あなたがトリニティでやってはいけない事リスト 作:装甲アッサム春雨
というか、ここからベアトリーチェドカンまでそうです。
……警告はしました。
また、感想返信は後日纏めて行います。
追記
アンケートで実施しました二人の名前ですが、要る、要る様な気がするが多数となりましたので、ここで公開します。
『あなた』¦竜胆タツキ
先輩¦御厨アキエ
となりますが、作中では『あなた』と先輩のままでいきますのでご了承ください。
「はい。では、大詰めです」
報告が終わると手を叩く音共に、ナギサの絶妙ににこやかな声が落ちてきた。
あの戦い見てなんでそんな笑顔なのか。
それは誰も言えなかった。無論、隣で引いているマコトや懸命に目を逸らしているセイアも。
「いやー、大変でした。共にエデン条約を推し進めていた連邦生徒会長が行方不明になり、マコトさんとヒナさんとでどうにかこうにか漕ぎ着けた調印式。漸くここまで来れました。ええ、漸くここまで来れました。そうですよね? マコトさん」
「あ、ああ、そうだな。本当に長かった」
突然振られたマコトが若干詰まりながらも答える。
本当はちょっと茶化してやろうかとも考えたが、隣のフィリウス隊の一人がナギサに見えない様に首を横に振り、通信士として辣腕を振るっていたサンクトゥス隊がマジでやめろと、メモを回してきたのでやめたが正解だった。
今のナギサはヤバい。
顔は非常に惹かれる程に穏やかな、天使達の首長さながらといった風なのに額には青筋が浮かび、瞼の奥の瞳は一切笑っていない。
悪魔の長としての本能が叫んでいる。これを刺激するなと。
「なのに、なのにですよ? マダム・ベアトリーチェでしたか? それが引っ掻き回して、スムーズに進む筈の締結を遅らせただけでなく、マコトさんまで騙して使おうだなんて……。うふふ」
ナギサがカタカタと震えだし、セイアを筆頭にトリニティ組が冷や汗を流す。
ナギサは元々、政治向きの性格ではなかった。どちらかと言えば平時のミカの様な天真爛漫で、彼女の様に好奇心で動くタイプだ。
なのに、ナギサには首長としての能力があり、責任感も有していた。
だから、素の性格を封じ込めトリニティの三首長の一人として、日々政治に明け暮れた。
ここに古くからの幼馴染みであるミカが居れば、ブレーキを踏んでくれただろうが、今は基本的にアクセルしかない事を自覚しているセイアと、擦り付けた罪がここで出てきてしまったマコト。そして、暴走ナギサを知る二派しか居ない。
ヤベーよ。どうすんだよこれ……。
現在、蒲郡に搬送され超緊急最高強度救護を受けている少女が聞けば、お説教間違いなしな言葉が漏れそうになるが、それすらナギサの最後のスイッチを押しかねない。
パテル派通信士が神に祈る気持ちで、
「む、誰か」
そのノックにナギサ以外のトリニティ組は天を扇いだ。ミカならノックはしないし、少女としっかり躾られた彼女は今ミネの元で脱出は不可能だ。
なら、このノックの主は誰なのか。
警護のフィリウス、サンクトゥス隊の二人が扉を開けると、あまり見覚えの無いショートカットの生徒が立っていた。
「アリウスの梯スバルです。暫定首長の錠前サオリから現状の連絡をと……。……あの、皆さん大丈夫ですか?」
お前らが言うな。お前らアリウスの方が大変だったし、多分これから酷い事になるんだぞ。
と、言いそうになったが皆は堪えた。
だが、そんな事は知らないスバルから見れば、この司令室に居るのは滝の様な冷や汗を流すトリニティと、青い顔のゲヘナの議長。そして、カタカタ震えながら笑うナギサの混沌だ。
真面目かつ良識のあるスバルから見れば、なんらかの攻撃を受けたのではないかと警戒するのは当然であり、しかし攻撃を受けたにしては部屋が荒れていない事に疑問するのも当然だった。
だが、この司令室は誰からも何の攻撃も受けていない。
ただ、ナギサではなくナギちゃんという戦略核が
「あ、あの、皆さん?」
「梯スバル」
全力でスニークして、スバルの近くに来たセイアがナギサには聞こえない程度の声で話しかける。
