第二宇宙研究所。
秘匿調査資料。
対象者、アマジン。
および出生時に同地域・同時期のグルメ細胞安定処置を受けた者について、再調査を実施。
調査対象は、出生時検査記録、ワクチン反応値、妊婦向け安定処置の原材料ロット、幼少期検診記録、学園入学以降の成長推移、グルメ細胞適応率、および戦闘・捕獲実技記録。
結果。
アマジンおよびその周辺地域の数値を調べ上げた結果、その地域特有の因子が存在することが判明した。
因子は、通常のグルメ細胞ワクチン反応とは異なる。
ただし、出生当時の数値としては、対象者間ですべて横並び。
アマジンのみが突出していたわけではない。
アマジンも、同地域の他対象者と同等の反応値であった。
当時の検査担当医は、機器の揺らぎ、もしくは地域ロット由来の微弱な変動として処理している。
異常値ではある。
だが、危険値ではない。
その判断自体に、大きな誤りは認められなかった。
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続いて、該当地域の対象者たちの現在を追跡調査。
大半は、平均程度の成長を示している。
身体能力、グルメ細胞適応率、食材耐性、捕獲実技、いずれも同年代の範囲内。
特筆すべき異常成長は確認されない。
数名に軽度のグルメ細胞適応優位が見られたが、いずれも進路、食生活、訓練環境の範囲で説明可能。
つまり、同じ因子を持っていたとしても、それだけで対象者アマジンと同様の成長へ至るわけではない。
この点は重要である。
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対象者アマジンの学園記録を確認。
総合テスト、一位。
食材基礎学、上位。
グルメ細胞理論、上位。
調理実習、並、もしくは時期によってはそれ以下。
食材史、並、もしくは時期によってはそれ以下。
特に調理分野では、本人の興味に反して技量の伸びは限定的。
一方で、戦闘、捕獲、環境適応、危険食材への反応、瞬間判断、身体運用、食欲エネルギー操作に関しては、ほぼすべての学園最高記録を塗り替えていた。
記録更新は一度ではない。
複数回。
継続的。
かつ、短期間で著しい伸びを示している。
教師陣の所見には、以下の記述がある。
『努力量が異常』
『食材への執着が強いが、単なる食欲ではなく、敬意に近い』
『戦闘訓練後も自主訓練をやめない』
『食没訓練中の集中力が高すぎる』
『捕獲対象をただ倒すのではなく、どう食べるかまで考えて動いている』
以上の記録より、対象者アマジンの成長は、生まれ持った因子のみで説明することはできない。
同地域同条件の対象者たちと比較して、発現差が大きすぎる。
差異として確認できるものは、環境、本人の意思、訓練量、食への執着、そして地球のフルコースを巡る中で得た食材経験である。
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仮説。
対象地域特有の因子は、単独では眠ったまま消える、または通常成長に吸収される程度のものであった可能性が高い。
しかし対象者アマジンは、たゆまぬ努力と鍛錬、食義・食没の習得、地球のフルコース実食、そして極めて強い食への感謝により、その因子を継続的に刺激した。
結果として、因子が反応した可能性がある。
現時点で、対象者を単なる異常値、あるいは外部因子の器と断定することはできない。
むしろ、報告者は以下の所見を残す。
対象者アマジンは、異常な因子によって強くなっただけではない。
強くなろうとしたから、因子が目覚めた可能性がある。
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追記。
対象者は現在、センター実地確認のため、エリア1へ向かっている。
第二宇宙研究所は、当該行動を黙認。
メリスタ所長判断。
理由は以下。
『止めるべきかどうか、判断材料が足りない』
『だが、あの少年はこれまで、自分で食材と向き合うことで答えを得てきた』
『センターについても、同じである可能性がある』
以上。
なお、対象者アマジンの現在値は、通常の成長曲線から完全に逸脱している。
だが、その逸脱が破滅へ向かうものなのか、あるいは新たな美食屋の形なのか。
結論は、まだ出ていない。