千年後のグルメ時代   作:鳩夜(HATOYA)

121 / 121
センター強襲

 センタービオトープ。

 俺はガウンさんとメリスタ所長の三人で待機していた。

 

 ブラウス。

 はむまる。

 ミルカ。

 

 三人は第二宇宙研究所の安全な場所で待機している。

 本当はブラウスも来たがっていた。

 

 だが、今回は相手がグリーントロルだ。

 

 しかも狙いがセンターである可能性が高い。

 何が起きるか分からない。

 

 メリスタ所長の判断で、三人には研究所に残ってもらうことになった。

 

「センターは俺たち三人だけなのか……?」

 

 俺は周囲を見る。

 広い。

 本当に広い。

 なのに、人の姿は俺たち以外に見えない。

 

「ああ」

 

 メリスタ所長が頷いた。

 

「地球にいる最上位ライセンスの者は、それぞれのビオトープで待機している」

 

「それぞれ?」

 

「エア。ペア。アトム。アナザ。ニュース。アース。ゴッド」

 

 地球のフルコース。

 その各地。

 

「どこへ来ても対応できるように戦力を分けている」

 

「なるほど……」

 

「だが」

 

 メリスタ所長が上を見る。

 

「ここへ来る可能性が一番高い」

 

「そうなのか?」

 

「センターだからだ」

 

「……?」

 

「星のフルコースであり、宇宙のフルコースの前菜でもある」

 

 宇宙のフルコース。

 俺は空を見上げながら聞いた。

 

「宇宙のフルコースって、この宇宙にある星々の一つ一つがそうなるのか……?」

 

「お」

 

 ガウンさんがこちらを見る。

 

「鋭いやん」

 

「概ねそんな感じや」

 

「概ね?」

 

「星ごとに、それを代表する食材がある。全部の星に必ずあるわけやないけどな」

 

 ガウンさんが腕を組む。

 

「宇宙のフルコース候補になるような食材を持つ星。その中から前菜、スープ、魚料理……そうやって選ばれていくんや」

 

「……」

 

 俺は少し考える。

 

 宇宙。

 星。

 その星を代表する食材。

 

 それを集めて。

 

 一つのフルコースにする。

 

「楽しみになってきた……!」

 

「お前なぁ……」

 

 メリスタ所長が呆れた顔をする。

 

「今から敵が来るかもしれないのだぞ」

 

「分かってる。でも宇宙のフルコースだぞ?」

 

「アマジンらしいやん」

 

 ガウンさんが笑う。

 その時。

 ガウンさんの表情が変わった。

 

「さて」

 

 空を見る。

 

「話してる場合ちゃうで」

 

「……?」

 

「お出ましや」

 

 遥か上空。

 黒い塊。

 最初は小さな点にしか見えなかった。

 

 だが。

 

 ゆっくりと。

 確実に。

 大きくなっている。

 

「母艦……」

 

 メリスタ所長が目を細める。

 

「一機しかいないようだな……」

 

「一気には来んやろ」

 

 ガウンさんが言う。

 

「どこかにおる八王に、一瞬でやられる可能性もあるやろうしな」

 

「八王……」

 

 そうか。

 

 地球にはまだいる。

 あの化け物たちが。

 

「どちらにしても、母艦そのものは降りてこないだろう」

 

 メリスタ所長が構える。

 

「来るなら小型機だ」

 

「……」

 

 俺も空を見る。

 黒い母艦。

 そこから小型機が降りてくる。

 

 俺もそう思っていた。

 

 だが。

 

 予想は外れた。

 

「……ん?」

 

 母艦の一部。

 何かがきらりと光った。

 

「なんだ?」

 

 落ちてくる。

 何かが。

 一直線に。

 

 地上へ。

 

「……でかい」

 

 徐々に形が見える。

 

 長い。

 太い。

 

 先端が尖っている。

 

 それは。

 まるで。

 

 巨大な槍。

 

「なんやあれ……」

 

 ガウンさんが呟く。

 メリスタ所長の顔が変わった。

 

「伏せるんだ!!」

 

 ドン!!!

 大地が揺れた。

 

「うおっ!?」

 

 俺は地面へ手をつく。

 

 土。

 岩。

 木。

 

 周囲の全てが跳ね上がる。

 凄まじい衝撃。

 耳が痛い。

 

「な、なんだ……!?」

 

 土煙の中。

 巨大な影が見える。

 

 槍。

 

 さっき落ちてきた巨大な槍が。

 センターの入り口付近へ深々と突き刺さっていた。

 

「……」

 

 ガウンさんが口を開ける。

 

「おいおいおい」

 

 槍を見る。

 

「まさか、入り口からセンター行かれへんからって」

 

 少し間を置いて。

 

「槍ぶっ刺したんか!?」

 

「力技すぎるだろ!」

 

 俺も思わず叫んだ。

 

 センター。

 

 本来なら、入り口から進む。

 そして食欲を吸われる道を通り。

 エリア0へ辿り着く。

 

 だが。

 グリーントロルは。

 

 その道を使わない。

 地球そのものへ。

 

 直接。

 穴を開けた。

 

「破壊するぞ!」

 

