魔法少女のマスコットになったと思ったら、魔法少年(女装)だった話   作:らくべえ09

6 / 6
06、ふたり目の純魔法少女との出会いや!

 

 

 

「あのラルヴァは、複数いるとなかなか厄介なんですが」

 

 と、日野さんは言うた。

 

「らるば? スライムとちがうんですか?」

 

「ええ。大気中の魔素(マナ)によって、人間の残留思念などがこりかたまって発生する低級モンスターです。といっても、あくまで仮説ですけれど。そのへんもまだ研究と調査の途上です」

 

「マナっちゅうと、アレですか? つまり魔力(マジックパワー)の《もと》というか」

 

「そうですね」

 

「――()()()()()()()()ということは、大昔から魔法使いはいたということか」

 

 軽くうなずく日野さんを見ながら、溝出がよそ見をしながら言ったで。

 

「……さあ、それは。魔法少女というか、魔法やマナがハッキリ確認されたのはせいぜい20年以内、おそらくは10数年前ですから。ですがまあ、そこはまた後で聞いていただくとして」

 

 日野さんはそこでゴホンと咳払い。

 

「余裕があるのなら、他にも処理していただき案件があります」

 

「ふん」

 

 溝出は冷たく笑って、

 

「まだるっこしい言い方をせず、他にも仕事があるから行けというんだろう」

 

「否定はしません」

 

「わかった。と、言いたいが……豆田、お前はどうする?」

 

「いやあ、わいは特に何にもしとらんから、別にええで」

 

「そうか、まあこなした数だけ報酬が増えるのなら、文句はない」

 

「では、お願いします」

 

 

 ちゅうわけで。

 

 

 わいらはさらに仕事を回されたわけや。

 

 

 それで結局――

 

 

「……実に、見事なものですね」

 

 

 日野さんはクールな顔に驚きを浮かべて言った。

 『魔協』の建物……そこの待合所ン中や。

 

 溝出が捕獲したモンスターの箱が10個以上積み上がっとる。

 

「殺すのはいいが……捕獲は面倒だったな」

 

 変身を解いた溝出は座ったままでだるそうに言ったで。

 わいもマスコットから人間に戻っとる。

 

 特になんもしてへんけど、気疲れはけっこうしたなあ。

 

「しかし、見た目はアレやけどなんか動物とかとあんまり変わらん気がするで」

 

 捕まっとるモンスターを見て、つい言ってしもうた。

 

「そうですねえ。このレベルだと確かに……。ですが、これでも新人はかなりてこずるんですよ、マスコットの補佐がなければ危険なほどに」

 

「そんなもんですか」

 

「ええ、そんなもんです。実戦で魔法を使うのも初めてだし、猫や犬サイズの生き物を殺すのは抵抗がある。いくらモンスターといってもね」

 

 と、日野さんが言うたら、

 

「ハエやゴキブリは平気で殺すくせにな」

 

 溝出は冷笑した。

 しかし、こういう表情が()()になるなぁ、こいつ。

 

「いやあ、そら命には変わりないかもしれんけど……」

 

「――わかってる。誰しもそんなもんだ。余計なことだったな、忘れてくれ」

 

 わいの言葉に、溝出は案外素直にうなずいた。

 

 ふーん。

 

 冷たい感じがするけど、そんなに悪いヤツでもないんかもしれんで。

 

 しかし……。

 それにしてもや……。

 

「こうして見ると、壮観ちゅうか……」

 

 わいは捕獲されたモンスターを見ながら首をひねった。

 

 最初のスライム……。

 ラルヴァとかいうのをはじめ、色んなのがおるで。

 

 鳥とか犬みたいなの。

 口だけの蛇なんか芋虫かわからんようなの。

 それはもうバラエティーに富んでるわ。

 

 ヘビイモムシを見ながら日野さんは、

 

「最後に捕獲したコレですが、正直新人には荷が重いレベルなんです。しかし上層部は、あなたがたなら十分対処可能だろうと判断しました」

 

「ほー。そうなんですねえ……」

 

 そういや、他のが複数やったのにこいつは一匹だけやったな。

 サイズもけっこうでかいし。

 しゃーけど、溝出があっさり捕まえたんで、ようわからんのやけども。

 

「しかし、これなんですか? 虫?」

 

「生物学的には……よくわからない、そうです。とりあえず、ノヅチと呼称されていますが」

 

「ほえー」

 

 どっかで聞いたような名前や。

 妖怪とかのアレやったかな?

 

「しかし、危険度の低いものでもこれだけこなせば、報酬もかなりの額になります。現在そっちの計算もしていますので、もう少しお待ちください」

 

「そうか。時に……。こいつらを1回始末してどの程度のものになる?」

 

「――そうですね」

 

 溝出の質問に日野さんは少し考えて、

 

「一番難易度の低いモンスターで言うと、1体捕獲するごとに大体5千円ですか」

 

「う~~ん?」

 

 なんか、高いような低いような。

 えらく微妙な値段やのう?

