 

『酷いですねぇ、人を化物化物と...まぁ僕は人ではありませんがね。

 人で無き故に人になろうとする愚かな汚泥、その主がこの私"今は遠き翼の決戦兵器"名を【汚泥の王】または【ジャバウォッキー】私はジャバウォッキーの方が好きですがね。

 さて、私は貴方がたを食べる気はありませんが、キラちゃんを殺すと云うのならその限りでもありませんよ。

 

 その場合は、それ相応の代価を皆様方に支払ってもらう事になります故』

 

「我々の目的は君たちではない、投降するのであればそこの少女にも危害を加えないと約束しよう」

 

 モーゼスたちは目の前の化物【汚泥の王】の様子を伺う、こんなものと戦う羽目になれば例え打ち勝ったとしても凡そ無事では済まないと云うことがわかっていたからだ。

 

『...良いでしょう、では!』

 

 小気味よい音と共に、目の前の化物は縮み再び奇妙なぬいぐるみの姿へと戻った。

 

『わたくしめはジャバウォッキー!キラちゃんにはジャバちゃんと呼ばれております!以後どうぞよろしくお願いいてしますね。

 あっ、背中のファスナーは下げないで貰えるとありがたいです。

 

 さっきの姿になっちゃいますからね』




【登場人物紹介】

『ねじれ探偵御一行様』
・とんでもねぇ化物とエンカウントして冷や汗をかいたが、なんか普通に投降してきて拍子抜けした。
 とある世界だと暴走したジャバちゃんが親方喰いまくってえらいことになってたらしい。

『キラちゃん』
・二回もマティアスに斬られかけたがジャバちゃんが助けてくれた。
 マティアスが食べられちゃうところはバッチリ見てたけど、マティアスが自分を斬ろうとしたのも見てたのでぎりぎり拗れなかった。

『ジャバちゃん/汚泥の王』
・意外性もなにもないかもしれないが、元々折れた翼の決戦兵器だった。
 母様が愛に目覚めてなかったら都市を喰い潰す厄災になってた。

『母様』
・現在の都市から見て旧旧C社のトップだった人、この人が別世界から来た人でジャバちゃんの生みの親。
 ジャバちゃんが生まれるまでは自分の発明で都市の歴史を塗り替えるんだと息巻いていたが、いざジャバちゃんが生まれたらあまりにも可愛かったので愛に目覚めちゃった。
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