マイクラから来ました。 作:マイクラ外から失礼するぞ
日本に突如、神殿のような石造りの異世界への
政府は異世界を特地と定め、特地からの侵略行為に対し自衛権を元に自衛隊の派遣を決定する。(建前であり、事実であり、門の向こうにある膨大な資源を求める口実でもある。)
特地へ派遣された自衛隊は、現地にて軍事基地という拠点確保から始まり、ドラゴンと遭遇、そのドラゴンによって森を焼かれ、記憶障害・精神疾患のエルフの少女を保護する。
焼かれたエルフの集落は壊滅しており、建造物であったであろう炭となった物が散乱している状態だった。その炭の中には人型の存在も確認でき、保護したエルフの身心も考え移動する…その時であった。
音もなく現れ、移動指示を出して後方を確認していた自衛隊隊長こと伊丹が気づき、次に栗林が気づいた。当初は他の隊員を戻すか、すぐさま本部に連絡するべきと判断したが…伊丹は銀座事件にて、門から敵が現れる瞬間を目撃しており、後退している際に後方から弓あるいは魔法の様な攻撃を受ける可能性を考えた。こうして考えている最中でもゲートから何か、何者かが現れる可能性が捨てきれない現状、扉の先を確認だけすべきかと思考する。
『栗林…ここは俺たちだけじゃ無理だ。一度戻って報告するぞ』
『隊長、何なんですかここ…また魔法?ファンタジーですか!?ゲート先でドラゴンと対峙した後にまた異世界なんて』
結果だけ見れば…栗林が先行してしまい、伊丹も扉に入った。その先で気味の悪いと表現できる異質な村、住民と交流してしまい二人とも精神的に参っていた。戻った後、待機していた他の隊員たちと合流・説明を行い、先行した事への一悶着あれど本部の方から応援が来ることが決定した。
その後、伊丹たちはドラゴンの被害を受けた者達が他にいないか探索する過程で難民や亜神と出会うことになるが、それはまた別の話。
「ゲートの先は京都でした」
「随分と炭臭い京都ですね」
「ありゃりゃ、これは村だったところかな?」
「別マップ?違うな~他世界ってやつ?」
伊丹たちが離れて数分後、扉の先、マイクラ世界と呼称される世界から4人の
彼女たちは周りを興味深そうに観測した後、近くの炭となった木製の廃材につるはしを叩きつけた。
「木炭か~」
つるはしで叩いた個所が変化した。1m×1m(一マス)の木炭になったのだ。廃材の大きさは様々でありながら、彼女たちが持つ斧やスコップ、つるはしで叩くと収縮・膨張したのちに必ず炭の家だった物は木炭になっていた。
「炭の遺体は骨だけね」
「土は土で変化なし~」
「お、見たことない植物の苗ゲット!」
「あ、本当だ。初のレシピ解放キタコレ!」
彼女たちの近くにある物は全て叩いて収集した。初めての知識・レシピが欲しい。いらない木炭や骨を捨て、荒廃した村を残らず更地にしてしまう程に、その欲によって塗り替えていった。その行為にかかった時間は僅か10分ほどである。
「伊丹からの報告と違いすぎないか」
「どこがドラゴンに燃やされているんだ…いやそれより、あの構造技術は…」
「あれはなんだ?中途半端にできているな、はは、何だよあれ、物理的無理だろ」
「あの子たちが作ったのか?すげー美人…あれも幻覚か?空中を歩いたり、手から巨大な木材が現れているような」
「安心しろ現実だ。俺の眼にも木材が現れて、釘も何も打ち込んでないのにくっついているように見える」
伊丹からの報告を受け、新たな門の確保に来た自衛隊たちが見た物は炭の跡ではなかった。謎の4人の美女が、巨大な家のような、どこか神殿のような建造物を作っている最中であった。
それは同時ぐらいだっただろう。彼女たちと自衛隊たちは、互いに認識しコミュニケーションを取ろうと動いた。
「君た・・・え」
パンのような物が投げられた。彼女たちは屋根部分に居たためであるが、話しかけようとした隊員の目の前付近に落下した。正確には
なんだこれは・・・話しかけようとした矢先にパンである。しかも常識を逸脱した動きのパンである。なぜパン?しかも浮いて、これも魔法なのか、それよりなぜ…様々な事を考え、無言になってしまった事を彼女たちが確認すると、驚いたように
「食事で友好にならない感じか~」
「あ、いや、これは君たち流の挨拶だったのかな?申し訳ない。それより、我々の言語が通じるようだが」
「言語?日本語設定のはずだけど、最初から友好的な感じ?」
「(設定?)日本を知っているのか?」
「知ってるよ~?覚えてるよ~?知ってるよ~?どうでもいいよね!」
「私たちは満足できれば、それでいい」
「満足させてくれよ」
満足という言葉を皮切りに謎のBGMを口ずさむ彼女たち。残念ながら話しかけた隊員はその流れを理解できなかったが、隊員の一人はとあるカードアニメを視聴していた為わかってしまった。わかったからこそ、つい話しかけていた。
「もしかして、遊〇王とか知ってる?」
「デュエリスト!デュエ!」
「あ、その、少しだけ知ってるだけで」
「いや~こういう話なんて私たち以外で何百年ぶりかな~」
