マイクラから来ました。 作:マイクラ外から失礼するぞ
防衛大臣にとって必要な事は、情報の確保である。新たな兵器、相手側の思想、戦略的行動、地政学、様々な要因を理解・対処に当たる指示系統のトップ。故にどんな情報も審査して真偽を確かめた後に共有まで持っていかなかればならない立場である。
正気ですか…魔法を付与された得体のしれない武器の運用なんて
自国に関する防衛であれば、当然防衛大臣として動く。特地からであろうと攻撃を受けたのだ。特地問題対策担当大臣の独断で自衛隊派遣から始まり、指示系統の一本化などはできない。
自衛隊の武装には当然予算がある。防衛予算として毎年数兆円もの規模で賄われており、平時の時ほど金食い虫として煙たがられる案件である。
海外からの客に使う・・・確かに聞いた通りの性能なら適しているかもしれませんが
新型兵器の開発費用、人件費、可能な限り削り成果を出せ。世論からの自衛隊維持費は銀座事件前までカツカツだった。だが、今は違う。削減し続けたからこそ守るのが遅れた!等の言葉の綾で予算の増額は確定されて新しい。野党からの文句はいつもの事なので気にしない。
彼女たちが許可したのですか?…貴方は酷い人だ。好事魔多しとも言います、許可しかねますね。自衛隊全ての装備などリスクしかありませんよ、ロマンは認めますが。
現日本において防衛とは、どこまでを防衛とするか議論され続けている。敵からの攻撃を受けた、だから敵を壊滅させました。それは果たして防衛・自衛の範疇に入るのだろうか。
限定的な部隊での運用なら、許可してもいいでしょう。ただし、情報の共有は差異なくお願いします。
緊急生放送
【新ゲート先はマイクラ!マイクラ世界の首脳登場!】
放送局に連れてこられた青髪のスレンダーな女性、そして赤髪のやや低身長の童顔の女性。どちらも歩けば目が移る程の麗しい造形の美女であるが、近くを私服に着替えた自衛隊たちが待機している為、下心で近づく者はいない。遠くから観察している外国からの観光客がいるが、現時点で気にしない。
「ねえねえ、隊長さん」
「
「そうだっけ?まあいいや、それで本当に私流で話していいの?」
「私もフォローするから質問以外の時はネタはいいわよ」
急遽決まった生放送。これは日本国にマイクラ世界について、正確には世界規模だが友好的な関係構築のための一歩である。
「イッチ達は
「私は楽しいけどね!これも遊びじゃんね!」
「そう捉えて頂けると我々も喜ばしい限りです。イッチさん達に関しては内密にお願いします本当に」
今この場にいるのはニッチとファイブの二人であり、イッチとサッチは別行動をとっていた。特地にマイクラ世界に行くゲートの設置にイッチ。北海道の陸上自衛隊基地へはサッチが向かっている。表向きイッチとサッチの二人の情報は出ていない。
「それにしても…取引の為にやる事がテレビ出演なんてね」
彼女たちの目的はこの世界に対して、マイクラ世界の住人は友好的であると周知させることが一つ。また、出演する彼女たちに外国人たちの視線を向けさせる意味合いもある。緊急生放送も、テレビ局内に入ってから発表する隠密行動ぶりである。その行動に興味がある外国人は想定通り目線を奪われている。物理的に奪われないように護衛の者達と視線を交差させた回数もうなぎ上りである。
そろそろ時間です。用意はいいですか
「緊急です。タイトルにもあるように、新たなゲートより来日した首脳であるお二人がスタジオにお越しされました。マイクラ世界首脳である、ニッチさんとファイブさんです」
スタジオに緊張が走る。そも新たなゲートの先がマイクラと呼ばれる世界だったのも先ほど情報が来たばかり。打ち合わせも何もなく話題になっていた異世界の首脳らが来るというのだ。スタッフたちもすぐさま準備に入り、忙しく動き続けながらのスタートである。
残念ながら専門家などの人物は急だったため現在おらず、ニュースキャスターのみで進行された。監督が連絡し、急いで向かっている最中である。
「マイクラ世界首脳の一人ニッチです。本日は急な予定を入れて頂きありがとうございます」
「ドーモ シチョウシャ=サン ファイブです」
「本日はよろしくお願いします。進行を務めさせて頂きます、
「おぉ、なんか配信みたいだね!」
・お二人とも若いですね。まだ10代ですか?