 

「といっても、これは低ランクの中でも本当に代表的な新人向けのモンスターの場合です。新人の場合、下手な駆除より捕獲のほうが簡単なので」

 

「まあ、わかる気もしますねえ」

 

 わいはうなずく。

 

「ただ、あなたがたが相手をしたのは、ランクの低い中でも攻撃性があり比較的危険度の高いモンスターばかりです。なので……あまり確かなことは言えませんが、安く見積もっても、合計50万くらいでしょうか」

 

「ごじゅうまん……なんか、一気に(けた)が上がるんやなあ」

 

「数も多いですし」

 

「とすれば、二人でわければ25万か。まずまずだな」

 

 溝出は微かに笑って、髪の毛を撫でた。

 

 ううーん。

 

 こうすると美少年はホンマに絵になるなあ。

 悔しがるとか、嫉妬する気にもなれんわ。

 

「――ちょっと」

 

 わいが感心してると、知らん声が聞こえた。

 

 振り向くと、

 

「そいつら、誰です?」

 

 あんまり友好的とは言えん雰囲気の女子が一人。

 型に、リスみたいな動物がのっとるけど……。

 

 んん? あ、あのリス。

 

 マスコット……やな? なんか気配でわかったわ。

 これもマスコットの能力ちゅうやつ?

 

 で、女の子や。

 

 茶髪ちゅうか、ブラウンの髪をポニーテール。

 よう見たら瞳は緑色

 漢字にするなら、緑よりも翠のほうが似合いそうや。

 

「ああ、こちらは先日新しく入った……魔法少女になる溝出さん、とそのマスコットをつとめる豆田さんです」

 

 日野さんはわいらを紹介してくれた。

 そしたら、

 

「マスコット? 人間に見えますが……」

 

 わいをジロッと見ながら、ポニーテールさんは言うたで。

 やっぱり友好的な感じやないなあ。

 

「それで、そちらは……」

 

 今度は不思議そうに溝出を見たけど、わいの時に比べると態度が柔らかいな。

 まあ、こういうのは慣れてるけど。

 

「……」

 

 溝出のほうは、ただちょっとだけ視線を送っただけ。

 かと思ったら。

 

「断っておくが、俺は男だ。肉体的にも、性自認的にもな」

 

「――え?」

 

 ポニーテールさんはギョッとした顔に。

 いや、服装でわかるやろ? と思ったけど。

 

 そういえば、女子がスカートやなくてスラックスの制服を着る場合もあるんやな。

 

 うん。

 確かに、そうすると溝出の見た目で間違えるのも無理ないわ。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

人の生き様大好き系上位存在が蔓延る世界に生まれ落ちた生存本能極振り転生者(作者:せぞんのう)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

その世界には人間の輝きが大好きな悪魔が無数にいた。▼死を経験したことで生存本能に意識を極振りした転生者のルセラは、悪魔を利用してでも生き残ることを画策する。▼しかしその姿は悪魔たちにとって、性癖ど真ん中をぶち抜く行為だった。▼しかも生き残るためにあらゆることをやってのけるこの異常者の行動は悪魔の想像の遥か斜め上を行く所業ばかり。▼やがて、生存本能極振り転生者…


総合評価:10366/評価:8.88/連載:10話/更新日時:2026年05月08日(金) 07:05 小説情報

「あるよ」おじさんになりたくて(作者:おっとり塩茶漬け)(オリジナル現代/日常)

「いやいや、まさかそんなのあるわけ」▼「だよねぇ」▼「……あるよ」▼「「え」」▼そんなやりとりがしたい。▼そんな願いを抱えた男が転生して、カフェを開くことにした。


総合評価:9271/評価:8.5/連載:3話/更新日時:2026年04月29日(水) 23:05 小説情報

貞操逆転世界で幼なじみ♀を慰めてたら襲われた(作者:おねがいします)(オリジナル現代/恋愛)

あべこべでの百合が見たい。


総合評価:8505/評価:8.84/短編:2話/更新日時:2026年06月01日(月) 00:03 小説情報

現代ダンジョンで魔法少女になったら男に戻れなくなった(作者:都森メメ)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

会社が倒産してダラダラとした生活を送っていたところ、気まぐれで受けたダンジョン講習をあっさり通ってしまい、冒険者としての道を歩み始めた主人公。▼初のレベルアップで手に入れた固有スキルはなぜか『魔法少女』で「一度変身すると二度と男に戻れない」という致命的な欠陥つき。▼戸籍問題、社会生活、主人公の貞操を狙うもう一人の魔法少女、現代ダンジョンで無事に生き抜くことは…


総合評価:14905/評価:8.16/完結:15話/更新日時:2026年05月23日(土) 19:01 小説情報

アラサーTSメスガキ魔法少女に煽られて恥ずかしくないの?♡ざぁーこ♡(作者:夏川優希)(オリジナル現代/冒険・バトル)

アラサー社畜男性がメスガキ魔法少女に転職し、(口が勝手に)敵を煽って煽って煽りまくってボコボコにやっつけちゃう話。▼七瀬律はブラック企業でパワハラ上司にこき使われる社畜である。▼オフィスにて突如怪人に襲われ、死の淵に追いやられた律は思った。もっと自由に生きれば良かった、と。▼その願いに魔法の力が応えた。▼律は魔法少女に変身したのだ。▼アラサー男性なのに。しか…


総合評価:11298/評価:8.77/連載:57話/更新日時:2026年08月19日(水) 07:06 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>