他にはどんなネタなら返答してくれるか。彼女たちは次々に各自知っているネタをその隊員に呼びかけ続けた。
その対応に困惑しつつも、コミュニケーションの担当を変え、ネタの対応をしながら彼女たちから情報を聞き出していった。
わかったことは大まかに4つ。
・ここは元々報告にあったエルフの村。(整地したと彼女たちから聞いた。遺骨については箱に入れているとのこと)
・この世界と違う世界から来た。(黒いゲートを経由してきた)
・黒いゲート先は日本語が通じる。(彼女たちが言うには自分たちの設定?で変えられるらしい)
・彼女たちが使っていた魔法は彼女たちしか使えない。(物の圧縮・膨張、吸着する状態変化など)
そのほか…彼女たちは数百年生きている発言。黒いゲート先の世界は彼女たちが支配?(遊び場)あるいは地主をしている。など、伊丹が報告していた黒いゲート先の住民だと理解できたと同時に…
「アニメとかの知識はどこから?」
「知ってるから知ってるんだよ?」
「だからその知識は」
「私たちは知ってるから知ってるんです~。そんな事より~」
謎は深まる。黒いゲート先は報告だと村だったようだが、日本があるのか等、疑問が深まるばかり。肝心の彼女たちは要領の得ない発言を繰り返し、はぐらかされているような対応を続けている。
そして魔法程ではないが困ったことが一つ。
「名前?私たちに名前はないよ。親もいないね」
「遊べればいいし、存在でわかるから」
「俺はガ〇ダムだ!」
「こいつは、ネットスラングやアニメや漫画ネタの集合体です~」
「俺たちはひとつだ。俺たちは家族なんだ」
「「「ちょっと何言ってるかわからない」」」
「チクショー!」
ネタを知ってる・知らない限らず、自衛隊員たちは頭が痛くなってきた。ネットも知ってる、お笑い芸人のネタであろう事も知っている様子だ。少なからず現代日本人並みの知識を彼女たちが持っていると考えられるやり取りであった。
「あー、できれば我々と来てくれないかな。そこの…君たちの家?神殿?の中にあるゲートについて話がしたいんだが」
部隊長は精神的に疲れたこと以外は朗報であると改める。第一に日本語が通じる相手との接触。第二に言語の壁といった知識共有の手間が無い。第三に魔法、強いては我々日本人に限らず使えないであろう事象を扱える。細かく言えばまだあるが、少なからず異世界に来て言語問題がないという時点で朗報である。銀座事件で捕まえた敵国の兵は未知の言語を話し、尋問も難しいと聞いていた。
「いいよ~」
「新しい土地!新しいレシピ!新しい住民!」
「やっぱり新しい事はいい、心が洗われる」
「じゃあ、ゲート持っていこう」
「え、ゲートを持っていく?あ、ちょ、やめ!」
一人、紫色に光るつるはしを出して黒いゲートにジャンプしながら走っていく。そして止める間もなくゲートを形作っていた黒い石のような部分に振り下ろした。
ガン
一撃で黒い石がブロック状に変化して現れる。その出来事に遅れて部隊長が叫ぶように発した。
なんてことを、ゲートが!?あれが無いと君たちも帰れないのではないのか!?
新たなゲートの損失や責任問題、他世界の住民への対応云々を考えているのを気にもせず壊した女性は言い放った。
また造ればよくない?こうやって
ほいほいっと
懐から壊した黒い石部分と同じ材質であろう物が積み重なっていく。
で、松明…ほい、ゲート開いたよ
ハハ…ホントダネ
乾いた声しか出せなかった。他の隊員も心の荷が下りたような感覚を味わいながらも、自衛隊として、異世界の住民として、別の考えに至った。
ゲートを好きな場所に設置できる
それが如何に戦術的、政治的問わず有効かわからない者はいなかった。何でもないようにその行為を実行できる目の前の存在に対し、友好的に接しなければならないと念を押して司令部に通達するのだった。
彼女たちの容姿は次回にでも。
以下車で移動中のはなし。
「そういえば、私が投げたパンを食べなかったよね。どうして?」
「あれは挨拶と認識していいんですか」
「私たちの住民なら美味しい!仲良くなる!って感じで友好的になるんだけどね~」
なんだそれは、それだけ美味しいのか?
車内は彼女たちと唯一ネタがわかった隊員が残って、他の隊員は外から同行していた。
「そうだ、パンが駄目だったのかな?じゃあ、キノコシチューはいかが?」
そういって目の前に座る彼女が空間からとして表現できない場所から、湯気が立ち出来立ての様な木のボウルに注がれているキノコシチューを取り出した。
ゴクっ
美味しそうだ。隊員は食欲を誘う匂いに抗い、食べたい気持ちになるのを我慢する。
チラっと運転席に座る部隊長を見て、顔を縦に振ったのを確認してから受け取った。
その後の車内では味皇が生まれたとか、そうでないとか。少なからず、キノコシチューを毎日食べたい隊員が生まれたのは事実である。
なお、そのキノコシチューがどのようにできたか過程を知った時・・・その隊員は涙を流したという。