・この二人が総理なのか。あと二人は大臣?
・日本語上手なんですね
・かわいい、この総理なら絶対投票するわ
・ドーモ ファイブ=サン シチョウシャです
・マイクラ世界ってどんなところなんですか
・日本以外と外交はいつですか
ーーー
ーー
様々なメッセージが高速でスクロール表示されていくのを確認していき、二人はそれだけ注目されているのかと改めて感じた。
「お、アイサツに気づいた人がいた!やっぱ古事記にも書いてあるからな」
ファイブの何気ない一言が火種となってメッセージが加速する。
・門から来た時もアニメネタしてたけどやっぱニンジャのアイサツかww
・なんで私たちの二次元ネタを知っているんですか?
・ゲートの先に別世界の日本があるんですか!
・私たちに情報が全然こないから
・特地でネットが見れるんですか?
・マイクラ世界の技術力は現代と同等ですか
アイサツに関してのメッセージが増える中、変わらず技術力など実利的な事を聞いて来る者達が一定数いて逆にわかりやすい状態になる。それを確認した佐藤が意見を拾った。
「ファイブさんの挨拶は、いわゆる二次元のネタでしょうか?」
「そうだよ!アニメやゲーム、ネットミームとか好きだね」
「視聴者からのメッセージにもありましたが、どうやって知ったのでしょうか?」
「知ってたからだよ!」
「え、はい。ですので、どのように知ったのか教えて頂ければ」
「だから知ってたからだってば!」
佐藤キャスターは困った。日本語が通じていなかったのかと思い、困った風にもう一人のニッチの方に顔を向けた。そうなるだろうと察していたニッチはファイブに代わって発言した。
「ファイブの言葉は正しいです」
「え、それは…」
「わかりやすくお伝えするなら…我々は
「…それは、貴方がたの世界から別世界の日本をです…か?」
「そうですね」
その発言は場の空気を変えた。今まで他世界からの首脳、もっと言えば旅行客のような感覚が抜けない人物なのではと思っていた。ファイブの雰囲気や発言もその後押しになっていたが、ニッチの別世界の日本を観測できていた発言を聞いて、謎の熱気が溢れて来ていた。それは視聴者も同じこと、メッセージの数が桁違いに多くなる。
・別世界の観測⁉
・上位存在だったんだ!
・マイクラ世界の技術は別世界すら観測できるのですか
・本当に二次元が現実になった
・嘘だろ
・お二人は神様だったの?
・是非他国間会議でお話を
ーーー
ーー
唖然としてしまった佐藤はハっとしながらも質問を続ける。
「実に興味深い内容ですが、他の質問に移らせて頂きます。マイクラ世界と我々の国と二国間会談を行ったと先日連絡が来ましたが、残念ながら報道は入る許可が出ない状態でした。いったい内部でどんな事を話し合ったのですか?」
二国間会談は行ったと、どこかやつれた森田総理から報告だけはあったが、内容は明かさなかったのだ。
「そうですね…まず、我々の世界、マイクラ世界と日本国での取引についてですね」
「それはマイクラ産の物を日本側が輸入するという事でしょうか?」
「そうですね。サンプルはお渡ししており、日本側が調整でき次第取引を開始する手筈になっております」
「嘉納のおっさんってノリはいいけど怖いんだよね。この間、話した時はめっちゃ話しやすいおっさんだと思ったのにさ…政治家ってこわい」
「貴方が無警戒に信用しすぎただけよ。まあ、あの人にはしてやられたのは認めるけどね。私としては好ましいと思ったけど」
「嘉納とは、特地問題対策担当大臣の嘉納太郎氏の事でしょうか?」
「そうよ。ファイブと仲良くお話して、取引までスムーズに進んだわね」
皮肉気に発言した内容は、日々政治家などの情報を取り扱うニュースキャスターやテレビスタッフにとって取っ付きやすい事柄でだった。それは視聴者も同じで、民衆としての視点から意見が殺到する。
・あの同人好きの嘉納さんが物流取引したんか、経済産業の方じゃなく?