 メリスタ所長が走る。

 

「分かった!」

 

 俺とガウンさんも続く。

 

 巨大な槍。

 

 近づくだけで嫌な感じがする。

 メリスタ所長が手を伸ばした。

 

「待て!」

 

 触れる。

 

「ぐっ!?」

 

 メリスタ所長の腕から、一気に食欲が流れ出した。

 

「メリスタ!」

 

 すぐに手を離す。

 メリスタ所長が数歩下がる。

 

「……なんだ、これは」

 

 顔色が少し悪い。

 

「エネルギーを吸われたのか?」

 

「ああ」

 

 メリスタ所長は槍を見る。

 

「触れた瞬間だ」

 

 ガウンさんが扇を伸ばす。

 先端だけ。

 槍へ触れる。

 

「……っ!」

 

 すぐに引いた。

 

「こらあかんな」

 

「ガウンさんも?」

 

「一瞬で持ってかれた」

 

 ガウンさんの顔から笑みが消える。

 メリスタ所長が首を横に振る。

 

「いかん……」

 

 巨大な槍を見る。

 

「とてもではないが触れぬ」

 

 その時。

 

「メリスタ!」

 

 ガウンさんが上を指さした。

 

「小型機や!」

 

 母艦。

 側面。

 次々と開いていく。

 

「めちゃくちゃ降りてきよるぞ!」

 

「……!」

 

 黒い小型機。

 

 一機。

 十機。

 百機。

 

 まだ増える。

 

「アマジン!!」

 

 メリスタ所長が俺を見る。

 

「センターの入り口から中を見てこい!」

 

「え?」

 

「この槍がどこまで届いているのか確認する!」

 

「でも……」

 

「お前しか行けん!」

 

 俺は二人を見る。

 

「二人で大丈夫なのか!?」

 

「はぁ?」

 

 ガウンさんがこちらを見る。

 

「見くびってるんちゃうで!」

 

 扇を構える。

 

「余裕や、こんなん!」

 

「ガウン。数は見えているのか?」

 

「言葉のあやや!」

 

「……」

 

 俺は少し不安になった。

 だが。

 メリスタ所長も既に構えている。

 

「行け、アマジン」

 

「……分かった」

 

 俺はセンターの入り口を見る。

 

「行ってくる!」

 

「ああ!」

 

「中を確認したらすぐ戻れ!」

 

 俺は走った。

 巨大な槍の横を通る。

 近づくだけでも。

 食欲が引っ張られる。

 

「くっ……!」

 

 グルメスモック。

 体を覆う。

 

 そのまま。

 

 センターの入り口へ。

 

 以前。

 一度通った道。

 

 俺は再び。

 エリア0へと向かった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

その美食屋、転生者につき(作者:苦笑いの妖精)(原作:トリコ)

トリコの世界を便利な3つのチートと共に生きていく。▼息抜きに書いた習作です。


総合評価:7112/評価:6.72/短編:14話/更新日時:2026年06月04日(木) 22:26 小説情報

戦国転生 4歳から始める十種影法術(作者:匿名希望)(原作:呪術廻戦)

R08.06.19完結しました。▼今後日談的なエピソードを更新していきます、3エピソード予定でしたが、長くなりそうです。▼つまみ食いのような感じなので期待せずお待ちください。▼慶長に行われる御前試合から逃げ切りたい転生者くんの話です。▼10〜14歳のどこかの影久のイメージです。AIくんありがとう・・・。▼【挿絵表示】▼下の画像はネタバレあるので気をつけてくだ…


総合評価:4020/評価:8.2/完結:65話/更新日時:2026年07月09日(木) 12:28 小説情報

グルメ界で、鹿でしかない(作者:トリコ世界の料理食べたい)(原作:トリコ)

起きたら背中に森が生えているシカだった。▼夢かと思ったが、しかしシカだった


総合評価:8908/評価:8.8/連載:5話/更新日時:2026年06月25日(木) 20:15 小説情報

忍の世界とか割と詰みである(作者:こうすけ増田劇場版)(原作:NARUTO)

面白いからを理由に転生させられる極々普通の転生者の話。▼それはそうとこの世界線、アニナルっぽいので割と手厳しいと言うかNARUTOの世界ってチートを貰ってようが普通に厳しくね?な話▼ヒロイン?最終回発情期とかあるし息子世代の話もあるし、まぁ、500話以上あるアニナルを見てどうすんか考えるっぺ。


総合評価:4684/評価:6.86/連載:40話/更新日時:2026年07月20日(月) 18:06 小説情報

【七色弓箭】で征くポックルに転生した男のハンター道(作者:レインボウ)(原作:HUNTER×HUNTER)

唐突に前世の記憶を思い出したポックル。溢れ出した原作知識は無垢な少年を絶望に落とす。迫り来る不運の絶頂、キメラ=アント、ザザンとパイクに作中最強格のネフェルピトーの脳くちゅ、前世の記憶と原作知識を駆使して走り出す少年は今、ハンターの道を選ぶ!▼アンチヘイトは念の為です。


総合評価:6017/評価:8.18/短編:2話/更新日時:2026年03月22日(日) 02:56 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>