その声量に何事か察したスバルは努めて平静を保ち、セイアに応じる。
「なんでしょう? というか、大丈夫なんですか? 顔色が大分……」
「大丈夫だ、問題ない。一番いい装備で頼むと言いたいが、今のナギサをあまり刺激しないでくれ。下手をするとアリウス自治区が更地になりかねない」
「はぁ、アリウスが更地に………。はい?」
「いいか。そうならない為にも、くれぐれも刺激しないでくれ。ここら一帯を吹き飛ばす爆弾を解体する気持ちで居てくれ」
アズサからの情報で桐藤ナギサは武力行使すら厭わないとは聞いていたが、それが何故戦術兵器クラスの爆弾解体になるのか。
背後から見えるナギサは小刻みに震えるというより痙攣している様に見える。まさか、何か持病があって、それを覚らせない為の方便ではないか。
スバルはそう思ったが、ナギサ以外の司令室全員がこちらを見ていたので、これは方便とかではなく本気だと思い直した。
「それで、連絡とは?」
「あ、はい。最終的な打ち合わせが済み、アリウススクワッド以下の部隊と諸々の準備が完了したと」
スバルは努めて平静かつ声を抑え、ナギサには聞こえない様にセイアに伝えた。
そう、〝ナギサには聞こえない様に〟だ。
だが、今この場の責任者のナギサは〝フィリウス派首長兼ティーパーティーホスト代行のナギサ〟ではなく〝やんちゃ全開バチギレ臨界寸前のナギちゃん〟だ。
スバルの報告にセイアが口を開け、恐る恐る目だけをナギサに向け、警護の二人も視線だけを向ける。
その視線の先では、通信士とあのマコトですら神に祈る様に十字を切り、痙攣が止まったナギサが居た。
「梯スバルさん」
「は、はい」
なに、返事しちゃってんだお前!?
という皆の視線を受けながら、
返事する以外選択肢ありました?!
という視線を返しスバルはナギサの言葉を待った。
通信士の顔が青ざめているが、一体どんな顔をしているのか、スバルからは見えない。
だが、何か恐ろしいものを見た事だけは解る。
そして、その恐ろしいものがこちらに狙いを定めている。
――マイア、私に力を……
スバルは一番気に掛けて面倒を見て、今も戦場で救護者の確保を続けているだろう後輩に思いを馳せ、背中しか見えない怪物に対峙する。
「今、準備が完了したと聞こえましたが、何の準備が完了したのでしょうか?」
「……錯乱したアリウス生の回収と治療の大部分の準備です」
嘘は言っていない。
事実、
隣のセイアがその調子だと、袖に隠れた両手を上下させてくるが、そのジェスチャーは一体何の意味があるのか。
「まあ! 大事はなかったですか?」
「はい、皆さんのお陰で軽傷で済んでいると」
「それは良かった。足りない物資等ありましたら遠慮なく申してください。例えばロールケーキとか」
「はい、お心遣い痛み入ります。……はい? ロールケーキ?」
「あ、バカ!」
なんでそこに反応した?!
いや、医療品かと思ったらロールケーキですよ?!
と、アイコンタクトだけで会話し、視線をナギサの背ではなく、ナギサの顔色を伺う通信士に向ける。
「…………っ?!!?」
駄目だった。
アリウスに流れ着いたホラー漫画の登場人物みたいな顔になっている。
悲鳴を挙げなかった事は評価したい。
「ロールケーキはロールケーキです。ほら、皆さん空腹でしょう? なら、ロールケーキです」
「は、はぁ……?」
「うふふ、そうだ。今から私自ら用意しましょう。大丈夫です。私、自信ありますから。ふふふふふふふふふふふふ」
そっと、マコトは目を逸らした。
マコトの知るナギサはあらゆる艱難辛苦に苛まれ、しかし周囲の助けを借りて気丈に振る舞い、マコトですら助けたくなる様な深窓の令嬢だ。
決して再び痙攣し始めた目の前の化物ではない。
正直逃げ出したいが、唯一の出入口はスバルが塞ぐ形になり、今逃げ出せばこの化物がどう動くか分かったものではない。
そんな時、現場と通信していたサンクトゥス隊から畳まれたメモ用紙が後ろ手に渡される。
――なんだ?
