pixivFANBOXからの出張奈落家
■キャプション
奈落家姉妹の休日。
■まえがき
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
※ 奈落家のいつもの設定確認
・設定は戦国時代なのになぜか現代の要素が入る。
(今回、姉妹は美術館とイラストの即売会へ)
・奈落家の服装は、原作通り。
・奈落さんと分身たち皆生存していて
人見蔭刀に仕えて
皆一緒に人見城に住んでいる設定です。
・季節は特に記載が無ければ、
投稿された日と同じです。
ストーリーのジャンル:ほのぼの・真面目
(pixivにも同時に投稿)
では、このまま下へスクロールして本編どうぞ。
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先立つ物は多い方が良い。
自由になるにも多少のお金が要る。
しかし人見城を抜け出して
仕事をする許可も時間も取れない。
何が一番できそうで手っ取り早いか…?
休日の神無の部屋で人見家の姉妹は
それはイラストではないかと改めて思った。
しかしイラストを描き始めるでもなく
売るための相談をするためでなく、
美術館に行こうとする神楽と神無。
本気で稼ぐ気があるのだろうか…?
娯楽のような気もするが、
とりあえず神楽は神無を乗せて
羽飾りを飛ばす。
*
本当はあまり書状を使いたくない。
偽造した人見蔭刀の家臣であることを
証明する書状を使い、
美術館にタダで入るが、
ウワサが立ち過ぎても困る。
でもやはり使う。
広々とした美術館の展示室はひんやりとしていて
少し高貴で華やかな香りがくゆる。
展示のテーマはゴッホと
関連する印象派以降の絵画だった。
印象派はイイカンジで
描き方に自由があっていいと神楽は思った。
神無は絵画だけでなく、
説明文や経歴などの文章もしっかりと読んでいる。
それからポスト印象派、点描画へと足早に進む。
神楽は、よくわからないが雰囲気は良いと思っていた。
神無は絵画もじっくりと味わっていた。
ふっくらとした長椅子がある所では
二人そろって座って静かに眺めた。
ゴッホと言った印象派の画家の絵画は
絵画として良いが、
なんとなく名前のブランドで
人気があるような気がすると
神楽は神無に小さな声で話していた。
実際、ふだんよりも美術館に来客は多い。
だが、現代美術の方が上のような気がした。
時代の技術の進歩としてはそうだが、
本来、比べる物でもないし、比べられない。
*
美術館を出て
再び神楽は神無を乗せて羽飾りを飛ばす。
今度はイベント会場でやっている
現代美術の販売会へと赴く。
同時期に見た方が絵画について
何かつかめると思ったからだ。
会場の受付でタブレットで
簡単なアンケートに答え、
入場する。
その際、展示している作者の
ポストカードがもらえたが、
2種類あったので
姉妹でそれぞれ1枚ずつ別なのをもらって
両方手に入れた。
さすがこういうことに関しては要領の良い姉妹。
"囚人のジレンマ"に陥っても
お互い上手くやれそうな感じもする。
手前の物販コーナーでは
缶バッジ800円、ポストカード1200円、
トートバッグ3000円と言ったように
一般的な同人誌即売会で売られるような
イラストの入ったグッズが売られていた。
デジタルのイラストで人物はものすごく上手で
且つ魅力がある。
風景のデジタルイラストも新海誠の映画に
出て来るような精巧なリアルさだ。
「こんなに上手く描かねえと売れねえの?」
人物も風景もpixivに上がっているイラストを
細かいところまでものすごーーく上手くした絵画に
神楽は驚きを隠せない。
神無も静かに驚きの表情を見せる。
実際の展示会場でも
絵画は50万円から売られていた。
最高は200万円。
美術館にある昔の芸術家が
売れない頃(?)に描いた小さな絵よりは
明らかにサイズが大きめだ。
雰囲気はちょっとプラネタリウムのようで
無機質なにおい
黒布の背景の壁にオシャレな小さい黄色いライト。
都会のオシャレな書店のようなBGM。
ライブ会場の案内・警備スタッフのような
少しラフに着崩した黒いスーツの多めのスタッフたちが
絵画を来客たちに勧めている。
スタッフたちは皆、若いイケメンか美女で
セールスしながら雑談している。
客は博識なのか、逆に店員に知識を披露している。
太鼓持ちのように合わせて話を聞く作り笑顔のスタッフ。
姉妹は資金の無い子供と見られたのか
スタッフからは誰からも話しかけられなかった。
二人はお金のからむ社会の闇を感じた。
「鬱だねえ」
「…うん」
さらっと見回って後にする姉妹。
*
人見城に帰って来て、考え相談する姉妹。
神楽も神無も絵は下手ではないが、
プロには程遠く、描いても売り物にはならないだろう。
AIに描かせるにしても
もっと細かくきちんと描写しなければ
とても売れない。
ほぼ娯楽のような外出であったが、
しっかりとした市場調査はできていた。
今すぐに自由のための資金を稼ぐのは無理にしても
神楽と神無は奈落に命令される仕事にも何か活かせるかもと
イラストを描く練習をしていくことにした。
闇雲に描くのではなく、人物、生物、機械、風景など
色々なものが描けるように計画的に取り組んでいく。
自由になると言うと一発バズって
一気に解放みたいな印象を受けるが、
意外とコツコツとした努力なのであった。
神無には向いているし、
神楽も納得すれば集中して取り組む方なので
コツコツ努力ができない訳ではない。
姉妹はまた少しずつ自由の道を歩み始めた。
そして日々、
デジタルの上手いイラストを目指して練習していくが、
実のところ、姉妹の心にあったのは
先日見た美術館のゴッホの淡い色合いの風景画なのであった。
「古い物も悪くねえな」
神楽がタブレット端末で
とにかく描くという手法での
イラストの練習をしながらつぶやく。
神無も構図を考えながらコクリとうなずいた。
おわり
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。