寮生活直前でも雄英高校サポート科実習棟は相変わらず騒がしい。
ガガガガ!!
工具音や爆発音で夏休みとは思えない。
「だから爆発機能はいらない」
「必要です!!」
「避難誘導型なのに?」
「はい!!」
発目は机へ設計図を広げる。新型モール案はかなり増えていた。
《モール・キャリー》
搬送補助特化。
《モール・サーチ》
熱源・生体反応探索型。
《モール・リンク》
通信中継支援型。
どれも、神野で必要だった機能ばかり。
「実は他にも新しいアイテム作りたいんだ」
「いいですねぇ!!」
その時後ろからパワーローダーの声。
「……お前ら」
腕組みしてかなり怖い。発目がピシッと敬礼。
「爆発してません!!」
「してたろ今」
机の端が焦げているのでバレバレだ。パワーローダーは設計図を見るもしばらく無言だった。
「神野で味しめたか」
発目が固まる横で灰斗は普通に返す。
「必要だったので」
「必要なら何してもいい訳じゃねぇ。お前、無茶した自覚あるか?」
神野での無断個性使用と現場突入。確かに危険だった。
「死んでてもおかしくなかったぞ」
パワーローダーは怒鳴らず静かに怒っている。発目も流石に黙る。
「支援装備としては優秀だ」
事実、神野で実績も出た。
「だが、“現場で使える”と“学生が勝手に持ち出していい”は別問題だ」
完全に教師の顔で灰斗は返事しかできない。
「……はい」
「特にお前、また複製前提で物考え始めてる」
空気が少し重くなる。神野で見たもう一人の灰斗との同時支援の効率はあまりにも高かった。
「便利だからって依存すんな」
仁と同じ事を言いわれる。
「便利でした。でも、消えるのは嫌でした」
正直に答えた。パワーローダーは小さく息を吐く。
「……ならまだいい」
完全な安心ではないが少しだけ力が抜けた声だった。パワーローダーは設計図の一部を指差す。
「ここ脆い」
「え」
「荷重集中する。神野みたいな瓦礫地帯だと折れるぞ」
現場経験込みの指摘に灰斗は即修正。補強追加し荷重を分散する。
その様子を見ながらパワーローダーは小さく本音を呟いた。
「……人助け方向へ行くなら、まだマシか」
寮入り当日分倍河原家朝
テレビではニュースで相変わらず神野事件の話題が続いている。オールマイト引退での社会不安ばかりでもう何週間も同じだ。
灰斗は荷物をまとめていた。段ボール二箱と工具箱一つにノートパソコンしかない。
「少なっ!」
ソファから仁が言う。
「必要な物だけ」
「高校生の荷物じゃねぇな」
「サポート科だから」
今日から寮生活。神野事件後の安全対策でありサポート科も対象だ。しばらく家へ帰る事は少なくなる。別に悲しい訳ではない。
ただ少しだけいつもと違う。灰斗は玄関へ向かい靴を履き荷物を持つ。
「じゃあ行く」
仁はテレビを見たまま答える。
「おう。飯食え」
「食う」
「寝ろよ」
「寝る」
「無茶するな」
「努力はする」
「ハハ、信用できねぇな」
それを最後に、灰斗は家を出る。仁は見送らないし灰斗も振り返らない。
玄関の扉が閉まった後静かになった部屋で。
「……静かだな」
誰もいない工房。工具音もない。モールもいない。本当に少しだけ寂しかった。
雄英高校へ到着
新設された寮に荷物をはこびいれ部屋割りを説明される。生徒達が慌ただしく動いている中灰斗は黙々と荷物を運んでいた。
スマホが震える。送り主は仁 。
『生きてるか』
『生きてる』
『ならいい』
それだけだった。
翌日サポート科実習棟
「分倍河原さん!!!!新学期です!!」
「知ってる」
「新ベイビーです!!」
発目は巨大な設計図を広げるとその中央には
《ビーコン》 小型通信中継機
《シルク》 多用途展開シート
戦うためじゃなく支えるための神野で足りなかった装備。灰斗は設計図を見る。
「作りましょう!!」
新学期、社会を支えるための次の一歩が始まろうとしていた。
発目は灰斗の手伝いもしつつヒーロー科のコスチューム改良もしている
サポート科の授業は攻撃アイテムの授業とか色々書こうと思ってたんですが無駄に長くなるだけなので消しました