・異世界産の物ってどんなものなんですか
・俺たち民間用の物ですか?
・嘉納さんようやった!
・ファイブさん怖がってるけど何したんだ
・ファイブ氏は政治家の闇を受けたようだな
・不公平取引をされたのでは
・やはり日本は野蛮だ。こんな国より他国に目を向けてほしい
不公正か否かはニッチが補足して、互いに有益な取引だったと後から発言して鎮火させる。取引自体が炎上するのは両国困るのだ、それは別としてやられた仮の鬱憤晴らしは継続しようと思った。
「取引する物は、最初は鉄ね」
「鉄ですか…それはマイクラ世界は資源が豊富であるという事でしょうか?」
「そう解釈して頂いて構いません。段階を踏んで取引を広げていきたいと話し合いを進めています」
「一気に取引してよくねって思うけどね。こっちの世界のレートとか色々ある~とかなんとか?」
「なるほど。特地問題対策担当大臣の嘉納氏が率先して、取引を進めようと思ったのは資源の為であったと?」
「ふふ…そうかもしれませんね」
嘘は言っていない。目的がマイクラ世界の資源であるのは違いないのだから。同時に視線をそちらに誘導もしてあげたのだ、感謝すらしてほしい。
ニッチは深みを待たせた笑顔でニュースキャスターなどの報道人が好きそうな話題を考えながら、嘉納を巻き込む発言を思考していた。
・資源大国なのかマイクラ世界って
・ようやった嘉納!
・ファイブさんを対象に取引しに行った理由が・・・
・かわいいな、ファイブちゃん
・政治家なのに政治に疎い首脳がいるのか
・二人が運営する国ってどんな国なんだろ
・ニッチさんとファイブさんって姉妹?姉妹運営?
・日本だけでなく他国と取引すべきでは
・取引って独断で決めたの?
・森田総理と特地問題対策担当大臣で決めていいのか?
報道陣が好きそうな話題はすぐにわかるニッチ。彼女は思考系、戦略系の類が好みであり、〇earts of Ironや〇id Meier's Civilizationといった国単位での思考ゲーは特に好きな部類である。
「ああ、そうだ、私たちが取引する鉄ですが精錬して取引する予定です」
「そうなのですか。日本では精錬できない理由が?やはりマイクラ世界の方々の仕事を取ってしまうためでしょうか?」
「え、ああ…そこら辺は気にしないで大丈夫よ。単純に精錬技術が我々の世界の方が優っていたってだけだから」
「はぁ、精錬技術がですか…より詳しく解説をお願いしてもよろしいでしょうか」
「ええ、マイクラ世界で運用している資源は…
「不純物が混入しない精錬技術があると?」
「ん?・・・ええ、そうよ」
内心若干ドヤ顔で言っていたのだが、驚きもせず質疑を返されて肩透かしを受けたニッチ。だが、それを補うように詳しい視聴者からのメッセージが溢れかえる。
・精錬技術って溶かせばいいんじゃないの
・不純物が一切混入しないとかチートやん
・技術格差がやべー
・そんなにすごいの?
・世界で精錬した最高水準の純鉄でも99%だぞ
・電子機器の大半が純鉄なんだ。しかも高度な純鉄にすればするほどコストも上がる
・キャスターの無知はヤバいって
・普通は知らないから
・調べたけど日本は精錬した鉄が1万トンほどらしいから、それと同等の純鉄が生成されてる
・圧倒的じゃないかマイクラ世界は
・是非我が国と!