何故自分にと怪訝に思いながら、マコトはナギサからは見えない様にメモ用紙を開く。
内容はアリウスに重傷者有り、名前は……。とまで読んだ。
少々、不味い。アリウスの現状は掴みきれていないが、現場の状況でアリウスに重傷者が出たとなれば、誰がどの陣営がという話になりかねない。
そうなればまた内輪揉めになり、笑うのはベアトリーチェとやらだけだ。
揉み消す事は可能だが、それは今だけで後になって爆発する爆弾だ。
さあ、どう判断する。セイアを見るが現実逃避の為か、先生から借りた漫画キャラクターの様な特異なポーズをしている。
くそったれ、このFOXは役に立たない。
内心で毒づくマコトだが、そこで気付いた。気付いてしまった。
「マコトちゃん、それなに?!」
「あ?」
おい、待て。なんか幼児退行してるぞ。どうなってるんだこいつ?!
さあ、なんかスイッチ入ったんじゃないんすか?
マコトがアイコンタクトを送るが、トリニティ組はもうお通夜の様に諦めていた。
くそが、こいつら諦めやがった。
マコトが歯噛みしている隙に、幼児退行ナギちゃんはマコトからメモ用紙を引ったくった。
「まあ、アリウスに重傷者が?!」
「なっ?! 誰です?!」
「立木マイアさん、という方が突然走ってきた軽トラに轢かれたと」
「マイアが……!!」
幼児退行と通常運行を行き来しないでほしい。
全員そう思ったが、アリウスの重傷者がスバルの知人であるという事が判明し、その原因まで発覚してしまった。
さあ、どうする。戦場の倣いと言い張れば通る話ではあるが、それではこれからのアリウスとの関係に問題が生じかねない。
マコトとセイア、トリニティ組がどうにかしようと策謀を巡らせる中、ナギサが口を開いた。
「……成程、姑息な真似をしますね。マダム・ベアトリーチェ」
「んん?」
「私達とアリウスの関係を裂く為に、私達の屋台骨である保全部に罪を擦り付けようとは……」
何言ってんだこいつ?
そうは思ったが、すぐにこれはチャンスだと、マコトとセイアは判断した。
「……まさか、その様な姑息な手を使うとはな」
「ああ、アリウスの仲間意識を逆手に取り、この様な非道な真似を。奴には誇りというものが無いらしい」
一体どの口でそんなふざけた事が言えるのか。
流石にこれで騙される筈が無い。フィリウスサンクトゥス両派が
スバルだ。
「……ベアトリーチェ! そこまで私達を虚仮にするのか!」
スバル、お前もか。
やはり別たれたとは言え、アリウスもトリニティ。
対ナギちゃん適性があった。
スバル、お前もトリニティだ。
「これは許せません。皆さん、アリウス突入準備を急いでください。準備が出来次第、突入します」
「サオリ、聞こえますか!? マイアがベアトリーチェに軽トラで轢かれました! え、なに?ではありません! 準備を終え次第突撃です!」
マコトは遠くを見た後、自身の端末を見る。
何件かの通知の中に空崎ヒナの項目があった。
〝先生とサオリからベアトリーチェとか言うのの話を聞いたら腹が立ったからアリウスに突入するわ。邪魔をしないで〟
と、あった。
もう好きにしてくれ。私も好きにする。
というか、自分の頭がアフロになって今もパーマになっている原因は、よくよく考えたらベアトリーチェだ。
あれが余計な真似をしなければ、自慢の髪が痛む事も無かった。
そう考えたらムカついてきた。
「……イロハ、聞こえるか? 戦車隊出せ。アリウスに突っ込むぞ」
「マコトちゃん、戦車出すの? じゃあ私砲兵隊出すね」
「うん、そうだな。全部吹っ飛ばそうな」
連鎖爆発を起こした司令室で、
あれ? これまさか私に対して幼児退行してるか?
マコトは疑問したが口には出さなかった。
『あなた』
気絶中
先輩
全身ズタボロ+脱水まで起こしてた上に、左足の解放骨折を自力で引き戻して固定していた。
現在、ミネによる超緊急最高強度救護中
ナギサ
メルトダウンした。
ゲヘナ編二章を何かの間違いでやるなら、
マコトちゃんがおかしくなっちゃった! 治しに行かなきゃ!
で、冷凍ロールケーキで頭ぶん殴りにいく。
セイア
これもう助からないゾ♡
マコト
これに喧嘩売らなくてよかった
ベアトリーチェ
もう助からない。お前は塵になる。
もう一回 二人の名前情報
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要る
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要らない
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要る様な気がする
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要らない気がする