ーーー
ーー
そうだよ。その反応が欲しかった!とニッチが内心でドヤドヤしていると、ファイブが余計な事を言ってしまう。
「鉄が凄いの?取引した時って
「普通の鉄ですか…マイクラ世界の鉄は普通ではないのですか?」
「え、そりゃあ掘った物はいいけど、モンスうぐぅ⁉」
「…申し訳ありませんが、まだ全てお話できる段階ではありませんので」
「酷くない⁉」
「フォローするって言ったじゃない」
「割と本気で脇腹を殴ったよね!」
止めるのが遅かった。ニッチが内心で舌打ちしたが、メッセージで察しの良い視聴者たちから答え合わせが現れ始める。
・え、いまモンスターって
・モンスタードロップ!
・マイクラ世界ってRPG要素あるの
・ゲートから竜が出てたから今更感あるけどマジか
・ドロップ品だから査定が難しいのね、把握
・そりゃ嘉納さん案件だわ。モンスターから落ちた物を取引とか価値が付けずらいもん
・ファイブちゃんとニッチさんコンビいいわ
ーーー
ーー
その後も白熱した話題やニッチ達個人に対しての質問などで盛り上がり、最高視聴率を叩き出したのは必然だった。
「は~い、ここがキノコ島で~す」
マイクラ世界に訪れた者達は言葉を失った。事前情報と違い、設置されたゲートの先に在ったのはキノコだった。島を覆う程のバイオ―ム。生態系が完全に菌類に侵されているであろう島だった。周りは海に覆われて、島一つ見えない孤島のように存在していた。
護衛として来た者達も、防護服越しに辺りを興味深く観察している。守秘義務に同意した国立健康危機管理研究機構職員は動揺で混乱気味であった。
「き、危険です!これほどの胞子を空気中に飛ばしている菌類なんて地球上に存在しません!」
「大丈夫ですよ~、私たちが何百回使ったり食べたりしても害はないですから~」
「それを調べるのが研究職のはずですが。驚くのは理解できますが慌てないでください」
護衛の者達が率先して研究職の仕事に移るように誘導していく中、一人の隊員がイッチに聞いてきた。
「我々が想定していた場所と食い違いが見られるのですが、これは…」
「菌とかウィルスを調べるって聞いたので~一番菌がある場所にお連れしました~」
「…なるほど。つまり、マイクラ世界内であればゲートの出現位置は貴方がたが指定できると」
「一定の距離なら方角を決めてゲートを造れますね~」
「そうなんですか。ご協力ありがとうございます」
「サッチの方は~
一方そのころ、サッチはトラップタワーの説明を行っていた。
「はい。ここが鉄の製造所です。隣が銅で、その隣が金となっております」
サッチの示した先を見た自衛隊員らは唖然と
グォー グァ
…タワー内部から聞こえる苦しみが腹の底から湧き出てくるような人ならざる苦痛な声が耳元に響いている。
一人の隊員が内部について問うと、わかっていたようにタワーに付けられている謎のレバーを引いた。すると、先ほどまでコンクリートのようなタワー下表面が解放されて中身が露になった。
「ひぃ⁉」
隊員の一人が悲鳴を上げる。それが電波するように近くの者達も動揺が広がる中、特殊な訓練を受けた者達はいち早く受け入れ質疑をサッチにしていった。
「あれは…魔物、あるいはモンスターといった存在でしょうか?」
トラップタワーから落下してきたでろう、二次元知識からゴーレムに見える白い巨人が、まるで焼却炉のように下から吹き上げる炎に焼かれ…突如煙と共に消失していく場面が目に映る。消失するまでに意識があるのであろう、ぐぐもった声を発し、生命体としての機能が存在すると認識できてしまう。あるいは声帯があるだけなのか定かではない。だが、人間性を持つ者達にとって凄惨と言える行為は少なからず心に響く。
そうですね、モンスターです
その言葉を平然と言ったサッチに対し、我々の常識が通用しない世界であると隊員達は改めて気を引き締めた。
それに・・・
次回 伊丹ィぃ会いたかったぜぇ+海外の反応など
やっと帝国編まで行ける…逆によく今まで出ませんでしたね。おかしいな、ゲート二次なのに特地について全然書かれてない小説があるらしっすよ。